睡眠に最適な成分やサプリメントは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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睡眠は定期的な運動や健康的な食事と同じくらい重要です。

睡眠不足は、ホルモン・運動能力・脳機能に即座に悪影響を及ぼすという研究結果があります。また、成人と小児の両方で体重増加を引き起こし、疾患リスクを増大させる可能性があります。

対照的に、十分な睡眠は食べる量を減らし、運動機能を高め、健康を保つのに役立ちます。

過去数十年にわたり、睡眠の質と量の両方が低下しています。実際、多くの人は睡眠不足陥りがちです。健康状態を維持したり、体重を減らしたいのであれば、十分な睡眠をとることが最も重要なことの1つです。

本記事では、睡眠の質と量を十分に摂るコツを紹介します。

1. 日中の明るい時間に行動する

体内にはサーカディアンリズムと呼ばれる自然な時計があります。(参考1)(参考2)

脳、体、ホルモンに影響を与え、起床・就寝時間を体に知らせます。(参考1)(参考2)

自然光や日中の明るい光は、サーカディアンリズムを保つのに役立ちます。これにより、日中のエネルギーだけでなく、夜間の睡眠の質および持続時間も改善されます。(参考1) (参考2)(参考3)

不眠症患者では日中の明るい光が睡眠の質と持続時間を改善しました。また眠りにつくまでの時間も83%短縮されました。(参考)

高齢者を対象とした同様の研究では、日中に2時間明るい光を浴びることで、睡眠時間が2時間、睡眠効率が80%上昇しました。(参考)

ほとんどの研究は深刻な睡眠問題を抱えている人を対象としていますが、平均的な睡眠をしていても毎日の光が役に立つ可能性があります。

日常的に日光を浴びるか人工的な明るい照明器具や電球を使ってみましょう。

要約

毎日の日光や人工の明るい光は、睡眠の質や持続時間を改善します。特に深刻な睡眠障害や不眠症がある場合に効果的です。


2. 夜間のブルーライトを減らす

日中光を浴びることは有益ですが、夜間に光を浴びることは逆の影響を及ぼします。(参考)

繰り返しになりますが夜の光はサーカディアンリズムに影響を与え、脳がまだ日中だと思い込むためです。サーカディアンリズムによってメラトニンなどのホルモンが減り、リラックスして深い眠りにつくことができます。(参考1)(参考2)

スマートフォンやコンピューターなどの電子機器が大量に発するブルーライトは最も不適切です。

夜間のブルーライトの露出を減らすために、ブルーライトカット眼鏡を着用するか、スマートフォンやPCのブルーライトカットアプリを活用しましょう。これらはiPhoneとAndroidの両モデルやPCでも利用できます。 寝る2時間前からはテレビを観ず、明るい照明を消すのがお勧めです。(参考1)(参考2)

要約

夜間にブルーライトを浴びることで、脳は昼間だと勘違いします。夜は眼鏡やアプリを活用してブルーライトを避けましょう。


3. 夜間にカフェインを摂らない

カフェインには体にとって多くのメリットがあり、米国人口の90%がカフェインを日常的に摂取しています。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4)(参考5)

適量であれば集中力、エネルギー、および運動能力を高めることができます。(参考1)(参考2)(参考3)

しかし、カフェインは夜遅くに摂取すると神経系を刺激し夜の自然なリラックスタイムを妨げることがあります。

ある研究では就寝の6時間前までにカフェインを摂取すると、睡眠の質が悪化しました。(参考)

カフェインは6~8時間血液中で上昇したままになります。したがって、特にカフェインに敏感な人や眠れない人は、午後3~4時以降にコーヒーを大量に飲むことは勧められません。(参考1)(参考2) 午後や夕方にコーヒーが飲みたくなったら、カフェイン抜きのコーヒーを飲みましょう。

要約

カフェインは睡眠の質を著しく悪化させることがあり、特に午後遅くや夕方に大量に飲んだ場合に顕著に表れます。


4. 日中の不規則または長い昼寝を減らす

短時間の昼寝は効果的ですが、日中の不規則または長い昼寝は睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります。

日中に眠ると体内時計が混乱し、夜に眠るのを妨げることがあります。(参考1) (参考2)

ある研究では、参加者は日中の昼寝をした後、日中に眠気を感じるようになりました。(参考)

