健康な骨を作る10の方法
健康な骨を作ることはとても大切です。 ミネラルは幼少期、青年期、成人早期に骨の中で構成されます。30代になると骨の量はピークに達します。 この間に十分な骨量が作られなかったり、後年に骨量が減少したりすると、骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまいます。(参考)
幸いにも栄養の摂り方や生活習慣の工夫で強い骨を作り年齢を重ねてもそれを維持することができます。自然な形で健康な骨を作る10の方法をご紹介します。
1. 野菜をたくさん食べる
野菜は骨にとても良い食べ物です。野菜を食べることは、造骨細胞の生成を刺激するビタミンCを摂るベストな方法です。さらにビタミンCの抗酸化作用は骨細胞をダメージから守るという研究結果もあります。(参考)
野菜は骨密度とも呼ばれる骨ミネラル濃度も増加させるようです。骨密度とは、骨の中にあるカルシウムと他のミネラルの量を測定したものです。骨減少症(骨量が少ない)と骨粗しょう症(骨がもろい)は、骨密度が低い状態です。緑黄色野菜を多くとると、幼少期の骨のミネラル化を高め若年期の骨量を維持することにつながるとされています。(参考1)(参考2)(参考3)
たくさん野菜を食べることは高齢女性に効果があることもわかっています。ある研究で、玉ねぎをよく食べる50歳超の女性は、あまり食べない女性に比べて、骨粗しょう症のリスクが20%低いとの結果が出ています。(参考)高齢者の骨粗しょう症の主な要因は、骨代謝回転、つまり骨が壊れて新しい骨を作るプロセス、が高いことです。(参考)3ヶ月間の研究では、ブロッコリー、キャベツ、パセリや骨を守る抗酸化物質の多い他の野菜を9杯分超摂取した女性は、骨代謝回転が減少しました(参考)
まとめ
野菜の多い食生活をすると、幼年期に健康な骨を作り、若年期と高齢女性の骨量を守ります。
2. 筋トレと体重負荷運動をする
ある種のトレーニングをすると強い骨を作り維持することができます。骨の健康に良い運動の一つに、負荷をかけたトレーニングがあります。これは新しい骨の形成に役立ちます。1型糖尿病の子どもに対する研究で、このトレーニングをすると骨成長のピーク時に形成される骨量が増加したことが判明しました。(参考1)(参考2)
さらに高齢者の骨量減少の予防にも非常に効果があります。高齢男女に対する研究で、体重負荷トレーニングをすると骨のミネラル密度、骨強度、骨のサイズが増加し、骨代謝回転と炎症の値が減少したことがわかりました。(参考1)(参考2)(参考3)(参考4)
しかしある研究では、9ヶ月にわたって高レベルの体重負荷トレーニングをした高齢男性において、骨密度の向上はほとんど見られませんでした。(参考)筋力トレーニングは筋肉量を増やす効果だけではありません。骨粗しょう症、骨減少症、乳がんを患う若年・高齢女性の骨量減少を予防することもできるのです。(参考1)(参考2)(参考3)(参考4)(参考5)
骨量の少ない男性に対する研究では、筋力トレーニングと負荷トレーニングの両方をすると身体の複数の部分で骨密度が増加しましたが、筋トレだけでは、この効果は腰まわりだけに効果が表れました。(参考)
まとめ
体重負荷トレーニングと筋力トレーニングは、骨の成長期に骨の形成を増加させ、骨密度の低い高齢者の骨の健康を守ります。
3. たんぱく質を多く摂る
たんぱく質を十分に摂取することは骨の健康のために大切です。実は骨のおよそ50%はたんぱく質でできています。たんぱく質の摂取量が少ないとカルシウムの吸収が減り、骨の形成と破壊の速度にも影響します。(参考)
しかし高たんぱくダイエットは血中の酸性度増加に対応するためカルシウムを骨から浸出させるという懸念があります。しかし、摂取するたんぱく質の量を毎日100gまでとし、合わせてたくさんの野菜やカルシウムを十分とったバランスの良い食事をすれば、問題ないという研究もあります。(参考1)(参考2)
実際に、特に高齢女性の場合、たんぱく質を多くとる人の骨密度は高いと思われるという研究結果も出ています。(参考1)(参考2)(参考3)144,000名超の閉経後の女性を対象にした6年間にわたる大規模な観察研究では、たんぱく質の摂取量の多さと前腕骨折のリスクが低いこと、そして腰まわり、脊椎、全身の骨密度がかなり高いことに関連性があることがわかりました。(参考)
さらにたんぱく質のカロリーの割合が高い食生活をすると、体重減少時の骨量を維持することができます。ある1年間にわたる研究では、毎日86gのたんぱく質を摂るカロリー制限ダイエットをする女性は、毎日60gのたんぱく質を摂る女性よりも、腕、脊椎、腰回り、脚部の骨量減少の割合が少ないという結果が出ています。(参考)
まとめ
たんぱく質の摂取量が少ないと骨量が減少し、高齢で体重が減少するときにたんぱく質を多く摂ると骨の健康維持に役立ちます。
4. 一日を通してカルシウムを多く含む食品を食べる
