はじめに
フェニルアラニンは、多くの食物に含まれているアミノ酸であり、人間の体内でタンパク質その他の重要な分子を生成するのに使用されます。
うつ、痛み、皮膚障害に対してのその有効性が研究されてきました。
今回は、その有効性、副作用、含有している食物といったことも含めフェニルアラニンについて知っておくべきことすべてをお伝えします。
フェニルアラニンとは?
フェニルアラニンはアミノ酸であり人間の身体のタンパク質を形成するブロックです。
フェニルアラニンはⅬフェニルアラニンとDフェニルアラニンという二つの分子形態または配列で存在しています。この二つの分子はほぼ同じ形成ですが、構造に一部違いが見られます。 (参考)
Ⅼ型は食物に含まれて体内でタンパク質を形成するのに使われますが、D型は医療用に適用するために合成されます。(参考1 参考2)
体内でⅬフェニルアラニンの生成が十分にできません。そのため、必須アミノ酸(参考)
必須アミノ酸は多くの種類の食物-植物性、動物性両方に-含まれています。(参考)
さらに、タンパク質合成での役割において、フェニルアラニンは体内の重要な分子を生成するのに使われていますが、その中には身体の部位から部位へシグナルを送る役割をしているものもあります。(参考)
フェニルアラニンは皮膚障害、うつ、痛みといった医療的処置を要する状態での治療物質として研究されてきました。(参考)
しかし、遺伝子異常で起こるフェニルケトン尿症 (PKU)という疾患があります。(参考)
Point: フェニルアラニンは必須アミノ酸の一つでありタンパク質の合成や分子間のシグナルを送るのに使われています。医学的に治療物質として研究されている反面、遺伝子異常の障害の原因にもなります。
フェニルアラニンは身体の正常な機能に重要
人間の身体はフェニルアラニンその他のアミノ酸をタンパク質合成に必要としています。
重要なタンパク質の多くは人間の脳、血液、筋肉、内臓、他体内のあらゆる場所で存在しています。
より詳しく説明すると、フェニルアラニンは他の分子の生成に必要なアミノ酸です。(参考)
- チロシン:このアミノ酸はフェニルアラニンから生成されます。新しいタンパク質を作る、またこの記事のリストに挙がっている他のアミノ酸の分子に変換する時に使用されます。(参考1,参考2)
- エピネフリンおよびノルエピフリン: これらのアミノ酸分子は、人間の身体がストレスに見舞われた時、「闘争か逃走か」を反応するのに重要な役割をします。(参考)
- ドーパミン:この分子は脳内で幸福感を感じることと記憶また学習能力の形成に関係しています。(参考)
これらの分子の正常な機能に問題が発生すると、健康上に有害な影響を起こす可能性があります。(参考1 参考2)
フェニルアラニンは体内でこれらの分子を作る際に使用されるので、うつといった状態に対する治療効果の研究がされています。(参考)
Point: フェニルアラニンはアミノ酸のチロシンへ変換され、これが重要な分子間シグナルの生成に使用されるのです。これらの分子は、人体の正常な機能、例えば気分やストレスへの反応といった部分に関わっています。
フェニルアラニンの医学的に見た有効な可能性
フェニルアラニンは、医学的に見た身体の状態の改善に対して、有効かどうかを研究されています。
ある研究では、皮膚の色が落ちてしまう白斑やシミといった皮膚障害の治療に有効だとされています。(参考)
また別の研究では、白斑の治療に紫外線(UV)照射にフェニルアラニンのサプリメントを加えると皮膚の色素沈着が改善されたという例もありました。(参考1 参考2)
フェニルアラニンはドーパミン分子の生成に使用されます。ドーパミンが脳内で分泌されないこととうつの発症は関連しています。(参考1,参考2)
12人の被験者に行った小規模の研究によると、Ⅾ型とⅬ型のフェニルアラニンの混合したものをうつの治療に使用したところ3分の2の被験者に改善が見られ、効果の可能性があることが示されたということです。(参考)
しかし、フェニルアラニンのうつに対しての効果を支持する研究は少数であり、ほとんどの研究ではその有効性が明らかにされていません。(参考1,参考2,参考3)
白斑とうつに加えて、フェニルアラニンの効果の可能性について以下の症状での研究がされています:
- 痛み: 研究結果は様々ですが、症例によってはD型フェニルアラニンには鎮痛作用効果の可能性があると考えられています。(参考1,参考2,参考3,参考4)
- アルコール禁断症状: 少数の研究において、このアミ酸は他のアミノ酸と共にアルコール禁断症状軽減効果がある可能性があると示しています。(参考)
- パーキンソン病: かなり限られた結果ではあるのですが、フェニルアラニンにはパーキンソン病治療に有効である可能性が示されています。しかし、更なる研究を要しています。(参考1,参考2)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD): 最近の研究ではこのアミノ酸は注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療に対しては有効性が示されませんでした。(参考1、参考2)
