頭痛について知っておきたいこと
頭痛は、頭部や頭皮、首に痛みや不快感を生じるよくある疾患です。10人に7人が年に一度以上は頭痛を感じていると推測されています。 頭痛は軽い場合もありますが、仕事に集中できなかったり日常生活に支障をきたしたりするほど深刻なこともよくあります。
米国ではおよそ450万人が生活に支障をきたすほどひどい頭痛に悩まされています。しかし幸いにもおおくの頭痛は服薬やライフスタイルの改善でコントロールできるのです。
頭痛の一次性要因
医師は頭痛の原因を複数に分類しています。 頭痛の一次性要因とは、別の病状とは関係のない原因です。こういった頭痛は、脳内の原因となるプロセスの結果なのです。
一般的な一次性頭痛の例としては、下記のようなものがあります。
- 片頭痛
- 群発性頭痛
- 緊張性頭痛
頭痛の二次性要因
二次性頭痛は、基礎疾患が原因となるものです。二次性頭痛の例としては下記のようなものがあります。
脳腫瘍や脳動脈瘤
脳腫瘍や脳動脈瘤(脳出血)があると頭痛を引き起こします。頭蓋骨内の空間がせまくなることで起こります。頭蓋骨が血液や余分な組織で埋まり始めると、脳が圧迫されて頭痛が起こります。
頸原性頭痛
頸原性(けいげんせい)頭痛は、椎間板が変性して脊柱を圧迫し始めると起こります。その結果頭痛と共に首の痛みも伴います。
薬の過剰摂取による頭痛
毎日痛み止めの薬を多量に摂取していたのを、徐々に減らしたり一度に止めたりすると、頭痛が起こります。ヒドロコドンなどの薬がその例です。
髄膜炎の頭痛
髄膜炎は、頭蓋骨の内側にあり脊髄と脳を包んでいる髄膜の感染症です。
外傷性頭痛
交通事故やスポーツ中の事故、転倒して頭部の外傷を負った後、頭痛が起きることがあります。
鼻炎に伴う頭痛
通常、鼻腔に炎症が起きると、圧迫感や痛みを感じ鼻炎による頭痛につながります。
脊髄性頭痛
通常、硬膜外麻酔、脊椎穿刺(せきついせんし)、脊髄ブロック注射を受けた後、脳脊髄液がゆっくりと漏れていくので脊髄性頭痛が起こります。
頭痛のタイプと症状
頭痛にはいくつかの種類があります。種類別の例には以下のようなものがあります。
緊張性頭痛
緊張性頭痛は最も一般的なもので、20歳超の女性に多い頭痛です。頭の周りをバンドで締め付けられたようだと表現されます。この頭痛は首と頭皮の筋肉が締め付けられることで起きます。悪い姿勢やストレスが原因です。 一般的に緊張性頭痛は、数分間続きますが、数日続く場合もあります。また、よく再発します。
緊張性頭痛は次のような症状が多いです。
- 首の凝り
- 鈍くうずくような痛み
- 頭皮が圧迫されるような痛み
- 肩こり
- 額全体のこわばりと、頭の横や後ろまで広がる圧迫感
緊張性頭痛は片頭痛と似たような症状になることもあります。しかし片頭痛にあるような視覚障害は通常起きません。
群発性頭痛
群発性頭痛は、長期間続きます(通称:群発期)。群発期は6週間にも及ぶことがあります。 群発性頭痛は、毎日、一日に複数回起きます。原因はわかりませんが、このタイプの頭痛はまれで、20~40才の男性に多い頭痛です。
この頭痛は、ズキズキする痛みではなく、頭の片側もしくは目の奥が激しく痛む頭痛です。通常、涙が出てきたり、鼻詰まりや鼻水の症状があります。持続時間が短く、目の奥に痛みを感じます。通常、痛みは片側だけで、ズキズキと一定に痛むと表現されます。群発性頭痛は、通常、ベッドに入って1~2時間後に起こります。片頭痛に似た症状もありますが、吐き気は伴いません。
片頭痛
片頭痛は、ズキズキ痛むひどい頭痛で、通常は頭部の片側が痛みます。片頭痛にはさまざまな種類があります。中には慢性片頭痛というものがあり、これはひと月に15日以上起きるものです。 片まひ性片頭痛は、脳卒中に似た症状です。頭痛はなく、吐き気や視覚障害、めまいなどといった症状があります。
片頭痛には次のような症状があります。
- 頭が脈打つような感じ
- 吐き気
- 頭部片側の痛み
- 音や光に過敏
- ズキズキするひどい痛み
- 嘔吐
片頭痛は痛みがひどく、日常生活に支障をきたすことがあります。
反跳性頭痛
反跳性頭痛は、定期的に頭痛薬を飲んでいたのを止めた後に起きる頭痛です。アセトアミノフェン、トリプタン(商品名:ゾーミッグ、イミトレックス)、エルゴタミン(商品名:エルゴマー)、鎮痛剤(コデイン含有のタイレノールなど)のような薬を服用している場合、反跳性頭痛になる場合が多いです。
反跳性頭痛は、毎日発症する傾向があり、朝にひどい場合が多いようです。服薬で改善する場合もありますが、薬を止めると再発します。反跳性頭痛に伴う症状は下記のようなものがあります。
