風邪について知っておきたいこと
普通の風邪とインフルエンザの違いは?
普通の風邪とインフルエンザは、最初は同じように感じます。どちらも呼吸器の病気で同じような症状です。しかしウイルスが異なるので症状は異なります。そしてその症状は時間が経つにつれて違いが明らかになっていきます。 風邪とインフルエンザの症状は、いくつかの共通点があります。どちらかに罹った人には次のような症状が表れます: ・鼻水や鼻づまり ・くしゃみ ・身体の痛み ・倦怠感 基本的にインフルエンザの症状は普通の風邪よりも深刻です。 他の明らかな違いは、病状の度合いです。普通の風邪ではさらに他の疾患が表れるということはまれです。しかしインフルエンザでは、副鼻腔や耳の感染症、肺炎、敗血症につながる場合があります。 単なる風邪かインフルエンザかを判断するためには、病院に行かなくてはいけません。医師が検査を実施してあなたの症状の原因は何なのかを判断します。 医師が風邪だと診断したら、自然治癒するまで対症療法を受けるだけとなります。その治療とは、市販薬の服薬、水分補給、十分身体を休めるといったことです。 インフルエンザの場合、ウイルスサイクルが初期であれば市販のインフルエンザ薬が有効です。静養、水分補給も非常に効果的です。普通の風邪と同様、インフルエンザもウイルスが身体から抜け出す時間が必要なのです。
風邪の症状は?
一般的に風邪の症状は、数日で無くなります。その症状は突然表れるものではありません。風邪とインフルエンザの症状の違いが分かっていれば、どのように対処すればいいのか、病院に行った方がいいのかどうかが判断できます。 鼻に関する症状は:
- 鼻閉
- 副鼻腔の圧迫感
- 鼻水
- 鼻づまり
- においや味がわからなくなる
- くしゃみ
- 水っぽい鼻水
- 鼻水がのどの奥に流れる
頭部やのどなどに関する症状は:
- 涙目
- 頭痛
- のどの痛み
- せき
- リンパ腺が腫れる
身体全体に関する症状は:
- 倦怠感や疲労感
- 寒気
- 身体の痛み
- 微熱
- 胸のあたりの違和感
- 深呼吸が苦しい
成人の場合の風邪の対処法
風邪の症状があれば、それを取り除く方法を見つけましょう。風邪の治療法は大きく二つに分類できます:
市販薬
最も一般的な風邪の市販薬には、鼻炎薬、抗ヒスタミン薬、痛み止めなどがあります。一般的な「風邪」の医薬品には、これらの薬を組み合わせたものもあります。薬を飲む場合は、必ずラベルの注意事項を読んで、自分が何を飲んでいるのか把握し、必要以上の薬を飲まないようにしましょう。
家庭療法
風邪の家庭療法で一番効果的で一般的なものは、塩水でうがい、静養、水分補給です。エキナセアのようなハーブが風邪症状の軽減に効果的だとする研究もあります。これらの治療法は風邪を根本的に治療するものではありません。むしろただ症状を軽減してコントロールしやすくするものです。 もし高血圧の場合は、市販の風邪薬を飲む前にかかりつけ医に相談しましょう。高血圧の人のほとんどは、こういった薬を気にせず服用します。しかし一部の鼻炎薬は、血管をせまくするはたらきがあります。これは血圧の上昇につながるので、もし血圧に問題があれば、病状を悪化させることがあります。
子どもの風邪の対処法
米食品医薬品局(FDA)は、4歳未満の子どもが市販薬を服用するのを推奨していません。 その年齢を6歳とする医師もいます。わからないことがあれば、子どものかかりつけ医に相談しましょう。 次の家庭療法で子どもの風邪症状を軽減できます:
静養:風邪をひいた子どもは、いつもより無気力だったりイライラしたりします。学校を休ませて風邪が治るまで静養させましょう。
水分補給:風邪をひいた子どもにはしっかり水分補給させることがとても重要です。風邪をひくと脱水症状を起こしやすくなります。定期的に水分補給をさせます。水がいいでしょう。お茶のような温かい飲み物は、のどの痛みを和らげるので、一石二鳥です。
食事:風邪をひいた子どもは、いつもより食欲がありませんので、カロリーと水分を摂れるような方法を考えます。スムージーやスープがいいでしょう。
