セイヨウカノコソウ(バレリアン)とは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

概要

バレリアン(カノコソウ)はハーブの一種です(参考)。ヨーロッパとアジアの一部を原産としますが、北アメリカでも育てられています。薬は根から作られます。

バレリアンは一般的に睡眠障害に使われ、特に眠れない症状(不眠症)に使われます(参考1参考2参考3)。バレリアンは口から摂取することで不安と精神的なストレスにも使われますが、これらの用途への科学的な根拠は限られています(参考)。

バレリアンの抽出物やオイルが食べ物や飲み物の調味料として使われます。

どのように作用するのか?

バレリアンは脳や神経系の鎮静剤のように働くようです(参考)。

おそらく効果的であるもの

眠れない症状(不眠症)

矛盾する結果の研究がいくつか存在しますが、ほとんどの研究ではバレリアンを摂取することで眠りにつくまでの時間を15分から20分減らすことができることが示されています。

バレリアンはまた睡眠の質を高めるようです。400~900ミリグラムのバレリアン抽出物をベッドに入る2時間前に摂取することでもっとも効果的に働くようです。数日、あるいは4週間にわたって続けて使うことが目に見える効果を得るために必要なことがあります。

いくつかの研究によるとバレリアンはホップやレモンバームといった他のハーブと組み合わせた時に睡眠を改善することができると示されています。バレリアンはまた、睡眠薬から手を引こうとしている人々の睡眠の質を改善する可能性があります。しかしながら、いくつかの研究では睡眠薬ほど速く不眠症を治療することはできないとされています。

 更年期の症状

研究によると675~1060ミリグラムのバレリアンの根を毎日8週間にわたって摂取すると閉経後の女性の体のほてりの強さと頻度を減らすことができる可能性があります。

更年期に効果のある成分については、『イソフラボンとは?更年期障害への効果やその他のメリットを解説』でも解説しています。

エビデンスが十分ではないもの

HIV治療薬のために起こる精神的な副作用

エファビレンツはHIV感染を治療するために使われる薬です。

エファビレンツを摂取した人々は精神的な副作用を経験する可能性があります。初期研究によるとバレリアンの根を毎晩4週間にわたって摂取すると、エファビレンツを服用している人々の睡眠の質と不安を改善する可能性があるとのことです。しかしながら、精神病や希死念慮を防ぐことはできないようです。 

不安

バレリアンの不安に対する効果に関しては矛盾するエビデンスが存在します。

いくつかの初期研究ではバレリアンの服用が不安を減らす可能性があるとしています。しかしながら、他の研究では効果がないとしています。この矛盾する結果は用量や治療しようとしている不安の種類や深刻度の違いによるものかもしれません。 

不安の解消に関係するサプリについては『口コミが多い「不安解消」サプリ8選 | alloeh(アロエ)』でも解説しています。

うつ

初期研究によるとバレリアンとセントジョーズワート(ハーブの一種)を摂取するとうつの症状を改善するとしています。

高用量(1000ミリグラム)のバレリアンをセントジョーズワートと一緒に服用すると低用量(500ミリグラム)を摂取するよりもうつの症状を早く改善します。

月経疾患(月経困難症)

初期研究によると月経周期中に255ミリグラムのバレリアンを一日三回毎日摂取すると、月経中の痛みと他の鎮痛剤の必要性を減らすことができると示されています。

月経前症候群(PMS)

バレリアンの根を摂取すると、月経周期の21日目に起こり7日間続くPMSに関連する感情的、行動的、および精神的な症状を軽減するようです。

情動不安。初期研究によると、1錠か2錠の160ミリグラムのバレリアンの根の抽出物と80ミリグラムのレモンバームの葉の抽出物という特別な組み合わせの製品を一日に一回か二回摂取すると、12歳以下の子供たちの深刻な情動不安(睡眠異常)を軽減する可能性があるとのことです。

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ストレス

初期研究によると、600ミリグラムのバレリアンを7日間メンタルストレステストの前に摂取すると血圧、心拍数、ストレス下のプレッシャーの感情を軽減することが示されています。

他の研究では100ミリグラムのバレリアンを聴衆の前で話す前に摂取すると不安の気持ちを減らすとしています。

もう1つの研究では360ミリグラムのバレリアンと240ミリグラムのレモンバームの葉を含む組み合わせた製品を夜に1回服用するとストレスによる不安を下げるとしています。

しかしながら、この組み合わせは1080ミリグラムのバレリアンと720ミリグラムのレモンバームというより高用量の組み合わせの場合には不安を増長するようです。

ストレスの緩和については『口コミが多い「ストレス緩和」サプリ6選 | alloeh(アロエ)』でも紹介しています。

その他

  • 注意欠陥
  • 多動性障害(ADHD)
  • 慢性疲労症候群(CFS)
  • 痙攣
  • てんかん
  • 頭痛
  • ほてりや不安を含む更年期の症状
  • 軽度の振戦
  • 筋肉や関節の痛み
  • 胃もたれ
  • 他の症状

バレリアンのこれらの用途に対する効果の評価にはより多くのエビデンスが必要です。

副作用と安全性

バレリアンは、医薬品としての量であり短期間であればおそらくほとんどの人には安全です。

ある臨床研究が、最大28日間続く研究で、12,000人以上を対象にバレリアンの医薬品としての安全な使用について報告しています。長期にわたって使われたときの安全性は不明です。いくつかの情報によるとバレリアンは子供たちに4~8週間摂取された場合はおそらく安全としています。 