別の研究では、30分以下の昼寝は日中の脳機能を高めますが、長い昼寝は健康や睡眠の質に悪影響を与えることが報告されています。(参考)

しかし他の研究によると、日中の定期的な昼寝に慣れている人は、睡眠の質が悪くなったり夜間の睡眠が妨げられたりすることはないという報告もあります。

日中は定期的に昼寝をして、夜にぐっすり眠れば安心です。昼寝の効果は人によって異なります。(参考1) (参考2)(参考3)

要約

日中の不規則または長い昼寝は睡眠の質を損なうことがあります。夜眠れないときは、昼寝をやめるか、昼寝の時間を短くしてください。


5. 就寝と起床の時間を一定に保つ

身体のリズムは日の出と日の入りに合わせて一定の周期で動きます。

睡眠時間と起床時間を一定に保つことは、長期的な睡眠の質を改善できます。(参考)

ある研究では、週末に不規則な睡眠パターンで遅く寝た被験者は睡眠不足を感じました。(参考)

他の研究では、不規則な睡眠パターンが、体内リズムや脳に睡眠を促すメラトニンの量を変化させることが明らかにされています。(参考1)(参考2) (参考3)

睡眠に問題があると感じるのであれば、同じような時間に起きて寝る習慣をつけるようにしましょう。数週間後には、アラームが必要なくなっているかもしれません。

要約

特に週末は、睡眠と覚醒のサイクルを守るようにしましょう。可能であれば毎日同じような時間に自然に起きるようにしましょう。


6. メラトニンサプリメントを服用する

メラトニンは重要な睡眠ホルモンで、リラックスして寝る時間を脳に伝えます。(参考)

メラトニンのサプリメントは非常に人気のある睡眠補助薬です。

不眠症の治療によく用いられるメラトニンは、入眠を早める最も簡単な方法の1つです。(参考1)(参考2) ある研究では、就寝前に2mgのメラトニンを服用すると、翌日の睡眠の質とエネルギーが改善し入眠が早くなったと報告されています。

別の研究では、被験者の半数が早く眠りにつき、睡眠の質が15%改善しました。(参考1)(参考2)

さらに、上記のいずれの試験でも投与中止の影響は報告されていません。

メラトニンは体のリズムを正常に戻すのに役立つため、旅行先での時間帯の変化(時差ボケ)にも有効です。(参考)

メラトニンの処方には処方箋が必要な国もあります。また、メラトニンが店頭やオンラインで広く入手できる場合もあります。就寝の30~60分前に1~5 mgを服用してください。

少量から始めて耐性を確認し、必要に応じてゆっくり増やしてください。メラトニンは脳の化学的性質を変化させる可能性があるため、使用前に医療従事者に確認することをお勧めします。

またメラトニンを子供の睡眠補助薬として使用することを考えているのであれば、子供への長期使用は十分に研究されていないため気を付ける必要があります。

要約

メラトニンのサプリメントは、睡眠の質を改善し、早く眠りにつく簡単な方法です。就寝の30~60分前に1~5 mgを服用してください。


7. そのほかのサプリメントを服用する

他のサプリにもリラクゼーションを誘発し、睡眠を助けるものがあります。

イチョウ:多くのメリットがある天然ハーブで、睡眠、リラックス効果、ストレス軽減に役立つことがありますが、科学的に証明はされていません。就寝の30~60分前に250mgを服用してください。(参考)

グリシン:研究では、アミノ酸のグリシンを3mg摂取すると睡眠の質が改善されることが分かっています。(参考1) (参考2) (参考3)

カノコソウの根:研究によるとカノコソウは眠りにつくのに役立ち、睡眠の質を改善します。就寝前に500mgを服用してください。

マグネシウム:マグネシウムはリラックス効果、睡眠の質を高める効果があります。(参考1) (参考2) (参考3)

L-テアニン:アミノ酸のL-テアニンは、リラックス効果で睡眠を改善します。就寝前に100~200mgを服用します。 (参考1) (参考2)

ラベンダー:ラベンダーは健康に良い影響を与えるハーブで、睡眠を改善するための効果を誘発することができます。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4) (参考5) (参考6) (参考7)

