シャタバリとは?
シャタバリはアスパラガスラセモス(Asparagus racemosus / 野生アスパラガス)とも呼ばれます。アスパラガスの仲間で、アダプトゲン系のハーブとも言われています。
🌿 アダプトゲン系のハーブとは?
人の肉体的・精神的なストレスを和らげる作用が期待されているハーブのことをいいます。
シャタバリには活力の改善などが期待できると考えられており、その効能からアーユルヴェーダ医学では重要な役割を担っています。
この記事では、シャタバリの効果について詳しく解説していきます。
1. シャタバリの抗酸化作用
抗酸化物質は、フリーラジカル(遊離基)による細胞への障害を防ぎます。 また、様々な病気の原因となる酸化ストレスも軽減するとされています。 シャタバリは、抗酸化作用を持つ化合物であるサポニンを多く含んでいます。
フリーラジカル(遊離基)とは?
反応性の高い化学物質で、DNAや脂質といった細胞分子や、細胞のその他の部分を損傷することがあることで知られています。
2004年に行われた研究では、ラセモフラン(Racemofuran)と呼ばれる新しい抗酸化物質がシャタバリの根から見つかりました。(参考)
その他にも、すでに知られている、アスパラガミンAとラセモソールという抗酸化物質も、シャタバリには含まれることが報告されています。
2. シャタバリの抗炎症作用
シャタバリから見つかった新しい抗酸化物質であるラセモフランは、抗炎症作用もあることが知られています。
薬用料理の本である「自然の薬局の効果的な使い方/How You Can Benefit from Nature's Pharmacy」によると、ラセモフランは体内で、抗炎症薬であるCOX-2(コックス・ツー)阻害薬と同じ作用を発揮すると言われています。(参考)
これらのCOX-2阻害薬は、消化器系に影響を与えることなく、炎症反応を軽減する効果があるとされています。
3. 免疫システムを高める可能性
シャタバリは、アーユルベーダの中では免疫を高める目的でも使用されています。(参考)
2004年の研究では、シャタバリの根の抽出液で治療された動物において、治療を受けなかった動物よりも、百日咳菌に感染した場合の抗体の産生が増加したと報告されています。(参考)
治療された動物では回復も早く、全体的な健康状態も向上したとされています。 これらの結果を踏まえて、シャタバリの免疫反応の改善効果が期待されています。
免疫力に関する情報は、以下の記事でも紹介をしています。
4. 咳症状を改善する可能性
インドの西ベンガル地方では、シャタバリが天然の咳ぐすりとして利用されていますが、2000年に行われたマウスを対象とした研究ではこの効能を調査しました。(参考)
この研究では、咳症状のあるマウスにおいて、シャタバリの咳症状改善効果を調べています。 研究では、シャタバリの根の抽出液が、処方薬であるリン酸コデインなどと同じ様に、マウスの咳症状を軽減したと報告しています。(参考)
人においても咳症状の改善効果があるのかについては、今後も追加の研究が必要でしょう。
なお、風邪症状については以下の記事で解説していますので、気になる方は併せてチェックしてみてください。
5. 下痢の改善効果
シャタバリは、民間療法の中で下痢への治療薬としても利用されてきました。 下痢は、脱水症や電解質異常などの重篤な健康問題の原因になり得ます。( 参考, 参考2)
2005年に行われた研究によると、シャタバリはラットにおけるヒマシ油による下痢症状を改善したとしています。(参考)
この下痢改善効果が人でも認められるのかについては、今後も追加の研究が必要でしょう。
6. 利尿剤としての効能
利尿剤は、体の余剰な水分を体外に排泄する役割があります。 この利尿剤はしばしば、うっけつ性心不全などの患者さんで、体から余分な水分を除去するために使用されます。 処方された利尿剤は、しばしば重大な副作用を伴うことがあります。( 参考, 参考2)
2010年にラットに対して行われた研究では、シャタバリはアーユルベーダ医学の中でも利尿剤として利用されていた様です。(参考)
この研究では、3,200mgのシャタバリは特に副作用などもなく、利尿剤としての効能を発揮したとされています。 シャタバリが人においても利尿剤として利用できる様になるまでには、今後も安全性などに関する追加の研究が必要でしょう。
7. 消化性潰瘍治療への有効性
消化性潰瘍は胃や小腸、食道などにできる粘膜の障害です。
しばしば疼痛を伴ったり、出血や消化管の穿孔などの合併症につながります。
2005年のラットに対する研究によると、薬剤性の胃炎に対して、シャタバリはラニチジン(ザンタック)と呼ばれる代表的な胃薬と、同じくらいの効果が認められたとされています。(参考, 参考2, 参考3)
ただし、シャタバリはストレス性の潰瘍の治療に関しては、効果が劣るとされているので注意が必要でしょう。
8. 尿路結石の改善効果
尿路結石は、腎臓の中で作られる固い沈着物です。
この尿路結石が尿路を通過するときに、強烈な疼痛が生じることが知られています。(参考)
ほとんどの場合、この尿路結石はシュウ酸塩でできています。 シュウ酸塩は、ホウレンソウ・ビート・フレンチフライなどの食べ物に含まれています。
