セージとは
セージは、世界的に見ても重要な、料理などにも使用される薬草の1種です。
セージは他にも、コモンセージ、ガーデンセージ、サルビアなどとも呼ばれます。
オレガノ、ローズマリー、バジル、タイムなどと同じく、ミントの仲間に分類されるハーブです。(参考)
セージには、強い香りと素朴な味わいがあり、通常は少量のみが使用されます。
少量のセージの中にも、多くの種類の大切な栄養素や化合物が含まれています。
セージはまた、天然の洗浄剤や殺虫剤として使用されたり、セージバーニングなどの儀式やお祓いなどで使用されたりされてきました。
この緑色の薬草は、生セージ、乾燥セージ、オイルなど形で流通しており、様々な健康への効能があると考えられています。
この記事では、セージの12の驚くべき効能を取り上げます。
セージのメリット
豊富な栄養素を含む
セージは、健康に効果のあるビタミンやミネラルを、多く含んでいます。
ティースプーン1杯(0.7グラム)の、すり潰されたセージには以下の様な栄養素が含まれます。(参考)
- カロリー:2
- タンパク質: 0.1グラム
- 炭水化物: 0.4グラム
- 脂質: 0.1グラム
- ビタミンK: 1日摂取目安料の10%
- 鉄: 1日摂取目安料の1.1%
- ビタミンB6: 1日摂取目安料の1.1%
- カルシウム: 1日摂取目安料の1%
- マンガン:1日摂取目安料の1%
以上でわかる様に、ごくわずかなセージに1日必要量の10%にあたるビタミンKが含まれています。(参考)
また、セージには少量のマグネシウム、亜鉛、銅、ビタミンA/C/Eなども含まれています。
さらに、この香ばしいスパイスは、コーヒー酸、クロロゲン酸、ロスマリン酸、エラグ酸、ルチンなどを含み、これらの全てが、セージの健康への効能に一役買っています。(参考)
使用されるセージの量は極微量のため、セージに含まれる炭水化物・カロリー・タンパク質・繊維などは極微量です。
💡 POINT
含まれるカロリーは低いにもかかわらず、セージには、特にビタミンKなどを中心とした、多くの栄養素が含まれます。1杯のティースプーン(0.7グラム)程度のセージが、1日必要量の10%にあたるビタミンKを含んでいます。
豊富な抗酸化物質を含む
抗酸化物質は、体の免疫機能などを強化し、慢性疾患などに関連し有害となり得る、遊離ラジカルを中和する作用を持つと考えられています。(参考)
セージは、体内で抗酸化物質として働く植物性化合物である、特徴的なポリフェノールを160以上も含んでいます。(参考)
セージに含まれている、クロロノルギン酸、コーヒー酸、ロスマリン酸、エラグ酸、ルチンなどは、癌リスクの軽減、脳機能や記憶力の改善など、多くの素晴らしい健康への効能に関与しています。(参考1, 参考2)
ある研究では、1カップ(240ml)のセージ茶を1日2回摂取したところ、抗酸化作用による体の抵抗性を有意に増強したとされています。
また、総コレステロール値とLDL(悪玉)コレステロールの減少と、HDL(善玉)コレステロールの上昇効果も認められたと報告されています。(参考)
💡 POINT
セージは、脳機能の改善、癌リスクの軽減などの複数の健康への効能に関連する抗酸化物質を多く含んでいます。
口腔の健康改善効果
セージには抗菌作用があり、歯のプラーク産生につながる微生物を無効化する能力があると考えられています。
ある研究では、セージ由来のマウスウォッシュが、虫歯の原因菌として有名なストレプトコッカス・ミュータンスを効果的に殺菌したとされています。(参考1, 参考2)
試験管内の実験による基礎研究では、セージ由来のエッセンシャルオイルが、虫歯の原因となるカンジダ・アルビカンスに殺菌的に作用し、その成長を抑止したとと報告しています。(参考1, 参考2)
過去の研究をまとめたレビューの報告では、セージが喉の感染、歯周囲の膿瘍、歯肉の感染、口腔潰瘍などに有効である可能性が示唆されています。
しかし、セージ使用の有効性に関する最終的な判断のためには、今後も人を対象とした研究がさらに必要でしょう。(参考)
💡 POINT
セージには抗菌作用があると考えられており、歯のプラーク形成などの原因となる微生物を殺す作用があるかもしれません。
更年期障害の症状軽減効果
閉経後には、人の体でエストロゲン値が減少していきます。この変化が、多様な症状を引き起こす原因となることが知られています。