塩水うがい:ちょっとつらいものですが、温かい塩水でうがいをするとのどの痛みが和らぎます。塩水の鼻スプレーをしても鼻詰まりを軽減してくれます。
お風呂:温かいお風呂につかると、熱を下げ風邪症状の身体の痛みも和らぐことがあります。
その他の風邪の治療法
成人と7歳以上の子ども向けの市販風邪薬には、鼻炎薬、抗ヒスタミン薬、痛み止めがあります。 鼻炎薬は鼻詰まりを和らげます。抗ヒスタミン薬は、くしゃみ・鼻水を軽減します。痛み止め薬は、風邪に伴う身体の痛みを軽減します。 市販風邪薬の一般的な副作用は:
- めまい
- 脱水症状
- ドライマウス
- 眠気
- 吐き気
- 頭痛
これらの薬は症状を軽減するかもしれませんが、風邪を根本的に治療したり早く治したりするものではありません。 高血圧と診断されている場合は、市販の風邪薬を使う前に主治医に相談してください。一部の薬は血管をせまくして血流を減らすことによって症状を和らげるものもあるからです。高血圧であれば、身体中の血流に影響を及ぼす可能性があります。 小さな子どもは市販薬は服用できません。幼児の場合、風邪薬の過剰摂取や副作用によって深刻な状況につながる可能性があるからです。
風邪の診断
風邪の診断のために病院に行く必要はあまりありません。風邪の症状を認識したら、それが風邪の診断となるのです。もちろん、症状が悪化したり1週間以上続いたりするようであれば、病院に行く必要があるかもしれません。インフルエンザや連鎖球菌性咽頭炎のような違う病気の症状かもしれないからです。 風邪をひいたら、ウイルスが消えるまで1週間から10日ほどかかります。インフルエンザの場合、このウイルスは、同じくらいの期間がかかりますが、5日経っても症状が悪化したり、1週間経っても症状が消えない場合は、他の病気を発症するかもしれません。 症状が風邪によるものかインフルエンザによるものなのかをはっきりと知る唯一の方法は、病院に行って検査を受けることです。風邪とインフルエンザの症状と治療はとてもよく似ているので、診断はただ回復に集中するためのものなのです。
風邪はどのくらい続くのか?
風邪は上気道のウイルス感染です。ウイルスは抗生物質では治療できません。ほとんどの場合風邪などのウイルスは、自然治癒が必要です。感染の症状は治せますが、感染そのものを根本的に治療することはできません。 平均的に風邪は7~10日間続きます。それぞれの健康状態によって、症状は重くなったり軽くなったりします。例えば、喫煙者やぜんそくがある人は、症状が長引くことがあります。もし症状が7~10日で軽くなったり無くなったりしない場合、病院に行く必要があります。 消えない症状は、インフルエンザや連鎖球菌性咽頭炎など何か大きな病気のサインかもしれません。
嘘か真か:風邪には大食、熱には少食
その昔「風邪には大食、熱には少食」ということわざがあり、年代を超えて言い伝えられています。このことわざは、16世紀頃のもので、病気の時、身体にエネルギーがなくなると、身体が「暖まる」という考えから来ています。同じ原理で、熱があるときは食べないことで身体を冷やすということです。 しかし今日では、このことわざは「風邪に大食、熱にも大食」と言い換える必要があると医学研究では提示しています。身体が風邪などの感染と戦っている時は、元気な時よりも身体がエネルギーを使っています。そのため、もっとエネルギーが必要となるのです。 エネルギーは食べ物から来ています。ウイルスを素早くやっつけるエネルギーを十分に身体が得るために、たくさん食べなければいけないということは理に適っています。しかし風邪をひくと味覚がなくなるので、食べたくなくなるのも事実です。ただ身体が十分なエネルギーを得られるように食べ続けなければいけません。 熱がある場合も、食べなければいけません。発熱は、身体の免疫システムがウイルスをやっつけようとしているサインです。熱が体温を上げ代謝も上げているのです。代謝が活発になるとカロリーをさらに消費します。熱が高くなればなるほど、身体はエネルギーをもっと必要とします。しかし風邪だからといって、発熱を食べすぎの言い訳にしないこと。いつも通り食べていれば、ウイルスと戦うエネルギーは十分得ることができます。
風邪のときは、何を食べたらいいのか?
