はじめに
グルコサミンは私たちの体内で自然に作られている分子ですが、サプリメントとしても人気があります。
骨や関節の疾患に治療に使われるのが最も一般的で、またいくつかの炎症性疾患の治療にもよく使われます。
この記事では、グルコサミンの効果、服用量と副作用について解説していきます。
グルコサミンとは
グルコサミンは化学的にはアミノ糖に分類される化合物で、体内で自然に作られています。(参考)
グルコサミンは体内の様々な機能性分子を構成するブロックのような存在ですが、主に関節の軟骨を作り維持することで知られています。(参考)
グルコサミンは、貝殻、動物の骨、菌類といった、人間以外の生物の組織からも見つかっています。
グルコサミンのサプリメントの多くは、こうした自然のものから作られています。(参考)
グルコサミンは、変形性関節症などの関節の疾患に対して、治療と予防ともに使用されます。経口で服用する場合もあれば、部分的にクリームや軟膏を塗布して使用することもあります。(参考)
Point:グルコサミンは人間や動物の組織で自然に合成される化学物質です。人間の場合は関節を形成するのに必要で、変形性関節症といった関節の疾患の治療のため一般的にサプリメントに使用されています。
グルコサミンは様々な炎症を抑える?
グルコサミンは様々な炎症性疾患の治療のため補助的に使われることが多くあります。
グルコサミンのメカニズムは依然として分かっていないこともありますが、すぐに炎症を抑える効果があると見られています。
ある実験では、骨の形成に関わる細胞のグルコサミンを塗布したところ、抗炎症の絶大な効果が確認されました。(参考)
グルコサミンに関する調査のほとんどは、同時にコンドロイチンも使用しています。
コンドロイチンもグルコサミンに似た化合物で、軟骨を作り健康に維持する働きに関わっています。(参考)
200人以上を対象に行われた実験によると、グルコサミンのサプリメントを摂取することで、生化学におけるCRPとPGEという2つの炎症マーカーが、それぞれ28%と24%下がったという関連性を示しています。
しかし、この結果は統計的に重要ではありません。(参考)
むしろ注目すべきなのは、同じ研究の中で、コンドロイチンを摂取した人の炎症マーカーが36%下がったことです。この結果は非常に重要です。(参考)
この発見は他の研究によっても裏付けられています。
こうした研究の対象となりコンドロイチンを摂取していた人の多くは、同時にグルコサミンも摂取していたということを知っておく必要があります。
従って、こうした結果がコンドロイチン単体による効果なのか、グルコサミンと併せて摂取したことによる効果なのかは不明瞭なままです。(参考)
最終的には、体内の炎症マーカーを下げることにおけるグルコサミンの役割について、更なる研究が必要です。
Point:炎症性疾患の治療においてグルコサミンがどのように働いているのかははっきりとはわかっていません。しかし、グルコサミンは、特にコンドロイチンと併せて摂取すると、炎症を抑える効果があることが、複数の研究で明らかにされています。
グルコサミンによる関節の健康
グルコサミンは元々自然に私たちの体の中にあります。
その主な役割の一つは関節の間の組織を正常に形成するのを助けることです。(参考)
関節軟骨は滑らかな白い組織で、骨の端部を覆って関節を形成しています。
この関節軟骨の組織と、滑液と呼ばれる液状の潤滑剤があることによって、関節の摩擦を減らして、痛みもなく骨を自由に動かすことができます。
グルコサミンは関節軟骨と滑液を作るのに関わるいくつかの化合物を形成する働きがあります。
グルコサミンを補うことで、軟骨の損傷を防いで、関節組織を守る効果があると示す研究もあります。
自転車に乗る41人を対象に行った小規模な実験で、偽薬のグループは膝のコラーゲンの劣化は8%しか抑えられなかったのに対して、毎日最大3gのグルコサミンを摂取すると、膝のコラーゲンの劣化が27%も抑えられたという結果が出ました。(参考)
また別の小規模な実験によると、3か月以上の期間サッカー選手に毎日3gのグルコサミンを摂取してもらったところ、関節のコラーゲン合成マーカーに対してコラーゲン分解マーカーの比率が大きく下がったことが分かりました。(参考)
これらの結果は、グルコサミンに関節を守る効果があることを示しています。
とはいうものの、更なる研究が必要です。
Point:グルコサミンは関節が正常に動くために必要な組織の形成に関わっています。更なる研究は必要なものの、いくつかの研究を通して、グルコサミンを補うことで関節をダメージから守る可能性が明らかになっています。
