紅茶の効果とは?論文をもとに紅茶の9の健康メリットを解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

水を除くと、紅茶は世界中で最も多く摂取されている飲料です。
カメリア・シネンシスと呼ばれる植物に由来し、アールグレイ、イングリッシュ・ブレークファスト、チャイティーなど、しばしば他の植物とも混合して風味をつけたりします。

他の茶と比べても紅茶は風味も強くカフェインも多めですが、コーヒーに比較するとカフェインは少ないです。

紅茶は、含まれる抗酸化物質や、体の炎症軽減効果のある化合物などから、体の健康に対して複数の効能があると言われています。

この記事では、紅茶の効能について、その背景にある科学データも交えて取り上げます。

1. 抗酸化物質による効能

抗酸化物質は、人の体の健康に有益な作用を与える物質として知られています。

抗酸化物質を摂取することで、体内の遊離ラジカルが減り、細胞へのダメージが軽減すると考えられています。
この作用が結果的に、慢性疾患のリスクを減らす働きにつながるとされています。(参考1, 参考2)

ポリフェノールも1種の抗酸化物質であり、特定の食物や紅茶を含めた飲料に含まれています。
カテキン、テアフラビン、テアルビジンなどのポリフェノールが、紅茶に含まれる主な抗酸化物質であり、健康増進の効能を発揮する原因物質と考えられています。(参考)

実際、ラットを使ったある研究では、紅茶に含まれるテアフラビンと糖尿病のリスク、肥満、高コレステロールの関連を調べました。
結果として、テアフラビンはコレステロールを減少させ、血糖値も低下させる効果がありました。(参考)

他の研究でも、緑茶抽出液由来のカテキンと体重の関連を調査しました。
その研究によると、690mgのカテキンを含むお茶を毎日12週間摂取したところ、体の脂肪分が低下したとされています。(参考)

多くのサプリメントが抗酸化物質を含んでいますが、抗酸化物質を取り入れる最も良い方法は食事や飲み物を通じて摂取することです。
実際、一部の研究では、サプリメントで抗酸化物質を摂取することが、体に悪影響を与えるのではないかと指摘しているものもあります。(参考)

💡 POINT

抗酸化物質としての作用を持つポリフェノールが紅茶には含まれています。抗酸化物質を摂取することが、慢性疾患のリスクを軽減し、総合的な体の健康を改善することにつながります。


2. 心臓の健康増進効果

紅茶はフラボノイドと呼ばれる別なタイプの抗酸化物質も含んでおり、これが心臓の健康増進に影響していると考えられています。
お茶だけでなく、フラボノイドは野菜、フルーツ、赤ワイン、ダークチョコレートなどにも含まれています。

フラボノイドを定期的に摂取することで、高血圧、高コレステロール、高トリグリセライド、肥満などの心疾患に対するリスクが軽減すると考えられています。(参考)
あるランダム化比較試験では、紅茶を12週間摂取することで、血中のトリグリセライドが36%減少、血糖が18%減少、LDL/HDL比が17%減少したとされています。(参考)

他の研究でも、毎日紅茶を3杯摂取していた人において、心疾患の発症リスクが11%減少したとされています。(参考)
紅茶を普段の生活に加えることで、簡単に抗酸化物質を摂取でき、将来の健康を脅かす疾患の発症を予防できるかもしれません。

💡 POINT

紅茶には、健康に良いと考えられているフラボノイドが含まれています。研究によると、紅茶を定期的に飲んでいる人では心疾患のリスクが低かったとされています。


3. LDL(悪玉)コレステロールの減少効果

人の体には2種類のリポプロテインがあり、これらがコレステロールを身体中に運搬しています。

そのうちの1つは低密度リポプロテイン(LDL)、もう一方は高密度リポプロテイン(HDL)と呼ばれます。
LDLは悪玉のリポプロテインと考えられており、コレステロールを全身の細胞へ運搬します。

一方で、HDLは善玉のリポプロテインで、コレステロールを全身の細胞から取り除いて、排泄のために肝臓へと運搬します。
体内に過剰なLDLがあると、血管の壁などに沈着して、プラークと呼ばれるロウ状の沈着物を形成します。 これは、心不全や脳卒中の原因になる物質です。

幸いにも、いくつかの研究では、お茶の摂取がLDLコレステロールを軽減させると報告しています。

あるランダム化比較試験でも、毎日紅茶を5杯摂取していた軽度のコレステロール上昇がある被験者において、LDLコレステロールが11%低下したとされています。(参考)

他のランダム化比較試験では、47名の被験者を3ヶ月にわたって調査し、中国の伝統的な紅茶抽出液とプレセボのLDLへの影響を調べました。

結果として、プレセボ群と比較して紅茶を摂取していた群でLDLが有意に低下し、特に有害な副作用なども認められなかったとしています。
研究では、紅茶が心疾患や肥満のリスクのある人において、コレステロール値を改善する効果があったと結論づけています。(参考)

