ヨウ素とは?
ヨウ化物とも呼ばれるヨウ素は地球の土壌や海水に自然に含まれるミネラルの1つです。多くの海水や植物ベースの食物にはヨウ化物が含まれ、ヨウ素添加塩の形で最も広く入手可能なミネラルです。
食事の中で十分なヨウ素を取ることは重要です。ホルモンや胎児の発育などを制御します。
ヨウ素のレベルが低い場合、主治医はサプリメントを摂取するよう推奨します。主治医への確認なしにサプリメントを取るべきではありません。
ヨウ素の用途や副作用について、また年齢ごとに一日の推奨摂取量についてこの記事を読んで学んでください。
11のヨウ素の用途
ヨウ素は人体にとって必須ミネラルであると考えられています。特に妊娠中には重要であり、子宮内での暴露はその後の生活でも特定の健康状態の予防に役立つ可能性があります。
以下でいくつかの最も重要な用途のリストとどのように人体に利益があるかを説明しています。
1. 甲状腺の健康促進
ヨウ素は甲状腺の健康に重要な役割を果たします。首の前の付け根にある甲状腺はホルモンの生成を制御します。これらのホルモンは代謝や心臓の健康を制御します。
甲状腺ホルモンを作るために、甲状腺は少量のヨウ素を取り込みます。ヨウ素がないと甲状腺ホルモンの生成は減る可能性があります。ヨウ素が低かったり機能が低下した甲状腺は、甲状腺機能低下症と呼ばれる状態を起こす可能性があります。
西洋の食事にはヨウ素が多く含まれており簡単に摂取可能であることを考えると、通常アメリカでは甲状腺の健康はヨウ素不足によって損なわれることはありません。
乳製品やヨウ素強化食品、海水魚を食べることで十分なヨウ素を摂取することができます。ヨウ素はヨウ素が豊富な土壌で育った植物性の食物にも含まれます。また、ヨウ素添加塩で食品を調味することでも摂取することができます。
ヨウ素は甲状腺の総合的な健康を促進しますが、多すぎるヨウ素は甲状腺に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、ヨウ素サプリメントは主治医の推奨なしに服用すべきではありません。
2. 一部の甲状腺腫のリスクを減らす
甲状腺腫は甲状腺を大きくします。甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症の結果、甲状腺が肥大する可能性があります。甲状腺機能亢進症は甲状腺が活発すぎる状態です。
非がん性の甲状腺結節(嚢胞)も甲状腺肥大を起こす可能性があります。
甲状腺腫はヨウ素欠乏症の直接的な反応としても起こることがあります。これが世界中で最も一般的な甲状腺腫の原因ですが、アメリカなどのようにヨウ素が豊富な食品が入手しやすい国では一般的ではありません。
ヨウ素誘発性甲状腺腫は食事中にヨウ素が豊富な食品やサプリメントを追加することで回復することがあります。
3. 甲状腺が活発すぎる状態を制御する
活発すぎる甲状腺を治療するため、医者は放射性ヨウ素と呼ばれる特別な種類のヨウ素を推奨することがあります。放射性ヨウ化物とも呼ばれるこの薬は口から服用します。これは余分な甲状腺の細胞を殺し甲状腺ホルモンの過剰な量を減らすのに役立ちます。
放射性ヨウ素には甲状腺の細胞を殺しすぎるリスクがあります。これによりホルモンの生成量が減り、甲状腺機能低下症につながります。このため、放射性ヨウ素は抗甲状腺薬が効かない場合にのみ推奨されます。
放射性ヨウ素はヨウ素サプリメントとは異なります。甲状腺機能亢進症のためにヨウ素サプリメントを摂取するべきではありません。
4. 甲状腺がんの治療
放射性ヨウ素は甲状腺がんの治療の選択肢の1つになり得ます。甲状腺機能亢進症の時と同じように働きます。
放射性ヨウ素を口から服用すると、がんを含む甲状腺の細胞を殺します。放射性ヨウ素は甲状腺の手術の後にすべてのがん化した細胞が体から消えたことを確実にするための治療として使われることがあります。
アメリカがん協会によると、放射性ヨウ素による治療は甲状腺がんの人々が生き延びる機会を大幅に改善しています。
5. 妊娠中の神経発達
妊娠中にはより多くのヨウ素を必要とします。それは、妊娠中のヨウ素の摂取が胎児の脳の発達とつながっているためです。あるレビューによると、母親が妊娠中にヨウ素欠乏症であった場合、赤ちゃんは低いIQやその他の知的遅延状態で成長する可能性が高いことがわかりました(参考)。
