イノシトールとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

イノシトールは別名ビタミンB8とも呼ばれます。果物や豆類、穀物、木の実などの食べ物に含まれています。(参考

また、摂取した食事の糖質からイノシトールを作ることもできます。

しかしながら、いくつかの研究は食事から摂取している分に加え、栄養補助食品としてイノシトールをより多く摂取することは、健康に効果があると推奨しています。

この記事では、イノシトールに期待されている効果や推奨される用量、考えられる副作用などを詳しく見ていきます。

イノシトールとは?

イノシトールはビタミンB8という名称でも紹介されますが、イノシトールはビタミンではありません。いくつかの重要な機能を持った一種の糖です。

イノシトールは血糖コントロールに不可欠なホルモンであるインスリン作用に影響を与えます。それに加えて、セロトニンやドーパミンなど脳の化学伝達物質にも影響します。(参考1参考2

アメリカでの統計によると、アメリカに住む人々の典型的な食事には一日当たり1gのイノシトールが含まれると推定されてきました。イノシトールの宝庫である穀物や豆類、木の実、新鮮な野菜や果物をよく食べるからです。(参考

しかし、食事からのみ摂取するのではなく、サプリメントなどを通したイノシトールの積極的な摂取に関するニーズが高まってきています。研究者たちは、一日18gまでの服用は効果があり、副作用もほとんどないとしています。

POINT:イノシトールは細胞の構造を形作るのを助ける糖の一種です。それはホルモンのインスリンや脳の化学伝達物質の機能にも影響を与えます。

メリット

イノシトールは私たちの気分やムードに影響を与えるとされているセロトニンやドーパミンのような脳の化学物質のバランスを整える助けになるかもしれません。(参考

興味深いことに、研究者たちは落ち込みや不安感、神経障害を抱えている人々は脳内のイノシトールの量が低いということを発見しました。(参考1参考2) 

更なる研究が必要ではありますが、いくつかの研究はイノシトールは様々な精神状態にまつわる治療法の選択肢の一つとなる可能性を持っていると提案しています。それはまた、一般的な治療法と比べ副作用も少ないと見られています。(参考

精神系に関する効果

パニック症候群

研究はまだ制限されていますが、イノシトールサプリメントは不安が重症化したパニック症候群の治療の助けになるかもしれません。

パニック病を患っている人は、突然強い恐怖に襲われるなどの発作を頻繁に経験します。症状には頻拍、動悸、めまい、汗、てのひらがチクチクしたり、しびれたりといったものも含まれます。(参考

ある研究では、パニック症候群を患った20人が、18gのイノシトールのサプリメントか、ある抗鬱薬のどちらかを一ヶ月間毎日摂取しました。イノシトールを摂取した人々は抗鬱薬を摂取した人々と比べ、一週間あたりの発作の回数が減りました。(参考

同様に、4週間の研究では、一日に12gのイノシトールを摂取した時、発作の回数が減りました。(参考

うつ病

研究の結果は是非が入り混じっているものの、イノシトールはうつ病も改善させるかもしれません。

例えば、初期に行われた研究では、12gのイノシトールサプリメントを4週間毎日摂取すると、うつ病の人々の症状が改善したことを示しました。(参考

対照的に、それに続いて行われた研究では、そうした著しい効果が見られることはありませんでした。(参考

しかし、イノシトールがうつ病に本当に有効かどうかを断言する十分なエビデンスはまだないと言えるでしょう。

双極性障害

イノシトールと双極性障害についての関係はわずかしかありません。しかしながら、予備調査によるとその効果は見込みがあるようです。(参考1参考2

たとえば、ある小規模の研究では、双極性障害の子供が3gのオメガ3脂肪酸と2gのイノシトールを食い回せて12週間毎日摂取した時、躁状態と落ち込みの症状が減ることがわかりました。(参考

それに加えて、研究では、3〜6gのイノシトールを毎日摂取すると、双極性障害の治療に使われるリチウムによって引き起こされる乾癬の症状を改善する助けになるかもしれないと提案しています。(参考1参考2

POINT:更なる研究が必要ですが、イノシトールはパニック症候群やうつ病、双極性障害といった精神疾患の治療の選択肢の一つとして潜在的な可能性を持っています。

多嚢胞性卵巣症候群の症状の改善

月経不順や不妊などの症状が見られる多嚢胞性卵巣症候群は女性のホルモンのアンバランスから起こる病気です。
原因は高血糖、好ましくないコレステロール値、血清脂質のトリグリセリドが見られるなどもまた多嚢胞性卵巣症候群が懸念されます。(参考

例えば、臨床試験は、イノシトールと脂肪酸の日常的な服用は血中のトリグリセリド値を下げる手助けをするかもしれないと示唆しています。
また、多嚢胞性卵巣症候群の人たちのインスリン機能や軽度の低血圧を改善する可能性もあります。(参考1参考2参考3

さらに言えば、初期に行われた研究では、イノシトールと脂肪酸の組み合わせは多嚢胞性卵巣症候群による不妊に悩む女性の排卵を促進する可能性があるということがわかっています。(参考1参考2

ある研究では、4gのイノシトールと400mcgの脂肪酸を3ヶ月間毎日摂取すると、62%の女性の排卵が促されました。(参考

POINT: イノシトールは血清脂質のトリグリセリド値の低下やインシュリン機能や低血圧の解消、多嚢胞性卵巣症候群の女性の排卵を誘発する助けになると見られています。

