はじめに
ルバーブは、その赤い茎と酸っぱい味で知られている野菜の1種です。ヨーロッパや北アメリカでは、しばしば調理されて甘く味付けされます。アジアでは、ルバーブの根の部分が薬として使用されます。
この記事では、ルバーブの使い方や健康への効能について紹介していきます。
ルバーブとは
ルバーブは、その酸っぱい味と太い茎でよく知られ、しばしば甘く味付けされて料理されます。
茎の色は赤色、ピンク色、薄緑色など様々な色があり、セロリのような食感があります。
この野菜は、冬に気温が下がることが成長に必要です。結果として、ルバーブは山のある地域や、温帯地域などに自生し、特には北東アジアに多く見られます。また、北アメリカや北ヨーロッパの国でも、園芸植物としてよく見かけます。
いくつか異なる種類はあるものの、西洋で最もよく見かけるのは料理用もしくは園芸用のルバーブです。
💡 POINT
ルバーブは、その太くて酸っぱい茎部分を、甘く調理して使われる野菜の1種です。
ルバーブはどのように使われるのか?
ルバーブは、強い酸味と微かな甘味がある珍しい野菜です。
実際、しばしばフルーツと間違えられることもある野菜です。さらに混乱しやすい理由としては、米国農業省が正式にルバーブを野菜として登録していることです。(参考)
その強い酸味から、ルバーブは生で食べられることはほとんどありません。代わりに、通常は砂糖で甘く味付けされるか、料理の材料として調理されて食べられます。
18世紀頃になって、砂糖の価格が下がり一般の人でも手に入れやすくなるまでは、ルバーブはあまり食べられていませんでした。
食材として使用され始めるまでは、ルバーブは主に薬として用いられてきました。実際、根の部分を乾燥した物は中国の伝統的な医療の中で数千年にわたり薬として使用されてきました。
ルバーブは茎の部分だけが食べることができ、主に甘いスープ、ジャム、ソース、パイ、クランブル、カクテル、ワインなどに加工して食されてきました。
甘いルバーブパイは、英国や北米では伝統的な料理として作られるので、ルバーブはしばしば「パイ用の植物」と呼ばれます。
💡 POINT
ルバーブはしばしばフルーツとして分類される野菜です。その酸味から、通常は甘く加工されてジャムやデザートとして食べられます。
ルバーブに含まれる栄養成分
ルバーブは特に必須栄養素などに富んでいるわけでもなく、カロリー含有量も低いです。
しかし、ビタミンK1を多く含んでおり、調理されているか否かで多少量の変動はありますが、100g中のルバーブに1日必要量の26-37%分ものビタミンK1が含まれているとされています。(参考1、参考2)
他のフルーツや野菜と同じように繊維分が多く、特にオレンジ、りんご、セロリなどと同等量の食物繊維が含まれています。
甘く調理されたルバーブ100gあたりに含まれる栄養素は以下のようになります。(参考)
- カロリー:116
- 炭水化物:31.2g
- 食物繊維:2g
- タンパク質:0.4g
- ビタミンK1:1日必要量の26%
- カルシウム:1日必要量の15%
- ビタミンC:1日必要量の6%
- カリウム:1日必要量の3%
- 葉酸:1日必要量の1%
ルバーブには十分な量のカルシウムが含まれていますが、そのほとんどが栄養として利用できないシュウ酸カルシウムの形で含まれています。シュウ酸カルシウムのままでは、人の体はカルシウムの吸収が困難です。(参考)
💡 POINT
3.5オンス(100グラム)の調理済みのルバーブからは、1日に必要なビタミンK1の26%を摂取できます。ルバーブは食物繊維の供給源でもあります。
ルバーブの効果・効能
ルバーブの健康への効能に関する研究データは限られています。
しかし、いくつかの研究では、食物繊維などルバーブの茎から分離される物質の効能について、調査がされています。
コレステロール値を低下させるかもしれません
ルバーブの茎は食物繊維に富んでおり、これが血中のコレステロール値を低下させるかもしれません。
ある研究では、血中コレステロール値の高い男性を対象に、毎日27gのルバーブの茎を1ヶ月投与しました。ルバーブの茎を摂取した人では、摂取しなかった人に比べて総コレステロール値が8%、LDL(悪玉)コレステロールが9%低下したとされています。(参考)
この効能は、ルバーブの食物繊維だけに限ったことではありません。他の多くの食物繊維も同様の効果があると考えられています。(参考)
抗酸化物質の含有
ルバーブは抗酸化物質も多く含んでいます。
ある研究では、ルバーブに含まれているポリフェノールの量は、ケールに含まれるポリフェノールの量よりさらに多いとされています。(参考)
ルバーブには他にも、アントシアニンと呼ばれる抗酸化物質も含まれており、この栄養素がルバーブの赤い色の原因となるほか、健康への効能も持っていると考えられています。ルバーブは、凝縮タンニンとしても知られる、プロアントシアニジンと呼ばれる抗酸化物質も多く含んでいます。(参考1, 参考2)
これらの抗酸化物質は、フルーツ、赤ワイン、ココアなどの、健康に有益な有効物質と考えられています。(参考1, 参考2)
💡 POINT
ルバーブは食物繊維や抗酸化物質を多く含みます。研究では、ルバーブの食物繊維がコレステロール値を下げる可能性が示されていますが、その他の健康への効能に関するデータは今のところ限られています。
なぜルバーブは酸っぱいのか?
