はじめに
ミツバチが作るのは蜂蜜だけではないことをご存知でしょうか?
ミツバチは針葉樹や常緑樹の樹液から、プロポリスという成分も作っています。 ミツバチは体から出す分泌物や蜜蝋を樹液と混ぜ合わせて、粘着性の緑がかった茶色の物質を作り、巣のコーティング剤として使っています。これこそがプロポリスです。 数千年前、古代文明ではプロポリスを薬として扱っていました。
例えば、ギリシャ人は膿瘍の治療に使っていましたし、アッシア人は感染を防いで治癒を促すために、プロポリスを傷口や腫瘍に塗っていました。 また、エジプト人はミイラを作るときの腐敗処置にプロポリスを使っていました。
プロポリスの成分はミツバチのいる場所や、接触する木や花によって大きく左右されます。例えば、ヨーロッパのプロポリスはブラジルのものとは異なる成分を含んでいます。 そのため、研究者らもプロポリスの効能について、これといった結論を述べるのが難しいのです。
プロポリスに含まれる成分
研究者らはこれまで、プロポリスに含まれる300以上の成分を特定していて、そのほとんどがポリフェノール類であるとわかっています。
ポリフェノールには病気や体の損傷と戦う抗酸化作用があります。 特に、プロポリスにはフラボノイドと呼ばれるポリフェノールが含まれています。 植物は自分を守るための手段としてフラボノイドを分泌します。
フラボノイドは抗酸化物質含むと考えられている食品に広くみとめられいて、例えば次のものがあります。
- 果物
- 緑茶
- 野菜
- 赤ワイン
ポリフェノールについては『ポリフェノールとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説』で詳しく解説しているので、気になる方は是非チェックしてみてください。
またフラボノイドについては『フラボノイドとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説』からチェックすることができます。
プロポリスの効果
プロポリスには抗菌性、抗ウイルス性、抗真菌性および抗炎症性があると考えられています。
しかし、プロポリスの科学的な研究は限られており、研究者にはその原因がよくわかっていません。ですが、ミツバチが作り出す物質には、ある種のバクテリアやウイルス、真菌を予防する成分が含まれているようです。
傷の回復を助ける
プロポリスはピノセムブリンと呼ばれる特別な成分を含んでいます。
ピノセムブリンは抗真菌薬として作用するフラボノイドの1種です。 このような抗炎症性・抗菌性の成分を持つおかげで、プロポリスは傷の回復を助けることができるのです。 ある研究では、プロポリスは新しい正常細胞の成長を促進させるため、外傷性火傷の患者をより早く治せると報告しました。(参考)
また、口腔の手術傷にアルコールで抽出した外用のプロポリスを塗布した場合、ステロイドクリームよりも効果があったと発表した論文もあります。研究者らはその理由を、炎症反応に関わって創傷治癒を遅延させる働きをもつ肥満細胞の数がプロポリスを塗布することで少なくなったためだと述べています。(参考)
口唇ヘルペスと性器ヘルペスの症状を和らげる
HerstatやColdsore-FXのような3%のプロポリスを含む軟膏は、口唇ヘルペスや性器ヘルペスの症状を和らげ、治療時間を短縮する一助となるかもしれません。
ある研究では、外用のプロポリスを口唇ヘルペスの患部に1日3回塗布すると、無治療の場合に比べて治癒速度が短縮することがわかりました。 研究者らはプロポリスクリームが、患者の体内に存在するヘルペスウイルスの量を減らすだけでなく、口唇ウイルスの再発も防ぐこともみつけました。(参考)
癌に対する効果
プロポリスはある種の癌にも効果があるのではないかと言われて続けてきました。 ある研究によると、抗癌効果には以下のようなものがあると述べています。
- 癌細胞の増殖を防ぐ
- 細胞が癌になる可能性を減らす
- 癌細胞同士が互いにシグナルを出さないように、シグナル伝達経路を遮断する
その研究では、プロポリスは癌の補完療法(単一の治療としてではなく)になり得るとも示唆しています。(参考)
別の論文では、中国産プロポリスは乳がん細胞に対する抗腫瘍効果があるため、乳がんの補完療法として役立つという見解を示しています。(参考)
プロポリスの安全性・副作用
プロポリス製品が安全かどうかの十分な証拠はまだありませんが、ハイリスクであるとは考えられていません。 人は普通、蜂蜜を食べるときにプロポリスを摂取しています。
しかしながら、もし蜂蜜やハチに対してアレルギーがある場合、プロポリスを含む製品にも反応してしまうでしょう。 また、プロポリスを長期間服用した際も、プロポリス自体に対するアレルギー反応を起こす可能性があります。
養蜂家はプロポリス触れる機会が多いため、プロポリスアレルギーを持つ可能性が高い傾向にあります。 典型的なアレルギー反応では湿疹様の突発的広がりを呈します。
あなたが治療プランにプロポリスを加える場合は、開始前に主治医と相談してください。アレルギーや喘息の既往がある場合は特に注意しましょう。
最後に
プロポリスは薬局や健康食品のお店で購入することができます。 外用として用いられる形態にはクリームや軟膏、ローションがあります。
プロポリスは内服も可能で、錠剤やエキス剤、カプセルの形でも売られています。 現在、さらなる研究が必要とされているため、医学的に推奨される用量は決められていません。 ある研究では1日におよそ70mgの摂取を推奨していますが、これはFDAが勧告した量ではありません。(参考)
製薬会社が製品ラベルに推奨用量を記載している場合があります。 サプリメントを服用する前に、プロポリスがあなたにとって安全かどうか医師に確認しましょう。
プロポリスをサプリで試してみたい場合には、「プロポリス1500」などがあります。
ただし、重度の症状など適切な治療が必要とされる場合はサプリメントに頼らず、医療機関で診断を受けるようにしましょう。
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