これらの症状には、ホットフラッシュ、過剰な発汗、腟部の乾燥感や刺激感などが含まれます。
コモン・セージは伝統的に、更年期障害(閉経後の症状)に対して使用されてきました。(参考)
セージに含まれる化合物には、エストロゲン様の作用をする物質が含まれていると考えられており、脳内の特定の受容体に作用して、記憶の改善、ホットフラッシュや過剰な発汗改善などの効果があると期待されています。(参考)
ある研究では、毎日セージサプリメントを8週間にわたって摂取したところ、ホットフラッシュの頻度や重症度を有意に軽減させたとされています。(参考)
💡 POINT
セージは更年期障害の症状である、ホットフラッシュ、イライラなどの症状を、頻度や重症度の面で改善すると考えられています。
血糖レベルの改善効果
伝統的に、コモン・セージの葉は糖尿病に対する治療に使用されてきました。
人と動物を対象にした研究などでは、セージの血糖低下作用が示唆されています。
ある研究では、セージ抽出液が1型糖尿病のあるラットにおいて、特定の受容体へ働きかけることで、血糖を低下させる効果が認められたとされています。この受容体は、活性化されると血中の遊離脂肪酸を除去し、結果的に体のインスリンに対する感受性を改善すると考えられています。(参考1, 参考2)
他の研究では、2型糖尿病のあるマウスにおいてセージ茶が、糖尿病患者さんに血糖低下のために処方されるメトホルミンの様に作用することが報告されています。(参考)
人を対象とした研究では、セージの葉の抽出液は、また別の糖尿病薬であるロシグリタゾンと同じ様に、血糖低下やインスリンへの感受性改善などの効果が見られたとされています。(参考1, 参考2)
セージは、記憶力に関与する化学伝達物質である、アセチルコリンの分解を阻害すると考えられています。
このアセチルコリンの体内での量は、アルツハイマー型認知症の患者さんで低下することが知られています。(参考1, 参考2)
ある研究では、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症がある患者さん39名において、毎日60滴(2ml)のセージ抽出液を4ヶ月に渡って投与しました。
この研究では、セージ抽出液を摂取していた群において、プラセボを摂取していた群に比較して、記憶力、問題解決能力、読解力、認知機能などを評価するテストで、より良い結果を出せたと報告しています。(参考)
健康な成人では、少量のセージの投与が、記憶力を改善したともされています。高用量のセージであれば、気分の向上、覚醒度の改善、気持ちの落ち着き、満足感の増加などの効果も見られたとしています。(参考)
若年者と高齢者の両者において、セージは記憶力や脳機能を向上させる可能性があります。(参考1, 参考2)
💡 POINT
研究によると、セージは記憶力、脳機能、アルツハイマー型認知症症状の改善につながるかもしれません。
LDL(悪玉)コレステロールの改善効果
アメリカでは、毎分1人以上の人が心疾患で亡くなっています。(参考)
アメリカ人の3人に1人が持つとされている、LDL(悪玉)コレステロール高値は心疾患の主要なリスク因子です。(参考)
セージは、動脈に沈着して障害を起こす可能性があるLDL(悪玉)コレステロールを減らす可能性があります。
ある研究では、セージ茶を1日2回2週間に渡って摂取することで、LDL(悪玉)コレステロールと総コレステロールを低下させ、HDL(善玉)コレステロールを上昇させたと報告されています。(参考)
他の人を対象とした、いくつかの研究でも、セージ抽出液による同様の効果が示されています。(参考1, 参考2, 参考3)
💡 POINT
セージやセージを含む製品の摂取は、LDL(悪玉)コレステロールを低下させ、HDL(善玉)コレステロールを上昇させると考えられています。
特定の癌への予防効果
癌は、細胞が異常な増殖をすることで起きる、主要な死亡原因の1つです。
面白いことに、動物を対象とした研究や、試験管内の実験による研究では、セージは、口腔、大腸、肝臓、子宮頸部、乳房、皮膚、腎臓などの特定の臓器の癌に対して効果があるかもしれません。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4, 参考5, 参考6, 参考7, 参考8, 参考9, 参考10)
