烏龍茶とは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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烏龍茶の概要

烏龍茶は日本でもよく飲まれる飲料で、複数の健康への効能を持つことで知られています。

例えば、代謝を亢進したりストレスを軽減する効果が期待されており、日毎に気分を向上させてくれる可能性があると考えられています。

この記事では、烏龍茶について知っておいた方が良いことや、その健康への効能などを取り上げます。

烏龍茶とは何か?

烏龍茶は、中国で伝統的に飲まれてきたお茶の1種です。品種が非常に多いことが特徴です。

全ての茶葉は、酸化と呼ばれる化学反応を起こす特定の酵素を含みます。酸化とは、緑茶を濃い黒色に変化させる反応のことです。

緑茶はあまり酸化が行われず、紅茶は茶葉が黒く変色するまで酸化が行われたものです。烏龍茶は、これらの工程の中間くらいに位置しており、部分的に酸化されたお茶になります。

この部分的な酸化が、烏龍茶の独特の色や味わいの原因になります。(参考)
しかし、烏龍茶の葉の色はブランドによって異なり、緑色から濃い茶色まで様々です。


烏龍茶の栄養素

紅茶や緑茶と同じく、烏龍茶にも多くのビタミン、ミネラル、抗酸化物質が含まれています。

1カップの烏龍茶に含まれる栄養素は以下のようになります。(参考1, 参考2)

フロライド 1日摂取推奨量の5-25%
マンガン 1日摂取推奨量の26%
カリウム 1日摂取推奨量の1%
ナトリウム 1日摂取推奨量の1%
マグネシウム 1日摂取推奨量の1%
ナイアシン 1日摂取推奨量の1%
カフェイン 36mg 


烏龍茶に含まれる主要な抗酸化物質は、ポリフェノールと呼ばれ、テアフラビン、テアルビジン、EGCGなどが含まれます。これらの物質は、烏龍茶の効能に関与していると考えられています。(参考)


烏龍茶はまた、テアニンと呼ばれる、お茶のリラックス効果の原因となるアミノ酸を含みます。(参考)

💡 POINT

カフェインに加えて、烏龍茶なビタミン、ミネラル、アミノ酸、有益な抗酸化物質などを含みます。


烏龍茶の効果

烏龍茶の糖尿病予防効果


烏龍茶に含まれる抗酸化物質であるポリフェノールは、血糖やインスリン量を低下させると考えられています。
また、これらの物質はインスリンに対する感受性を亢進させるとも考えられています。(参考1, 参考2)

同様に、いくつかの研究では、通常のお茶の摂取が血糖の改善や2型糖尿病の発症リスク軽減などの効果を発揮すると報告しています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4)

しかし、烏龍茶に限った効能については、緑茶や紅茶ほどは調べられていないのが現状です。
そうは言うものの、最近のレビュー研究では、毎日720mlの烏龍茶を飲んでいた人において、糖尿病の発症リスクが16%減少したと報告されています。(参考)

他の研究でも、糖尿病の人が毎日1.5Lの烏龍茶を摂取したところ、1ヶ月の介入で最大30%程度血糖が低下したとされています。(参考)
同じように、毎日1Lの烏龍茶を30日間摂取した被験者において、平均血糖が3.3%低下したとする報告もあります。(参考)

しかしながら、全ての研究が同様の結果を示しているわけではなく、一部の研究では毎日烏龍茶を480ml以上摂取していたところ、糖尿病の発症リスクが上昇したとする報告もあります。(参考1, 参考2, 参考3)

これらの研究の研究者は、烏龍茶に含まれていた残留農薬が悪影響の原因であった可能性を指摘しており、烏龍茶の摂取を避ける必要はないとしています。(参考)

💡 POINT

烏龍茶に含まれるポリフェノールのような抗酸化物質は、血糖を低下させ2型糖尿病の発症リスクを軽減するかもしれません。 しかし、研究の結果は一貫しておらず、今後も追加での研究が必要でしょう。


烏龍茶の心臓の健康増進効果

定期的に抗酸化物質を摂取することで、心臓の健康が増進されるかもしれません。(参考)
いくつかの研究で、定期的にお茶を摂取する人において、血圧と血中のコレステロールの低下、さらには心疾患のリスク低下が報告されています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4, 参考5)

最近の研究では、1日1.4L以上のお茶を飲む人において、心疾患のリスクが51%程度減少したと言われています。(参考)
他のいくつかの研究でも烏龍茶を特に調べているものがあります。

ある研究では、76,000人の日本人の成人を対象に、毎日240ml以上の烏龍茶を摂取してもらったところ、心疾患のリスクが61%減少したと報告しています。(参考)
さらに、中国で行われた研究でも、毎日480mlの烏龍茶もしくは緑茶を摂取していた人において、39%の脳卒中リスク低下がみられたとしています。(参考)

加えて、毎日120mlの緑茶もしくは烏龍茶を摂取することで、高血圧が起きるリスクが46%減少する可能性が示されています。
ただし、全ての研究の結果が一貫しているわけではない点には注意が必要でしょう。(参考1, 参考2)