これらのサプリメントは一度に1つだけ試してください。不眠にすぐ効くような薬ではありませんが、他の自然に近い方法と組み合わせると良いでしょう。

要約

ラベンダーやマグネシウムなどのサプリメントは、他の方法と組み合わせるとリラックス効果や睡眠の質の向上に役立ちます。


8. 夜間のアルコール摂取を控える

夜にアルコールを何杯か飲むと、睡眠やホルモンに悪影響を及ぼすことがあります。

アルコールは、睡眠時無呼吸症やいびき、睡眠パターンの乱れの症状を引き起こしたり、悪化させることが分かっています。(参考1) (参考2)

また夜間のメラトニン分泌を変化させ、体内のリズムに影響を与えます。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4)

別の研究では、夜間のアルコール摂取が体内リズムに影響を与え、また他にも多くの機能を持つヒト成長ホルモン (HGH) の夜間の生成を減少させることがわかっています。(参考)

要約

就寝前の飲酒は夜間のHGHの生成を低下させ、睡眠パターンを乱すことがあるため避けましょう。

9. 寝室を整える

多くの人は、ベッドルームの環境がぐっすり眠るための重要な要素だと知っています。

その要素には、温度、騒音、外光、家具の配置などがあります。(参考)

多くの研究でしばしば外部騒音が、睡眠不良および長期的な健康問題を引き起こすことを示しています。(参考1) (参考2) (参考3)

女性に至っては寝室の騒音と光が減少すると、被験者の約50%の睡眠の質が改善することが報告されています。(参考)

寝室環境を最適化するには、目覚まし時計などの機械からの外部ノイズ、光、人工照明を最小限に抑えるのがよいでしょう。寝室は静かでリラックスでき、また清潔で心地よい場所にしましょう。

要約

外光とノイズを避け寝室環境を整え、睡眠を改善しましょう。


10. 室温の調整

体温や寝室の温度は睡眠の質に大きく影響します。

夏に経験したことがあるかもしれませんが、室温が高すぎると安眠が非常に難しくなります。

ある研究によると寝室の温度は、騒音よりも睡眠の質に影響するそうです。(参考)

他の研究では体温と寝室の温度が上昇すると、睡眠の質が低下して覚醒する確率が高まることが明らかにされています。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4) (参考5) (参考6)

好みや習慣にもよりますが、多くの人にとっては20°C (70°F) 前後が快適な温度とされています。

要約

さまざまな温度をテストして、どの温度が最も快適かを決めましょう。多くの人には約20°C (70°F) 前後が最適だとされています。


11. 夜遅い食事を避ける

夜遅くに食事を食べると、睡眠の質とHGHおよびメラトニン放出の両方に悪影響を及ぼす可能性があります。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4)(参考5)

また夜食の質や種類も関係しているかもしれません。

ある研究では、就寝の4時間前に炭水化物の多い食事を摂ると眠りにつくのが早くなりました。(参考)

興味深い点は、ある研究によると低炭水化物食は睡眠を改善しますが炭水化物は必ずしも必要ではありません。特に低炭水化物食に慣れている人はそうです。(参考)

要約

就寝前に大量の食事を取ると、睡眠不足やホルモン分泌の乱れにつながります。しかし、就寝の数時間前に食事や軽食をとると効果があります。


12. 夜はリラックスして心地よく過ごす

それぞれの人にはリラックスするのに役立つ睡眠前の習慣があります。

就寝前のリラクゼーション法は睡眠の質を改善することが分かっており、不眠症の治療に用いられる一般的な方法でもあります。(参考1) (参考2) (参考3)

ある研究では、リラックスマッサージは病気の人の睡眠の質を改善することもできました。(参考)

リラックスできる音楽を聴く、本を読む、温かいお風呂に入る、瞑想する、深呼吸するなどの方法があります。

さまざまな方法を試してみて、最適な方法を見つけてください。

要約

温かいお風呂や瞑想などの就寝前のリラクゼーション法が、眠りにつくのに役立つことがあります。


13. お風呂またはシャワーを浴びましょう

リラックスできるお風呂やシャワーはよく知られた睡眠の質を高める方法です。

研究によると、睡眠の質を全体的に向上させ特に高齢者の寝付きを良くします。(参考1) (参考2)(参考3) (参考4) (参考5)

ある研究では、就寝の90分前に熱いお風呂に入ると睡眠の質が改善され、深い睡眠がとれるようになりました。(参考)

また夜にお風呂に入りたくない場合は、足をお湯に浸すだけでもリラックスして睡眠を改善することができます。 (参考1) (参考2)