グルコサミンによる骨と関節の疾患の治療
グルコサミンのサプリメントは骨や関節の様々な症状を和らげるために使用されることが多くあります。
グルコサミンが、変形性関節症、リウマチ関節症、骨粗鬆症に関わる症状や疾患の治療に役立つ可能性について、具体的に研究がなされてきました。
グルコサミン硫酸塩を毎日摂取することで、痛みを大幅に軽減したり、関節の隙間を維持したり、疾患の進行を全体的に遅らせたりと、骨粗鬆症の治療に長期的な効果が見込まれることが、複数の研究によって示されています。(参考1、参考2、参考3、参考4)
またマウスを使用した実験で、グルコサミンを様々な形で与えるとリウマチ関節症(RA)のマーカーが大幅に下がったという結果を明らかにしている研究もあります。(参考1、参考2)
反対に、人間に対して行われたある研究では、グルコサミンを使用してもリウマチ関節症の進行には目立った効果は見られませんでした。しかし、この患者自身は、症状管理が非常に良くなったと報告しています。(参考)
変形性関節症のマウスを使用した過去の調査の中にも、グルコサミンのサプリメントを使用することにより骨を強くする可能性を示しているものがあります。(参考)
こうした研究結果はグルコサミンの使用を後押しするものではありますが、グルコサミンの関節や骨の疾患に対する効果のメカニズムや適切な使用方法をきちんと理解するには、人間に対してさらに調査を行う必要があります。
Point:グルコサミンは骨や関節の様々な症状を和らげるために使用されることが多くあるものの、その効果については更なる研究が必要です。
グルコサミンのその他の用途
様々な慢性の炎症疾患の改善のためにグルコサミンを使用する人がいますが、こうした用途を裏付ける科学的なデータはあまりありません。
間質性膀胱炎
グルコサミンは間質性膀胱炎(IC)の治療方法として広く推奨されています。
間質性膀胱炎とは、グリコサミノグリカン化合物の欠乏に関わる症状です。
グルコサミンはこの化合物の前駆体であるため、グルコサミンのサプリメントが間質性膀胱炎の治療に役立つことが理論上は明らかになっています。(参考)
ただ残念ながら、この説を科学的に証明するデータは十分にありません。
炎症性腸疾患(IBD)
間質性膀胱炎と同様に、炎症性腸疾患(IBD)もグリコサミノグリカンの欠乏に関連しています。(参考)
グルコサミンが炎症性腸疾患の治療に役立つという説を裏付ける研究は非常に少ないです。
しかし、炎症性腸疾患のマウスを使用した研究でグルコサミンを補うことで炎症が軽減するかもしれないという結果が示されています。(参考)
ただ最終的にはっきりとした結論に至るにはまだまだ研究が必要です。
多発性硬化症(MS)
グルコサミンが多発性硬化症(MS)の治療に効果的かもしれないと述べている文献もあります。
しかし、これを裏付ける研究は十分にありません。
ある研究では、再発寛解型多発性硬化症に対して、これまでの慣習的な治療法と併せてグルコサミン硫酸塩を使用した場合の効果を検証しました。
グルコサミンを使用した結果として再発率や病気の進行に大きな影響は見られませんでした。(参考)
緑内障
緑内障は一般的にグルコサミンで治療が可能であると考えられています。
過去の研究では、グルコサミン硫酸塩によって、網膜の炎症を抑える効果や抗酸化作用が働き、目の健康状態が改善する可能性を指摘しています。(参考)
反対に、グルコサミンを摂取しすぎると緑内障の患者に悪影響があることを指名している小規模の研究もあります。(参考)
概して、現在得られているデータだけで緑内障への効果について結論を出すことはできません。
顎関節(TMJ)
顎関節症の治療にグルコサミンが効果的であると主張している文献もあります。
しかし、この主張を裏付けるような十分な研究はありません。
ある小規模の研究では、グルコサミン硫酸塩とコンドロイチンを組み合わせて摂取した患者の顎の可動域が広がったとともに、痛みと炎症マーカーが大幅に下がったという結果が得られました。(参考)
また別の小規模な研究では、顎関節症の患者にグルコサミン硫酸塩のサプリメントを飲んでもらっても、短期的には目立った効果は見られなかったと明らかにしています。
しかし長期的には痛みの管理が非常に改善したという報告がされています。(参考)
こうした研究結果は信頼できるものではありますが、断定的な結論を出すには十分なデータとは言えないため、さらに調査が必要です。
Point:グルコサミンは幅広い症状に対して効果的な治療手段であると考えられていますが、実際の効果について結論付けるようなデータは揃っていません。
グルコサミンは本当に効果があるのか?
