メラトニンとは何か?
メラトニンは世界中で広く使用されている成分の一つです。
メラトニンは特に睡眠に関係する効果で知られていますが、他にもいくつかの健康への効能が確認されています。
脳の松果体から作られるホルモンの1つであり、自然な睡眠サイクルを作る働きを担う主要なホルモンです。(参考1、参考2)このため、メラトニンはしばしば不眠などに対する睡眠導入役などとして使用されます。
睡眠の改善以外にも、メラトニンは免疫機能、血圧、ストレス関連ホルモンであるコルチゾルレベルなどにも関係しているとされています。
加えて、いくつかの研究で示されているように、多くの面で健康に影響する抗酸化物質としての機能も指摘されています。(参考)
実際、研究ではメラトニンが眼球の健康維持、季節性うつ病症状の軽減、逆流性食道炎の症状改善などの効果が報告されています。(参考1, 参考2, 参考3)
この記事では、メラトニンの効能や可能性のある副作用、用量などを取り上げます。
💡POINT
メラトニンは体の睡眠サイクルを制御するホルモンです。そして、それ以外にも健康における効能があります。
メラトニンに期待される効果
睡眠に関する改善効果
メラトニンはしばしば、良い意味で睡眠のためのホルモンとも呼ばれます。不眠症などに睡眠導入薬として使用される、治療薬の1つとしても有名です。
複数の研究において、メラトニンが良い睡眠を助けるとの報告がされています。
ある研究では、50名の不眠症患者に就寝の2時間前にメラトニンを投与したところ、入眠までの時間が早くなり全体の睡眠の質が向上したと報告されています。(参考)
他にも、不眠症のある子供から大人までを対象とした19もの先行研究をまとめた報告では、メラトニンが入眠までの時間を短縮させ、睡眠時間を延長し睡眠の質を向上させたとしています。(参考)
他の睡眠薬に比べると、メラトニンはほとんど副作用などの報告がないものの、効果は他の薬と比較するとやや劣るかもしれません。(参考)
💡POINT
いくつかの研究で、不眠症のある子供から大人まで、メラトニンが睡眠時間を延長させ、入眠するまでの時間の短縮や、睡眠の質の向上にもつながったと報告されています。
睡眠改善に関しては以下の記事でも詳しく解説をしていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
季節性うつ病の症状を改善する可能性
季節性情動障害は季節性うつ病とも呼ばれ、世界中で10%程度の人に影響を及ぼしていると考えられている、とても頻度の高い病気です。(参考)
このタイプのうつ病は季節の変動に関連しており、毎年同じ時期に症状が起きることが特徴的で、秋から冬の始めにかけて最も症状が出やすいとされています。
ある研究では、季節の変動による日照の変化が概日リズムに影響を及ぼして症状をきたす可能性が示唆されています。(参考)
メラトニンは人の概日リズムの調整に重要な役割を果たしているので、低用量のメラトニンがしばしば季節性うつ病の症状を軽減するために用いられます。
68名を対象にした研究では、概日リズムの調整が季節性うつ病に対して有効であったとの報告があり、メラトニンを毎日内服することで症状が緩和されたとされています。(参考)
しかしながら、他の研究ではメラトニンの季節性うつ病に対する効果は確定的ではなく、今後の研究が待たれます。
例えば、過去の8つの研究をまとめた報告では、メラトニンは双極性障害、うつ病、季節性うつ病などの気分障害の症状緩和には関連がなかったとされています。(参考)
メラトニンが季節性うつ病の症状に対してどの様に作用するかは、今後の研究結果が待たれます。
💡POINT
季節性うつ病には体の概日リズムの変化が関連しているかもしれません。ある研究ではメラトニンが症状の軽減に有効であったと報告していますが、別な研究では効果は証明されず結果は確定的ではありません。
成長ホルモンの増加作用
人の成長ホルモンは、成長と細胞の再生に欠かせないホルモンです。(参考)
このホルモンが高値であると、筋肉の強さと量が増加します。(参考1, 参考2)
ある研究では、メラトニンの補充が男性の被験者における成長ホルモンを増加させたとの報告があります。
また、別の8名の男性を対象にした小規模の研究では、低用量(0.5mg)と高用量(5mg)のいずれの量のメラトニンの投与でも、成長ホルモンの増加作用が見られたとされています。(参考)
その後に行われた別な研究でも32名の被験者の男性において、同じ効果が確認されました。(参考)
しかしながら、一般の人に対してどの様にメラトニンが成長ホルモンに作用するのかを理解するためには、さらに追加での大規模な研究が必要でしょう。
💡POINT
いくつかの研究においては、メラトニンの摂取が男性において、成長ホルモンを上昇させるとの報告があるものの、結果は確定的ではなく今後の研究が待たれます。
成長に関しては以下の記事でも詳しく解説をしていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
眼の健康維持への効能
メラトニンは細胞への障害を防ぎ、目を健康に保つ抗酸化物質を多く含みます。
