PMSに最適な成分やサプリメントは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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PMSとは?

月経が始まる1週間ほど前から現れる身体的、あるいは精神的症状のことを月経前症候群(PMS)と言います。PMSの症状は人によってさまざまで、情緒不安定になる人もいれば、体の痛みやむくみに悩まされる人もいます。

また、PMSが発症する期間も人によって異なり、月経が始まる数週間ほど前から情緒不安定になる人もいます。理由もなく精神状態が突然乱れ、良い気分で目覚めたのに、数時間後にはコントールが効かない程のイライラに襲われることさえあります。他にも代表的な精神的症状として、気分の落ち込み、落ち着きのなさ、不安感、怒りっぽさ、などが挙げられます。

PMSの他にも月経前に気分障害を引き起こす2つの症状があります。

月経前不快気分障害(PMDD)

PMDDとPMSの症状はとてもよく似ていますが、PMDDの方がPMSより症状がさらに重く、強い情緒的不安定を引き起こすのが特徴です。気分の浮き沈みが非常に激しく、日常生活に支障をきたすまでのひどい精神的症状に悩まされる人もいます。最近の研究では、生殖年齢女子の約75%がPMSの症状に悩まされている一方で、PMDDに悩まされる女性の割合は、ほんの3~8%だと報告されています。(参考)

月経前増悪

月経前増悪とは、不安神経症・双極性障害、そしてうつ病など、既に悩まされている症状が月経の数週間前から数日前にかけて、更に悪化することを指します。PMS治療を受けている女性の約半数が、鬱病か不安神経症を抱えていると言われています。(参考)

PMSと気分変動の関係について更に詳しく見ていきましょう。

PMSの原因

PMSのはっきりとした原因は分かっていませんが、月経周期の後半に起こるホルモンの変動が関連していると考えられています。

排卵は月経と次の月経のほぼ中間点で起こります。排卵期には卵子が排出されると同時に、エストロゲンとプロゲステロンも多く分泌されます。しかし、月経日が近付くにつれ、逆にエストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下していくのです。

この変動する2つのホルモンが不快な身体的・精神的症状の原因だと言われています。また、エストロゲンとプロゲステロンの変動は、セロトニンの分泌量にも悪影響を及ぼします。セロトニンは神経伝達物質のひとつで、気分・睡眠周期・食欲などのバランスを整える役目を果たしています。このセロトニンが低下すると、悲しさやイライラ、不眠、そして食欲増加などを引き起こす原因となってしまいます。このセロトニンの減少により引き起こされる症状は、PMSでよく見られる症状と実によく似ています。(参考)

対策方法

症状を記録して体調管理

月経周期に起こる感情の変化を記録することをお勧めします。心の変化を記録することは、気分変動が月経周期によって変化していることを確認できる上に、情緒不安定の原因を正確に突きとめることにもつながります。

また、過去数回の月経周期についての詳しい記録は、医師に相談する際にも役立ち、医師にとっても、より正確な診断ができやすくなるというメリットがあります。

携帯の月経周期トラッカーで月経周期に起こる症状を確認するのも便利でしょう。このアプリを利用する際は、症状が付け加えられるものを探しましょう。

その他、自らの月経周期をグラフ化するのもよいでしょう。グラフの上に日付(1日~31日まで)を付け、ページの左側には症状のリストを書き加えます。その日に起きた症状には、リストの隣にバツを付け加え、症状が軽度、中度、重度かもメモしておきましょう。

気分変動を調べる際には、以下の症状が出たら必ずメモを取るようにしましょう。

  • 気分の落ち込み
  • 激しい感情の起伏
  • 涙もろさ
  • イライラ
  • 不眠、あるいは異常な眠気
  • 集中力の低下
  • 疲れやすい
  • 無気力
  • 無関心


ホルモン避妊薬

ホルモン避妊薬にはピルやパッチ型など、いくつかの種類がありますが、このホルモン避妊薬が体のむくみ、乳房の腫れや痛みなどの身体的症状、そして気分変動などの精神的症状を軽減する作用があると考えられています。