カルシウムは、健康な骨のために最も大切なミネラルで、骨の中にある主なミネラルです。古い骨細胞は常に破壊して新しい骨に変わるため、毎日カルシウムを摂ることは骨の形成と強度を守るために重要です。大体、カルシウムの一日の推奨摂取量は1,000mgですが、10代は1,300mgで高齢女性は1,200mg摂取を目安にすると、より骨の強化に役立ちます。(参考)
しかし身体が実際に吸収するカルシウムの量はかなり異なります。興味深いことに、カルシウム500mg超を含む肉を食べると、それよりも少ない量を摂取した場合よりも、その吸収率は非常に減るのです。したがって、各食事でこのリストにあるカルシウムを多く含む食材を取り入れて、カルシウムを一日の中で分散して摂ることがベストです。
またカルシウムはサプリメントで摂るよりも食事から摂る方が望ましいでしょう。1,567名を対象にした10年にわたる最近の研究では、食事から多くカルシウムを摂取した人は全体で心疾患のリスクが減少しましたが、サプリメントで摂取した人は、心疾患リスクが22%高い結果になりました。(参考)
まとめ
カルシウムは骨の主要なミネラルであり、骨の健康を維持するには毎日摂取しなければいけません。一日を通してカルシウムを分散して摂るとうまく吸収することができます。
5. ビタミンDとビタミンKを摂る
ビタミンDとビタミンKは強い骨を作るためにとても大切です。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けるなど、骨の健康のための役割がいくつかあります。骨減少症、骨粗しょう症など骨の疾患から守るためには、30ng/ml (75nmol/l)以上の血中濃度が求められます。(参考)実際に、ビタミンD量の少ない子どもや成人は骨密度が低い傾向にあり、ビタミンD量が多い人よりも骨減少のリスクが高いことが研究で判明しています。(参考1)(参考2)
残念ながら世界中でビタミンDが不足している人はおよそ100万人と、ビタミンD不足は一般的です。(参考)日光を浴びたり、脂分の多い魚、レバー、チーズといった食品から摂ることでビタミンDは十分摂取することができます。しかし、適切な量を保つために最高2,000IUまでのビタミンDのサプリメントを毎日摂らなければいけない人もたくさんいます。
ビタミンKは、骨の形成に関わるたんぱく質、オステオカルシンを修正することで骨の健康をサポートします。この修正により、オステオカルシンは骨のミネラルに結合し、骨のカルシウムが減少するのを防ぎます。ビタミンK2の最も一般的な形は、MK-4とMK-7です。MK-4は、レバー、卵、肉の中に少し含まれています。チーズ、ザワークラウト、納豆などの発酵食品はMK-7を含んでいます。健康な若年女性を対象とした小規模な研究では、MK-7サプリは、MK-4よりもビタミンK2の血中濃度を高めることがわかりました。(参考)
しかし、他の研究では、ビタミンK2のどちらの形でもオステオカルシンの修正を助け、子どもや閉経後の女性の骨密度を増加させることがわかりました。(参考1)(参考2)(参考3)(参考4)50~65歳の女性を対象とした研究では、12ヶ月後、MK-4を摂取した女性は骨密度を保ち、プラセボ対象グループの方は、骨密度がかなり減少したことが判明しました。(参考)しかし他の12ヶ月の研究では、納豆を食べた女性と食べなかった女性との間で、骨減少の有意差は認められませんでした。(参考)
まとめ
ビタミンDとビタミンKを食品やサプリメントで十分摂取すると、骨の健康維持に役立ちます。
6. 超低カロリーの食事はしない
摂取カロリーを極端に下げることは良い考えではありません。代謝を下げ、リバウンドが起き、筋肉量が減ることに加え、骨の健康に悪影響を及ぼします。一日の摂取カロリーを1,000kcal未満にした食事をすると、体重が普通でも肥満でも骨密度が減ってしまいます。(参考1)(参考2)(参考3)(参考4)
ある研究では、4ヶ月間1日の摂取カロリーを925kcalにした女性が、筋力トレーニングをしたにも関わらず、腰まわりと大腿上部の骨密度がかなり減少しました。(参考)強い骨を作りそれを維持するためには、一日に1,200kcal以上のバランスの取れた食事をしなければいけません。骨の健康を守るビタミン・ミネラルを多く含む食品とたんぱく質をたくさん摂りましょう。
まとめ
筋力トレーニングをしていても、カロリーの少ない食事は骨密度を減少させることが分かっています。骨の健康を守るため、一日に1,200kcal以上のバランスの取れた食事をしましょう。
7. コラーゲンサプリメントを摂る
このトピックに関する研究は多くありませんが、既存のエビデンスでは、コラーゲンサプリが骨の健康維持に効果があることを示唆しています。