バレリアンは頭痛、胃もたれ、精神的な鈍さ、興奮、不安、心臓障害、そして睡眠障害すら副作用として起こす可能性があります。人によっては特に高用量でバレリアンを服用した場合、朝にだるさを感じます。

人によっては口の渇きや鮮明な夢を経験します。バレリアンを服用した後は運転や危険な機械の操作は避けた方が良いです。バレリアンの長期にわたる服用の安全性は不明です。

長期にわたって使用した後には離脱症状を起こす可能性があります。長期使用後にバレリアンの服用を中止するときの副作用を避けるには、完全にやめる前に、用量を1,2週間にわたって少しずつ減らすのがいいです。

特別な予防措置と警告:

妊娠中や授乳中

妊娠中や授乳中のバレリアンの安全性については十分な情報がありません。安全を重視し、使用を避けてください。 

手術

バレリアンは中枢神経系の働きを弱めます。麻酔や手術中に使われる他の薬も中枢神経系に影響します。組み合わせた効果は害がある可能性があります。バレリアンの服用を予定されている手術の少なくとも2週間前に中止してください。

主な相互作用(この組み合わせは服用しないでください)

バレリアンのアルコールとの相互作用

アルコールは眠気を起こします。バレリアンもまた眠気を起こす可能性があります。高用量のバレリアンをアルコールとともに摂取すると眠気が強くなりすぎる可能性があります。

バレリアンのアルプラゾラム(商品名:Xanax)との相互作用

バレリアンはアルプラゾラムが肝臓で分解される速度を遅くする可能性があります。バレリアンをアルプラゾラムと一緒に服用すると、アルプラゾラムの効果や、眠気などのアルプラゾラムの副作用を増す可能性があります。

バレリアンと鎮静薬(ベンゾジアゼピン)の相互作用

バレリアンは眠気を起こす可能性があります。眠気を起こす薬は鎮静薬と呼ばれます。

バレリアンを鎮静薬と一緒に摂取すると強すぎる眠気を起こす可能性があります。

このような鎮静剤にはアルプラゾラム(商品名:Xanax)、クロナゼパム(商品名:Klonopin)、ジアゼパム(商品名:Valium)、ロラゼパム(商品名:Ativan)、ミダゾラム(商品名:Versed)、テマゼパム(商品名:Restorill)、トリアゾラム(商品名:Halcion)などが含まれます。

バレリアンの鎮静薬(CNS抑制薬)との相互作用 

バレリアンは眠気を起こす可能性があります。

眠気を起こす薬は鎮静薬と呼ばれます。バレリアンを鎮静薬と一緒に摂取すると強すぎる眠気を起こす可能性があります。バレリアンを手術中に使われる鎮静剤と一緒に服用すると、長期にわたり鎮静状態が続く可能性があります。

このような鎮静剤にはペントバルビタール(商品名:Nembutal)、フェノバルビタール(商品名:Luminal)、セコバルビタール(商品名:Seconal)、チオペンタール(商品名:Pentothal)、フェンタニル(商品名:Duragesic、Sublimaze)、モルヒネ、プロポフォール(商品名:Diprivan)などが含まれます。

中程度の相互作用(この組み合わせに注意してください)

バレリアンと肝臓で変化した薬(チトクロームP450 3A4(CYP3A4)基質)の相互作用

薬によっては肝臓で変化し分解されるものがあります。

バレリアンは肝臓がいくつかの薬を分解する速度を下げます。バレリアンを肝臓で分解される薬と一緒に摂取すると、効果や副作用が強くなる可能性があります。

バレリアンを摂取する前に、医療提供者に相談してください。肝臓で変化するいくつかの薬には、ロバスタチン(商品名:Mevacor)、ケトコナゾール(商品名:Nizoral)、イトラコナゾール(商品名:Sporanox)、フェキソフェナジン(商品名:Allegra)、トリアゾラム(商品名:Halcion)などがあります。

以下の容量が科学的に研究されています

眠れない症状用(不眠症):
400~900ミリグラムのバレリアン抽出物を寝る前に6週間にわたって摂取する。
120ミリグラムのバレリアン抽出物と、80ミリグラムのレモンバーム抽出物を寝る前に30日間服用する。
374~500ミリグラムのバレリアン抽出物と83.3~120ミリグラムのホップ抽出物を寝る前に2~4週間服用する。
300ミリグラムのバレリアン抽出物を80ミリグラムのトケイソウ抽出物、30ミリグラムのホップ抽出物を寝る前に2週間摂取する。
バレリアンを寝る30分~2時間前に摂取する。

更年期の症状用:
225ミリグラムの粉末にしたバレリアンの根を1日3回、8週間にわたって摂取する。また、530ミリグラムのバレリアンの根の抽出物を一日2回8週間にわたって摂取する。

最後に

バレリアンをサプリで試してみたい方は、「ナウフーズ バレリアン・ルート」などがおすすめです。ただし、重度の症状など適切な治療が必要とされる場合はサプリメントに頼らず、医療機関で診断を受けるようにしましょう。

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