マルチビタミンとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

マルチビタミンは、サプリメントの中でも特にメジャーなものの一つです。
マルチビタミンは健康の改善や、食習慣の補完、慢性的な病気のリスクの低減など、様々なメリットを期待されて摂取されています。

しかし、これらの効果は本当に期待できるものなのでしょうか?この記事はマルチビタミンの効果に関する、科学的な根拠について調査します。

マルチビタミンとは?

マルチビタミンは多くの異なる種類のビタミンやミネラル、場合によっては他の成分も含むサプリメントです。(参考)
マルチビタミンを定義する厳密な基準は存在しないため、栄養素の組成はブランドや製品によって様々です。また、錠剤やカプセル、グミ、粉、液体などの多くの形式での販売が行われています。

💡 POINT

マルチビタミンは多くの異なるビタミンとミネラルを含むサプリメントです。いくつもの形態で入手できます。


マルチビタミンに含まれる成分

13のビタミンと、16のミネラルは健康に不可欠であると考えられています。その多くは、酵素の反応を助けたり、分子や構造要素に信号を送る機能に使われます。また、身体の再生成やメンテナンス、成長などに関する役割も果たしているとされています。

また、マルチビタミンはハーブやアミノ酸、脂肪酸と言った他の成分を含むことも多くあります。非常に多くのメーカーから、様々なマルチビタミンが販売されているため、信頼できるものを選択することが重要です。

💡 POINT

マルチビタミンはビタミンとミネラルに加え、ハーブ、アミノ酸、脂肪酸といったものも含んでいることがあります。そして、量や栄養の種類は様々です。


マルチビタミンの効果

心臓病に関する効果

心臓病は、世界中の死因の中でも多くの割合を占めています。(参考)

マルチビタミンを摂取することで心臓病を予防できると考える人は多いですが、その根拠については様々です。

いくつかの研究ではマルチビタミンは心臓病とそれによる死のリスクを下げることに関連しているとしています。一方、効果がないとする研究も存在しています。(参考1 参考2 参考3 参考4)

10年以上にわたって、14,000人以上の中年男性医師を対象に毎日のマルチビタミンの使用影響を調査した研究があります。その研究によると、心臓発作や脳卒中、死亡率の減少は見られませんでした。(参考)
より最近の女性を対象にした研究では、マルチビタミンを3年以上服用すると心臓病での死亡リスクが35%減少したことが示されています。(参考)

💡 POINT

いくつかの観察的な研究では、マルチビタミンを摂取すると心臓病のリスクが下がるとされています。しかしながら、他の研究では繋がりが見られませんでした。結論に関しては、まだ断定するのは難しいでしょう。


がんに関する効果

マルチビタミンの使用とがんのリスクについても、心臓病と同様に結果は様々です。
いくつかの研究ではがんのリスクに効果はないとし、他の研究では、マルチビタミンを使うとがんのリスクがむしろ上がるとしています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4)

ある再調査が、47,289人を対象にした研究で行われました。それによると、マルチビタミンを摂取した男性はがんのリスクが31%下がりましたが、女性では効果がありませんでした。(参考)

2つの観察的な研究では、男女双方に対してマルチビタミンの長期的な摂取が、結腸がんのリスクを減らす可能性があるとしています。(参考1 参考2)

また他の調査では、長期的に毎日マルチビタミンを取ることが、がんに罹ったことのない男性のがんのリスクを下げるとしています。しかしながら、それは研究期間において、死のリスクには影響を与えませんでした。(参考)

💡 POINT

いくつかの研究ではマルチビタミンの使用はがんのリスクを下げるとしています。しかしながら、他の研究では効果がないか、リスクを増やすとさえしています。

脳機能に関する効果


いくつかの研究で、マルチビタミンが老人の記憶に関する機能を改善することがわかっています。(参考1 参考2 参考3)

また、マルチビタミンは、気分も改善する可能性があるとされています。
研究は気分の落ち込みと栄養不足のつながりだけでなく、マルチビタミンと気分の改善、あるいはうつの症状の軽減のつながりについて示しています。(参考1 参考2 参考3 参考4 参考5 参考6)

しかしながら、他の研究では気分に関する効果はないとされています。(参考)

💡 POINT

マルチビタミンは記憶や気分を改善する可能性があります。

目に関する効果


加齢性の黄斑変性は、失明の原因ともなる症状です。(参考)

ある研究では抗酸化作用のあるビタミンとミネラルを摂取すると進行を抑えられることが示されました。しかしながら、これらの化合物が病気を予防するかについては根拠がありません。(参考1 参考2)

同じように、マルチビタミンがもう1つの一般的な目の病気である白内障のリスクを減らす可能性がある可能性があるという証拠がいくつかあります。(参考)

💡 POINT

抗酸化作用のあるビタミンやミネラルは失明を起こす病期の進行を遅らせる可能性があります。


マルチビタミンの安全性・副作用

用量はマルチビタミンを摂取する上で考慮すべき重要な要素です。ビタミンやミネラルの摂取量が多くても問題なくても、他のものを多く摂取すると害になる可能性があります。

適切な用量は溶解度に依存し、ビタミンは以下の2つのグループに分けられます。

水溶性 余分な量は、尿などと共に体外に排出されます。
脂溶性 余分な量は、体に時間とともに蓄積されます。


脂溶性のビタミンにはビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKがあります。






ビタミンEとビタミンKは比較的無毒ですが、ビタミンAとビタミンDは過剰に摂取すると有害であると考えられています。妊娠中の女性は特に出生異常に繋がる可能性があるため、ビタミンAの摂取に注意する必要があります。(参考)


ビタミンD中毒は稀であり、マルチビタミンの使用では起こる可能性は低いとされています。しかしながら、ビタミンA中毒はより一般的です。(参考1 参考2 参考3)

もしマルチビタミンを摂取したうえで、栄養豊富な食事を多く食べた場合、多くの栄養で一日の推奨摂取量を簡単に超えてしまいます。

また、喫煙者は肺癌のリスクを増加させるため、ベータカロチンやビタミンAを多く含むマルチビタミンの摂取を避けるべきであるとされています。(参考)

鉄などを含むミネラルもまた、摂取しすぎると害になる可能性があります。(参考1 参考2)

💡 POINT

特定の栄養を多くサプリメントで摂取することは害になる可能性があります。


マルチビタミンの摂取が推奨される人

マルチビタミンは万人に適しているわけではなく、害になる人もいれば、摂取が勧められる人もいます。ここに示したものはあくまで一例のため、これ以外にも摂取が推奨される人、あるいは推奨されていても個人差で摂取すべきでない人など様々です。

年配の方

ビタミンB12の吸収が年齢とともに減ると考えられています。

また、カルシウムとビタミンDをより多く取る必要があるともされています。(参考1参考2)

ビーガン・ベジタリアン

ビタミンB12は動物性の食事にしか含まれないため、植物性の食事ばかりを摂取していると不足するリスクがあります。
また、植物性の食事が中心となっている場合、カルシウム亜鉛、鉄、ビタミンD、オメガ3脂肪酸も不足している可能性があります。(参考1参考2)

妊娠中と授乳中の女性

これらの女性は、効果のある栄養もあれば害になる栄養もあるため、摂取の前に医師等に相談することが重要です。
たとえば、ビタミンAの過剰摂取は出生異常を起こす可能性があります。(参考)


まとめ

いかがだったでしょうか?目にする機会も多いマルチビタミンですが、メリットやデメリットなど、その影響は様々である点に注意が必要です。

もし摂取を検討されている場合には、今回の情報を参考にしていただけますと幸いです。

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