生姜とは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

古代から、生姜は料理の食材や薬の材料として使用されてきました。吐き気、胃痛、その他の健康問題などに、よく家庭で使用される薬と言って良いでしょう。一般的には、生もしくは乾燥した生姜を料理に使用したり、他には生姜サプリメントとして健康のために摂取したりする人もいます。

生姜に含まれる抗酸化物質とその他の栄養分が、関節炎、炎症、その他の色々な種類の感染などに対して有効である可能性があります。いくつかの研究で、その糖尿病、癌、その他の健康問題などのリスク軽減効果について調べられています。

この記事では、生姜の健康に対する効能と、それに関連する研究についてまとめていきます。

生姜の効能

生姜は、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用などの機能があると考えられています。以下では、効果が期待される生姜の使用法について説明します。

ガスを減らして、消化機能を改善する

いくつかの研究で、生姜の摂取が消化の際に消化管から発生するガスに効果があると発表されています。ある研究では、生姜に含まれる酵素が、消化管の中のガスを分解してガスに伴う不快な症状を改善すると指摘されています。

生姜は、消化に重要な機能を果たす、トリプシンや膵臓のリパーゼなどの酵素にも、良い効果があると見られています。加えて、生姜は消化管の動きを活性化して便秘の予防になるとも考えられています。他の消化を助ける食材とはどのようなものがあるでしょうか?

吐き気の改善

いくつかの研究では、生姜の摂取が妊娠に伴う悪阻や、抗がん剤治療に伴う嘔気の症状緩和につながったと報告されています。

2010年に行われた小規模の研究では、粉末にした生姜の根をサプリメントとして、抗がん剤治療に伴う嘔気症状のあった60名の小児と青年に投与しました。分析の結果、このサプリメントを摂取したほとんどの被験者で吐き気症状の軽減を認めました。

2011年の複数の研究をまとめた報告でも同様の結論が示されています。この研究では、1日あたり1,500mgの生姜の抽出液を複数回に分けて摂取したところ、吐き気症状の改善が認められたとされています。

生姜の吐き気やその他の消化器症状に対する効果について、人を対象とした研究がその他にも複数確認されています。

感冒やインフルエンザ感染症の症状を軽減する

多くの人が、感冒やインフルエンザに対して生姜を使うことがあります。しかし、この使用方法をサポートする科学データは乏しく、多くは経験に基づいて使用されています。

2013年にはある研究において、生と乾燥した生姜の、呼吸器ウイルスが感染したヒト細胞における効果が調査されています。この研究では、生の生姜は呼吸器システムに対して保護作用があると示された一方で、乾燥生姜にはその効果は認められませんでした。

2013年には、また別の小規模な研究で、風邪やインフルエンザ感染に対してどの程度の人が生姜を使用するのかが調査されています。この研究では、2つの地域にある300の薬局の利用者を調査し、調査対象者のうち69%程度の人がハーブ薬を感冒などに使用し、利用者のほとんどが効果を実感していると報告されています。

生姜は、感冒などに使用されるハーブ薬によく含まれている成分であるのに対し、多くの人は生姜自体を感冒のために使用したことはないかもしれません。どの食材が咽頭痛を和らげるのか?ここをみてみましょう。

疼痛を和らげる

74名のボランティアを対象にした小規模の研究では、毎日2gの生もしくは熱した生姜を摂取した場合、運動後の筋肉痛を25%程度減少させたと報告されています。

また、2016年に行われた過去の研究をまとめた報告では、生姜が月経困難症と呼ばれる、月経の直前と月経中に起きる疼痛に対して有効であるかもしれないと報告されています。しかし、これらの研究の規模は小さく、データの質は高くないことには注意が必要です。

痛風の痛みに有効な食材とは?ここをみてみましょう。

炎症の軽減

ある研究グループは、変形性関節症による炎症に対して生姜を経口摂取することは、ある程度有効で安全な治療法であると報告しています。しかしこの研究グループは、今まで行われた研究はいずれも小規模であり、データの質は高くないため、一般の人々にも広く当てはまるかはわからないと発表しています。

2017年に行われた、過去の16の先行研究をまとめた報告では、生姜に含まれる植物性化学物質が炎症反応を抑える働きがある可能性が示されています。この報告の研究者は、どのタイプの生姜が有効であるのかや、どの程度の用量が適切なのかについて、追加の調査がなされるべきであるとしています。

心血管の健康維持

生姜の抽出液が、心血管系の病気を防ぐ可能性がいくつかの研究で示されています。

例えばある研究では、5g以上の生姜の摂取が有効な抗血小板作用を示したと報告されています。これらの血小板に関する研究は、研究対象が人でなかったり規模が小さくデータの質が高くないため、注意が必要です。

ただし、今後の追加の研究次第では、生姜が安全な心血管疾患系の薬剤として使用できることが、証明されるかもしれません。今のところは、小規模の研究において糖尿病を持つラットの心疾患を減らす可能性が示されており、生姜の抗酸化作用が、この結果に関連していると考えられています。

癌のリスク低下

生姜はタンパク質や他の栄養素なども含みませんが、抗酸化物質を豊富に含んでいます。このため、研究では生姜が複数のタイプの酸化ストレスを防ぐと報告されています。

酸化ストレスは、体内に過剰な遊離ラジカルが蓄積して起こります。遊離ラジカルは代謝やその他の要因で発生する毒性のある物質です。

細胞を傷つけて、癌などを含めた様々な病気の原因になり得る遊離ラジカルを、体内の中で分解しなくてはいけません。食事に含まれる抗酸化物質は、体内の遊離ラジカルを除去するのに役立ちます。

2013年に行われた研究では、20名の被験者に2gの生姜とプラセボを28日間にわたって投与しました。この研究の被験者は皆、大腸癌のリスクが高い人たちでした。

介入後の大腸の組織生検検査では、生姜を摂取した群において異常な大腸組織が見られる率がより少なくなったとされています。さらに、生姜を摂取した群では細胞増殖のスピードが減り、大腸癌の発症のリスクを下げる可能性が示唆されました。

生姜の栄養

生姜はとても良い抗酸化物質の供給源ですが、含まれるビタミン、ミネラル、カロリーなどは少ないです。

米国の農業省によると、スプーン2杯の生姜あたり、4カロリーしか含まれていないとされています。そして、この量の生姜にはほとんど栄養素は含まれません。

生姜の危険性

米国の食品医薬品局によると、食事などと一緒に摂取する分には生姜は安全であるとされていますが、医薬品やサプリメントとして使用される場合の安全性などについては管理しておらず制限なども設けていません。

研究でも生姜の多くの成分についてはまだ詳細には調べられてはいません。また、他のいくつかの科学データでは、生姜の健康に対する効果が必ずしも確認できたわけではありません。

食事に生姜を加えたり生姜のサプリメントを開始する前には、医療機関で相談をしましょう。特にサプリメントなどは、他の内服薬と相互作用を起こしたり、健康に影響などを与える可能性があります。

生姜のサプリメントや他の生姜を含む製品は、オンラインショップなどで購入可能です。

まとめ

ある研究では、生姜が消化管の健康維持、炎症や疼痛の軽減などを含めた健康への効能がある可能性が指摘されています。

しかし、これらの研究ではしばしば高用量の生姜の抽出液が使用され、通常の人が少し生姜を食事に追加しただけでは健康に影響はないかもしれません。

また、生姜の健康に対する影響を調査する研究はしばしば小規模で、結果は確定的とは言えません。生姜サプリメントの効果や安全性を理解するためには、さらなる研究が必要でしょう。

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