2005年に行われた研究では、ラットにおいてシャタばりの根の抽出液の投与が、シュウ酸塩による尿路結石の生成を不正だとされています。(参考)
また、尿中に排泄されるマグネシウムの量も増加が認められました。 体内のマグネシウムの量を適切なレベルに保つことで、尿路結石につながる尿中の結石形成防止につながるとされています。
9. 血糖コントロールへの効果
2型糖尿病患者さんの増加に伴い、より安全で効果的な治療への期待も高まっています。(参考)
2007年に行われた研究によると、シャタバリには血糖をコントロールする効能もあるかもしれません。(参考)
この研究によると、正確な作用機序は不明であるものの、シャタバリに含まれる化合物が、インスリン産生を促進する可能性が指摘されています。
今後も追加の研究は必要ですが、研究者の間では、シャタバリがどの様に血糖コントロール作用を発揮しているのかを解明することで、今後の糖尿病に対する新薬の開発につながる可能性があると言われています。
10. 加齢抑制効果
シャタバリには、天然のハーブに由来する、加齢抑制効果の秘訣が隠されているかもしれません。(参考)
2015年に行われた研究では、シャタバリの根に含まれるサポニンが、シワの原因となるフリーラジカルによる皮膚へのダメージを軽減したとしています。(参考)
シャタバリはまた、皮膚のハリの元となる、コラーゲンの分解を抑制する効果も期待されています。(参考)
局所に塗布するシャタバリの製品が流通するまでには、まだまだ追加での研究が必要でしょう。
しかし、研究者の間では、シャタバリが将来的に、安全な加齢抑制のためのケア用品として使用できる可能性があると考えられています。
11. うつ病への効能
米国不安障害うつ病協会(Anxiety and Depression Association of America)によると、米国では毎年、1,610万人以上の成人が、うつ病による影響を受けているとされています。(参考)
しかし、うつ病に対する治療薬を、薬の副作用のために服用継続できない人が多くいます。
シャタバリはアーユルベーダの中でもうつ病症状に使用されてきました。 2009年の齧歯類を対象にした研究では、シャタバリに含まれる抗酸化物質に、強い抗うつ作用があったとされています。(参考, 参考2)
これらの物質は、脳内の情報伝達を担う神経伝達物質に影響を与えると考えられており、うつ病の症状の改善にも関与していると考えられています。
シャタバリの使用方法
シャタバリの人における効能はあまり研究されていません。 このため、基本となる用量などもわかってはいません。基本的には製品によって推奨されている量を参考にするようにしましょう。
他の薬剤を服用していたり基礎疾患がある場合には、医師や自然療法の専門家にシャタバリの摂取を始める前に相談をしましょう。 正しい摂取量について、アドバイスをしてくれるでしょう。
サプリメントの品質、純度、強さなどは製品によって異なります。 信頼のおけるブランドからのみ、シャタバリのサプリメントを購入する様にしましょう。
シャタバリの安全性と副作用
2003年に行われた研究によると、アーユルベーダ医学の中でシャタバリは、「長期使用も安全で、妊娠中や授乳中であっても安全に使用できる」と紹介されています。(参考)
しかし、シャタバリサプリメントの副作用に対して、科学的なデータは限られているのが現状です。 さらに研究が進んで安全性が確保されるまでは、妊娠もしくは授乳中の方は、シャタバリを含むサプリメントの使用を避けた方が安全でしょう。
特定の人では、シャタバリの摂取によるアレルギー反応の報告例があります。
アスパラガスにアレルギーのある方では、このシャタバリサプリメントは避けた方が良いでしょう。 サプリメントの摂取後に、喘息症状の悪化や、アレルギー反応の症状などがある場合には、医療機関へ受診しましょう。(参考)
🚨 考えられるアレルギー症状
- 皮疹
- 頻脈
- 目の痒み
- 皮膚の痒み
- 呼吸困難感
シャタバリには、利尿効果もあるかもしれません。 このため、シャタバリは、他の利尿作用のある薬草や、フロセミド(ラシックス)などの利尿剤との併用は避けた方が良いでしょう。( 参考)
また、シャタバリには血糖低下作用もあると考えられています。 このため、血糖低下作用のある他の薬剤や、薬草などとの併用も避けた方が良いと言われています。
まとめ
シャタバリは、数世紀にわたってアーユルベーダ医学の中で使用されてきました。 しかし、現時点では病気への治療薬として積極的に使用できるほど、人に対する科学的な研究は十分にはなされていません。
そうは言っても、少量であれば摂取するのは安全ですし、シャタバリに含まれる抗酸化物質や免疫促進効果の恩恵を受けられるかもしれません。
シャタバリを高用量で摂取することを検討している場合には、摂取を開始する前に医療機関で相談をしましょう。
医療機関は、シャタバリを摂取することの危険性と有益性を吟味する手助けをしてくれる他、シャタバリに関する質問にも答えてくれるでしょう。
また、alloehではサプリユーザーのクチコミから、シャタバリサプリのランキングも作成しています。
ぜひ参考にしてください。
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