メタボリックシンドロームの危険因子をコントロールする


臨床試験はイノシトールの栄養補助食品はメタボリックシンドロームの人たちにも効果があるかもしれないと伝えています。(参考1参考2

メタボリックシンドロームは心臓病や2型糖尿病を含む慢性疾患の危険性を高めるものです。

特に、下記の5つの状態はメタボリックシンドロームと関連しています。(参考

  • 腹部の過剰な脂肪
  • 血中の脂質トリグリセリド値が高い
  • 善玉コレステロール値が低い
  • 高血圧
  • 高血糖

メタボリックシンドロームの80人の女性を対象に、一年にわたって行われた臨床試験では、2gのイノシトールを一日2回摂取するとトリグリセリド値が平均で34%、総コレステロール値が22%近く減少しました。血圧と血糖値の改善もまた見られました。(参考

さらに、イノシトールの栄養補助食品をとった女性の20%が、研究が終わるまでにはメタボリックシンドロームの基準に該当しなかったのです。(参考

POINT:イノシトールは血清脂質値や血圧、血糖値を低下させることでメタボリックシンドロームの危険因子をコントロールする助けになるかもしれません。また、コレステロール値も改善させる可能性があります。

妊娠中の糖尿病の予防

いくつかの女性は妊娠中に高血糖状態になります。これは妊娠性糖尿病と呼ばれるもので、アメリカでは毎年妊婦の10%が悪化するとされています。(参考1参考2

動物実験では、イノシトールは直接的に血糖値を調整するホルモンであるインスリン機能と関係しているとわかっています。(参考1参考2

人間に運用できる、栄養補助食品と妊娠性糖尿病について有効な研究の数は限られています。
しかし、いくつかは4gのミノイノシトールと400mcgの脂肪酸の組み合わせは妊娠中通して毎日摂取すると、妊娠性糖尿病の予防を助けるかもしれないと提案しています。(参考1参考2参考3

しかしながら、他の研究でも同様の効果をえるにはさらなる研究が必要とされます。(参考

POINT:イノシトールは脂肪酸と組み合わせて妊娠中に摂取すると、高血糖を防ぐかもしれません。しかしそれが事実かどうか確かめるには、さらなる研究が必要です。

その他の健康効果

イノシトールは様々な症状において、治療の有効な選択肢として研究されてきました。

すでに述べたように、研究は下記のような健康状態の改善を助けるかもしれないと示唆しています。

  • 呼吸窮迫症候群:早産児において、イノシトールは未発達の肺によって起こる呼吸の問題の治療を助けると見られています。(参考) 
  • 2型糖尿病:初期の研究は、イノシトールと脂肪酸を6ヶ月間毎日摂取することは、2型糖尿病の人々の血糖コントロールを助けるかもしれないと提案しています。(参考) 
  • 強迫神経症:小規模の研究ですがイノシトールを18g、6週間毎日摂取することは強迫神経症の症状を改善するかもしれないと伝えています。(参考) 

POINT:イノシトールは呼吸窮迫症候群を患った早産児に対する治療法の一つです。また、2型糖尿病の人たちの血糖コントロールを助け、強迫神経症の症状の改善にも効果があるかもしれません。

イノシトールの副作用と相互作用

イノシトールの栄養補助食品は多くの人々にとって良好な忍容性があると見られています。

しかしながら、一日12gかそれ以上を服用する人は深刻ではないものの副作用が見られるという報告があります。それらは吐き気、お腹にガスがたまる、睡眠障害、頭痛、めまい、疲労感などです。(参考

4gまでなら妊婦さんでも深刻な影響はないと見られていますが、それに関しては更なる研究が必要とされます。(参考1参考2

また、栄養補助食品の授乳中の女性に対する安全性を決定する研究も十分ではありません。しかしながら、母乳には元来イノシトールが豊富に含まれていると見られています。(参考

それに加えて、イノシトールの栄養補助食品が長期間使用しても安全かどうかも明確ではありません。多くの研究では、一年かそれ未満しか服用していないのです。

他の栄養補助食品と同様に、イノシトールを摂取する前は医師に相談してください。

POINT:イノシトールは多くの人に対して安全ですが、深刻ではない副作用もあります。授乳中や妊娠中の女性に対しての安全性に関しては、長期間の使用と同様に、さらなる研究が必要です。

イノシトールの摂取方法

栄養補助食品として使われるイノシトールには、二つの主な形態があります。すなわちミオイソチオールとDカイロイソチオールです。

公の総意ではありませんが、以下がこれまでの研究によって最も効果的だとされているタイプと投薬量です。

  • 精神疾患に対して:12〜18gのミオイソチオールを一日に一回、4〜6週間摂取する。(参考1参考2参考3参考4) 
  • 多嚢胞性卵巣症候群:12~18gのミオイソチオールを一日一回、または2gのミオイソチオールと200mcgの脂肪酸を半年間一日2回。(参考1参考2) 
  • メタボリックシンドローム:2gのミオイソチオールを一年間一日2回。(参考) 
  • 妊娠性糖尿病の血糖コントロールに:2gのミオイソチオールと200mcgの脂肪酸を妊娠中に一日2回。(参考1参考2参考3) 
  • 2型糖尿病の血糖コントロールに:1gのDカイロイソチオールと400mcgの脂肪酸を半年間一日1回。(参考) 

これらの服用法はある状態において短期間、効果的だと見られる一方で、長期間にわたる服用の安全性と効果についてはまだまだ研究が必要です。

POINT:イノシトールの推奨される服用法は公のものとしてはまだありません。容量とタイプについてはそれぞれの状態によります。

まとめ

研究では、イノシトールはパニック症候群やうつ病、双極性障害のような精神疾患や、多嚢胞性卵巣・メタボリックシンドローム・糖尿病を患う人たちに効果があると伝えています。

大半の人にとって安全で、一日18gまでの服用なら副作用があったとしても深刻なものはないと報告されています。

普段の食事にも少量のイノシトールは含まれていますが、栄養補助食品を摂取することは健康のために効果的かもしれません。

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