はじめに
人体のすべての細胞にはいくらかの鉄が含まれますが、最も鉄が存在するのは赤血球です。(参考)
赤血球は酸素を肺から体中の内臓や組織に運びます。鉄は栄養素からエネルギーを作り出す役割もあります。また、異なる人体のパーツの動作を調整する神経インパルスの伝達にも貢献します。
今回の記事では、そんな鉄の効果について解説をしていきます。
鉄分の摂取が有効なケース
鉄欠乏性貧血の場合
鉄欠乏性貧血は赤血球の中に十分な鉄が含まれない場合に起きます。
健康なレベルの鉄がないと、赤血球は酸素を細胞や組織に効率的に供給することができません。
貧血の症状は以下の通りです(参考)
- 倦怠感
- 虚弱
- めまい(参考)
- 集中不可
鉄欠乏性貧血による貧血は一般的な貧血です。(参考)
また、貧血を起こす一般的な原因は以下の通りです。
- 月経(特に出血がひどい場合や長期にわたる場合)
- 消化性潰瘍疾患
- 消化管のがん
- 外傷や献血による失血
- アスピリンやイブプロフェンなどの薬物の長期使用による胃腸出血
貧血に関しては以下の記事でも詳しく解説をしていますので、気になる方は併せてチェックしてみてください。
妊娠中の場合
妊娠中や子育て中でない女性は15から18ミリグラムの鉄を毎日摂取する必要があります。
妊娠中の女性ははるかに大量の鉄が必要です。
国立衛生研究所(NIH) によると、妊娠中の女性が一日に摂取することが推奨される鉄の量は27ミリグラムだそうです。
十分な鉄分が得られないのではないかと心配する場合でも出生前のビタミンは倍にしないでください。
これは他のビタミンが過剰に摂取され、赤ちゃんを傷つける可能性があります。
その代わり、出生前ビタミンとともに鉄分サプリメントを摂取することについて主治医と相談してください。
幼児がいる場合
赤ちゃんは子宮にいる間に母親から余剰な鉄の貯蔵を行います。この貯蔵された鉄は生まれてから最初の6ヶ月の間に養育される間に使われます。赤ちゃんが生後6ヶ月になったら食事に鉄分強化食品を追加する必要があります。(参考)
ほとんどの小児科医は赤ちゃんを哺乳瓶で育てる場合は鉄分を強化した処方を行うことを推奨します。鉄の貯蔵を行えなかった未熟児にはサプリメントとして鉄が必要になる可能性があります。
鉄サプリメントを乳児に与える前に、小児科医に相談することを忘れないでください。
生理中の場合
月経は貯蔵された鉄を使い果たします。このため、女性は男性よりも貧血を起こす割合が高いです。
一部の研究は民族性が貧血のリスクファクターの1つであると示しました。(参考)
運動をしている場合
女性の健康局によると、女子アスリートは鉄欠乏症のリスクが高くなります。(参考)
正確な理由はわかっていません。しかし、研究者たちはアスリートは運動を継続するために酸素を運ぶため、より多くの赤血球が必要になるためではないかと理論立てています。
激しい運動を行っており貧血を思い起こさせるような症状が出た場合は主治医に相談してください。
定常的に失血している場合
過度の失血を起こしている人々はしばしばより多くの鉄を必要とします。定期的に献血をしていたり消化管出血のあったりする人にはリスクがあります。
消化管出血は潰瘍やがんなどの薬や症状によって起こる可能性があります。もし鉄が常に足りていないのであれば定期的に献血を行うことは推奨されません。
透析中の場合
腎臓透析を受けている多くの人が追加の鉄を必要とします。(参考)
腎臓は赤血球を作るように体に指示するホルモンであるエリスロポエチンを作る役割を持っています。(参考) 腎臓が正しく動かない場合、貧血はその副作用の1つです。
透析中には少しの量の血液を失う可能性があります。また、透析中の食事は鉄の摂取量をしばしば制限します。透析中に摂取するいくつかの薬には鉄を使い果たしたり鉄を吸収する体の能力を阻害したりするものがあります。
透析中に健康的な鉄分レベルを保つには主治医と相談してください。
鉄分を消費する薬を摂取している場合
いくつかの薬は体の鉄を吸収する能力を阻害します。鉄分を消費する薬としては以下のようなものが挙げられます。
- キノロン、シプロフロキサシン(シプロ)やレボフロキサシン(レバキン)を含む抗生物質の系統
- テトラサイクリン(パンマイシン)
- 潰瘍や胸焼けといった胃の問題のためのラニチジン(ザンタック)とオメプラゾール(プリロセック)
- 高血圧に対するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(参考)
- コレステロール低下胆汁酸封鎖剤用のコレスチポール(コレスチド)とコレスチラミン(プリバライト)
貧血を起こす薬が心配である場合は主治医に相談してください。ただし、指示がない限りは薬の服用をやめないでください。
ADHDである場合
2014年に発表されたAnnals of Medical&Health Sciences Researchでの研究では、鉄分欠乏症が注意欠陥多動性障害(ADHD)とより関連していることがわかりました。(参考)
鉄、フェリチン、ビタミンD、マグネシウム、カルシウム、リンの血中濃度を研究した結果、研究者らはADHDの子供の鉄とフェリチンのレベルが低いということを発見しました。
フェリチンは、後で使用するために細胞内に鉄を貯蔵するためのものです。
ACE阻害薬による咳をしている場合
医者はACE阻害薬をいくつもの症状に処方します。その一例としては以下のようなものが挙げられます。
ACE阻害薬は2型糖尿病患者の腎臓病を予防することを助ける可能性もあります。
空咳はこの薬の一般的な副作用の1つです。
Journal of the Renin-Angiotensin-Aldosterone Systemに掲載された研究によると、少なくともACE阻害薬を摂取2時間後に200ミリグラムの第1鉄サプリメントを服用した場合、咳をする可能性が下がりました。(参考)
研究者たちは鉄を摂取すると血中の一酸化炭素の量が増加することを見つけました。一酸化炭素はACE阻害薬に関連した咳を減らすのに役に立ちます。(参考)
最後に
鉄分を含むサプリメントの接種を検討する際には、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。また、alloehでは鉄分を含む製品のランキングも作成しています。
◆鉄サプリの飲み方に関しては『サプリメントの危険な飲み合わせとは!?貧血防止の鉄分の過剰摂取も危ない?』でも解説しているのでチェックしてみてください。
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