リシンがもたらす素晴らしい4つの効果・効能とは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説!

Written by alloeh編集部

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はじめに

リシンは、タンパク質の重要な構成要素です。 リシンは、人の体が生成できない必須アミノ酸の1種で、食事などから摂取し続ける必要があります。

正常な成長や筋肉の新生などに重要な役割を果たしている他、ほとんどの細胞に含まれているカルニチンと呼ばれる物質を生成するのにも不可欠です。 さらに、カルニチンは脂質を細胞間で移動して、エネルギー産生のために燃焼する作用を助ける働きもあります。

L-リシンは、人の体が利用できるタイプのリシンです。 多くの食材に含まれている他、サプリメントなどにも使用されます。

この記事では、リシンの素晴らしい4つの健康への効能について取り上げます。

リシンの素晴らしい4つの健康への効能

1. アルギニンの阻害による、単純疱疹に対する予防と治療効果

単純疱疹または単純ヘルペスと呼ばれる感染症は、しばしば口唇や口角部分に現れます。

この単純疱疹は、液体の詰まった疱疹で、チクチクする感じ、痛み、焼ける感じなどの不快な症状の原因となります。 そして、顔にできるので、その見た目も気になる人が多いと思います。

単純疱疹は、脊髄神経に潜む1型単純性ヘルペス(HSV-1)によっておきます。 体の免疫システムが弱ると、この1型単純性ヘルペス(HSV-1)が単純疱疹の発症を惹起します。(参考)

リシンのサプリメントは、1型単純性ヘルペス(HSV-1)が増殖するのを防いで単純疱疹の症状期間を短縮すると考えられています。 リシンが、1型単純性ヘルペス(HSV-1)が増殖するために必要な、アルギニンと呼ばれる他のアミノ酸の働きを阻害する作用が考えられています。(参考1, 参考2, 参考3)

ある研究によると、単純疱疹の再発が起きやすい26名の被験者を対象にして、毎日1,000mgのリシンを投与したところ単純疱疹の発症頻度が減少したとされています。

面白いことに、この研究では被験者の血中リシンが165nmol/l以上に保たれていると、より効果的に単純疱疹の発症低下につながったとされています。 一方で、血中のリシン濃度がこれ以下に低下すると、単純疱疹の発症増加が認められたと報告されています。(参考)

30名の被験者を対象とした他の研究では、リシン・薬草・ビタミン・亜鉛の配合されたクリームを塗布することで、単純疱疹が発症3日目までに40%、6日目までに87%の人で消失したとされています。

この研究結果には期待が持てますが、発表されたデータの中にはクリームに含まれていたリシンとその他の成分量については具体的な記載がありませんでした。(参考)

さらに、必ずしも全ての研究においてリシンの使用が、単純疱疹の発症減少や症状期間の短縮につながったわけではありません。 ある、レビュー研究は、リシンの単純疱疹に対する治療効果を証明することができなかったと報告しています。(参考)


Point: 一部の研究では、単純疱疹に対してリシンが症状期間の短縮や発症頻度の減少などの効果を発揮したと報告していますが、研究結果は必ずしも一貫していません。


2. ストレス受容体の阻害によるストレス軽減効果

リシンには、ストレスの軽減効果があるかもしれません。

ある研究では、リシンがストレス反応に関連する受容体を阻害すると報告しています。 研究では、リシンを与えられたラットにおいて、ストレスに起因する軟便の回数が減少したとされています。(参考)

50名の健康な被験者を対象にした1週間の研究では、2.64グラムのリシンとアルギニンを摂取することで、ストレスに起因する不安症状が軽減され、ストレスホルモンであるコルチゾルが低下したと報告されています。(参考)

同じように、シリアの貧しい村で使用される小麦粉1kgあたりに、4.2グラムのリシンを加えたところ、大きなストレスを受けている男性において、不安スコアが有意に減少したとされています。(参考)

この研究では、3ヶ月間リシンが追加された小麦粉を摂取したところ、女性において、ストレスホルモンであるコルチゾルの減少が認められたと報告されています。(参考)

リシンは個人の外界の認識を断絶し、しばしば現実の理解を困難にしてしまう、統合失調症の症状にも役立つかもしれません。

研究は初期段階ですが、リシンは処方薬と組み合わせることで、統合失調症の症状を軽減するかもしれません。(参考1, 参考2)


Point: リシンは一部の人で、不安症状を軽減し、ストレスホルモンのコルチゾルを低下させるかもしれません。 初期の研究ではありますが、統合失調症の症状改善効果も期待されています。


3. カルシウムの吸収と保持の改善

リシンは、体がカルシウムを保持する働きを助けるかもしれません。(参考1, 参考2)

リシンには、消化管からのカルシウム吸収と、腎臓におけるカルシウム排泄抑制の効果が期待されています。(参考1, 参考2)

30名の女性を対象にした研究では、15名の健常女性と15名の骨粗鬆症のある患者さんを対象に調査を行い、カルシウムとリシンを一緒に補給することで、尿中へのカルシウム排泄が減少したと報告しています。

3グラムのカルシウムを単体で摂取した女性においては、尿中のカルシウム排泄は増加が見られました。しかし、カルシウムと一緒に400mgのリシンも摂取していた女性では、尿中に排泄されるカルシウムの量が減少したとされています。(参考)

