ラベンダーとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

最終更新日:

はじめに

ラベンダーは、北アフリカと地中海の山間部に由来する薬草です。

ラベンダーは、特定の種類のラベンダーの花のガク部分から蒸留して作られる、ラベンダーから作られるエッセンシャルオイルの精製のために栽培されています。

このエッセンシャルオイルは美容目的に使用される他、医療目的にも使用されます。

植物のままのラベンダーとは異なり、ラベンダーのエッセンシャルオイルは経口摂取されると毒性があるので注意が必要でしょう。

ラベンダーの概要

  • ラベンダーは、北アフリカや地中海地方の山間部に自生しており、しばしばエッセンシャルオイルを作るために栽培されます。 
  • ラベンダーの医学的な効能には、不安症状改善、真菌感染治療、脱毛改善、創傷治癒などの効果が期待されています。 
  • 一方で、うつ病、高血圧、吐き気、月経痛、湿疹などに対しては、十分なデータがありません。 
  • ラベンダーは米国食品医薬品局によって認可がされておらず、その他の認可されている薬剤の代わりに使用することはできません。 

ラベンダーの使用方法

ラベンダーは薬草として高く評価されており、皮膚ケアや美容のために使用される他、フレグランスやシャンプーなどにも皮膚からの不純物除去のために使用されます。 ラベンダーは薬局などでも市販の薬剤として購入できる他、焼き菓子や料理などに風味を加えるためにも使用されます。

また、ラベンダーに関連した多くの薬効も知られています。

ラベンダーの効能

ラベンダーオイルは、抗菌作用や抗炎症作用などを持つと考えられており、軽度の火傷や虫刺されなどの治療に役立つと考えられています。

研究によると、不安、不眠、抑うつ、イライラなどの治療に役立つと考えられています。

いくつかの研究では、ラベンダーをお茶として摂取した場合に、嘔気・嘔吐・消化管のガス・胃部不快感・腹部膨満などの消化管の症状を軽減すると報告されています。

消化管の問題以外にも、ラベンダーは頭痛、捻挫による痛み、歯の痛み、筋肉痛などの軽減効果もあると考えられています。また、脱毛予防に使用されることもあります。

真菌感染

ジャーナル・オブ・マイクロバイオロジー(Journal of Microbiology)という医学誌に発表された研究では、ラベンダーオイルが真菌感染症に対して抑制的に働くかもしれないと報告しています。

研究者の間では、ラベンダーオイルが皮膚感染症を起こす種々の細菌に対して、殺菌作用を示す可能性が期待されています。

ある研究では、ラベンダーの1種であるラベンダー・ジェヌスから蒸留されたエッセンシャルオイルが、真菌の細胞膜を破壊する可能性があるとしています。

この研究では、ラベンダーオイルが、幅広い種類の菌に対して有効な抗真菌作用発揮したと報告しています。

創傷治癒

科学データに基づいた代替医療(Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine)という医学雑誌では、創傷に対する、複数の治療法を比較検討しました。

この研究の中では、経皮的神経刺激、生理食塩水、ポピドンヨード、ラベンダーオイルが比較されました。 これらの物質を、実験室内でラットに投与して効果を比べました。

この研究では、経皮的神経刺激とラベンダーオイルによる治療を受けたラットで、より早く創傷治癒が認められたと報告しています。 これらの結果は、ラベンダーには創傷治癒促進効果がある可能性を示唆しています。

脱毛

ラベンダーは円形脱毛症に対して有効である可能性があります。これは、体毛が体の一部、もしくは全てから抜け落ちてしまう病気です。

1998年に行われた研究では、7ヶ月間の使用でラベンダーが、44%程の体毛の成長促進につながったと報告しています。

さらに最近の研究でも、ラベンダーオイルをマウスの背中に塗布したところ、4週間の使用で体毛の成長が確認できたとしています。

不安障害と関連する疾患

国際臨床精神科誌(the International Journal of Psychiatry in Clinical Practice)と呼ばれる医学雑誌に発表された、過去の研究をまとめたレビュー研究では、シレクサンが異なる種類の不安症に対してどの程度有効であるのかを調査しました。 シレクサンは、80mgのゼラチンカプセルに入ったラベンダーオイルの製品です。

研究チームは、全般性不安障害や亜症候性不安障害の症状が2週間以内にあった患者さんにおいて、シレクサンには抗不安作用や不安軽減作用が認められたと報告しています。

同じ研究で、ラベンダーの香りが歯科治療で不安を感じている患者さんに対しても有効であったとしています。

研究では、340名の成人患者において、歯科治療を待合室で待っている間の不安の程度を評価しました。

被験者の半分はラベンダーの香りを、もう半分の被験者には介入が与えられませんでした。

結果として、ラベンダーに暴露されたグループでは不安の度合いが、介入がなかったグループに比べて低下することがわかりました。 歯科治療の予約の種別にかかわらず、ラベンダーの香りによる不安解消効果は認められました。