ルバーブは、流通している野菜の中でも最も酸っぱい部類の野菜と言って良いでしょう。
その酸味は、ルバーブに多く含まれるリンゴ酸とシュウ酸が原因です。リンゴ酸は、植物に最も多く含まれる酸の一種で、多くのフルーツや野菜の酸味の原因となっています。(参考)
面白いことに、ルバーブを暗所で育てると、酸味が減り、柔らかく育つことが知られています。この種類のルバーブは促成ルバーブとも呼ばれ、冬の終わりから春にかけて栽培されます。
💡 POINT
ルバーブは特別に酸味が強く、砂糖などの味付けなしには生では食べにくい野菜です。その酸味は、リンゴ酸やシュウ酸などが原因であると考えれており、促成栽培で育ったルバーブは酸味が減ることが知られています。
ルバーブの安全性と副作用
植物に含まれるシュウ酸で最も頻度の高い形態である、シュウ酸カルシウムの形は、ルバーブ中に豊富に含まれています。
実際、古くからの伝統で、ルバーブは春から夏にかけて含まれるシュウ酸の量が増えるので、6月を過ぎたら栽培してはいけないと言い伝えられています。
シュウ酸は特にルバーブの葉の中に豊富に含まれていますが、ルバーブの種類によっては茎の中にもシュウ酸が多く含まれています。
過剰なシュウ酸カルシウムの摂取は高シュウ酸尿症と呼ばれる、全身の臓器にシュウ酸の結晶が蓄積してしまう、深刻な病気の原因となります。
このシュウ酸の結晶は、しばしば尿結石の原因となります。そして、高シュウ酸尿症の状態が持続すると、腎不全などにつながる可能性もあります。(参考)
全ての人が、食事中のシュウ酸に同じように反応するわけではありません。特定の人においては、遺伝的にシュウ酸関連の健康問題が起きやすい場合があります。(参考)
ビタミンB6欠乏症やビタミンC過剰症などがある方の場合には、特に健康への影響のリスクが上がると考えられています。(参考)
加えて、最近の研究では、腸内で特定の腸内細菌が欠損していると、このシュウ酸関連の健康問題が起きやすくなると言われています。面白いことに、オキサロバクター・ホルミゲネス(シュウ酸分解菌)などのような特定の腸内細菌は、食事中のシュウ酸を分解して中和します。(参考1, 参考2)
ルバーブ摂取による中毒症状は稀であると考えられていますが、過剰な摂取や、葉の部分の摂取は避けましょう。さらに、ルバーブを調理することで、ルバーブに含まれるシュウ酸が30-87%程度減少すると考えられています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4)
💡 POINT
ルバーブはシュウ酸を多く含んでいる可能性があり、過剰な摂取は避けた方が良いでしょう。また、調理することでルバーブに含まれるシュウ酸は減少します。そして、摂取時には葉っぱ部分の摂取は避けましょう。
ルバーブの調理方法
ルバーブは多くの方法で食べることができます。多くの場合は、多量の砂糖を加えて、ジャムやデザートとして食べられることが多いです。
そうは言っても、低砂糖の調理方法や、砂糖を全く使わない調理の方法もあります。
健康的なルバーブの調理方法の一つが、ルバーブサラダやルバーブクランブルなどの調理方法でしょう。また、このルバーブ自体やジャムを、朝のオートミールなどに加えて食べても良いかもしれません。
💡 POINT
ルバーブは、通常砂糖などを加えてクランブル、パイ、ジャムなどの料理によく使われる食材です。しかし、砂糖をほとんど使わないルバーブの調理レシピなどもあるので、参考にすると良いでしょう。
まとめ
ルバーブは、料理やパン焼きなどに使われる特徴的な野菜です。
シュウ酸を多く含んでいるため、過剰摂取は避けるべきで、可能であればシュウ酸が少ない種類のルバーブの茎部分を摂取するようにすると良いでしょう。また、尿路結石ができやすい方においては、ルバーブの摂取は避けた方が良いでしょう。
良い面としては、ルバーブは抗酸化物質、ビタミンK、食物繊維を多く含んでいます。加えて、その酸味がジャム、クランブル、パイなどのデザート作りに適しています。
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