Point: フェニルアラニンは皮膚の障害である白斑の治療には有効である可能性があります。優秀な研究が制限のある結果を出しているため、このアミノ酸について他の症状の治療に対しての有効性を強力に支持するエビデンスがまだ出ていません。
フェニルアラニンの副作用
フェニルアラニンはタンパク質を含んだ食物の多くに含まれており、アメリカ食品医薬品局 (FDA)から「一般的に安全と認められている」という安全基準合格証が与えられています。(参考)
このアミノ酸の含有量は健康な人が食物内で摂取する分ではリスクとなりません。
さらに、1ポンドあたり23~45mg(1kgあたり50~100mg)のサプリメント量だとめったに、またはまったくといっていいくらい一般的に副作用が見られません。(参考1,参考2)
しかし、妊婦にはフェニルアラニンのサプリメントを使用しない方が最善でしょう
さらに、このアミノ酸の一般的な安全性について特記すべき例外があります。
アミノ酸代謝障害であるフェニルケトン尿症 (PKU)の人はフェニルアラニンを適切に代謝することができません。血中フェニルアラニン濃度がPKUでない正常の人よりも400倍となってしまうことがあります。(参考1 参考2)
この血中フェニルアラニンの危険な高濃度が脳障害と知的障害を引き起こし、また他のアミノ酸の脳への輸送に問題を生じるのです。(参考1 参考2)
重篤なこの障害を避けるため、一般的に乳児は生後すぐからPKUのスクリーニングを受けることになっています。
PKUの人は特別な低たんぱく食を摂ることで、普段から身体の状態をよく保つようにしているのです。
Point: フェニルアラニンは通常手に入る食物で含まれている量は安全と見られています。しかし、フェニルケトン尿症 (PKU) の人ではこのアミノ酸を正常に代謝することができず、健康状態の維持のために最低量の摂取をしなければなりません。
フェニルアラニンが豊富に含まれている食物
植物性、動物性も含めてフェニルアラニンは多くの食物に含まれています。
このアミノ酸を含む植物性食品は大豆加工品、ナッツ類、また植物の種、例えば、大豆、カボチャ、スカッシュといった種がもっとも良いとされています。(参考)
大豆タンパクのサプリメントでは200カロリー分の量でフェニルアラニンが約2.5g含有されています。(参考1 参考2)
動物性食品では卵、海産物、肉類に多く含まれており、200カロリー分の量で最高2~3gのフェニルアラニンが含まれています。(参考1 参考2)
つまり、フェニルアラニンをしっかり摂取しようとするために、特別な食物をとりたてて選択しなくてもいいということです。
1日にタンパク質を豊富に含んだ食物を食べることで必要なフェニルアラニン量とその他必要なアミノ酸を共に摂取することができるのです。
Point; 大豆加工品、卵、海産物、肉といった多くの食物にフェニルアラニンが含まれています。タンパク質を豊富に含んだ食物を1日に食べることでフェニルアラニンも含む身体が必要とするアミノ酸すべてを摂取することになります。
編集部が厳選!特におすすめのフェニルアラニンサプリ3選
ここからは、alloeh編集部が選んだ3種類のフェニルアラニンサプリメントをそれぞれの特徴とともにご紹介していきます。
サプリメントとの相性は個人差が大きいため一概に言うことはできませんが、効果や評判などの点において高い水準にあり、迷った際にもこの中から選べば後悔することは少ないと思います。
もしフェニルアラニンをサプリメントで摂取する場合には、ぜひ参考にしてみてくださいね。
リラックスナイト(上薬研究所)
リラックスナイトはストレスが溜まっている方や夜なかなか寝付けない方におすすめです。主成分は抗うつ作用があるとされているクワンソウ粉末です。また自律神経に働きかけ緊張を緩和したり、集中力を上げたりするとされているγ-アミノ酪酸(GABA)も配合されています。
命のすっぽん黒酢(五つ星本舗)
命のすっぽん黒酢は肌荒れが気になる方や慢性的な疲労を抱えている方におすすめです。なぜなら疲労回復効果や肌の酸化の抑制効果が期待されている黒酢が含まれているからです。また黒酢には血液循環の改善や脂肪燃焼効果もあるとされています。そのため生活習慣病を防止したい方やダイエットをしている方にもぴったりです。
飲みやすい大豆プロテイン(ボディウイング)
飲みやすい大豆プロテインは筋肉量を増やしたい方やダイエットをしている方におすすめです。主成分は筋肉の合成や回復をサポートしたり、内臓・血液・ホルモンなど様々な体の組織を構成したりするとされている大豆プロテインです。また、人工甘味料や保存料・着色料・香料は不使用なため食品添加物などに気を使っている方にもぴったりです。
まとめ
フェニルアラニンは植物性、動物性食品に含まれる重要なアミノ酸です。
皮膚の障害である白斑の治療に効果があると考えられていますが、うつ、痛み、その他の症状については研究において限界があり明らかにされていません。
一般的に、安全と考えられていますが、フェニルケトン尿症(PKU)の人には危険な副作用が出るとされています。
ただし、重度の症状など適切な治療が必要とされる場合はサプリメントに頼らず、医療機関で診断を受けるようにしましょう。
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