コントロールできることとできないこと
身長が伸びる要因はいくつかあります。遺伝的要因が60-80%を占め、栄養や運動量などの特定の環境要因が残りの割合を占めていると考えられています。
1歳〜思春期の間には、ほとんどの人は毎年2.5cmほど身長が伸びます。思春期に入ると伸びる速度が更に速まり、毎年10cmほど伸びる可能性があります。しかし、身長が伸びる速さは人それぞれで一概には言えません。
男女の間でも身長の伸びる時期に違いが見られます。女の子は一般的に急激な伸びの時期、いわゆる成長スパートが10代の前半で始まりますが、男の子にはこのような急成長が10代後半まで見られないかもしれません。
そして思春期を過ぎると、通常身長の伸びは止まります。つまり、大人になってから身長が伸びる可能性は低くなります。
しかし、思春期を通じて、身長の伸びを最大限にするためにすべきことがいくつかあります。これらのことは大人になってからも健康と身長維持のためにも続けるべきです。
1.バランスの取れた食生活
成長期には体に必要な全ての栄養素を摂る事が極めて重要です。
取り入れるべき食材には以下のものが挙げられます。
- 新鮮な果物
- 新鮮な野菜
- 全粒穀物
- タンパク質
- 乳製品
逆に、以下のものが含まれる食品は制限するか、避けるべきでしょう。
- 砂糖
- トランス脂肪
- 飽和脂肪
基礎疾患や加齢が骨密度に影響を与え、身長が縮んでしまっている場合は、カルシウムの摂取量を増やしましょう。50歳以上の女性や70歳以上の男性は、毎日1200mgのカルシウムを摂ることが良く勧められます。
また、ビタミンDにも骨の健康を増進する効果があります。ビタミンDを含む食材にはマグロや強化ミルク、卵黄などが挙げられます。もし食生活を通じて十分なビタミンDを摂取できていない場合は、1日の推奨摂取量を満たす量のサプリメント摂取について医師に相談してみましょう。
2.必要であればサプリメントを使用する
サプリメントが子供の身長の伸びと加齢による身長の縮みに適切であるケースがほんのわずかですが、いくつかあります。
例えば、ヒト成長ホルモン(HGH)の生成に影響を与える病気を患っている場合には、医師から人工的に合成されたHGHが含まれるサプリメントを勧められるかもしれません。また、高齢の方は、骨粗しょう症の予防にビタミンDかカルシウムの摂取を希望するかもしれません。
どのケースにしろ、身長の伸びを見込んでサプリメントを摂ることはやめましょう。成長期のサプリメント摂取により成長板がくっついてしまうと、身長を伸ばすことができなくなるからです。
3.適切な睡眠時間を取る
たまの夜更かしであれば、身長の伸びに影響はありません。しかし、青年期に十分な睡眠をとらずにいると、身長が伸びないと言われています。これは睡眠不足のために、睡眠中に分泌されるHGHや他のホルモンの分泌量が少なくなってしまうことが原因です。
年齢別の1日の推奨睡眠時間は以下の通りです。
- 新生児~3カ月まで:14~17時間
- 幼児(3~11カ月):12~17時間
- よちよち歩きの小児(1~2歳):11~14時間
- 低年齢幼児(3~5歳):10~13時間
- 子供(6~13歳):9~11時間
- ティーンエイジャー(14~17歳):8~10時間
- 大人(18~64歳):7~9時間・高齢者(65歳以上):7~8時間
十分な睡眠時間を取るとHGHの分泌が上昇します。そのため、短時間の仮眠をとるのもお勧めです。
4.アクティブでいる
定期的な運動は多くのメリットがあります。例えば、筋肉と骨の強化や健康的な体重の維持、そしてHGHの分泌を促します。
学校に通う子供は、1日に少なくとも1時間の運動すべきと言われています。例えば、以下の活動です。
- 腕立て伏せや腹筋運動などの筋力増強運動
- ヨガなどの柔軟運動
- 鬼ごっこ、縄跳び、サイクリングなどの有酸素活動
運動は大人にもメリットがあります。健康維持に役立つだけでなく、骨粗しょう症のリスク低減にも役立ちます。骨粗しょう症は骨密度が減る事で、骨が弱く、そしてもろくなる病気で、身長の縮みを引き起こします。このようなリスクの予防には、ウォーキングやテニス、そしてヨガなどを週に数回行うことが効果的です。
5.正しい姿勢を心がける
悪い姿勢は本来の身長よりも低く見せる可能性があります。そして、時間が経つにつれて、前かがみの姿勢は実際に背の高さにも影響してきます。
背中は3ヵ所でで自然に曲がっています。しかし普段から猫背でいると、この曲がりが新しい姿勢となり、首や背中の痛みを引き起こしてしまいます。立っている時、座っている時、そして眠っている時の姿勢に気を付けましょう。正しい姿勢を取り入れる事を目的とした人間工学(エルゴノミクス)をどのようにして日常生活に取り入れるか、医師に相談してみましょう。必要に応じて、スタンディングデスクや低反発枕の使用で姿勢を正す事ができるかもしれません。
姿勢を徐々に改善する目的の運動をもあります。どう始めればいいのか分からない方は、医師に相談しましょう。あなたに合った運動を紹介してくれることでしょう。
6.ヨガで最大限に身長を伸ばす
猫背を直す運動が好きでない方は、ヨガを試してみましょう。ヨガは全身運動で、筋肉増強、体の調整、そして姿勢の改善にも役立ちます。ヨガは家や近くのジム、スタジオでのグループレッスンでも練習できます。どこから始めればよいか分からない時は、YouTubeの初心者向けヨガを探してみましょう。
姿勢を良くする人気のポーズには以下のものがふくまれます。
- マウンテンポーズ
- コブラポーズ
- チャイルドポーズ
- 英雄のポーズ
まとめ
ほとんどの場合、思春期を過ぎると、通常身長の伸びは止まります。大人になっても背の高さを維持することはできますが、身長が伸びることはありません。
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