しかし、逆に避妊薬が気分変動を悪化させるケースもあります。そのため、ホルモン避妊薬での治療を希望する場合は、数あるホルモン避妊薬の中から、自分に合ったホルモン避妊薬を見つけることがまず必要です。また、経口避妊薬(ピル)に興味がある場合は、一週間分の偽薬が含まれないものをお勧めします。

継続してピルを飲み続ける場合には、月経自体を防ぎ、結果的にPMSの辛い症状を完全に防ぐことが可能となります。

薬によらない治療法

いくつかのミネラルやビタミンの中には、PMSによる気分変動の緩和に役立つものがあります。

まずはカルシウム。カルシウムは、気分の落ち込みやイライラ、そして不安といったPMSの症状緩和に有効だと臨床試験で実証されています。(参考)

カルシウムを豊富に含む食品には、ミルク・ヨーグルト・チーズ・緑色葉野菜・オレンジジュースとシリアルが挙げられます。

また、Amazonで購入可能な200mgのカルシウムサプリメントを一日一回摂取するのも効果的です。効果が感じられるまでには約3回の月経周期程度かかるので、直ぐに効果が現れなくても飲み続けることをお勧めします。

そのほか、ビタミンB6にもPMS症状を和らげる効果があると考えられています。魚・鶏肉と七面鳥・果物・強化シリアルにビタミンB6は多く含まれていますが、こちらもAmazonで購入可能なビタミンB6サプリメントでの代用が可能です。しかし、一日に100mg以上摂取しないように気を付けましょう。(参考)

ライフスタイルの変化

いくつかの生活要因がPMSの症状改善に役立つと考えられています。

運動:週に何度か、少なくとも30分程度の運動を心がけましょう。自宅周辺を毎日歩くだけでも、悲しみやイライラ、そして不安感を和らげてくれます。

栄養:PMSによって引き起こされる、ジャンクフードの大食いには注意しましょう。大量の糖分、脂質、そして塩分摂取は精神状態に悪影響を及ぼします。全てのジャンクフードを絶つ必要はありません。しかし、フルーツ・野菜・全粒穀物の食品などを同時に摂取し、バランスの良い食生活を心がけましょう。バランスの取れた食生活は、血糖値の急激な低下を防ぎ、イライラ防止に役立ちます。

睡眠:月経前の睡眠不足は精神を不安定にさせます。特に月経の1~2週間前には、少なくとも7~8時間の睡眠をとるように心がけましょう。睡眠不足が心と体にどれだけの影響を与えるか、次のリンクで確認ができます。(参考)

ストレス:コントロールされていないストレスは、気分変動を更に悪化させる原因になります。PMSの症状が現れた時は、呼吸法や瞑想、そしてヨガなどで心と体を落ち着かせましょう。

薬による治療:どの方法でも症状の改善が見られない場合には、抗うつ剤が効果的かもしれません。PMSの症状軽減として一般的に使用されている抗うつ剤に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)があります。SSRIsは、セロトニンの細胞内への再取り込みを阻害することで、脳内のセロトニンの分泌量を増やし、セロトニンの効果を増強する働きを促してくれます。代表的なSSRIsには、シタロプラム(商標セレクサ)、フルオキセチン(商標プロザック、サラフェム)、パロキセチン(商標パキシル)、セルトラリン(商標ゾロフト)が挙げられます。

また、前述のSSRIsの他にも、PMSにより発症する気分変動への治療に使用される抗うつ剤には、デュロキセチン(商標シンバルタ)とベンラファクシン(商標イフェクサー)があります。

症状によって抗うつ剤の処方が異なり、PMSの症状が現れる2週間前のみ摂ることが推奨される場合や、毎日飲むことを勧められる場合もあります。医師と十分に相談したうえで薬物治療を行いましょう。

医療機関への相談

月経前の気分変動に悩まされたら、まず婦人科医に相談しましょう。その際には、親身に話を聞いてくれる、信頼できる医者を見つけることがとても大切です。もしあなたの悩みに耳を傾けてくれないようであれば、他の医療機関を探しましょう。

また、JAPDのホームページには、PMSとPMDDに関するブログやオンラインコミュニティー、そして医療機関の紹介など、役に立つ情報が幅広く公開されています。(参考)

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