アーティチョークが身体に良い8つの理由
アーティチョークは、一般に野菜として扱われていますが、アザミの仲間です。
地中海原産で、薬としての効果が期待できるとされ何世紀にも渡って使用されてきました。
血糖値を下げる働き、消化促進、また心臓や肝臓にも良いとされてきました。
アーティチョークに含まれる成分を高濃度に含むアーティチョークエキスも、サプリメントとして人気が高まっています。
アーティチョークとそのエキスには、次の8つのメリットがあります。
1. 高い栄養価
アーティチョークは、栄養素が豊富です。
普通サイズのアーティチョーク(生の状態で128グラム、調理した場合120グラム)の栄養成分は以下の通りです。
生 調理した場合(ゆで)
炭水化物 13.5 グラム 14.3 グラム
食物繊維 6.9 グラム 6.8 グラム
たんぱく質 4.2 グラム 3.5 グラム
脂質 0.2 グラム 0.4 グラム
ビタミンC 一日推奨摂取量の25% 一日推奨摂取量の15%
ビタミンK 一日推奨摂取量の24% 一日推奨摂取量の22%
チアミン 一日推奨摂取量の6% 一日推奨摂取量の5%
リボフラビン 一日推奨摂取量の5% 一日推奨摂取量の6%
ナイアシン 一日推奨摂取量の7% 一日推奨摂取量の7%
ビタミン B6 一日推奨摂取量の11% 一日推奨摂取量の5%
葉酸 一日推奨摂取量の22% 一日推奨摂取量の27%
鉄 一日推奨摂取量の9% 一日推奨摂取量の4%
マグネシウム 一日推奨摂取量の19% 一日推奨摂取量の13%
りん 一日推奨摂取量の12% 一日推奨摂取量の9%
カリウム 一日推奨摂取量の14% 一日推奨摂取量の10%
カルシウム 一日推奨摂取量の6% 一日推奨摂取量の3%
亜鉛 一日推奨摂取量の6% 一日推奨摂取量の3%
アーティチョークは、低脂肪でビタミン、繊維、ミネラルなど、酸化防止に役立つ成分に富んでいます。特に葉酸やビタミンCおよびビタミンKに富んでいるため、マグネシウム、りん、カリウムや鉄といった重要なミネラル分の供給源ともなっています。
普通サイズのアーティチョークには、一日推奨摂取量の23~28%にも値する、7グラムもの食物繊維が含まれています。
また、中サイズのアーティチョークのカロリーはわずか60キロカロリーであるにもかかわらず、普通の植物由来の食品をはるかに上回る4グラムものたんぱく質が含まれています。
さらに、アーティチョークは、野菜のなかでも最も抗酸化作用の高い野菜です。
Point: アーティチョークは、低脂肪で、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、りん、マグネシウムといったビタミンやミネラルが豊富です。また、酸化防止剤の役割も果たします。
2. 悪玉コレステロール(LDL)の減少と善玉コレステロール(HDL)の増加
アーティチョークエキスは、コレステロール値を正常に保つのに役立つとされています。
コレステロール値を調整するサプリメントについては、『善玉・悪玉って何?コレステロール値に働きかけるサプリの成分を解説!』をご覧ください。
700名以上もの人が、アーティチョークエキスをサプリメントとして毎日5週間から13週間摂取した研究では、そうコレステロール及び悪玉コレステロール(LDL)の数値が下がったという結果が得られました。
高コレステロールの成人143名が、毎日6週間、アーティチョークエキスを摂取した結果、総コレステロールが18.5% 、 悪玉コレステロール(LDL)が22.9% 減少した、という研究結果もあります。
さらに、ある動物実験では、アーティチョークエキスを継続して摂取すると 悪玉コレステロール(LDL)が30%減少しただけでなく、トリグリセリドも 22%減少した、という結果が報告されています。
つまり、高コレステロールの成人が、アーティチョークエキスを定期的に摂取すると、善玉コレステロール(HDL)が増加する可能性があるということです。
アーティチョークエキスは、主に次の2つの方法でコレステロールに作用します。
一つ目は、ルテオリンが酸化を防止することで、コレステロールの形成を抑制します。
二つ目は、コレステロールを効率よく処理し、総コレステロールを低下させるのです。アーティチョークエキスは、コレステロール値を正常に保つのに役立つとされています。
Point: アーティチョークエキスは、総コレステロール及び悪玉コレステロール(LDL)を減少させ、善玉コレステロール(HDL) を増加させるとされています。
3. 血圧の安定化
アーティチョークエキスは、高血圧の人に効果的とされています。
高血圧の男性98名が、アーティチョークエキスを毎日12週間摂取すると、最低血圧は平均で2.76 mmHg、最高血圧は 2.85 mmHg低下したという研究結果もあります。
