はじめに
多くの人は骨の強化のために、カルシウムサプリメントを摂ります。
しかしこのサプリメントは、心疾患のリスクを上げるなど、時に健康被害となることもあるのです。(参考)
この記事は、カルシウムサプリメントについて知っておくべき事、摂取が必要な人、健康上どのような利益があるのか、また潜在的なリスクがあるのかを説明しています。
なぜカルシウムが必要なのか
私たちの体は、強い骨を作り維持するためにはカルシウムが必要です。
体内の99%以上のカルシウムは骨と歯のなかに貯蔵されています。(参考)
血流の中で、カルシウムは神経信号を送るために使用され、インスリンのようなホルモンを放出し 筋肉と血管の収縮・拡張を調整します。(参考)
カルシウムを食事から推奨量摂れていない場合、骨や歯からカルシウムが奪われ、結果骨が弱くなってしまいます。
では、一体1日どのくらいのカルシウムが必要なのでしょうか。
下記は年齢別のカルシウムの推奨量の一例です。(参考)
- 50歳以下の女性:1,000mg/日
- 70歳以下の男性:1,000mg/日
- 50歳以上の女性:1,200mg/日
- 70歳以上の男性:1,200mg/日
カルシウム摂取は上限もあり、 50歳以下の成人では1日2,500mg以上、50歳上の成人では2,000mg以上です。
カルシウムは食事から十分量摂取する事が可能です。
カルシウム含有の食べ物には、乳製品、一部の葉菜類、ナッツ類、豆類や豆腐があります。
しかしカルシウムを多く含む食材を食べない人であれば、サプリメントでの摂取も1つの方法となるでしょう。
Point: 私たちの体は、骨を強くしたり、神経信号を送ったり、筋肉を収縮させるためにカルシウムを使用します。普段の食事で必要量摂取することも可能ですが、サプリメントでの摂取を考慮すべき人もいます。
カルシウムサプリメントを摂るべき人とは
カルシウムの摂取が不足すると、体はカルシウムを骨から奪うため骨を脆弱にします。
骨粗鬆症の原因ともなり得ます。
女性は骨粗鬆症のリスクが高いため、多くの医師が特に閉経後の女性に、カルシウムサプリメントを摂取するよう勧めます。
そのため、高齢女性はカルシウムサプリメントを摂る割合が高いようです。(参考)
普段の食事から必要量摂取していない場合はサプリメントが補ってくれるでしょう。
あなたが下記に当てはまる場合、サプリメントを摂ることを考えても良いと言えます。
- ビーガンダイエットをしている
- カルシウムをより排泄する原因となる、高タンパク質または高ナトリウムダイエットをしている
- クローン病や炎症性腸疾患などにより、カルシウム吸収障害がある
- コルチコステロイドによる長期治療をしている
- 骨粗鬆症である
Point: カルシウムサプリメントは食事から必要量摂取出来ない人や閉経後の女性には利益となる
カルシウムサプリメントの4つのメリット
カルシウムサプリメントには4つの良い効果があります。
①閉経後の女性の骨量減少の軽減
閉経後、女性はエストロゲンの低下で骨量が大幅に減少します。
しかし、サプリメントが助けてくれるかもしれません。
いくつかの研究で、閉経後の女性にカルシウムサプリメント(1,000mg/日)を与えたところ、1-2%骨量減少が抑えられたとの報告があります。(参考)
カルシウム摂取が低く、サプリメントを摂り初めて1-2年の女性に特に効果があるようです。
量を増やして摂取しても、それ以上の効果が期待出来る訳ではないとされています。
②脂肪減少に対する効果
いくつかの研究で、カルシウムの摂取不足がBMIと体脂肪率が高さに関連があることを示しています。 (参考)
2016年の研究では、カルシウム摂取が不足している太りすぎや肥満の大学生に、1日600㎎のカルシウムサプリメントを与えて調べました。
その研究で、カロリー制限ダイエット中の学生に600㎎のカルシウムと125IUsのビタミンDを摂取してもらうと、摂取していない学生よりも体重減少がみられることがわかりました。(参考)
多くの場合、カルシウムの吸収がよくなるため、ビタミンDを一緒に摂取することを勧められます。
③大腸がんのリスクに対する効果
ある大規模研究によると、乳製品やサプリメントからのカルシウム摂取が、大腸がんのリスクを下げると言われています。(参考)
そのほか10個の研究でも同様の結果が報告されています。(参考)
④メタボリック(代謝)指標の改善に対する効果
いくつかの研究が、カルシウムサプリメントの摂取時に、特にビタミンDを一緒に摂った場合メタボリック指標が改善することを示しました。
2016年の研究では、42人の妊婦にカルシウムとビタミンDが入ったサプリメントを摂ってもらいました。