妊娠中のヨウ素の推奨摂取量は1日に220マイクログラムです。それに対し、妊娠していない成人は150マイクログラムです。
もしあなたが妊娠中であるなら、特に出産前に摂取するビタミンがヨウ素を含んでいないなら(多くの場合含んでいない)、主治医にヨウ素のサプリメントについて聞いてみてください。ヨウ素サプリメントはミネラル不足である場合もまた必要です。
授乳中である場合もヨウ素の摂取量はチェックし続けるべきです。子供を養育中のヨウ素の一日の推奨摂取量は290マイクログラムです。それは食事やサプリメントから摂取したヨウ素が母乳を通して赤ちゃんへと届けられるためです。これは脳の発達にとって非常に重要な期間であり、赤ちゃんは6ヶ月に達するまで一日に110マイクログラムを必要とします。
6. 認知機能の改善
妊娠中のヨウ素の神経学的な利点は、子供時代の健康的な脳機能にも及ぶ可能性があります。これには知的障害のリスクを減らすことも含まれます(参考)。
食べ物を通してあなたの子供は必要なすべてのヨウ素を摂取しているかもしれませんが、ヨウ素の摂取について質問がある場合は、小児科医に聞いてみてください。
脳機能に関しては『脳機能はサプリで改善可能か?記憶力や集中力を高めるかもしれない10の食品』でも詳しく解説しています。
7. 出生時体重の増加
脳の発達に加えて、妊娠中のヨウ素は出生時の健康な体重にも関わってきます。妊娠中の甲状腺腫を持つ女性に関するある研究によると400マイクログラムのヨウ素を6~8週間毎日摂取するとヨウ素不足に関係する甲状腺腫を治療するのに役立ちます。そして、それが新生児の出生時体重の改善につながります。(参考)
ヨウ素の摂取が赤ちゃんの出生時体重と全体的な発達に影響する一方、これらの研究はすでに鉄不足である発展途上国の地域の女性に焦点を当てていることに注意しなくてはなりません。
主治医があなたがヨウ素不足であると診断しない限りは、サプリメントを摂取することが赤ちゃんの出生時体重に影響を与えないどころか、実際、不要なヨウ素を摂取すると健康を害する可能性もあります。
8. 繊維嚢胞性乳房疾患の治療に役立つ可能性
ヨウ素サプリメントや薬が繊維嚢胞性乳房疾患の治療に役立つ可能性があります。この非がん性の状態は生殖年齢の女性で最も一般的であり、痛みを伴う乳房のしこりを起こす可能性があります。
ヨウ素は繊維嚢胞性乳房疾患の治療に役立つ可能性がありますが、自分で治療を試みるべきではありません。主治医が特別にそれを推奨したときのみヨウ素を摂取しましょう。そうでなければヨウ素の毒性によって副作用の危険にさらされる可能性があります。
9. 水の消毒
ヨウ素は水の消毒をする方法の1つです。旅行や災害の影響で飲料水を手に入れられないときに特に役に立つかもしれません。
2%の液体ヨウ素チンキを1クオートの透き通った水に5滴入れます。水が濁っていれば10滴を1クオートに入れます。
ヨウ素錠剤も使えますが、使い方は製造者によって違う可能性があります。
ヨウ素が飲料水の消毒をしてくれますが、ヨウ素の総摂取量が増えることで健康への悪影響がある可能性があるという懸念もあります。ヨウ素の1日の摂取量は2ミリグラムを超えるべきではありません(参考)。
10. 核による緊急事態からの防御
核による緊急事態の時、疾病管理予防センターは放射線障害から甲状腺を守るためにヨウ化カリウム(KI)の使用を推奨しています。これは状態と液体の形で手に入れることができます。
完全に信頼できることではありませんが、早くKIを摂取した方が、甲状腺はこの種の機器から保護されると考えられています。
KIには深刻なリスクがあり、その中には胃腸の不調、炎症、アレルギー反応があります。また、甲状腺の病気のリスクも高まります。すでに甲状腺疾患を持っている場合は合併症のリスクが高まります。
11. 感染症の治療
液体のヨウ素は局所的に感染症の治療や予防に使うことができます。ヨウ素は軽度の切り傷や擦り傷の中や周辺のバクテリアを殺すことで機能します。
新生児には局所的なヨウ素を使うべきではありません。また、深い切り傷、動物のかみ傷、やけどには使うべきではありません。
パッケージに書いてある使用時の情報に従い、医者の指示がない場合は10日を超えて使用しないようにしてください。
どれだけの量のヨウ素が必要か?