💡 POINT

LDLとHDLは2つの異なるリポプロテインであり、それぞれ身体中にコレステロールを運搬します。過剰なLDLは、心疾患や脳卒中のリスクを上昇させることが知られています。研究によると、紅茶の摂取がLDLの値を低下させる可能性が指摘されています。


4. 消化管の健康改善効果

研究によると、消化管に存在する細菌が我々の健康に重要な役割を果たしている可能性があるとされています。
これは、腸管には数兆もの細菌が含まれているからで、これは人の免疫システムの70-80%に相当すると考えられています。(参考)

これらの腸内細菌は一部は健康に有益ですが、一部は有害であることが知られています。
実際、一部の研究では、腸管の細菌の種類が炎症性腸疾患、2型糖尿病、心疾患、肥満、癌などの特定の疾患のリスクを減少させるために重要であると考えられています。(参考)

紅茶に含まれるポリフェノールは、腸管の有益な細菌を増殖させ、サルモネラのような有害な細菌の成長を抑制すると考えられています。(参考)
加えて、紅茶は抗菌作用などもあり、腸管内の有害物質を取り除き、消化管内の内壁を修復することで腸管細菌と免疫を改善させるとみられています。

しかし、紅茶の免疫機能に対するはっきりした使用方法などを提唱するためには、今後さらなる研究とデータが必要でしょう。(参考)

💡 POINT

腸管には数兆もの細菌が住んでおり、その大部分は免疫システムに関わっています。 紅茶に含まれるポリフェノールと細菌作用は、腸管の健康と免疫システムを改善させます。


5. 血圧低下作用の可能性

高血圧は、世界中で10億人ほどの人に影響を与えている疾患です。(参考)
高血圧は、心疾患、腎不全、脳卒中、視野障害、心臓発作などのリスクを上昇させると思われています。
幸いなことに、食生活や生活習慣の改善で血圧を低下させることができます。(参考)

ランダム化比較試験で紅茶と血圧低下の関連を調べた研究があります。 この研究では、被験者は3杯の紅茶を毎日6ヶ月以上も摂取しました。
結果として、紅茶を飲んでいたグループでは、プラセボグループに比較して有意に収縮期血圧/拡張期血圧が低下しました。(参考)

しかし、紅茶の血圧に関する効能に関する研究結果は一貫していません。
5つの研究をまとめたメタ・アナリシス研究では、343名の被験者を対象に、4週間にわたる紅茶の摂取の血圧に対する影響を調査しました。

研究の結果では、紅茶は血圧に対して幾らかの改善効果を示したものの、これらの結果は有意ではないと研究の中では結論づけられています。(参考)

ストレス対処方法を習得したりするなどの生活週間の変更に加えて、紅茶を毎日摂取することも血圧の改善に有益かもしれません。

💡 POINT

高血圧は多くの健康への合併症の原因となります。紅茶を定期的に摂取することで、、収縮期/拡張期の血圧を減らす効果があるかもしれませんが、現時点での研究結果は一貫していません。


6. 脳卒中のリスク軽減効果

脳卒中は、脳の血管が閉塞したか、もしくは破裂した際におきます。
そして、脳卒中は世界中で2番目に多い死亡原因の1つとされています。(参考)

幸いにも、脳卒中の80%は予防が可能であると考えられています。
例えば、食事、運動、血圧などの改善と、禁煙などが脳卒中のリスクの軽減につながると考えられています。(参考)

興味深いことに、研究によると紅茶の摂取が脳卒中のリスク軽減につながるかもしれません。
ある研究では、74,961名の被験者を10年にわたりフォローしました。

この研究では、毎日4杯以上の紅茶を摂取した人で、摂取していなかった人に比較して、脳卒中のリスクが32%減少したとされています。(参考)

9つの研究をまとめた他の研究では194,965名の被験者の結果を使って調査を行いました。

この研究では、1日3杯以上のお茶(紅茶、もしくは緑茶)を摂取した人で、脳卒中のリスクがお茶の摂取が1日1杯以下であった人に比較して、21%減少したとされています。(参考)

💡 POINT

脳卒中は、世界的に見ても2番目に多い死亡原因であり重要な疾患です。幸いにも、多くのケースで予防が可能であると考えられています。研究によると、紅茶の摂取が脳卒中のリスクを軽減させると見られています。


7. 血糖の低下効果

高血糖は、2型糖尿病、肥満、心疾患、腎不全、うつ病などの、健康に悪影響を与える合併症を増やしてしまうかもしれません。(参考1, 参考2)
大量の砂糖、特に甘味料を加えられた飲料の摂取は、血糖を上昇させて2型糖尿病のリスクを上昇させると報告されています。(参考)

砂糖の摂取をすると、膵臓からインスリンと呼ばれる、糖分を筋肉中に取り込んでエネルギーとしての活用を促すホルモンが放出されます。
体が消費できる以上の糖分を摂取してしまうと、余剰の糖分は脂肪として蓄えられてしまいます。