しかし、アーティチョークエキスがどのように血圧を下げるのかは、まだ完全に解明されていません。
ですが、動物実験などの実験レベルでは、アーティチョークが血管拡張を担うeNOSという酵素を促進するという結果が出ています。
さらに、血圧を安定させるカリウムを生成するとされています。
しかし、アーティチョークを食べることで、そのエキスを摂取するのと同様のメリットが得られるかどうかは分かりません。というのも、こういった研究で使用されているエキスは非常に高濃度だからです。
Point: アーティチョークエキスは、高血圧症の人の血圧を下げる助けになります。
4. 肝臓の健全化
アーティチョークエキスは、肝臓へのダメージを防ぎ、細胞の再生に貢献します
また、胆液の生成を促進するため、肝臓から有害物質を取り除く助けとなります。
ネズミにアーティチョークエキスを与えた実験では、肝臓へのダメージが軽減し、高い抗酸化効果を示しました。また、薬の過剰摂取にって、肝機能を低下させたネズミにアーティチョークエキスを与えると、与えなかったねずみに比べて、肝機能が改善したという結果が出ました。
人体実験でも、肝機能を改善するという報告があります。
アルコールは摂取しないが、脂肪肝の90名の被験者が2ヶ月間毎日600 mgアーティチョークエキスを摂取すると肝機能が改善したという実験結果も報告されています。
また、アルコール依存ではないものの、脂肪肝の成人90名が2ヶ月間毎日、アーティチョークエキスを摂取すると肝臓の炎症が軽減しただけでなく、摂取しなかったネズミと比較すると脂肪の堆積も少なかったという実験結果もあります。
化学者は、アーティチョークに含まれる、シナリンやシリマリンといった抗酸化剤が肝機能の健全化に貢献しているであろうとしています。
アーティチョークエキスが肝疾患の治療にどのように作用するかを確認するにはさらに研究が必要です。
Point: アーティチョークエキスを定期的に摂取することで、肝臓へのダメージを防ぎ、アルコール依存でない場合の脂肪肝の症状を緩和する事が期待されます。しかし、さらなる研究が必要です。
5. 消化促進
アーティチョークは食物繊維が豊富で、腸内の善玉菌を増やすことで消化を促進し、大腸がんのリスクを軽減したり、便秘や下痢の症状を軽減します。
また、プレバイオティック効果のある繊維質のイヌリンを含んでいます。
12名の成人が3週間毎日、イヌリンを含むアーティチョークを摂取した結果、腸内細菌が改善したという研究結果もあります。
アーティチョークエキスは膨満感や吐き気、胸焼けといった消化に関する症状を軽減するであろうと期待されています。
消化不良を患う247名の人がアーティチョークエキスを6週間毎日摂取したところ、摂取しなかった人に比べて、ガス腹や膨満感による不快感が軽減されたという結果も報告されています。
さらに、アーティチョークに含まれるシナリンも、胆液の生成を刺激し、腸の活動を促進し、ある種の脂肪の消化を助けることによって、消化に良い効果をもたらすことが期待されています。
Point: アーティチョークエキスは、腸内の善玉菌を増やし、消化に関する様々な不快な症状を軽減することが可能でしょう。
6. 過敏性腸症候群の緩和
過敏性腸症候(IBS)とは、消化に影響し、腹痛や腹部痙攣、下痢、膨満感、便秘、ガス腹などの症状を発症する病気です。
IBS患者がアーティチョークエキスを6週間毎日摂取したところ、その症状が緩和されたという結果が報告されています。その被験者の98%が、通常IBS治療に用いられる下痢止めと比べて良いとまではいかないものの、同様の効果があったと評価しています。
また、IBS患者208名が2ヶ月間毎日アーティチョークエキスカプセルを1~2錠摂取した結果、26%の人に症状の軽減が見られ、20%の人が生活の質が向上したと回答したという研究報告もあります。
アーティチョークエキスは、次のような理由でIBSの症状を軽減するといわれています。
まずは、痙攣をおさめる成分が含まれていることです。つまり、IBSにみられる筋肉の痙攣をおさえ、腸内細菌のバランスを整え、炎症を抑えるのに役立つのです。
アーティチョークエキスはIBSの治療に良いであろうとされているものの、それを実証するには、さらに大規模な人体実験が必要です。
Point: アーティチョークエキスは、筋肉の痙攣を緩和し、腸内細菌のバランスを整え、炎症を抑えるため、IBSの治療に役立つといわれています。しかし、これを実証するには、さらに研究が必要です。
7. 血糖値の低下
アーティチョークとアーティチョークエキスは、血糖値を下げる効果が期待されます。
肥満の成人39名が金時豆とアーティチョークエキスを毎日2ヶ月間摂取したところ、摂取しない人に比べて、空腹時血糖値が低下したという研究報告もあります。