要約

温浴、シャワー、または就寝前の足湯は、リラックスして睡眠の質を改善できます。


14. 睡眠障害をなくす

基礎疾患が睡眠障害の原因かもしれません。

よくある問題の1つは睡眠時無呼吸症で、呼吸が不規則になり中断されます。この病気の人は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まります。(参考1) (参考2)

この病気は思っているよりも一般的かもしれません。あるレビューでは、男性の24%および女性の9%が睡眠時無呼吸症候群であるとのことでした。(参考)

医学的に診断されるそのほかの問題は、交代勤務者によくみられる睡眠運動障害および睡眠覚醒障害があります。(参考1)(参考2)

眠れないと感じているなら、医療機関に相談するのもよいかもしれません。

要約

睡眠時無呼吸症などよくみられる睡眠障害はたくさんあります。睡眠不足が続くようであれば医療機関に相談してください。


15. 自分に合うベッド、マット、枕を使う

なぜかいつもホテルの方がよく眠れるのか不思議に思う人もいるでしょう。

リラックスできる環境とは別に、ベッドの質も睡眠に影響します。(参考1) (参考2)

ある研究では、新しいマットレスを28日間使用した場合の効果を調べました。その結果、背中の痛みが57%、肩の痛みが60%、背中のこりが59%軽減されたそうです。睡眠の質も60%改善しました。(参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11896375/)

他の研究では新しい寝具が睡眠を促進すると言われています。さらに、寝具の質が悪いと腰痛が悪化することがあります。(参考1) (参考2)

最良のマットレスと寝具は自分で決めなくてはいけません。寝具を購入する場合は個人の好みに合ったものを選択してください。(参考1)(参考2) (参考3) (参考4) )(参考5) 少なくとも5~8年ごとに寝具を替えることをお勧めします。

マットレスや寝具を何年も交換していない場合は、買い直すことをお勧めします。(参考)

要約

ベッド、マットレス、枕は睡眠の質や関節痛や腰痛に大きく影響します。マットレスを含む高品質の寝具を5~8年ごとに購入するとよいでしょう。


16. 日中に運動をする

運動は睡眠と健康を改善するための、科学に裏付けられた最良の方法の1つです。

睡眠のあらゆる面から働きかけ、不眠症の症状を軽減するために運動療法が用いられています。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4) (参考5)

高齢者を対象としたある研究では、運動をすると眠りにつくまでの時間が半分近く短縮され、夜間の睡眠時間が41分長くなったという結果が出ています。(参考)

重度の不眠症の人では薬より運動の方が効果があります。運動は、睡眠に入るまでの時間を55%、総夜間覚醒を30%、不安を15%減少させ、総睡眠時間を18%増加させたという報告もあります。(参考)

毎日の運動は夜ぐっすり眠るための鍵となりますが、夜遅くに行うと睡眠障害を引き起こす可能性があります。

これは運動の刺激作用によるもので、覚醒をさせエピネフリンやアドレナリンなどのホルモンを増加させます。

しかし研究では否定的発表をしない場合があるので、個人によるといってもよいでしょう。(参考1)(参考2) (参考3)

要約

日中の定期的な運動は、睡眠の質を高める方法の一つです。


17. 就寝前の水分摂取量を控える

夜間頻尿は寝る前の過剰な排尿に対する医学用語です。睡眠の質および日中の活動に影響を及ぼします。(参考1)(参考2)

就寝前に大量の水分を摂取すると症状が現れますが、尿意に敏感になっているだけの人もいます。水分補給は健康に不可欠ですが、夜遅くには水分摂取量を減らすのが良いでしょう。

就寝の1~2時間前には水分をとらないようにします。夜に起きなくても良いように、寝る直前にもトイレに行くべきです。

要約

夜遅くは水分摂取量を減らし、寝る直前にトイレに行くようにしましょう。


結論

睡眠は健康に重要な役割を果たします。

大規模レビューでは、睡眠不足は小児で89%、成人で55%の肥満リスク増加と関連していたことも分かっています。(参考)

他の研究では、1晩に7~8時間未満の睡眠は、心臓病や2型糖尿病を発症するリスクを高めると結論づけてもいます。(参考1)(参考2) (参考3)

最適な健康状態を守りたいのであれば睡眠を最優先にして、上記のポイントを取り入れることをお勧めします。

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