肩こりの治療について
はじめに
肩こりは痛みを伴い日常生活の妨げになるだけでなく、ぐっすり眠ることにも影響します。2010年には、女性の17%以上・男性12%以上が、何らかの首の痛みやこわばりがあったと報告しています。
この数字はモバイル機器やコンピューターが普及し、首をぎこちない角度に上げざるを得なくなったことで増加していると考えられています。実際、スマートフォンやノートパソコンなどのデバイスを見下ろすことは、首の疲れの最も一般的な原因となります。猫背の姿勢が首の筋肉や軟部組織に負担をかけるのです。
その他の原因には以下のものがあります
- 姿勢不良
- 食いしばった顎
- ストレス
- 反復頸部運動
- 変形性関節症
- 頸部または脊髄の損傷
本記事では、首の凝りや痛みを和らげる方法や、痛みを防ぐ方法を紹介します。
肩こりにならないために
多くの場合、生活習慣を変えたり、仕事場に合った道具を使うことで、肩こりを防ぐことができます。予防とは悪い姿勢などの習慣を断ち切ることでもあります。さらに定期的な運動は筋肉を強化し、肩の緊張やけがをしにくくします。
またタバコに含まれるニコチンは骨にも作用するため、禁煙も首の痛みの予防に役立ちます。禁煙は簡単ではありませんが、医師に相談して、自分に合った禁煙プランを立ててください。
自分にあった職場づくり
多くの人が毎日8時間、コンピューターデスクで働いています。これは肩こりや他の病気の原因になります。仕事中の肩こりを防ぐために、姿勢を保つ方法をいくつか紹介します。
- 足を床につけ、膝を腰より少し低くして、椅子を楽な姿勢にする
- 座りながら楽と感じる姿勢をとる
- 背筋を伸ばして腕を机に対して水平にする
- コンピュータが目の高さになるように調整する
- 自分に合うキーボードとマウスを使用する
- 1時間ごとに立ってストレッチをする
スマートフォンの使用時間を控える
スマートフォンを常に見下ろしていると、首の筋肉に負荷がかかります。スマートフォンを頻繁に使う人は、以下の方法を試してみてください。
- スマートフォンを目の高さに持つ
- 電話をする際はスマートフォンを肩と耳の間に挟まないように、 イヤホンまたはヘッドフォンを使用する
- 1時間ごとにスマートフォンを使わない時間をつくる
- スマートフォンを使った後は、ストレッチをして筋肉をほぐす
一度の長時間運転を避ける
一日中机の前に座っているように、車のハンドルを握っていると首に影響を与えることがあります。長時間運転しなければならない場合、肩こりを予防するためのヒントをいくつか紹介します。
- 休憩を取って立ち上がってストレッチをする
- 運転中の姿勢を確認するアラームを設定する
- 座席を自分が最も支えられる位置にセットし、姿勢を整える
- 運転中にスマートフォンを使用するのをやめる(運転中のスマートフォンの使用は違法であり、危険であり、首にも悪いです。)
ストレッチをする
定期的にストレッチを行うことは、首の凝りを防ぐのに良い方法です。ストレッチには次のものがあります。
- 肩を前後に回す
- 肩甲骨を何度か動かす
- 左右の肩に耳をゆっくり動かす
- 頭をゆっくり左右に動かす
- 睡眠姿勢を変える
夜に寝る姿勢も首に影響します。横向きや背中を下にして寝る方が、うつぶせに寝るよりも首への負担が少ないです。うつぶせに寝ていると、長時間首に負担がかかり、痛みやこわばりが生じることがあります。
一晩中横向きで寝る場合は、首を支える枕もあります。
肩こりの治療
首が痛くてこわばっている場合は、いくつかの治療法を試して痛みを和らげ、こわばりを軽減することができます。これらの治療法の多くは予防にも繋がります。
熱または氷を活用する
1日に数回、20分間氷を当てて首の炎症を和らげてください。氷とお湯を交互に使うこともできます。温かい風呂やシャワーを浴びたり、カイロを使うのも効果的です。
OTC鎮痛薬を服用する
OTCとは一般用医薬品のことを指し、医師による処方せんを必要とせず薬局やドラッグストアで購入できるもののことです。以下のような市販の鎮痛薬が痛みの軽減に役立ちます。
- イブプロフェン(アドビル・モトリン)
- ナプロキセンナトリウム (アレブ)
- アセトアミノフェン (タイレノール)
急な動きを避けてストレッチをする
ストレッチは痛みやこわばりを和らげます。ゆっくりと優しく伸ばすことが大切です。急に動くと、炎症や痛みが増し、より重篤(じゅうとく)な損傷が生じることがあります。ストレッチをする前に、カイロを貼るかシャワーを浴びてください。
ストレッチには、先ほど予防のために記載したものを行うことが効果的です。また、マッサージを受けることも一つの方法です。
プロのマッサージは、首と背中の筋肉をほぐしたり伸ばしたりしてくれます。
鍼治療を試す
鍼(はり)治療では、体の特定のツボに針を刺します。より科学的な研究が必要ではありますが、鍼療法は東洋医学で何千年も実践されてきました。滅菌針を使用している有資格開業医のみを受診するようにしましょう。
カイロプラクティックを試す
カイロプラクティックとは、整体に似た手技療法です。有資格のカイロプラクターは筋肉や関節を操作して痛みを和らげることができます。この種の治療法には不快感や痛みを伴うものもあります。医師に相談してみるのも良いでしょう。
身体活動を制限する
身体活動をした後に首のこわばりや痛みが始まった場合は、そのこわばりがなくなるまで運動を制限します。また、首の痛みがあるときは、重いものを持ち上げたり、首の筋肉を悪化させるような運動は控えてください。
ストレスの軽減
ストレスは首の筋肉を緊張させます。ストレスを減らすことは、首の痛みやこわばりの治療と予防に役立ちます。次のような方法でストレスを軽減できます。
- 音楽を聴く
- 瞑想をする
- オフィスから離れた場所で休暇や休憩を取る
- 楽しいことをする
- 定期的に運動する
運動はけがを防ぐための筋肉を強化するのに役立ち、運動は姿勢を改善し首のこわばりを和らげ予防するのにも役立ちます。また、肩こりの原因になっているかもしれないストレスを軽減する優れた方法でもあります。
睡眠環境を整える
睡眠環境を見直すことで、肩こりを緩和することができます。睡眠環境を変える方法には、次のようなものがあります。
- 自分に合った硬さのマットレスを使う
- ネックピローを使用する
- 仰向けで眠る
- 寝る前にリラックスする
- 寝る際に歯ぎしりをする場合はマウスガードを装着する
医師への相談
首の痛みが日常生活に支障をきたす場合は、医師の診察を受ける必要があります。医療機関を受診すべき時のポイントは以下のとおりです。
- 怪我または車の衝突の後に始まった痛み
- 腕や脚に広がる痛み
- 腕、手、脚の衰弱
- 痛みを伴う頭痛
これらの追加症状は、椎間板ヘルニア、神経の圧迫、椎間板の膨隆(ぼうりゅう)、関節炎など、より重篤な首の損傷の徴候である可能性があります。
まとめ
多くの場合、軽い痛みを伴う項部硬直は自宅で氷冷、温熱、ストレッチで治療できます。数日経っても痛みが治まらない場合や、別の症状がある場合は、医師の診察を受ける必要があります。
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