しかし、アーティチョークがその結果にどの程度影響したかは不明です。
また、茹でたアーティチョークを食事に加えることで、食後30分の血糖値とインシュリン値が下がった、という結果も報告されています。しかし、これはメタボリックシンドロームではない健康な成人にのみ見られる効果です。
アーティチョークエキスがどのようにして血糖値を低下させるかについて、完全には解明されていません。
アーティチョークエキスは、でんぷんをグルコースに分解する酵素、αグルコシダージの活動を鈍化させ、血糖値に作用するであろうと言われています。
しかし、前述の通り、これを実証するにはさらに研究が必要となります。
Point: アーティチョークとアーティチョークのエキスは血糖値を下げると言われています。しかし、これを実証するにはさらに研究が必要です。
8. 抗癌効果
動物実験などの研究段階ではあるものの、アーティチョークエキスが、癌の進行を阻害するという結果もあります。
アーティチョークに含まれるルチン、ケルセチン、シリマリン、没食子酸などの抗酸化作用により、抗癌効果があると考えられています。
例えば、シリマリンは、動物実験などで皮膚がんの治療に効果があったといわれています。
良い結果ではあるものの、人体実験はまだ行われていません。ですので、今後さらに研究が必要となります。
Point: 動物実験などの研究レベルでは、アーティチョークエキスが癌の進行を阻害するという結果も出ています。しかし、人体実験はいまだ行われておらず、この結果を実証するにはさらに研究が必要です。
アーティチョークを食事に取り入れるには?
アーティチョークを調理するのは、意外と難しくありません。
蒸す、焼く、いためるなどが可能です。詰め物にしたり、パン粉をまぶすこともでき、スパイスなどの調味料で味付けも工夫できます。
蒸すのが最も一般的ですが、大きさによって大体20分~40分かかります。また、177℃(350°F)で焼くと40分ほどかかります。
もちろん、実も葉も食べることができます。
調理し終わったら、葉は取ってアイヨリソースやハーブバターに漬けこむなどして楽しむことが出来ます。食べられる実の部分にたどりつくまで、歯で嚙んで葉を取り除いてください。
葉を取り除いたら、チョークと呼ばれる実の中心部までけばだった部分をすくいとってください。それから、実の中心をすくいとって、そのまま食べるか、ピザやサラダのトッピングとしても使えます。
Point: アーティチョークの食べられる部分は、外葉と実の中心です。調理済みのアーティチョークは、温かいままでも冷たくしても食べれますし、他のソースをかけても楽しめます。
サプリメントとしての安全性と摂取量
アーティチョークエキスを摂取するのは、基本的に安全とされていますが、いくつか副作用も確認されています。しかし、限られたデータしか公開されていません。
副作用のリスクとしては、次のようなものが挙げられています。
- アレルギー症状の可能性:アーティチョークやアーティチョークエキスにアレルギー反応を示す人もいます。デイジーやひまわり、菊、マリーゴールドなど、アーティチョークと同じ種類に属する植物にアレルギーのある人は、副作用を起こすリスクが高まります。
- 妊娠中や授乳中の女性:安全性に関する情報が乏しいため、妊娠中や授乳中の女性は、アーティチョークエキスの摂取を避けましょう。
- 胆道閉塞や胆石のある人:アーティチョークやアーティチョークエキスは、胆液の分泌を促進するため、これらの疾患のある人は、摂取は避けましょう。
現在のところアーティチョークエキスの摂取量を決めるためには、データが不十分です。
しかし、人体実験で使われている量は大体、アーティチョークエキス300mg~640 mgを一日3回とされています。
もし、アーティチョークエキスを摂取すべきかどうか判断がつかない場合は、医師に相談してからにしましょう。
Point: アーティチョークエキスで副作用が発生するのはまれですが、胆管に問題のある人や、妊娠中及び授乳中の女性は、摂取しないほうが良いでしょう。適切な摂取量は、1回300 mg~640 mgを1日3回です。
まとめ
アーティチョークは非常に栄養価が高く、炭水化物量も低いため、身体に良い言われるメリットが沢山あります。
しかし、これまでにメリットとして言われている内容は、高濃度のエキスを用いた研究に限られています。
アーティチョークエキスを定期的に摂取することで、コレステロール値や血圧の安定、肝臓の健全化、IBSの症状緩和、消化促進、血糖値を下げるといった効果が期待できます。
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