コンドロイチン硫酸エステルナトリウムについて
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、関節周囲の軟骨に含まれる化学物質です。
一般的に、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムはサメや牛などの動物の軟骨から製造されます。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、変形性関節症や白内障に対して使われます。 多くの場合、アスコルビン酸マンガンやヒアルロン酸、グルコサミンなどの他の成分と組み合わせて使います。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムには、経口摂取や外用、注射など病態に合わせて様々な使い方があります。 しかし、これらの使用法が良いとする科学的な根拠はありません。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの作用機序
変形性関節症は、関節の軟骨が破壊される病気です。
軟骨の構成要素の1つであるコンドロイチン硫酸エステルナトリウムを摂取することで、この破壊のスピードが遅くなる可能性があります
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの用途と効果
白内障
研究では、白内障の手術中にコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸ナトリウムを含む溶液を眼に注入すると、眼を保護できると証明しています。 白内障手術用に作られたコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸ナトリウムを含むさまざまな製品が、米国食品医薬品局(FDA)によってレビューされています。 しかし、他の似たような治療と比べて、コンドロイチン硫酸とヒアルロン酸ナトリウムの組み合わせが、白内障術後の眼圧を下げるのかどうかは分かっていません。 初期の研究中には、コンドロイチン硫酸とヒアルロン酸ナトリウムを含む特定の目薬(Viscoat、Alcon Laboratories)が、白内障術後の眼圧を下げ、目の状態を改善すると示唆するものもあります。
しかし、コンドロイチン硫酸を含む目薬が、ヒアルロン酸のみの目薬やヒドロキシプロピルメチルセルロースと呼ばれる薬品を含む目薬よりも優れているわけではないようです。 白内障手術でコンドロイチン硫酸のみの目薬を使用した場合の効果は分かっていません。
変形性関節症
臨床研究によると、変形性関節症の患者がコンドロイチン硫酸を最大6ヶ月間経口摂取すると、痛みと関節機能をわずかに改善する場合があると示しています。 痛みが強い患者に対して、医薬品等級のコンドロイチン硫酸製剤を使った場合に最も効果があるようです。 変形性関節症の患者に効果があると証明されている製品には、Chondrosulf(IBSA Institut Biochimique SA)、Chondrosan(Bioibérica、SA)Structrum(Laboratoires Pierre Fabre)があります。 しかし、鎮痛効果はせいぜい小さなものです。
他の研究ではコンドロイチン硫酸を最大2年間摂取すれば、変形性関節症の進行を遅らせるかもしれないと示しています。 グルコサミンとコンドロイチン硫酸を併用した場合の効果を評価している研究もあります。 また、コンドロイチン硫酸とグルコサミンを含む特定の製品を服用すると、変形性関節症の症状を柔らげると示す研究もあります。 非流通品を使った場合は効果はないと他の研究では示しています。
コンドロイチン硫酸とグルコサミンを長期間服用すると、変形性関節症の進行が遅くなるようです。 コンドロイチン硫酸をグルコサミン硫酸やサメ軟骨、カンフル(樟脳)と混ぜ合わせたクリームは、変形性関節症の症状を軽減できるという研究結果もあります。 しかし、その症状が改善したのはカンフルのおかげである可能性が高いです。
コンドロイチンが皮膚から吸収されることを証明する研究はありません。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの根拠不十分な事象
アロマターゼ阻害薬と呼ばれる薬によって引き起こされる関節痛(アロマターゼ阻害薬による関節痛)
初期の研究は、グルコサミン硫酸塩とコンドロイチン硫酸を毎日2、3回に分けて24週間併用すると、
乳がん治療に使われる薬によって引き起こされる関節痛と関節症状が改善すると示唆しています。
ドライアイ
初期の研究では、コンドロイチン硫酸点眼薬を使用するとドライアイが改善すると示しています。
他の研究では、コンドロイチン硫酸とキサンタンガムを含む点眼薬を使用すると、人工涙液と同様にドライアイを改善できると証明しています。
しかし、その他の初期研究では効果はないと示しています。
運動による筋肉痛
初期に行われた研究から、男性が運動後にコンドロイチン硫酸を毎日摂取しても、筋肉痛は軽減されないことがわかっています。
胃の腫れ(炎症)(胃炎)
初期の研究では、胃炎の患者がコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸を含む液体を飲むと、腹痛が軽減する可能性があると示しています。
疼痛膀胱症候群(間質性膀胱炎)
コンドロイチン硫酸を含む液体を膀胱に注入すると、膀胱の痛みを改善できると示した研究もあります。
しかし、それを示す研究は質が良くないものがほとんどです。
質が高い研究の中には、膀胱内にコンドロイチン硫酸を注入しても効果がないと述べているものもあります。 初期の研究の中には、コンドロイチン硫酸と他の成分を含む製品を内服すると、膀胱の痛みが改善すると示したものもあります。
しかし、その効果がコンドロイチン硫酸によるものなのか、または他の成分によるものかどうかは明らかになっていません。
骨や関節に影響を及ぼす疾患;セレン欠乏症の患者(カシンベック病)
初期の研究では、コンドロイチン硫酸(グルコサミン塩酸塩含有/非含有)はカシンベック病の患者の痛みを軽減できると示唆しています。