コラーゲンは、骨の中にある主なプロテインです。骨の形成を助けるアミノ酸グリシン、プロリン、リジンを含みます。コラーゲン加水分解物は動物の骨から抽出され、ゼラチンとして広く知られています。長年、関節痛を軽減するために使用されてきました。
ほとんどの研究では、関節炎などの関節疾患に対するコラーゲンの効果に着目していますが、骨の健康にも優れた効果があるようです。(参考1)(参考2)24週間にわたる研究では、骨粗しょう症の閉経後の女性に、コラーゲンとカルシトニンというホルモンを合わせて摂取してもらったところ、コラーゲン破壊の値が著しく減少しました。(参考)
まとめ
新たな研究では、コラーゲンを補完摂取すると、コラーゲン破壊が減少し骨の健康維持を助けることを示唆しています。
8. 体重を健康的に安定的に維持する
栄養豊富な食生活とともに、体重を健康的に保つことは骨の健康維持にもつながります。例えば、低体重だと骨減少症や骨粗しょう症のリスクが高まります。これは特に骨を守る効果があるエストロゲンが減少する閉経後の女性に当てはまります。実際、この年齢層において、低体重は骨密度の減少や骨減少の主な原因となるものです。(参考1)(参考2)
その一方で、肥満は骨質を落とし過剰体重の負担で骨折するリスクが高まります。(参考1)(参考2)通常、体重減少はある程度の骨減少につながりますが、通常体重の場合に比べて肥満の場合は、骨減少についてはあまり言われることがありません。(参考)
短期間でかなりの体重減少をするのと同様に、体重の増減を繰り返すと、特に骨の健康に悪影響があるようです。体重が減少したときに失った骨は、体重が戻った時には戻らないという最近の研究結果も出ています。これは、体重増減の繰り返しのサイクルは、生涯にわたり著しい骨減少につながるということを提示しています。(参考)骨の健康を守ることを考えると、通常体重あるいはそれより少し重い体重を一定に保つことが最善策のようです。
まとめ
痩せすぎたり太りすぎたりするのは、骨の健康に悪影響があります。さらに体重増減を繰り返すよりも一定に体重を保つ方が、骨密度を維持することができます。
9. マグネシウムと亜鉛を多く含む食品を食べる
カルシウムだけが骨の健康に大切なミネラルではありません。マグネシウムや亜鉛など他のミネラルも役割があるのです。マグネシウムには、ビタミンDを"カルシウム吸収を促進する活性形態"に変換する重要な役割があります。(参考)73,000名の女性を対象にした観察研究では、一日に400mgのマグネシウムを摂取した女性は、その半量を摂取した女性よりも骨密度が2~3%高い傾向にあるという結果が出ました。(参考)
おおくの食材には、マグネシウムは少ししか含まれていませんが、中にはマグネシウムを摂るために優れた食品がいくつかあります。マグネシウムグリシン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩を補うと効果的です。
亜鉛は、必要とする量がほんの少しという微量ミネラルの一つです。骨のミネラル部分を作るのに役立ちます。さらに亜鉛は、骨形成細胞の形成を促進し骨の過剰な破壊を防ぎます。亜鉛を補うと子どもの骨の成長を助け、高齢者の骨密度維持に役立つとの研究結果もあります。(参考1)(参考2)亜鉛を含む食品は、牛肉、えび、ホウレンソウ、アマニ、牡蠣、カボチャの種です。
まとめ
マグネシウムと亜鉛には、幼年期の骨量を最大限にしたり高齢者の骨密度を維持する大切な役割があります。
10. オメガ3脂肪酸を多く含む食品を食べる
オメガ3脂肪酸は、抗炎症作用があることで広く知られています。老化の過程における骨減少の予防にも効果があるとされています。(参考1)(参考2)(参考3)
食事にオメガ3脂肪酸を加えるだけでなく、オメガ3に対するオメガ6のバランスが高すぎないようにするのも大切です。45~90歳の1,500名超を対象とした大規模な研究では、オメガ3脂肪酸に対するオメガ6脂肪酸の割合を高くして摂取した人は、割合が低い人に比べて骨密度が低い傾向にあるという結果が出ました。(参考)
一般的に、オメガ6とオメガ3の割合は、4:1かそれ以下を目指すと良いでしょう。さらに、おおくの研究では、脂肪分の多い魚に含まれる長鎖オメガ3脂肪酸の効果に目を向けたものですが、ある比較研究では、植物由来のオメガ3は骨の破壊を減少し骨の形成を増加させることが分かっています。(参考)植物由来のオメガ3脂肪酸には、チアシード、アマニ、ウォールナッツがあります。
まとめ
オメガ3脂肪酸は、新しい骨の形成を促進し高齢者の骨の減少を予防します。
要約
骨の健康は、人生のどのステージにおいても大切です。しかしおおくの人は、骨の減少が進むという現象が表れるまで、骨の健康維持について気にも留めません。
幸いにも、強い骨を作り維持する栄養素や生活習慣はいくらでもあります。いつ始めても遅すぎることはないのです。
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