- イライラする
- 吐き気
- 落ち着かない
- 物忘れ
この頭痛の性質は服薬している薬の種類によって異なることがあります。
雷鳴頭痛
雷鳴頭痛は、突然襲ってくる激しい頭痛です。通常、何の前触れもなく起こる頭痛で長くて5分ほど続きます。このタイプの頭痛は、脳の血管に基礎疾患がある兆候なので、迅速な治療が必要となる場合があります。 頭痛の種類は数多くあります。
雷鳴頭痛は、痛みの持続時間は短いですが、激しい痛みを伴います。
片頭痛について
片頭痛は、頭痛の中でも最も深刻で複雑なタイプです。神経路と脳内化学物質の動きに変化が起きたことが原因だと研究者は考えています。遺伝的要因と環境的要因も片頭痛を発症しやすいかどうかに影響していると考えられています。光や音の影響も受けやすいようです。数時間、あるいは数日間続く場合があります。
片頭痛の発症率とタイプ
片頭痛研究財団法人によると、米国では4世帯のうち1世帯に片頭痛持ちの人がいるとされています。片頭痛は、生活に支障をきたす疾患として世界トップ20に入っています。 若者の間でも、片頭痛は男女ともによく見受けられます。しかし成人では、男性よりも女性の方に多いようです。さらに家族に片頭痛をよく発症する人がいると、片頭痛になりやすい傾向があるようです。
片頭痛には主に二つのタイプがあります。前兆があるものとないものです。前兆は、光の点や点滅、動いている細い線が見えたりする視覚障害です。一時的に目が見えなくなるという場合もあります。この視覚障害は、片頭痛が起きるおよそ30分前にあり、15分ほど続きます。前兆のある片頭痛は、ないものよりもあまりひどくなることはなく、生活に支障をきたすこともあまりないようです。
片まひ性片頭痛は、片頭痛のもう一つの種類です。この片頭痛はろれつが回らなくなる、しびれ、身体の片側に力が入らなくなるなど、脳卒中のような症状を伴います。
片頭痛のフェーズ
片頭痛には「前駆症状」「ピーク」「後発症状」の3つのフェーズがあります。
前駆症状:片頭痛につながる段階です。このときに前兆が起きることがあります。前駆症状は、集中力、気分、食欲などに影響します。またこのときにあくびがよく出ることもあります。
ピーク:片頭痛の症状が最も強く出る段階です。これは数分続きます。
後発症状:片頭痛後、24時間のことを指します。このときは眠気が襲い、悲しかったり楽しかったりと気分が変動します。
片頭痛のきっかけ
片頭痛のはっきりとした原因はわかりません。しかし片頭痛を発症するきっかけになる要因がいくつかあることがわかっています。例えば下記のようなものがあります。
- 特に女性と思春期の青年におけるホルモン量の変動
- ストレスや心配事
- 発酵食品や酢漬けの食品
- 加工肉や熟成したチーズ
- バナナやアボカド、柑橘系フルーツ
- 食事を抜く
- 睡眠量が足りない、あるいは多すぎる
- 明るすぎる光
- 気候の変化による気圧の変動
- 飲酒
- カフェイン離脱
片頭痛以外のいくつかの頭痛は深刻なものなので、その頭痛の違いを説明することは難しいかもしれません。片頭痛と他の頭痛の違いについてさらに詳しく見てみましょう。
頭痛の診断
頭痛は、他の疾患の前兆である場合があります。医師は、既往歴の調査や検診などで頭痛の原因を判断することができます。この検査には神経系の詳細にわたった検査が含まれます。 投薬治療の急な中断や特定の食材は頭痛の再発につながるため、総合的な既往を把握することも重要です。
例えば、コーヒーをよく飲む人が急に止めると頭痛を起こすことがあります。医師が、ある特定の疾患が頭痛の原因であると疑った場合、検査をすることもあります。その検査には下記のようなものがあります。
- 完全血球算定(CBC):感染の兆候を判断する血液検査
- 頭部レントゲン:頭蓋骨を詳しく撮影する画像検査
- 副鼻腔レントゲン:副鼻腔炎が疑われる際に実施する画像検査
- 頭部のCTやMRIスキャン:脳卒中、頭部外傷、脳に血栓があると疑われる場合に実施
診察を受けるときは
おおくの頭痛は、命を脅かすものではありません。しかし頭部に外傷を負った後、頭痛が起きた場合は診察を受けなければいけません。次の症状を伴う頭痛があった場合はすぐに診察を受けましょう。
- めまい
- 発熱
- 嘔吐
- 顔面のしびれ
- ろれつが回らない
- 手足に力が入らない
- ひきつけ
- 錯乱状態
目の周りに圧迫感を感じ、黄緑色がかった鼻水が出てのどに痛みがある場合も、医師の診察を受けましょう。
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