様々な疾患に対するグルコサミンの効果について、幅広い主張がされていますが、確認することのできる調査結果からは、一部の症状に対するグルコサミンの効果しか立証されていません。
現時点では、変形性関節症の長期的な治療にグルコサミン硫酸塩を使用することについてだけは、確固たる裏付けがされています。
これはつまり、全員のあらゆる症状に効果があるとは限らないということでもあります。(参考)
あるデータによると、他の疾患や炎症の症状には、グルコサミンの効果はあまり期待できないようです。
もし皆さんがグルコサミンの使用を検討しているようであれば、サプリメントの質によって効果が変わってくるので、品質に注意して選ぶようにしましょう。
アメリカのように、食品サプリメントに関してあまり規制が無い国もあります。
こうした国では、ラベルの表記が信用できないものであることもあります。(参考)
第三者による認証を確認して、自分が購入するものがどういったものなのか正確に把握すると良いでしょう。
自社の製品について第三者による公平な認可試験を積極的に受けている製造元は、製品の製造販売にあたり高い水準を設けている傾向があります。
ConsumerLab、NSF International、US Pharmacopeia (USP)は、認可を下ろしている数少ない独立した企業です。
皆さんの手元にあるサプリメントにこれらのロゴが一つでもついていれば、そのサプリメントは恐らく高品質なものでしょう。
Point:ほとんどの調査は変形性関節症の治療にグルコサミン硫酸塩を単体で使用することについては効果を立証しています。他の使用方法に関しては効果はあまり期待できないようです。
グルコサミンの服用量とサプリメント
一般的なグルコサミンの服用量は1日あたり1,500 mgで、一度に摂取しても、1日を通して複数回に少しずつ分けて摂取しても構いません。(参考)
グルコサミンのサプリメントは、貝殻や菌類といった自然のものから作られている場合と、研究所で人工的に作られている場合があります。
グルコサミンのサプリメントには以下の2種類のものがあります(参考):
- グルコサミン硫酸塩
- グルコサミン塩酸塩
グルコサミン硫酸塩はコンドロイチン硫酸塩と組み合わせた製品として販売されていることもあります。
グルコサミン硫酸塩を単体で摂るか、グルコサミン硫酸塩をコンドロイチンと一緒に摂る場合に最も高い効果が得られることが、ほとんどの科学的データで示されています。
Point:一般的なグルコサミンの服用量は1日あたり1,500 mgです。グルコサミン硫酸塩単体でも、コンドロイチンと一緒にでも構いませんが、グルコサミン硫酸塩の効果が最も大きいとされています。
グルコサミンの危険性と副作用の可能性
グルコサミンのサプリメントはほとんどの人にとっては安全とされています。とはいえ、一定リスクも存在します。
副作用としては以下が考えられます(参考):
- 吐き気と嘔吐
- 下痢
- 胸やけ
- 腹痛
妊娠中や授乳中の安全性については十分に証拠がないので、使用を控えるようにしてください。
リスクは比較的低いですが、糖尿病の方はグルコサミンにより血糖値の調節がうまくいかなくなることがあります。
糖尿病であったり糖尿病の薬を服用している場合は、グルコサミンを摂取する前にかかりつけの医師に相談しましょう。(参考)
Point:グルコサミンはほとんどの人にとっては安全です。軽度の胃腸の不調は報告されています。糖尿病の場合は血糖値の調整に悪影響を及ぼす可能性があります。
最後に
グルコサミンは私たちの体内に自然に存在しており、関節を形成し健康に保つために重要な役割を果たしています。
炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、顎関節症といった、様々な関節や骨や炎症性に関わる疾患の治療にグルコサミンが使用されていますが、多くの調査でグルコサミンの効果が確認されているのは、変形性関節症の長期的な治療のみです。
1日あたり1,500 mgの服用であればほとんどの人にとっては安全であるとされていますが、軽度の副作用がみられる場合もあります。
もし変形性関節症を和らげる方法を探しているようでしたら、グルコサミンのサプリメントを検討してみる価値はあるでしょうが、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
グルコサミンをサプリで試してみたい方は、「ディアナチュラゴールド グルコサミン」から使用してみると良いでしょう。
ただし、重度の症状など適切な治療が必要とされる場合はサプリメントに頼らず、医療機関で診断を受けるようにしましょう。
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