烏龍茶にはカフェインが含まれており、一部の人においては摂取によって血圧が上昇する可能性があることは覚えておくと良いでしょう。
そうは言うものの、通常のカフェイン摂取と異なり、この効果は徐々に薄れていくことが知られています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4)

さらに、240mlの烏龍茶に含まれるカフェイン量は、同量のコーヒーの4分の1程度にすぎず、おそらくカフェインによる効果は少ないと考えて良いでしょう。

💡 POINT

烏龍茶は心疾患や脳卒中、高血圧などのリスク軽減効果があるかもしれません。


烏龍茶の体重減量効果


研究者の間では、烏龍茶に含まれるポリフェノールが代謝を亢進し、食事から吸収される脂肪分を抑制すると考えられています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4)
これらの抗酸化物質であるポリフェノールは、貯蓄された脂肪をエネルギーとして利用する酵素を活性化させる働きがあると考えられています。(参考)

ある研究では、原液の烏龍茶と、希釈された烏龍茶のいずれの摂取も、1日のカロリー燃焼量を2.9-3.4%程度増加させたと報告しています。(参考)

これは、部分的には烏龍茶に含まれているカフェインが影響しているかもしれません、しかし含まれているポリフェノールも同様に効果を発揮していると考えられています。
この説を調べるために、カフェイン単独と、カフェインとポリフェノールの混合物のとの比較試験が行われました。(参考1, 参考2)

いずれの摂取でも、カロリーの消費は4.8%程度増加が認められましたが、カフェインとポリフェノールの混合物でのみ脂肪の燃焼増加効果がみられました。(参考)
このことは、お茶の脂肪燃焼効果がカフェインだけによるものではなく、お茶に含まれる植物性化合物が効能に寄与している可能性を示唆しています。

そうは言うものの、これらのエネルギー燃焼や脂肪燃焼効果が、人において有意な体重減少につながることを示した研究は今までのところありません。
さらに、一部の被験者ではより茶の摂取による効果が認められており、個人によって反応が異なる可能性もあります。(参考)

緑茶と体重減量に関するデータは、この記事の中でさらに扱いますが、その効能のほとんどは烏龍茶にも当てはめることができます。

💡 POINT

烏龍茶に含まれるような、カフェインとポリフェノールの混合物は、燃焼されるカロリーと脂肪を増加させる効果がります。 そして、この効果が最終的には体重減量効果につながるかもしれません。


烏龍茶の脳機能改善効果


最近のレビュー研究では、お茶の摂取が脳機能を維持し、アルツハイマー型認知症などを防ぐ可能性があると報告されています。(参考1, 参考2, 参考3)
実際、いくつかのお茶の化合物で、脳機能への改善効果が報告されています。

まず、カフェインはノルエピネフリン、ドパミンと呼ばれる物質の分泌を促します。
これらの物質は、気分、集中力、脳機能などを改善させる効果があると考えられている脳内の伝達物質です。(参考1, 参考2)

さらに、追加の研究で、お茶に含まれるアミノ酸のテアニンが、集中力を高めて不安症状を軽減する効果があると報告されています。
また、最近の研究でも、カフェインとテアニンの両方を含むお茶の摂取が、摂取後1-2時間で覚醒度や集中力を向上させたとしています。(参考

お茶に含まれるポリフェノールも、摂取2時間後くらいから、気分を落ち着ける効果があると考えられています。(参考

烏龍茶だけを調査した研究はほとんどありませんが、ある研究では烏龍茶の恒常的な摂取が脳機能の低下のリスクを64%減少させたとしています。
この効果は、恒常的に紅茶や烏龍茶を摂取している人で特に大きかったとされています。(参考

また別な研究でも、恒常的な緑茶、紅茶、烏龍茶の摂取が、認知機能、記憶力、課題遂行能力、情報処理能力などを上昇させたと報告しています。(参考

ただし、全ての研究の結果が、烏龍茶の脳機能に関する効果について、同様の結果を示しているわけではありませんが、悪影響を報告している研究は1つもないことは知っておいても良いでしょう。(参考

💡 POINT

お茶に含まれるカフェイン、抗酸化物質、テアニンなどが脳機能や気分に対して有益な効果を発揮しているかもしれません。


烏龍茶による特定の癌に対する抑制効果

研究者の間では、紅茶、緑茶、烏龍茶に含まれる抗酸化物質が、体内の癌発生につながる細胞の変異を抑制する可能性があると期待されています。(参考1, 参考2
また、お茶のポリフェノールは、癌細胞の分化を抑制するかもしれません。(参考

さらに、1つのレビュー研究では、恒常的にお茶を摂取している人においては、15%も口腔内の癌発生リスクが低下すると報告しています。(参考
他のレビュー研究でも、同様の癌に対する抑制効果が、肺、食道、膵臓、肝臓、大腸、直腸などの癌に対して認められました。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4, 参考5, 参考6