紅茶は、体内でのインスリンの利用効率を上昇させる、甘くない飲料として有用でしょう。
ある、試験管内の実験を使った研究では、紅茶とその成分のインスリン増強効果を調査しました。
研究の結果は、紅茶の摂取でインスリンの機能が15倍以上に上昇したと報告されています。

研究の中では、紅茶に含まれるエピガロカテキン・ガレットと呼ばれるカテキンを含めた、いくつかの化合物がインスリンの量を増加させる効果が指摘されています。(参考)

他のマウスを対象にした研究では、紅茶と緑茶の抽出物の血糖に対する効能を比較しました。
結果として、いずれの抽出液も血糖を低下させ、体の糖分の代謝を改善する効果が認められました。(参考)

💡 POINT

インスリンは、糖分を摂取した際に放出されるホルモンの1つです。紅茶は、インスリンの機能改善効果や血糖低下効果などがある、糖分のない飲料でありとても有益でしょう。


8. 癌のリスク軽減効果

100種類を超える種類の癌が存在し、そのうちの一部の癌は予防が困難です。
しかし、紅茶に含まれるポリフェノールは、癌細胞の生存を抑制するかもしれません。

ある試験管内の実験を元にした研究では、お茶に含まれるポリフェノールの癌細胞に対する効果を調査しました。
結果として、紅茶と緑茶は癌細胞の成長を制御し、新しい癌細胞の発達を低下させたと報告しています。(参考)

他の研究でも、紅茶に含まれるポリフェノールの乳がんに対する効能を調査しました。
この研究でも、紅茶がホルモン依存性の乳がん腫瘍の播種を防いだとされています。(参考)

紅茶は、通常の癌治療の代わりにはなり得ませんが、一部の研究によると紅茶に癌細胞の生存を阻害する効果がある可能性が示されています。

紅茶の癌細胞に対する影響をはっきりと理解するためには、人を対象にしたさらなる研究が必要でしょう。

💡 POINT

紅茶はポリフェノールを含み、それが体の癌細胞に抑制的に働く可能性があります。紅茶の摂取で癌は治癒できませんが、癌細胞の発達を抑制する効果はあるかもしれません。


9. 集中力の改善効果

紅茶にはカフェインと、L-テアニンと呼ばれるアミノ酸が含まれており、これらが覚醒度や集中力を向上させると考えられています。
L-テアニンは脳のα波を増やすことで、リラックス効果や集中力向上効果があると考えられています。

研究によると、L-テアニンやカフェインを含んだ飲み物は、L-テアニンの脳に対する効果によって、集中力に大きな影響を与えるとしています。(参考)
これが、他のカフェインを含むコーヒーなどの比較して、紅茶を飲んだ後の方が安定したエネルギーが湧いてくる感覚を覚える原因かもしれません。

2つのランダム化比較試験では、紅茶の摂取と正確性や覚醒度への影響を調査しました。
いずれの研究でも、紅茶の摂取が有意に正確性や、自覚症状としての覚醒度をプレセボに比較して向上させました。(参考)

この効能のため、紅茶はカフェインなしにエネルギー改善や集中力向上を図りたいさいに、とても良い選択肢と言えるでしょう。

◆テアニンについては『テアニン(L-テアニン)の7つの効果とは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説にて詳しく説明しております。

💡 POINT

紅茶は、含まれるカフェインやL-テアニンなどのようなアミノ酸が原因で集中力を向上させる効果があるかもしれません。このアミノ酸には、脳のアルファ波を増加させる効果があり、このため集中力や覚醒度が改善すると考えられています。


紅茶の作り方について

紅茶は体に良いだけではなく、作るのもとても簡単です。
紅茶を作るには、まずお湯を沸かします。 お店でティーバッグを購入した場合には、単にティーバッグをマグカップに入れてお湯を注ぐだけです。

お茶の葉を使う場合には、2-3グラムの茶葉に対して180ml(6オンス)のお湯を注いで煮出します。

好みの味に応じて、お湯につけて3-5分程度待ちます。
濃いお茶を作りたい場合には、お茶の葉を多くし、煮出し時間を長く取ると良いでしょう。

煮出した後には、お茶の葉を除く、もしくはティーバッグを取り除き出来上がりです。

💡 POINT

紅茶を作るのはとても簡単で数分で準備が可能です。ティーバッグ、もしくは茶葉を使って、自分の好みの紅茶を作ることができるでしょう。


まとめ

紅茶は、低カロリーで甘くない、カフェインがコーヒーやエネルギードリンクよりも少ない飲み物を探しているならうってつけの飲み物であると言えるでしょう。

◆カフェインについては『カフェインの11の効果とは?エビデンスをもとに効能や副作用を解説』にて詳しく説明しております。

紅茶には強い、独特な風味があり、多くの抗酸化物質を含むため、複数の健康への効能が期待されています。
これらの効能には、コレステロール値の改善、消化管の健康改善、血圧低下などが挙げられます。

さらに良いことに、紅茶を作るのは簡単で、多くのお店やオンラインショップなどで手に入れることができます。

今まで試したことがなければ、その多くの健康への効能を享受するためにも、紅茶を試してみてはいかがでしょうか。

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