トリプトファンとは?
トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、成人の窒素バランス、乳児の成長などに関わる重要な役割を担っています。また、睡眠や心の健康に関わる神経伝達物質のセロトニンを作るために不可欠なナイアシンを生成します。
💡 窒素バランスとは?
摂取したアミノ酸の含有窒素量と、体外に排出された総窒素量の差を意味する栄養指標の一種です。例えば筋肉が作られているか、逆に分解されて筋肉が落ちているか、などを判断するために用いられます。
国内では睡眠系のサプリメントに配合されていることが多い成分です。トリプトファンはサプリメント以外にも、卵や牛乳などにも多く含まれている栄養素です。
この記事ではトリプトファンの睡眠等に関する効果やその根拠、副作用や摂取量などについて解説して行きます。
トリプトファンに期待される効果
トリプトファンで一番有名な効果は「睡眠の質の向上」ではないでしょうか?それ以外にも抑うつや不安症状の改善、頭痛に対する耐性などが研究されています。
基本的な作用機序としては、トリプトファンを摂取することでナイアシンというものが作られ、それからセロトニンが作られます。上記に書いた好ましい効果のほとんどがこの働きによるものだと考えられています。
※ しかし、トリプトファンがナイアシンに変換されるためには、体内に十分な鉄分・ビタミンB6・ビタミンB2などがある必要があります
💡 作用機序とは?
作用機序とは、「ある成分がどのように体内である効果を及ぼすか」というメカニズムを意味する言葉です。
トリプトファンには他にも、月経前症候群(PMS)の軽減や、少し古い研究では禁煙に役立つとも言われています。
ただし、トリプトファンの各種効果の確証を得るためにはまだ更なる研究が必要であると見られていることも多く、例えばまだ日本国内ではトリプトファンが機能性表示食品の関与成分として受理された例はありません。
トリプトファンは睡眠に関する効果で有名な成分ですが、仮に国内で睡眠に関する効果があるサプリを求めるのであれば、機能性表示食品制度で睡眠に関する効果が認められている「GABA」や「L-テアニン」を含んだサプリを選択する方が無難かもしれません。
💡 機能性表示食品とは?
機能性表示食品とは、メーカーがあるサプリの効果に関して消費者庁に届け出ることで、その効果(ex. 糖と脂肪の吸収を抑える etc)をパッケージに表示をして製品を販売できる制度のことで、効果が明示されていない一般的なサプリよりも信頼性の高い製品のことをいいます。その効果に繋がっている成分を機能性関与成分と呼びます。
例えば、ECスタジオの販売する「グッドナイト27000+」という製品では、機能性関与成分としてGABAとL-テアニンが含まれており、「起床時の疲労感や眠気を軽減」「一時的な精神的ストレスを緩和」の2つの効果が消費者庁に受理されています。
グッドナイト27000+については「グッドナイト27000+の効果の根拠を解説!副作用や飲み方は?」という記事でも詳しく解説しているため、興味があればぜひご覧ください。
トリプトファンの副作用は?
通常、食事から摂取されるトリプトファンは安全とされていますが、サプリメントで多量に摂りすぎた場合には多くの望ましくない副作用を引き起こす原因となることがあります。
最も頻度の高い副作用は消化器症状で、胸焼け、胃痛、げっぷ、吐き気、下痢、食欲の減退などが発生することがあります。
他に発生する可能性のある副作用は以下のようなものです。
- 頭痛
- 性機能障害
- ドライマウス
- 眠気・ふらつき
- 視野のぼやけ
- 筋の脱力・疲労感
💡 トリプトファンが引き起こした事件
国外の事例ですが、全米希少疾病団体は、1980年代の後半に37件の死亡例を含む1,500件以上の好酸球増加筋肉痛症候群(EMS)とトリプトファンのサプリメントが関連していたと報告しています。これは、皮膚・肺・筋肉など複数の臓器システムに影響する稀な疾患です。EMSの発症は突然で、進行も急速です。何もできなくなるほどの強い症状が出る他、死に至る症例もあります。その症状として、筋肉痛や脱力、皮疹、呼吸困難などが挙げられます。
トリプトファンは特定の疾患の症状を軽減する役割もありますが、一部の薬剤と一緒に併用すると体内のセロトニン濃度を過度に上げてしまう可能性があります。代表的なものとしては、三環系抗うつ薬やSSRI(ex. レクサプロ・プロザック・ジェイゾロフト etc)などの精神薬、MAO阻害薬、デキストロメトロファンなどの鎮咳薬が挙げられます。
上記に挙げたお薬以外であったとしても、何かしらの薬剤を服用している方については、トリプトファンを積極的に摂取する前に医師に相談することが好ましいでしょう。
通常食事からトリプトファンを摂取することは安全と言われていますが、トリプトファンをサプリメントで摂取することは過剰摂取となる可能性もあることから比較的に安全性が低いと考えられています。サプリメントの摂取を推奨しない医療機関もあるほか、妊婦や授乳婦においても、やはり安全性は確認できていません。妊娠中、妊娠する可能性がある時期、授乳中などの時期にはトリプトファンのサプリメントの使用は避けましょう。
トリプトファンは何から摂取できる?
