概要
女性の月経が12か月連続なく、自然に妊娠できなくなった場合に閉経が発生します。 平均的に45〜55歳で閉経を迎えると言われていますが閉経の年齢範囲が前後することもあります。
ほとんどの場合、更年期障害の治療は必要ありませんが閉経によりぼせや体重増加などの不快な症状が起こります。
この記事では閉経について知っおくべきことを紹介します。
更年期症状はいつ始まり、どのくらい続くのか?
ほとんどの場合、最後の生理の4年前程から更年期症状が始まり、最後の生理の4年後くらいまで症状は続くと言われています。
少数ではありますが中には10年程の更年期症状を経験する女性もおり、10人に1人の女性は最後の生理後12年間程、更年期症状を経験することもあります。
遺伝子や卵巣の健康状態など更年期開始時期を決定因子はたくさんあります。閉経の前に、閉経周辺期があります。ホルモンが閉経の準備に伴い変化する期間を閉経周辺期といいます。
閉経周辺期は数ヶ月から数年に及ぶ場合もあります。ほとんどの女性は40代中旬に閉経周辺期を迎えますが迎えずに閉経を迎える女性もいます。
1%の女性に40歳前に閉経を迎える、早発閉経、原発性卵巣不全が起こっています。約5%の女性が40〜45歳の間に閉経を迎える早発閉経を経験します。
更年期障害の症状とは?
更年期症状はそれぞれ異なります。閉経を急または短期間で迎えた時に症状はより深刻と言われています。
癌、子宮摘出、喫煙をしている不摂生な生活など卵巣の健康に悪影響を与える経験をしている女性程更年期症状は深刻化しやすいとされています。
更年期症状、閉経、閉経後の症状は生理周期の変化以外も類似しています。閉経周辺期の代表的なサインは主に以下です。
- 生理頻度の現象
- 普段と比べて生理障害の重症化または軽症化
- ほてり、寝汗、紅潮などの血管運動症状
約75%の女性が閉経に伴なり、ほてりやすくなります。
その他閉経に伴う代表的な症状は以下です。
- 不眠症
- 膣の乾燥
- 体重の増加
- うつ病
- 不安
- 集中困難
- メモリの問題
- 性欲減退、または性欲変化
- 皮膚、口、目の乾燥
- 排尿の増加
- 胸の痛みや圧痛
- 頭痛
- 鼓動の高なり
- 尿路感染症(UTI)
- 筋肉量の減少
- 関節の痛みや硬化
- 骨密度の減少
- 乳房が少ない
- 薄毛や脱毛
- 顔、首、胸、背中上部など、体の他の部分の発毛の増加
合併症
更年期障害の一般的な合併症は次のとおりです。
- 外陰部カンジダ症
- 性交疼痛症、または痛みを伴う性交
- 代謝機能の低下
- 骨粗しょう症、骨密度の低下による骨の軟体化
- 気分や突然の感情の変化
- 白内障
- 歯周病
- 尿失禁
- 心臓または血管疾患
更年期障害が起こる原因とは?
更年期障害は、卵巣が老化し、生殖ホルモンの生成が少なくなると発生する自然な現象です。
以下の因子のレベル低下に反応して体は変化を受け始めます。
- エストロゲン
- プロゲステロン
- テストステロン
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 黄体形成ホルモン(LH)
活発な卵胞の喪失が最も顕著な変化の1つと言えます。 卵巣の卵胞は卵巣壁から卵を産生および放出する構造であり、月経と受精を可能にします。
40代後半にほとんどの女性は生理周期の不順、重量化、長期化を経験し、アメリカではほとんどの女性は52歳までに閉経を迎えます。
場合によっては、閉経が卵巣およびそれに関連する骨盤構造の損傷または外科的除去によって引き起こされることもあります。
更年期障害の一般的な原因は次のとおりです。
- 両側卵巣摘出術、または卵巣の外科的除去
- エストロゲン受容体陽性腫瘍の女性に対するホルモン療法、手術、または放射線療法技術によって行われる可能性のある卵巣切除または卵巣機能の停止
- 骨盤放射線
- 卵巣をひどく損傷または破壊する骨盤損傷
閉経はどのように診断されるのか?