また、コンドロイチン硫酸とグルコサミン硫酸を併用すると、この骨疾患患者の関節腔の狭小化を遅らせることができます。 ただし、コンドロイチン硫酸のみを服用しても同様の効果があるかどうかはわかっていません。
心臓発作
初期の研究には、コンドロイチン硫酸を内服することで、心臓発作の初発または再発のリスクを減少させる可能性を示すものもあります。
鱗状のかゆみを伴う皮膚(乾癬)
初期の研究では、乾癬の患者がコンドロイチン硫酸を2〜3か月間服用すると、痛みが軽減し、皮膚の状態が改善することを示唆しています。 しかし、他の研究はコンドロイチン硫酸(Condrosan、CS Bio-Active、Bioiberica S.A.、バルセロナ、スペイン)を3か月間毎日服用しても、乾癬および変形性膝関節症の患者の乾癬の重症度は軽減しないと示唆しています。
膀胱の調節不能(尿失禁)
初期の研究では、コンドロイチン硫酸ナトリウムを尿道カテーテルを通して膀胱に注入することで、過活動膀胱の患者さんの生活の質が改善すると示唆しています。
腎臓、膀胱、または尿道の感染症(尿路感染症, UTIs)
初期の研究では、コンドロイチン硫酸とヒアルロン酸を含む溶液をカテーテルから膀胱に注入すると、UTIsの既往がある女性患者のUTIsの罹患回数が減少すると示しています。
その他の症状
- 持続性の胸焼け
- 心臓病
- 弱く脆弱な骨(骨粗鬆症)
- 高コレステロール
- その他の病態
これらに対するコンドロイチン硫酸の効果を評価するには、より多くの研究が必要です。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの副作用と安全性
内服
コンドロイチン硫酸はほぼ安全です。 コンドロイチン硫酸は最大6年間、安全に服用することができます。 軽度の胃痛や吐き気を引き起こす可能性があります。
報告されている他の副作用
- 膨満感
- 下痢
- 便秘
- 頭痛
- 眼瞼腫脹
- 脚のむくみ
- 脱毛
- 皮疹
- 不整脈
皮膚外用薬
コンドロイチン硫酸はグルコサミン硫酸、サメ軟骨、カンフルと混合して外用薬として使えば、最大8週間はおそらく安全です。
点眼薬
白内障手術中に点眼薬として使用する場合、コンドロイチン硫酸はほぼ安全です。
注射薬
コンドロイチン硫酸を筋肉に注射する場合はおそらく安全です。 コンドロイチン硫酸は動物由来なので、安全性に懸念があります。 安全ではない製造方法が習慣化していた場合、病気の動物組織によってコンドロイチン製品が汚染されるかもしれないと心配する人もいます。例えば、牛海綿状脳症(狂牛病)の感染の可能性を懸念しています。 これまでのところ、コンドロイチンが人に病気を引き起こすという報告はなく、リスクは低いと考えられています。
コンドロイチン製品の中には、過剰量のマンガンが含まれているものもあります。 信頼できるブランドについては、かかりつけの医療関係者にお尋ねください。
特別な予防措置と警告
妊娠と授乳
妊娠中または授乳中にコンドロイチン硫酸を使用しても安全かどうかを示す信頼できる情報はありません。 安全のため、使用しないでください。
喘息
コンドロイチン硫酸が喘息を悪化させる可能性があると懸念されています。喘息がある場合は慎重に使用してください。
血液凝固障害
理論的には、血液凝固障害の患者にコンドロイチン硫酸を投与すると出血のリスクが高まるおそれがあります。
前立腺がん
初期の研究では前立腺がんの患者にコンドロイチン硫酸を使用すると、転移や再発を引き起こす可能性があると示唆しています。 この結果は、コンドロイチン硫酸サプリメントでは証明されていません。 しかし、前立腺がんに罹患している場合や、前立腺がんを発症するリスクが高い場合(前立腺がんの既往をもつ親兄弟がいる場合)は、より詳しい情報が明らかになるまでコンドロイチン硫酸は服用しないでください。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの相互作用
この組み合わせには注意してください
ワーファリン(Coumadin)はコンドロイチン硫酸と相互作用を起こします。
ワーファリン(Coumadin)は、血液の凝固作用を遅らせる働きがあります。
コンドロイチンとグルコサミンを併用すると、ワーファリン(Coumadin)の作用が強くなるという報告があります。 つまり、打撲や出血の原因となり深刻な病態を引き起こすことがあります。
ワーファリン(Coumadin)を服用している場合は、コンドロイチンを服用しないでください。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの用量
コンドロイチン硫酸の用量に関しては、研究から以下のことが分かっています。
経口
変形性関節症:通常用量は800-2000 mgを1回/日または2、3回/日です。最大3年間毎日服用できます。
皮膚外用
変形性関節症:コンドロイチン硫酸50 mg / g、グルコサミン硫酸30 mg / g、サメ軟骨140 mg / g、カンフル32 mg / gの混合クリームを使います。 関節痛の状態に応じて最大8週間使用できます。
筋肉注射
変形性関節症:コンドロイチン硫酸(Matrix)は毎日または2回/週、6ヶ月間筋肉に注射することができます。
点眼薬
白内障:硫酸コンドロイチンとヒアルロン酸ナトリウムを含む、様々な種類の点眼薬が白内障の手術で使われています(DisCoVisc, Alcon Laboratories; Viscoat, Alcon Laboratories; DuoVisc, Alcon Laboratories; Viscoat, Alcon Laboratories; Provisc, Alcon Laboratories) 。
最後に
いかがでしたでしょうか。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムが含まれているサプリメント・医薬品が気になる方は『口コミが多い「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」サプリ一覧』の記事も参考にしてみてください。
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