研究をまとめたクリッチジマ博士は以下のように述べています。


「我々の研究結果は、ラベンダーが即効性のある不安解消の手段として、歯科の待合室などで使用できる可能性を示しています。」

研究報告の著者:M.クリッチジマ博士


ラベンダーは、将来の歯科受診に関する不安症状の軽減効果はありませんでした。 しかし、歯科に受診中に感じる不安については軽減効果が認められました。

小児における扁桃腺摘出後の疼痛

ラベンダーオイルは、扁桃腺摘出後に必要となる鎮痛薬の量を減らす効果があると考えられています。

イランにあるエスファハーン医学大学の研究チームは、ラベンダー・アンガスティフォリアのエッセンシャルオイルによるアロマセラピーが、小児における扁桃腺摘出後の疼痛を軽減するか否かを調査する研究を行いました。

研究では、6歳から12歳までの48名の小児が対象となりました。 被験者の小児は 24名ずつの2グループに分けられました。 片方のグループはラベンダーと一緒に鎮痛薬を使用し、もう片方のグループは鎮痛薬のみを使用しました。

双方のグループの子供が、どのくらい鎮痛薬のアセトアミノフェンを使用したかと、夜間に何回痛みで起きたのかを、手術後日間にわたり観察しました。 疼痛の程度も同様に評価されました。 アセトアミノフェンはタイレノール・パラセタモールなどとしても知られますが、ラベンダーオイルを使用していた群では、より少ないアセトアミノフェンの使用頻度になったとされています。

しかし、夜間の疼痛による覚醒の回数や、疼痛の重症度については有意な差はありませんでした。

この研究は被験者の数が少ないので、ラベンダーオイルの鎮痛効果をはっきりさせるためには、今後の追加での研究が必要でしょう。

月経前の精神症状への効能

ラベンダーが、月経前の精神症状などを改善するかについて調査した研究があります。

多くの生殖年齢の女性は、月経前症候群としてよく知られているような、月経前の種々の精神症状を起こすことがあります。

月経前症候群の頻度は高いですが、現時点では有効な治療方法はまだありません。 結果として、多くの女性はアロマセラピーなどを含めた代替療法を試みます。

あるクロスオーバー試験と呼ばれる研究では、軽症から中等度の月経前症候群を持つ平均20.6歳の17名の女性を対象に調査を行いました。 この研究では、一つの介入群はラベンダーによるアロマセラピーを受けたのに対して、もう一方の介入群は特に治療を受けずに、1月経周期の間、症状の経過を観察されました。

研究では、ラベンダーのアロマセラピーは月経前の精神症状を軽減するかもしれないと結論づけています。

ラベンダーに効果がないと考えられている症状

ラベンダーの以下の疾患に対する効能については、効果を証明する十分なデータがありません。

  • うつ病 
  • 赤ちゃんの夜泣き 
  • 便秘症 
  • 嘔気・嘔吐 
  • 偏頭痛 
  • 中耳炎・耳の感染症 
  • 高血圧 
  • 月経痛 
  • 湿疹 
  • 癌関連の疼痛 
  • 認知症 
  • シラミ 


ある研究報告では、ラベンダーの香りが、女子大学生の不眠症やうつ病などに対して有効であったと報告しています。 しかし、この研究報告の著者は報告の中で、「ラベンダーオイルとキャリアオイルの不眠やうつ病に対する効能については、今後もさらに追加での研究が必要である」点を強調しています。

米国食品医薬品局はラベンダーの医薬品としての使用を認可していません。 サプリメントとしてのみ販売が許されており、処方薬や治療薬などの代替として使用はできません。

エッセンシャルオイルとしての使用については、米国食品医薬品局は製品の品質を管理していません。 そのため、製品の純度、安全性、品質などについては懸念があるかもしれません。 購入する際には、信頼できるブランドの製品を購入するように心がけましょう。

ラベンダーの相互作用

米国国立衛生研究所は、ラベンダーと以下の薬品との併用に対して注意喚起をしています。

  • ベンゾジアゼピン・バルビツール系薬剤・アンビエンなどの眠気を起こす薬剤  
  • カプトプリル、エナラプリル、ロサルタンなどの血圧低下作用のある薬剤 


すでに何か薬剤を使用している場合には、ラベンダーの摂取を開始する前に必ず医師に相談をしましょう。

ラベンダーの安全性と副作用

ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ ・メディシン(NEJM)と呼ばれる医学誌で発表された研究によると、ラベンダーオイルの皮膚への繰り返しの使用は、男子における思春期前の乳房増大などといった症状を引き起こす可能性が示唆されています。

妊娠中や授乳中のラベンダーの使用が安全か否かについては十分なデータがありません。

妊娠中や授乳中の、エッセンシャルオイル、薬草、サプリメントなどの使用に関しては、使用前に必ず医師と相談しましょう。

ラベンダーは、中枢神経システムの機能を抑制すると考えられているので、一般的には手術などの2週間前から使用を中止するように指示されることが多いでしょう。

Powered by Froala Editor

関連記事

関連商品