実際、研究ではメラトニンが緑内障や加齢黄斑変性症などの疾患の治療に有効である可能性が示唆されています。(参考)
100名の加齢黄斑変性症がある人における研究では、3mgのメラトニンのサプリメントを6-24ヶ月摂取した人において、網膜の保護効果、加齢による網膜の障害抑制、視野の明瞭さの維持などの効果が認められたとされています。(参考)
さらに、ラットにおける研究では、メラトニンの視力の低下につながる網膜症の重症度と発症頻度を軽減させる効果が指摘されています。(参考)
しかしながら、これらの研究の数は限られており、長期のメラトニンサプリメントの使用による眼球の健康への効果を明らかにするには、人を対象とした研究がこれからも追加で必要となるでしょう。
💡POINT
メラトニンは抗酸化物質を多く含み、加齢黄斑変性症や網膜症といった疾患に対して、人や動物の研究で効果が認められています。
関連して、眼精疲労に関しては以下の記事でも詳しく解説をしていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
逆流性食道炎の症状緩和
逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することで起きる病態で、胸焼け、吐き気、ゲップなどの症状がおきます。(参考)
メラトニンは、胃酸の分泌を緩やかにする効果があると考えられています。
また、メラトニンは、食道下部の括約筋を緩めて胃酸が食道に入りやすくしてしまう一酸化窒素の産生を減らすことも知られています。(参考参考)
このため、いくつかの研究ではメラトニンの胸焼けや逆流性食道炎への有効性の調査が行われています。
36名の被験者を対象にしたある研究では、メラトニンだけを摂取した場合と、メラトニンと一緒に一般的な逆流性食道炎の治療薬であるオメプラゾールを内服した場合のいずれでも、胸焼けや胸の不快感の改善効果があったとされています。(参考)
また別な研究では、351名の逆流性食道炎患者さんにおいて、胃薬であるオメプラゾールを内服した場合と、メラトニンを含むサプリメントを複数のアミノ酸、ビタミン、植物化合物などと一緒に摂取した場合とで、効果を比較しました。
40日の治療の結果、メラトニンを含むサプリメントを摂取した人では100%の症状改善が見られたのに対して、通常の胃薬のオメプラゾールを内服した人では症状改善を認めたのは65.7%に止まりました。(参考)
💡POINT
メラトニンは胃酸の分泌や一酸化窒素産生の抑制効果がある可能性が指摘されている。研究においては、メラトニンを単体もしくは他の薬と併用した、いずれの場合でも逆流性食道炎の症状緩和効果があると報告されています。
メラトニンの摂取量
メラトニンの用量は1日あたり0.5-10mgと幅があります。
しかしながら、全てのメラトニンサプリメントが同じではないので、副作用などを避けるためにはボトルのラベルなどに書かれている用法用量を守ると良いでしょう。
また、始めるときは少量から開始して、少しずつ増やしていくと自分にあった用量が見つかるでしょう。
メラトニンは睡眠のために摂取する場合には、最大の効果を得るためには就寝の30分前の摂取が勧められます。
一方で、メラトニンを概日リズムの調整や、規則正しい睡眠サイクルの確立ために使用する場合には、就寝の2-3時間前に摂取すると良いでしょう。
💡POINT
使用しているサプリメントの説明書に書いてある用法用量を守ることは大切ですが、一般的には、メラトニンは1日あたり0.5-10mg程度の量で、就寝3時間ほど前までに摂取すると良いでしょう。
メラトニンの安全性と副作用
研究では、メラトニンの成人における使用は、安全で、短期使用と長期使用のいずれの場合も依存性はほとんどないとされています。(参考)
さらに、メラトニンサプリメントの摂取が体のメラトニン産生能力を低下させる懸念はありますが、いくつかの研究においてこの懸念は否定されています。(参考1, 参考2
しかしながら、メラトニンの長期使用の研究は成人にデータが限られているので、小児や青年における使用は推奨されていません。(参考)
メラトニンの使用に関連した最も頻度の高い副作用は、嘔気、頭痛、めまい、眠気です。(参考)
メラトニンは、抗うつ薬、抗凝固薬、降圧薬などの特定の薬剤と相互作用する可能性が指摘されています。(参考1, 参考2 参考3)
副作用を避けるために、これらの薬剤を摂取している場合にはメラトニン内服の開始前に医師に相談しましょう。
💡POINT
成人においてメラトニンが安全で副作用も少ないとことが研究でわかっているものの、他の薬剤との相互作用の可能性があるので注意が必要です。
まとめ
メラトニンは睡眠、目の健康、季節性うつ病、成長ホルモンの分泌、逆流性食道炎などに対して良い効果が期待されています。また、メラトニンは安全で、副作用もほとんどないとされていますが、特定の薬剤との相互作用があることは注意が必要です。
摂取を検討している場合には、この記事をぜひ参考にしてみてください。alloehでは、メラトニンを含む製品のランキングも作成しています。
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