はじめに
セロリはセリ科の植物です。セリ科には他にも人参、パースニップ、パセリ、セロリルートなどが含まれます。セロリの歯応えのよい茎は、低カロリーのスナックにぴったりで、健康効果もたくさんあります。
セロリの繊維は消化や循環器系の機能を助けます。セロリは抗酸化物質も含み、疾患予防にも役立ちます。 この記事では、セロリの健康効果と栄養価、そして料理方法について説明します。
セロリの健康効果
セロリの茎葉、そして種に含まれる栄養素には、多くの健康効果があります。
しかし、セロリに含まれる栄養価は少量であることも覚えて置かなければいけません。セロリだけを食べるだけでは、病気を治したり、防いだりはできません。
炎症やがんを防ぐ
セロリにはアピゲニンと呼ばれる植物性化合物が含まれています。アピゲニンは、抗炎症、抗菌、抗ウィルス、抗酸化物質となる成分として、漢方薬に使われています。
また、セロリーには抗がん作用もあると言われています。
2016年の調査報告では、臨床試験において、アピゲニンがアポトーシスという細胞が自然死してしまう症状に効果があることが報告され、がん治療への応用に期待されました。
2015年には、マウスの実験において、アピゲニンとアピゲニンを豊富に含む食事が、炎症性たんぱく質の発現を抑えることが確認されてたことから、アピゲニンには、炎症を抑え、免疫システムのバランスを回復させる働きがあると結論づけられました。
セロリにはルテオリンの呼ばれるフラボノイドも含まれています。2009年に発表された記事では、がん細胞の広がりや細胞死の誘発を防ぐ、ルテオリンの抗がん特性について示しており、ルテオリンによって、がん細胞が化学治療の影響をより受けやすくなると指摘しています。
がんと食事の関係については、こちらの記事を参照してください。(参考)
血圧
漢方薬では、血圧を下げるためにセロリやセロリの抽出物を用います。
ある実験では、正常の血圧値のマウスと、人工的に誘発された高血圧症を持つマウスを用いて、セロリシードの抽出物の血圧コントロールに対する効果を調べました。
その結果、セロリの抽出物は、血圧の高いマウスの血圧を下げ、心拍数を増加させましたが、正常な血圧のマウスには変化を与えませんでした。有力な証拠には欠けるものの、セロリシードは、人の血圧を下げるのにも有効であると言えそうです。
また、セロリには植物繊維が豊富に含まれます。2016年のコクランの報告によると、食物繊維をより多く摂取した人は、摂取の少ない人よりも血圧が低いという結果が出ました。
この報告者は、この結果に対しさらに確証を深め、様々な種類の植物繊維のより正確な有効性について研究が進むよう求めています。
他の高血圧によい食品については、こちらの記事を参照してください。(参考)
脂質異常症
脂質異常症とは、血中の脂肪分子が増えることです。症状が出ないことも多いですが、長期的には、心疾患や脳卒中のリスクとなります。
2014年の報告では、高脂肪の食事を与えられたマウスで、セロリの抽出物による悪玉コレステロールの低下が確認されました。
2016年のコクランの報告では、食物繊維を豊富に摂取する人は、摂取が少ない人より、総コレステロールと悪玉コレステロールの値が低い傾向にあることが分かっています。
コレステロールの高い人におすすめの食品や避けたほうがよい食品については、こちらの記事を参照してください。(参考)
神経発生
アピゲニンは、神経発生(新しい神経細胞の発生と発達)にも効果があるかもしれません。
2009年の報告では、マウスにアピゲニンを投与したところ、神経細胞の生成が促され、記憶と学習の能力が高まったという結果が発表されました。
しかし、人での効果については、まだ十分な研究がなされていません。
その他の効果
セロリの抽出物は以下のような症状にも効果があると言われています。
- 肝臓疾患や黄疸
- 尿路閉塞症
- 痛風
- リュウマチ障害
また、以下の治療にセロリシードが用いられます。