結果、何人かに、メタボリック指標の改善をはじめ、血圧や炎症反応の改善がみられました。(参考)
その他の研究では、母親が妊娠中にカルシウムサプリメントを摂取した子供は、7歳時での血圧がカルシウムを摂取しなかった母親に生まれた子供よりも低い事が示されました。(参考)
最近の研究では、ビタミンD不足で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に罹患している100人以上の肥満女性に、カルシウムとビタミンD含有のサプリメント、または偽薬を与えて調べました。
結果、サプリメントを摂取したグループには炎症反応の改善、インスリンとトリグリセリド値の改善がみられました。(参考)
しかし研究によっては、カルシウムとビタミンD含有のサプリメントを摂取したダイエット中の人に、メタボリック指標に改善はみられていないとの報告もあります。(参考)
Point: カルシウムサプリメントの摂取と大腸がんリスクの低下や血圧低下、また脂肪率の減少や骨密度の増加に関連があることが分かっています。
カルシウムサプリメント摂取の4つの危険性
最近の研究で、カルシウムサプリメントが実は健康被害をもたらしている可能性があることが 示唆されています。
①心疾患のリスクの上昇
おそらくカルシウムサプリメントの一番の懸念は、心臓発作や脳梗塞などの一部の心疾患のリスクが高くなる可能性があることです。
何年もの間、研究者は以下の研究に反する内容を公表してきました。(参考1,参考2,参考3,参考4,参考5,参考6,参考7,参考8,参考9)
カルシウムサプリメントの影響を決定づける、より決定的な研究が必要です。
研究者の何人かは、カルシウムとビタミンDを一緒に摂取すると、リスクを軽減させると示していますが、これについてもさらなる研究が必要です。(参考1,参考2)
②カルシウムの過剰摂取と前立腺がんの関係
これには様々な意見がありますが、カルシウムの高容量摂取が前立腺がんに繋がるとも言われています。
ほとんどの観察研究で、研究者たちはカルシウムの過剰摂取は前立腺がんのリスクを高めることを発見しました。(参考1,参考2,参考3,参考4,参考5)
しかしランダム化比較試験では、672人の男性にカルシウムまたは偽薬を4年間毎日与えたところ、特に前立腺がのリスクは上がらなかったことが分かっています。
実際、サプリメントを摂った参加者の中に前立腺がんとなったケースはほぼありませんでした。(参考)
他の研究では、乳製品ががんの原因と示唆しているものもあります。
32個の論文で、カルシウムサプリメントではなく乳製品の摂取が前立腺がんのリスクを挙げることが指摘されています。(参考)
③腎結石のリスクの増加の可能性
カルシウムサプリメントが腎結石のリスクを上げるという、いくつかの証拠があります。
ある研究では、36,000人以上の閉経後の女性に1,000mgのカルシウムと400IUのビタミンDを含有するサプリメント、または偽薬を摂取してもらいました。
その結果、サプリメントを摂ったグループに腎結石のリスクの上昇がみられたのです。(参考)
さらに実験中、サプリメントを摂っている人全体的な寛骨密度の上昇がみられましたが、股関節骨折のリスクは低くなった訳ではありませんでした。
The Institute of Mediceによると、1日2,000mg以上のカルシウムを食べ物やサプリメントから摂取すると、腎結石のリスクが高まると指摘しています。(参考)
他にも、1日1,200-1,500mg以上のカルシウムの摂取が腎結石のリスクをあげるという情報もあります。(参考)
④血中のカルシウム濃度の向上
血液中にカルシウムを摂りすぎると、高カルシウム血症という状態になり、腹痛やめまい、いらだちや気分の落ち込みなど、からだにとって良くない症状が現れます。
脱水、甲状腺機能、カルシウムサプリメントの摂りすぎなど、その原因は様々です。
ビタミンDの摂りすぎもまた、食事からカルシウムをより吸収するように働きかける為、高カルシウム血症の原因となります。
Point: 関連性ははっきりとはしていないが、カルシウムサプリメントは心疾患や前立腺がんの原因となり得ます。また、カルシウムの極度の摂り過ぎは、体にとって害になる可能性があります。
カルシウムサプリメントを摂る時に注意することとは
あなたがカルシウムサプリメント摂る時に、注意すべきいくつかの事項があります。
どのくらい摂るべきか
カルシウムサプリメントは、摂取する量と実際にからだが消費する量のギャップを埋めてくれます。
推奨摂取量は、50歳以上の女性と70歳以上の男性は1日1,000mg、多くても1,200㎎と覚えておきましょう。