ヨウ素不足のリスクを減らすため、国立衛生研究所(NIH)は年齢に応じて以下の推奨量を設定しています:
新生児から6ヶ月: 110マイクログラム
7~12ヶ月の赤ちゃん: 130マイクログラム
1~8歳の子供: 90マイクログラム
9~13歳の子供: 120マイクログラム
成人と14歳以上の子供: 150マイクログラム
妊娠中の女性: 220マイクログラム
授乳中の女性: 290マイクログラム
ヨウ素の副作用
ヨウ素によって起きうる副作用には以下が含まれます:
- 吐き気または嘔吐
- 下痢
- 熱
- 喉や口の熱感
- 胃痛
より深刻なケースではヨウ素の毒性によって昏睡状態に陥る可能性があります。
医者から勧められない限りは、甲状腺の病気がある場合はヨウ素を摂取すべきではありません。
幼い子供や老人はヨウ素による副作用が起こりやすいです。
ヨウ素不足の症状
ヨウ素不足は尿検査でのみ診断できます。
ヨウ素レベルが低いときの症状は主に次のような甲状腺の症状によって検出されます:
- 目に見える甲状腺腫
- 痛みを伴うか柔らかいさわり心地の甲状腺
- 特に横になっているときの呼吸困難
- 嚥下困難
- 倦怠感
- 通常の温度にもかかわらず極度の寒気を感じる
- 脱毛
- うつ
- 物忘れ
- 意図しない体重増加
ヨウ素を摂取すべきなのはどんな人か?
もしあなたのヨウ素レベルが低い場合は主治医がヨウ素サプリメントを摂取するよう推奨するかもしれません。確実に知るための唯一の方法は尿検査によるものです。その後で主治医はサプリメントを推奨するかもしれません。
ヨウ素は処方箋によってより強力な形態で入手可能です。しかしながら、これは深刻な健康状態にのみ使われます。たとえば、放射線にさらされたり、甲状腺の過活動状態にある場合に主治医は処方箋による強力なヨウ素を推奨するかもしれません。
もしヨウ素を補う必要性を感じた時は、主治医にその必要があるか確認してください。
結論
ヨウ素は必須栄養素の1つです。ヨード添加塩、シーフード、特定の野菜を摂取可能な人は食事から十分なヨウ素を摂取することができます。
ヨウ素不足のリスクを減らすためや、甲状腺の活動が鈍かったり甲状腺腫といった特定の医学的な状態の治療のためには、ヨウ素サプリメントを必要とするかもしれません。
主治医に特定のヨウ素が必要かどうか尋ねてみてください。
ヨウ素は「acquavita(アクアヴィータ) マルチミネラル」などに含まれています。ただし、重度の症状など適切な治療が必要とされる場合はサプリメントに頼らず、医療機関で診断を受けるようにしましょう。
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