- 気管支炎
- ぜんそく
- 乾癬症やその他の皮膚の疾患
- 嘔吐
- 発熱
セロリとセロリシードのこれらの効果を裏付けるには、さらに研究が必要であれるとされています。
抗酸化物質を含む食品についてのさらなる情報はこちらを参照ください。(参考)
セロリの栄養価について
セロリの主成分は水分ですが、食物繊維も含みます。4インチ(約10センチ)、重さ4グラムのセロリの茎には、約0.1グラムの植物繊維が含まれています。
アピゲニンとルテオリンの他にもセロリには強力な抗酸化作用のある以下のような物質が含まれています。
- セリネン
- リモネン
- ケンペロール
- pクマル酸
様々な抗酸化物質は、フリーラジカルと呼ばれる遊離分子から細胞を守る働きをします。フリーラジカルは私たちの体の自然な働きの副産物として生成されるものですが、増えすぎたフリーラジカルは体に有害な働きをします。
抗酸化物質は、フリーラジカルを中和させ、病気の発症のもととなる体へのダメージを防ぎます。
また、セロリ1本で、少量のビタミンKや葉酸、ビタミンA、カリウム、ビタミンCが摂取できます。
セロリの摂取方法
セロリは生でも調理しても食べることができます。
通常、生の野菜には調理した野菜よりも多くの栄養素が含まれています。セロリを10分間蒸しても、抗酸化物質の量には大きな変化はありませんが、茹でた場合には、抗酸化物質が減少するという報告もあります。
セロリは、
- チーズ
- フムスなどのディップ
- ピーナッツバター
とよく合います。
きゅうり、りんご、ほうれん草、レモンなどと一緒にスムージーを作っても、美味しくて健康的でしょう。
- サラダ
- スープ
- リゾット
などにセロリやセロリシードを使うのも良いアイディアです。
以下のリンクにある栄養士おすすめのレシピも参照ください。
セロリの親戚であるセロリルートを使ったレシピもあります。
- 白豆とセロリルート、ブルガー小麦のグラタン(参考)
セロリルートについてもっと知りたい場合は、こちらを参照ください。(参考)
セロリのリスクについて
2017年の報告書では、場合によってはセロリにアレルギー反応を示す人がいることが報告されています。
アレルギーの症状としては、
- じんましん
- 腫れ
- 呼吸困難
などがあります。
セロリを食べた後に呼吸困難を引き起こす人がいた場合は、すぐに対処が必要です。アナフィラキシーという急性の症状が出る場合もあり、死にいたる可能性もあります。
セロリにアレルギーのある人は、少量でも反応を起こすことがあるので、食品ラベルをよく確認しましょう。
また、妊娠中の女性は、子宮を刺激する恐れもあるので、セロリシードのサプリメントは避けるべきです。
セロリの他のリスクとして、殺虫剤があります。 Environmental Working Group(アメリカの環境保護団体)が2019年に発表した最も殺虫剤を含む農産物15種類の中で11番にランクインしています。殺虫剤による汚染を防ぐため、セロリはよく水洗いしてから使いましょう。
まとめ
セロリは、料理に歯応えや美味しさを加えます。また、セロリシードや抽出物には、多くの健康効果があるほほか、低カロリーのスナックとしても重宝します。
伝統医学や多くの研究は、食品としてのセロリよりも、セロリの抽出物により重きを置いていることも注目すべき点です。
しかし、多くの種類の果物や野菜を食べることは、様々な健康効果をもたらします。
セロリシードの抽出物は、サプリメントとして摂取できますが、他のサプリメントと同様、安全性やその人にとって望ましいものかどうか、かかりつけ医に相談するべきでしょう。サプリメントの中には、処方薬の効果を妨げたり、特定の人にとっては不必要だったりします。
セロリシードやドライセロリ、その他のセロリの製品はオンラインでも購入することができます。
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