例えば、あなたが普段食事から1日500㎎のカルシウムを摂り、1,000㎎を消費するとしたら、毎日500mgのカルシウムサプリメントを摂ることになります。(参考)
サプリメントを摂る時は、適切に量を決めましょう。必要量を超えると、体にとって害になるからです。(参考)
摂取の回数を分ける必要性
サプリメントのカルシウム含有量をしっかり確認しましょう。私達のからだは1度に多くの量を吸収出来ません。専門家は1回に500㎎以上のカルシウムは摂取しないよう勧めています。(参考)
薬剤の相互反応
カルシウムサプリメントを摂る時は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。抗生剤や鉄剤などの作用を妨げたり、遅らせたりする可能性があります。
カルシウムは鉄剤や亜鉛、マグネシウムと拮抗し吸収を妨げます。もしこれらのミネラルが不足しており、カルシウムサプリメントを摂る必要がある場合は、食間にサプリメントを摂取するようにしましょう。 (参考)
そうすることにより、食事から摂取するカルシウムを亜鉛や鉄分、マグネシウムの吸収を妨げにくくします。
カルシウム過多の危険性
1日に必要なカルシウムの量は1,000-1,200mgだけということを覚えておきましょう。それ以上とっても体の為にはなりません。
もし必要以上に摂取すると、体にとって害になることがあります。便秘や高カルシウム血症では、軟組織にカルシウムが蓄積することによって鉄分や亜鉛の吸収障害が起こります。(参考)
Point: カルシウムサプリメントを摂る時は、種類や量、他の薬剤との相互関係を考慮することが重要です。
色んな種類のカルシウムサプリメント
カルシウムサプリメントには、錠剤、カプセル、キャンディータイプ、液体、粉末など異なる種類があります。
これらの違いはただ1つ、含まれるカルシウムの構造です。
大きく分けて以下の2つの構造があります
- 炭酸カルシウム
- クエン酸カルシウム
これらはの違いは、カルシウム構成分子がどの程度含まれているか、またどのくらい吸収されるかというものです。
カルシウム構成分子は化合物の中にどの程度カルシウムが入っているかを表します。
炭酸カルシウム
これはもっとも安価で広く使われている種類で、40%のCa含量があるため、少ない容量でも多くのカルシウムを摂ることが出来ます。
しかしこの種類は、腸内でガス発生や膨満感、便秘などの副作用を伴うことが多く、最大限に吸収させる為に食事と一緒に摂ることが望まれます。(参考)
クエン酸カルシウム
クエン酸カルシウムは、かなり高価で21%のCa含量があります。
ということは、必要なカルシウムを摂る為にはより多くの錠剤を摂らなければなりません。
しかし炭酸カルシウムよりも容易に吸収され、食事と一緒でも食間でも摂取可能です。
クエン酸カルシウムは過敏性腸症候群の人々に推奨されます。
また、高齢で胃酸分泌が少ない人や、逆流性食道炎の人にとってもよい選択と言えます。(参考)
Point: カルシウムサプリメントの主な2つの種類は、炭酸カルシウムとクエン酸カルシウムです。炭酸カルシウムは食事と共に摂る必要があり、もし胃酸分泌が十分でない場合、効果はあまり期待できません。
カルシウムの食品源
栄養はサプリメントから摂るよりも、食品から摂るのが一番です。
それでももし食事から十分カルシウムが摂れていないと思う場合は、以下の食品を摂るようにしてみましょう。
- 牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品
- サーモンやイワシのような骨付き魚
- コラードやホウレン草、ケールなどの葉菜類
- えだまめや豆腐
最後に
カルシウムサプリメントは骨粗鬆症のリスクがある方や、普段の食事から十分なカルシウムが摂取出来ない人にとって役に立つものです。
ある研究ではカルシウムサプリメントと心疾患の関係が示唆されていますが、はっきりとしたことは明らかになっていません。
しかし、推奨量以上の摂取はどんな摂取源であっても腎結石のリスクが高くなる可能性があります。
カルシウムサプリメントは少量であればおそらく問題ないですが、可能であれば食事から必要量を摂取するようにしましょう。
カルシウムの吸収率の高い乳製品を食事に取り入れる努力をすると良いでしょう。
カルシウムをサプリで試してみたい方は、「NOW Foods クエン酸カルシウム」から使用してみると良いでしょう。
ただし、重度の症状など適切な治療が必要とされる場合はサプリメントに頼らず、医療機関で診断を受けるようにしましょう。
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