風邪をひいたときは、食欲がなくなるかもしれませんが、身体は食べ物からのエネルギーを必要としています。風邪の回復には次のような食べ物が効果的かもしれません: チキンヌードルスープ 塩味のスープはどんな病気にも良い昔ながらの「治療」です。特に風邪には効果的です。温かい飲み物を飲むと、鼻腔が広がって息をしやすくなり、スープの塩味はイガイガするのどを癒してくれます。 お茶 お茶のような温かい飲み物は、風邪に効果的です。咳がひどい場合ははちみつを加えましょう。ショウガを一切れ入れても炎症を抑え鼻詰まりの軽減になります。コーヒーは控えましょう。カフェインは、薬に対して阻害作用があり、脱水のリスクも高まります。 ヨーグルト ヨーグルトには、胃腸の健康を助ける善玉菌がたくさん含まれています。胃腸に健康な微生物叢があると、身体が風邪などの病気と闘うことができます。 アイスキャンディー 温かいお茶のように、アイスキャンディーものどの痛みを軽減します。低糖のものにしたり、ヨーグルト、フルーツ、天然果汁のジュースと混ぜてオリジナル「スムージー」を作ってみましょう。 風邪をひいたときに一番大切なことは、水分補給を続けることです。水か温かいお茶を定期的に飲みましょう。風邪が治りかけている時もカフェインやアルコールは避けます。風邪の症状を悪化させる場合があるためです。
風邪予防
風邪は大病ではありませんが、かかってしまうと不便だし大変です。インフルエンザのようにワクチンで予防することもできません。しかし風邪のシーズンにウイルスをもらってしまわないようにするコツがいくつかあります。 風邪予防のコツを4つご紹介しましょう。 手洗い:昔ながらの石鹸と水で洗うのが、ウイルスの広がりを阻止するベストな方法です。水道がないところでは、仕方がないので、抗菌ジェルやスプレーを使いましょう。 胃腸に気を付ける:ヨーグルトのような善玉菌が豊富な食べ物を食べたり、プロバイオティクス食品を毎日摂りましょう。胃腸の細菌を健康に保つと、身体全体の健康にもつながります。 調子の良くない人と会わない:調子の悪い人は職場や学校に行くべきではない一番の理由がこれです。オフィスや教室のような人が密集する場所では、ウイルスは簡単に広がります。調子の良くない人に気づいたら、避けましょう。そういった人と会った後は、必ず手を洗いましょう。 咳エチケット:同じように、調子が悪い時は、周りの人にうつさないようにします。咳をするときはティッシュや肘の内側で口を覆って、周りにウイルスが飛ばないようにしましょう。
風邪の原因は?
ライノウイルスと呼ばれる風邪のウイルスは、ヒトからヒトあるいは物の表面に付いたウイルスからヒトへ感染します。表面についたウイルスは、数日間生きています。ウイルスを持った人がドアノブにさわり、数日後同じドアノブに触った人はウイルスをもらってしまいます。 肌にウイルスが付いたからと言って、感染するというわけではありません。ウイルスが目、鼻、口に入って感染するのです。
風邪のリスク要因
特定の条件が風邪のリスクを高めます。例えば: 時期:風邪はどの時期でも発生しますが、一般的なのは秋と冬です。 年齢:6歳未満の子どもは風邪をひきやすいようです。他の子どもと触れ合う保育所や幼稚園に通っているとリスクはさらに高まります。 環境:機内やコンサートなど人込みにいると、ライノウイルスと出会いやすいようです。 免疫不全:慢性疾患があったり、病気に罹ったばかりだと、風邪のウイルスに感染しやすいようです。 喫煙:喫煙者は風邪をひくリスクが高いです。かかると深刻な症状になる傾向にあります。
Powered by Froala Editor