これらの研究では、セージの抽出液が、癌細胞の成長を阻害しただけではなく、癌細胞の脂肪を促進したと報告されています。
これらの研究には期待が持てますが、人の癌におけるセージの効果を判定するためには、今後も追加での人を対象とした研究を続けていく必要があるでしょう。
💡 POINT
試験管内の実験や、動物を対象とした研究では、セージの癌細胞への効能が示唆されていますが、結果は確定的ではなく、今後の人を対象とした追加での研究が必要でしょう。
その他の健康への効能
セージとその化合物には、他にも複数の健康への効能が期待されています。
しかし、これらの効能に関する研究データには限りがあるのも現状です。
下痢症状の軽減
伝統的に、生のセージは下痢の症状に使用されてきました。試験管内の実験と、動物を対象とした研究では、セージには腸管を弛緩させて下痢症状を和らげる成分があることが示されています。(参考1, 参考2)
骨の健康増進
セージに多く含まれるビタミンKは、骨の健康に大きな役割を果たしています。ビタミンKの欠乏は、骨の菲薄化や骨折に関連していると言われています。(参考1, 参考2)
皮膚の加齢性変化の抑制
いくつかの試験管内での実験で、セージが皮膚のシワなどの加齢性の変化に対して効果がある可能性があると報告されています。(参考1, 参考2, 参考3)
💡 POINT
セージには、下痢症状の改善、骨の健康維持、皮膚の加齢性変化の抑制など、複数の健康への効能があるかもしれません。
セージの摂取・調理方法
セージは、複数の形態で流通しており、色々な方法で利用ができます。
生のセージは、強い香りを持つので、料理などに使用される場合はごく少量のみ使われます。
以下に、生のセージの料理への使用方法を挙げてみます。
- 少量をスープの上に添える
- 炙り焼きにする料理の詰め物に加える
- みじん切りにしたセージの葉をバターと混ぜて、セージバターを作る
- 刻んだ葉をトマトソースに加える
- 卵に混ぜてオムレツを作る
料理人の間では、乾燥セージが好まれて使用され、挽いたり、食材に擦り付けたり、葉を丸ごと料理に使ったりすることで使用されます。
以下では、乾燥セージの具体的な使用方法を挙げます。
- 肉に塗り込む
- 野菜の炙り焼きへの調味料として使用する
- マッシュポテトや南瓜に加えてより素朴な風味を出す
セージは、セージ茶やセージ抽出液サプリメントなどの形でも手に入ります。
💡 POINT
セージは、驚くほど多用途に使用され、スープ・シチュー・パン焼きなどに併用されます。セージは、生、乾燥、挽いた物が手に入ります。
セージの安全性・副作用
セージは、特に使用に関して大きな副作用の報告もなく、安全であると考えられています。(参考)
しかし、一部の人は、コモン・セージに含まれる化合物であるツジョンに懸念があると指摘します。動物を使用した研究では、高用量のツジョンが脳に対して毒性を発揮する可能性があるとしています。(参考)
しかし、人に対してもツジョンが同様に毒性があると示したデータは今のところありません。(参考)
さらに、少量のセージの摂取で、毒性がある量のツジョンを摂るのは不可能であると考えられています。しかし、避けるべきではありますが、過量のセージ茶やセージ抽出液を摂取することは、毒性につながるかもしれません。
安全面では、セージ茶の摂取は1日3-6カップ程度に控えると良いでしょう。(参考)
それ以外にも、コモン・セージに含まれるツジョンの毒性が心配であれば、単にツジョンが含まれていないスペイン・セージを代わりに摂取するという方法もあります。(参考)
💡 POINT
セージの経口摂取は、副作用の報告もなく安全と考えられていますが、過量のセージエッセンシャルオイル摂取やセージ茶の摂取は、副作用につながる可能性があります。
まとめ
セージは、いくつかの健康への効能が期待できる薬草です。
抗酸化物質を多く含み、口腔の健康状態の維持、脳機能の改善、血糖とコレステロール値の減少などの効果が期待されます。セージは、どんな香ばしい料理にも良くあう緑色のスパイスです。セージは、生のまま、乾燥したもの、お茶などにしても摂取することができます。
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