45歳以下の方で更年期・閉経障害による問題を抱えていたりしているなら専門家に相談にいくことをお勧めします。
近年、FDAに認証されたPicoAMH Elisaテストという新しい血液検査は、女性が更年期に入ったか、または更年期障害の始まりに近づいているかどうかを判断するのに役立ちます。
PicoAMH Elisaテストの承認は、体に悪影響を与える閉経周辺期を迎える女性の役に立つかもしれません。早期閉経は骨粗しょう症や骨折、心臓病、認知機能の変化、膣の変化と性欲の喪失、気分の変化などリスクが高めます。
医師による血液検査でFSHとエストラジオールと呼ばれるエストロゲンの一種など、血液中の特定のホルモンのレベルを測定することができます。
30 mIU / mL以上のFSH血中濃度の一貫した上昇と、1年以上の月経不足が見受けられることにより、通常は閉経が確認されます。 唾液検査と市販(OTC)尿検査という方法もありますが、信頼性が低く、費用が高いです。
閉経周辺期間はFSHとエストロゲンのレベルが毎日変動するため、ほとんどの専門家は症状、病歴、および月経情報に基づいて状態を診断します。
症状と病歴に応じて、専門家は更に血液検査を行い、症状の原因となる可能性のある他の基礎疾患を除外することができます。
更年期障害の確認に役立つ血液検査には、次のものが含まれます。
- 甲状腺機能検査
- 血中脂質プロファイル
- 肝機能検査
- 腎機能検査
- テストステロン、プロゲステロン、プロラクチン、エストラジオール、絨毛性ゴナドトロピン(hCG)テスト
治療
症状が重度の場合や生活の質(QOL)に影響を与える場合は、治療が必要になることがあります。ホルモン療法によって、60歳未満の女性、または閉経が始まってから10年以内の女性は、以下の軽減または管理するのに効果的な治療となります。
- ほてり
- 寝汗
- 紅潮
- 膣萎縮
- 骨粗鬆症
他の療法により脱毛や膣の乾燥などの特定の更年期障害の症状は治療することもあります。
更年期障害の症状のために一般的に使用される薬には以下があります。
- 薄毛と抜け毛のために1日1回使用する局所ミノキシジル5%
- 脱毛に使用されるフケ防止シャンプー、一般的にはケトコナゾール2%と亜鉛ピリチオン1%
- 不要な育毛のための塩酸エフロルニチン局所クリーム
- ほてり、不安症の為の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、うつ病には通常パロキセチン7.5ミリグラム
- 非ホルモン性膣保湿剤および潤滑剤
- クリーム、リング、またはタブレットの形の低用量のエストロゲンベースの膣潤滑剤
- 膣の乾燥と痛みを伴う性交のためのオスペミフェン
- 再発性UTIの予防的抗生物質
- 不眠症のための睡眠薬
- 月経後骨粗しょう症に対するデノスマブ、テリパラチド、ラロキシフェン、またはカルシトニン
自宅療法と生活習慣の改善
自宅療法、生活習慣の改善、様々な治療法により、軽度から中程度の更年期障害の症状は自然に軽減することができます。 閉経期の症状を管理するための自宅療法をいくつか紹介します。
快適に涼しく過ごす
暖かい日は火照り防止のためにゆったりとした重ね着してください。
寝室を涼しくして、重い毛布を避けることで、寝汗を防止します。 よく寝汗をかく場合は、マットレスを保護するために寝具の下に防水シートを使用するのもいいかもしれません。
火照りを感じた場合の為に持ち歩き用扇風機を携帯するのもいいでしょう。
体重管理とエクササイズ
1日の摂取カロリーを400〜600減らして、20〜30分のエクササイズを適度に行ってみてください。これらで以下が期待できます。
- 体力の増加
- 睡眠の改善
- 気分の改善
- 全体的な健康状態の改善
何が必要かを知る
セラピストまたは心理学者に、うつ病、不安、悲壮感、孤独感、不眠症、アイデンティティの変化について、相談してください。
また、家族、恋人、または友人に不安感、気分の変化、うつ病について話し、周りの人にあなたのニーズを伝えてください。
食生活の補強
カルシウム、ビタミンD、マグネシウムのサプリメントで骨粗しょう症のリスクを減らし、エネルギーレベルと睡眠を改善してください。 自分に必要なサプリメントについて医師に相談してください。
リラックスの練習
以下のようなリラックスや呼吸方法の練習をしてみてください。
- ヨガ
- ボックス呼吸
- 瞑想
肌の手入れ
乾燥肌ならしっかり保湿をしてください。 過度の入浴や水泳は皮膚が乾燥したり刺激を受けるので避けてください。
睡眠障害の管理
OTC睡眠薬を使用して一時的に不眠症を管理するか、自然な睡眠補助薬について医師と相談することを検討してください。 定期的に睡眠障害がある場合は、症状改善、質の良い睡眠の為にも医師に相談してください。
禁煙とアルコール摂取の制限
周りの人の受動喫煙被害の為にも喫煙をしましょう。喫煙は症状を悪化させることもあります。
アルコール摂取の制限も症状悪化を防止する為に必要なことです。過度なアルコールの摂取は健康にも悪影響を及ぼします。
他の療法
いくつかの研究では、エストロゲンの欠乏によって引き起こされる更年期症状のためにハーブ療法を使用しています。
更年期障害の症状を抑えるのに役立つ可能性がある天然由来のサプリメントと栄養素には、次のものがあります。
- 大豆
- ビタミンE
- イソフラボン
- メラトニン
- フラックスシード
黒コホシュはほてりや寝汗などのいくつかの症状を改善する可能性があるともいわれています。 しかし、最近の研究では、これらの主張を裏付ける証拠はほとんど見つからず更なる研究が必要と言われています。
同様に、2015年の研究結果では、オメガ3脂肪酸が更年期障害に関連する血管運動症状を改善できるという主張を裏付ける証拠も見つかりませんでした。
見解
更年期障害は、生殖能力の終わりを示す女性の月経周期の自然な停止です。ほとんどの女性は52歳までに閉経を経験しますが、骨盤または卵巣の損傷により、早い段階で突然の閉経が引き起こされることもあります。遺伝や基礎疾患も閉経の早期発症につながることもあります。
多くの女性は、閉経前の数年で更年期症状を経験します。一般的な症状は、ほてり、寝汗、および紅潮です。 これらの症状は閉経後4年以上続くこともあります。
症状が重症であったり、生活の質に影響を与えている場合は、ホルモン療法などの治療で改善することもできます。 一般的に、更年期障害の症状は、自然療法と生活習慣の調整をすることで管理して軽減することができます。
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