トリプトファンが多く含まれている食材
トリプトファンは、特にタンパク質が多く含まれる食材などに多く含まれています。トリプトファンを多く含む食材には以下のようなものがあります。
- 鶏肉・魚
- 卵・牛乳・チーズ
- バナナ・カボチャ・胡麻・豆腐・大豆
- チョコレート
サプリメント
トリプトファンは国内では睡眠サポート系のサプリメントに含まれていることが多いです。
例えば、睡眠に関する効果が受理されている機能性表示食品「グッドナイト27000+」では、GABA・L-テアニンを機能性関与成分としつつも、加えてサポート成分としてトリプトファンなどが含まれています。(ただしこの製品でトリプトファンは機能性関与成分ではなく睡眠に関する効果への因果関係は認められていません。)
トリプトファンの推奨される摂取量は?
体重1kgあたり4.0mg程度の摂取量が好ましいとされています。
ただし、トリプトファンをサプリメントで摂取する場合、サプリメントの容器に推奨摂取量が記載されているため、一般的にはそれに従ってください。
トリプトファンのよくある質問
L-トリプトファンと表記されるときの"L-"の意味は?
トリプトファンには、L-トリプトファン・D-トリプトファンの2種類があります。これらには分子構造の違いがあり、その違いを表現するために「L」「D」といった文字列が名称に加えられています。
トリプトファンサプリで効果がないときにはどうしたらいい?
トリプトファンを摂った目的次第ですが、仮にトリプトファンによく期待される睡眠関連の効果であった場合、他の睡眠に関する効果できる成分を含んだ試してみたり、ひどい場合にはお医者さんにかかるのも一手でしょう。
睡眠に関する効果が機能性表示食品制度で認められている成分で代表的なものとしては「GABA」「L-テアニン」が挙げられます。
また最近では睡眠に関する効果の機能性関与成分として「ラフマ」という成分も注目されています。ラフマを含んだ国内サプリとしては、例えば「シンデレラスリープボタニカル」などが挙げられます。この製品に興味がある方は「シンデレラスリープボタニカルの効果や副作用は?エビデンスをもとに解説!」という記事でも解説しているので、よければぜひご覧ください。
まとめ
トリプトファンについての効果・副作用・目安量については、下記のようにまとめられます。
効果 | 睡眠の質の向上、抑うつや不安症状の改善などに役立つ可能性があります |
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副作用 | 最も頻度の高い副作用は消化器症状(ex. 胸焼け、胃痛 etc)で、その他にも多数報告されており、比較的摂取にあたって注意を要する成分です |
目安量 | 体重1kgあたり4.0mg程度 |
通常食事からのトリプトファンの摂取は安全とされているものの、サプリメントでの摂取は過剰摂取の可能性もあり特定の人々にとってはとても危険な薬となり得ます。トリプトファンを摂りたいと考える方は、なるべく肉・魚・チーズなどの食品から自然に摂取することをおすすめします。
またトリプトファンに限らず、飲み合わせなどを気にしないといけない成分も多く存在するため、どのようなサプリメントを使用する場合にも、なるべく専門家の意見を取り入れるようにしましょう。
alloehではトリプトファンを含むサプリメントのランキングも紹介していますので、あわせてぜひ参考にしてみてください。
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