しかし、ほとんどの研究報告で、お茶の抗癌作用は乳がん、子宮癌、膀胱癌などには効果がなかったと報告されています。(参考1, 参考2, 参考3

加えて、これらのデータのほとんどが、緑茶と紅茶における効能を調べており、中でも緑茶で一番抗癌作用が認められていました。

烏龍茶は緑茶と紅茶の中間程度に位置するため、同様の効能が期待されています。
しかし、烏龍茶に特に焦点を絞った研究が今後は必要でしょう。

💡 POINT

紅茶や緑茶と同じように、烏龍茶にも特定の癌に対して抑制効果があるかもしれません。


烏龍茶による歯と骨の増強作用


烏龍茶に含まれる抗酸化物質は、歯や骨を強く保つ作用があるかもしれません。

ある研究では、紅茶、緑茶、烏龍茶を毎日10年間に渡って摂取していた人において、摂取していない人に比較してい2%骨密度が高かったと報告しています。(参考
また、680名の閉経後の中国人女性を対象にした研究でも、烏龍茶を定期的に摂取していた被験者で、飲んでいなかった人に比較し、4.5-4.9%程骨密度が高くなったとしています。(参考

加えて、最近のレビュー研究でもお茶と骨密度に関して同様の効果が報告されています。(参考1, 参考2
骨密度が上がると、骨折のリスクが軽減します。

しかし、烏龍茶の摂取と骨折リスクとの直接の関連性は、現時点では十分調査されていません。
さらに、研究によるとお茶の摂取が歯の歯石を減少させるとの報告もあります。
烏龍茶は歯のエナメルを増強するフロライドを多く含みます。(参考

💡 POINT

烏龍茶は、骨密度を増強させるかもしれません。 また、歯のエナメル質を強くして、歯の歯石がつきにくくする効果も期待されています。


烏龍茶の湿疹改善効果

烏龍茶に含まれるポリフェノールは湿疹を軽減するかもしれません。

ある研究では、118名の重症湿疹を持つ患者さんに、通常の治療と併用して烏龍茶を毎日1L摂取してもらいました。
結果、湿疹症状が1-2週間ほど経ってから改善し始めるケースが出てきました。
1ヶ月後には、おおよそ63%の被験者で湿疹の改善が認められたと報告されています。

さらに、この改善効果は介入が終了後も持続しました。
介入終了後の5ヶ月時点でも、54%の被験者で改善効果の持続がみられました。(参考

💡 POINT

烏龍茶の抗酸化物質であるポリフェノールには湿疹の症状を軽減する効果が期待されており、その効果は長期間に渡って持続する可能性も示唆されています。


烏龍茶の安全性と副作用

烏龍茶は数世紀もの間、摂取されてきており、基本的には安全であると考えられています。

そうは言うものの、烏龍茶にはカフェインが含まれています。
過剰に摂取するとカフェインは不安症状、頭痛、不眠、不整脈、血圧上昇などの症状を起こす可能性があります。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4

さらに、抗酸化物質であるポリフェノールの過剰な摂取は、かえって体内の酸化を亢進させてしまう可能性があり、健康へ悪影響を与えるかもしれません。
過剰な摂取は、ポリフェノールのサプリメントを摂取している場合に起きる可能性が高く、単に烏龍茶を飲むだけでは起きない可能性が高いです。(参考

お茶に含まれるフラボノイドは、植物性の食材に含まれる鉄分に結合して、消化管からの鉄分吸収を15-67%程低下させてしまうかもしれません。(参考
体内の鉄分が少ない人の場合は、食事と一緒にお茶を飲むことを避けて、鉄の吸収を助けるビタミンCが多く含まれる食材を心がけて摂取すると良いでしょう。(参考


米国農務省と欧州食品安全機関は、1日400mgまでのカフェインの摂取であれば安全であるとしています。
これは、烏龍茶でいえば1日1.4L-2.4Lの量にあたります。(参考1, 参考2

平均的なカップが240ml程度であることを考えると、1日6-10杯ほどの烏龍茶であればカフェインの過剰摂取を心配せずに摂取できるでしょう。

しかし、妊娠中の女性においては、1日200mg程度までのカフェイン摂取が推奨されており、1日3-5杯程度の烏龍茶に控えておいた方が良いでしょう。(参考

コーヒー、ソーダ、エナジードリンク、チョコレートなどにも同様にカフェインが含まれていることには注意が必要です。
カフェインの摂取量を減らす場合には、これらの飲料や食品も考慮に入れるべきでしょう。

💡 POINT

1日10杯程度までの烏龍茶であれば一般的には安全であると考えられています。


まとめ


烏龍茶は、緑茶や紅茶ほどは知られていませんが、緑茶や紅茶と同等の健康への効能があります。
これらの効能には、心臓・脳・骨・歯の健康増進効果などが含まれます。

さらに、烏龍茶は体の代謝を亢進して2型糖尿病のリスク軽減や、特定の癌の予防に働く可能性があります。

1日の終わりに、健康にもよく美味しい烏龍茶を飲むことを新しい生活習慣にしてはどうでしょうか。

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