リシンは、骨の保護作用と、体内のカルシウム移送の制御に関与していると考えられています。

例えば、ラットを対象とした研究では、リシンの摂取はカルシウムが血管壁に蓄積するのと防いだとされています。 この血管壁へのカルシウムの沈着は、心疾患の危険因子として重要です。(参考)

さらに、試験管内の実験に基づいたある研究では、リシンが不足した状態で細胞が育つと、細胞外に漏出するカルシウムの量が増加するとされています。 このカルシウムの細胞外への漏出は、リシンが十分与えられた細胞では確認されませんでした。(参考)



Point: リシンは、カルシウムの吸収を促進し、尿中へのカルシウム排泄を低下させます。 血管壁へのカルシウム沈着のリスクも軽減する効果が期待されます。


4. コラーゲンの産生促進による治癒促進効果

リシンは体の創傷治癒を促進するかもしれません。

動物の組織では、リシンは創傷部分で活性化し、組織の修復を促進します。(参考)

リシンは、格子状に組み合わさって皮膚や骨の構造を形成するコラーゲンの産生に必要です。(参考)

リシン自身は接着因子として作用し、創傷部分における細胞の増加に働きます 新しい血管の形成促進などの作用もあると考えられています。(参考)

ある動物を使った研究では、リシンとアルギニンというアミノ酸の組み合わせが、骨折の治癒を促進したとしています。(参考)

他の研究では、40羽のウサギを対象に体重あたり47mg/kgのリシンと50mg/kgのアルギニンを投与したところ、血流の改善、骨の修復促進などの効果が見られたとされています。(参考)

実際、リシンとアルギニンを摂取したウサギにおいては、そうでないグループに比べて2週間も骨の修復期間が短縮したとされています。

創傷治癒は、異なるミネラル、ビタミン、その他の要因が関与する複雑な工程です。 リシンは、その中でも欠かせない役割を果たしており、リシンが不足していると創傷の治癒の妨げになります。(参考)

現時点までで、経口のサプリメントによる創傷治癒に関する調査がなされていますが、創傷に直接リシンを塗布することが創傷にどのような効果があるかを調べた研究はまだありません。

しかし、ある研究ではリシンを含むゲルを潰瘍に塗布したところ、感染を減少し創傷治癒を促進したと報告しています。(参考)



Point: リシンは、コラーゲンの形成に不可欠で、創傷治癒に欠かせないと考えられています。 動物を使った研究では、リシンの摂取が創傷治癒を促進して、改善までの時間を軽減するとされています。


その他の効果

リシンは他のアミノ酸と同じように、体でタンパク質を作るために利用されます。 これらのタンパク質からホルモン、免疫細胞、酵素などが作られます。

リシンは、前半で述べた効能以外にも、複数の異なる効能があると期待されています。

以下が、リシンに期待されている効能です。

  • 癌:ある動物を対象とした研究では、リシンを別の抗酸化物質であるカテキンと一緒に摂取した場合、マウスにおける癌細胞の発達を抑制したとされています。(参考
  • 目の健康:糖尿病のあるラットを対象としたある研究では、リシンのサプリメントが白内障の発症を予防したとしています。(参考
  • 糖尿病:ある研究では、リシンが糖尿病患者さんにおける血糖を低下させる効果があったとしています。しかし、リシンと血糖低下との関連は確定的ではありません。(参考
  • 血圧:リシン欠乏症と高血圧のある50名の成人患者さんを対象とした研究では、リシンサプリメントの摂取が有意に血圧を低下させたとしています。 十分なリシン摂取は体の健康を保つために必要で、サプリメントは特定の人や病気を治療するのに役立ちます。(参考


Point: リシンには抗癌作用、血糖改善、血圧低下作用などの効果が報告されており、リシンに関する研究には期待が持てます。


リシンの供給源となる食材とサプリメント

リシンは、タンパク質が多く含まれるような、肉、乳製品などの食材や、少量ではありますが一部の植物にも含まれます。(参考1, 参考2)

以下に、リシンを含む代表的な食材を挙げます。

  • 肉:牛肉、鶏肉、羊肉 
  • 魚介類:ムール貝、エビ、オイスター 
  • 魚:サケ、タラ、マグロ
  • 乳製品:ミルク、チーズ、ヨーグルト 
  • 野菜:じゃがいも、唐辛子、ネギ 
  • フルーツ:アボカド、乾燥アプリコット、梨 
  • 豆果類:大豆、インゲン豆、ひよこ豆 
  • ナッツや種子類:マカデミアナッツ、南瓜の種、カシューナッツ 


シリアルなどは、一般的にリシンをほとんど含みません。 しかし、キノア、アマランス、バックウィートなどは、ある程度のリシンを含みます。(参考)

単純疱疹が起きやすい体質の場合は、1グラムのリシンを毎日摂取するか、リシンを含むゲルを試すと良いかもしれません。 しかし、いずれの場合も、使用の前には医療機関で相談をしましょう。(参考)


Point: 肉、魚、乳製品などの動物性食品はリシンを多く含んでいますが、じゃがいも、アボカド、大豆製品など植物性の食材にも十分な量が含まれています。


まとめ


リシンは、単純疱疹治療、不安症状の軽減、創傷治癒の促進など数多くの効能が期待されている必須アミノ酸の1つです。

タンパク質の重要な構成要素の1つとして、多くの有益な効能があることが知られています。 リシンが不足していると、体内で十分なホルモンや免疫細胞が作れなくなるかもしれません。

リシンは、肉類、魚、乳製品に多く含まれていますが、豆果類、フルーツ、野菜なども重要な供給源となります。

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