尿もれとは？
尿漏れは膀胱のコントロールが上手くできないときに起こります。時には膀胱に溜まっている尿が全て出てしまう場合もあります。また、ほんの少量漏れる程度の時もあります。一時的なものである場合もあれば、慢性的な場合もあり、それは原因によって異なります。
泌尿器科医療財団、Urology Care Foundationによるとアメリカの何百万人もの成人が尿漏れを経験しているそうです。また、ジョンズ・ホプキンズ・メディスンによると50代以上の女性によく見られるそうです。しかし、尿漏れは誰にでも起こりえます。
年齢を重ねると、膀胱を支えている筋肉が弱くなる傾向にあり、これが尿漏れに繋がります。
またあらゆる健康上の問題も尿漏れの原因になります。尿漏れの症状は軽いものから重いものまであり、癌、腎臓結石、感染症、または前立腺肥大の兆候である可能性もあります。
もし、尿漏れの症状がある場合は医療機関を受診してください。尿漏れは日常生活に支障をきたす可能性や、事故につながる可能性もあります。医療機関で尿漏れの原因が深刻な病気であるかどうかも調べることができます。
尿漏れの種類
尿漏れには大きく分けて3つの種類があります。一度に複数の種類が同時に起こる場合もあります。
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁はある種の身体活動によって起こります。
たとえば、以下のような時に膀胱のコントロールが上手くできなくなります。
- 運動中
- 咳をするとき
- くしゃみをするとき
- 笑うとき
このような動きをすると、膀胱に尿を溜めておくのに使われる括約筋（かつやくきん）に圧力がかかります。圧力がかかり過ぎると筋肉が尿を膀胱から漏らしてしまう可能性があります。
切迫性尿失禁
切迫性尿失禁は急に尿がしたくなったあとに、膀胱のコントロールを失います。一度したくなると、トイレまで間に合わない場合があります。
溢流性（いつりゅうせい）尿失禁
溢流性尿失禁は尿をした際に、膀胱が完全に空になっていない状態の時におこります。尿をしたあと、膀胱に残っていた尿が漏れてくる現象です。このタイプの尿漏れは「尿滴下」とも呼ばれます。
尿漏れの原因
尿漏れには様々な原因があります。
たとえば以下のようなものです。
- 加齢による膀胱の筋肉の衰え
- 骨盤底筋の負傷
- 前立腺肥大
- 癌
上記の原因の中には簡単に治療ができるものや一時的に尿漏れを起こしているだけのものもあります。また深刻な状態のものや長く続くものもあります。
加齢
歳を重ねると膀胱をサポートしている筋肉が衰えてきます。それにより尿が漏れやすくなります。
強い筋肉と健康な膀胱を保つためには、健康的な生活を送ることが大切です。体がより健康であれば、歳をとっても尿漏れが起こらない可能性があります。
筋肉の負傷
骨盤底筋は膀胱をサポートする筋肉です。この筋肉が負傷すると尿漏れが起こることがあります。この負傷は子宮摘出手術などの特定の種類の手術が原因の場合があります。また妊娠、出産が原因の場合もあります。
前立腺肥大
男性の場合、前立腺が膀胱の下部の細くなっている部分の周りを囲っています。この前立腺は尿を排出し、精子を守り、栄養を与えます。そして、加齢とともに肥大していく傾向があります。その結果、男性も尿漏れを経験することがあります。
癌
前立腺がんや膀胱がんは尿漏れの原因になります。また癌の治療が原因で膀胱のコントロールが難しくなる場合があります。また、良性腫瘍でさえも、尿の流れをブロックするので、尿漏れを引き起こす原因となります。
その他の考えられる原因
他に尿漏れの原因として考えられるのは以下の通りです。
- 便秘・尿路感染症（UTIs）
- 腎臓結石や膀胱結石
- 前立腺炎、または前立腺の炎症
- 間質性膀胱炎や膀胱に炎症を引き起こす慢性の病気
- 血圧の薬、筋弛緩剤、鎮静剤、そして心臓の薬などの薬による副作用
日常生活の行動が一時的な尿漏れの原因になっている場合もあります。たとえば、お酒、カフェイン入りの飲み物、または何か他の種類の飲み物などを飲み過ぎると、一時的に膀胱のコントロールができなくなることがあります。
医療機関を受診するタイミング
尿漏れの症状がある場合は医療機関を受診したほうがよいでしょう。治療が必要とされる、より深刻な病気の症状である可能性もあります。
もし、原因が深刻なものではないとしても、尿漏れは日常生活に大きな支障をきたすことがあります。医師から正確な診断を得て、治療方法を話し合うことが大切です。
尿漏れは緊急性が高い病気の兆候である場合があります。
膀胱をコントロールできなくなり、以下の症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 会話や歩行が困難になる
- 体の部分に衰弱や刺すような痛みを感じる
- 視力喪失
- 錯乱状態
- 気絶状態
- 便失禁の症状
医療機関での診察について
診察において医師から症状について質問があると思います。尿漏れの症状が出ている期間やその様子、その他の詳しい状況などを聞かれると思います。
また、食生活や服用している薬やサプリメントなど生活パターンについての質問もあると思います。
患者の症状と病歴によっては、医師により以下の検査を行うことがあります。
- 検尿により感染症やその他の病気の兆候を調べる
- 一回の排尿での尿の排出量、残尿量、膀胱へかかる圧力の程度を調べる（この検査は尿道と膀胱に導尿管や小さなチューブを入れて行います。）
- 膀胱鏡検査（この検査では小さなカメラを膀胱へ入れて中を詳しく検査します。）
治療方法
医師は尿漏れの原因によって、それに合う治療を行います。尿漏れを引き起こしている原因の病気によっては、服薬、手術、またはその他の治療などが必要になる場合もあります。
また、膀胱をコントロールできるようにするために骨盤底筋体操や膀胱トレーニングなどのエクササイズを勧められることもあります。
しかし、治療をしても尿漏れが治らない場合があるかもしれません。その場合は、尿漏れと上手く付き合っていくための方法がいくつかあります。
医師がアドバイスする可能性がある事項は以下の通りです。
- 食生活の見直しや水分摂取量の調整
- トイレに行きやすい環境を作る
- 吸収力の高い下着やライナーの使用
- トイレ休憩を定期的に取る
尿漏れの予防
尿漏れの原因全てを防ぐことはできませんが、尿漏れを悪化させないための方法はあります。健康的な生活を送ることがそのカギとなります。
たとえば、以下の事柄を試してみてください。
- 健康的な体重を維持する
- 運動をたくさんする
- バランスの良い食生活を送る
- カフェインとアルコールの摂取量を減らす
- 喫煙者は禁煙をする
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