妊活に最適な成分やサプリメントは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

妊娠しようと努力をしたことのある人であればお分かりだと思いますが、不妊は考えられないほど大変な治療になることがあります。しかし赤ちゃんができるチャンスを増やす方法で、比較的簡単でかつ非侵襲的(生体を傷つけないような方法)なものがひとつあります。その方法は食べ物やサプリで栄養を補うということです。

本記事では、主に不妊治療に有効な食べ物やサプリについて解説します。それではまずビタミンとミネラルについて解説しましょう。

※健康食品を摂取する前には必ず医師に相談してください。


生殖機能に対する栄養素の役割

現代において、ビタミンと生殖能力の役割はまだ完全には解明されていません。受精率というものは複雑な方程式で、また人の身体はそれぞれで異なっています。そのことにより微量栄養素(主にビタミン、ミネラルを指す栄養素)と受胎に関する科学はまだまだ発展途上にありますが、いくつかの著名な研究により、妊娠と妊娠途中のビタミンの役割が明らかになり始めています。

ビタミンは女性の健康に重要な役割を果たしており、次のような多くの機能には不可欠です。

  • 月経と排卵
  • 甲状腺機能
  • エネルギー生産免疫機能
  • 卵母細胞の質の向上と成熟


そのため健康な妊娠に適した状況を作るには、十分なビタミンとミネラルの摂取が不可欠です。一部の栄養素は、不妊への一般的な基礎原因である多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群 (PCOS) の症状を軽減することさえあります。

男性では、ある種類のサプリメントが精子の数と運動性を増加させ、目標に到達するのを助けることが研究で示されています。

しかし、まだまだ研究の段階だということを忘れてはいけません。「期待はできますが、これらの研究の大部分は症例が少なく確立はされていません。」と、MegaFoodサプリメントの主任医療アドバイザーであるTieraona Low Dog博士は言います。

不妊治療に最も人気のあるサプリメントのいくつかを使用法・有効性・用量に基づいて分析したものを下記にまとめます。

1. アセチルL-カルニチン

対象:女性・男性

効果:生殖系を健康に保つ・精子の運動能力の向上

健康な女性の生殖系を促進する抗酸化物質「ビタミン」といえば、アセチルL-カルニチン(ALC)を思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし、このサプリメントは体内に自然に存在するアミノ酸L-カルニチン(LC)の一種で、脂肪をエネルギーに変える働きがあります。

時にALCをLCと併用することで妊娠する力を示す妊孕性(にんようせい)も促進します。2018年のレビューでは、LCは女性の妊孕性に効果がありますが、ALCはより強力な抗酸化物質です。

これらは女性の生殖系の加齢に伴う変化を遅らせると考えられています。このレビューではLCとALCの両方を摂取することで以下の症状が改善されたことも示されています。

PCOSの場合、子宮内膜症・無月経、ほかの研究ではALCとLCの両方が精子の運動能力を高めることが示されています。男性に妊孕性を促進するために推奨される量は通常、ALCとLCの両方で1日1~3gですが、安全性と適量の摂取のためには服用する前に医師に相談することが重要です。


2. ビタミンB(ヨウ素以外)

対象:女性・男性

効果:卵子の健康の促進・排卵性不妊症の予防・精子の質を改善

葉酸(ビタミンB9)は妊娠前と妊娠中に重要であると聞いたことがあるかもしれません。しかし、他のビタミンB群も妊孕性に対して重要です。

大規模で長期にわたるある公衆衛生研究では、ビタミンB-1、B-2、B-3、B-6、B-12の摂取量が多いほど、排卵性不妊症のリスクが低かったと報告されています。(「排卵性不妊」は、排卵障害が不妊の原因になっている症状です。)

いくつかの研究では、ビタミンB12の十分な摂取が足りていないと、女性の不妊症に繋がるとの関連性が示されています。さらに、ある研究機関は、ビタミンB-12と葉酸の濃度が高いと、不妊治療を受けている女性の生殖能力を高める可能性があることを示しています。

さらなる研究が必要ですが、一部の専門家はビタミンB群も精子の質を高めるのに役立つかもしれないと推測しています。

ビタミンB群複合のマルチビタミン剤は、日々のビタミンB群のすべてではないにしても、十分な量を摂取できます。


3. ビタミンC

対象:男性

効果:妊孕性の改善・精子数と運動能力の維持

ビタミンCは強力な抗酸化物質で、鉄の吸収を高めるだけでなく、身体全体の細胞の損傷を減らすことができます。2016年に行われた複数の研究機関の発表によると、ビタミンEとともにビタミンCを摂取すると、男性の精子の数・運動性・DNAの品質が改善されたと報告されています。

ビタミンCの1日当たりの推奨摂取量 (RDA) は、男性で90mg、女性で75 mgです。


4. カルシウム

対象:女性・男性

効果:生殖能力の向上・精子の生成

カルシウムの過剰摂取が生殖能力を高めるという研究結果は決定的ではありません。しかし、男性と女性の両方にとって、ミネラルを十分に摂取することが重要です。2019年の研究では、精子の生産にカルシウムが関係していることから、カルシウム欠乏症が男性の不妊症の原因になる可能性があることが明らかになりました。

成人男女のカルシウムのRDAは1,000mg/日です。ミネラル不足でない限りサプリメントではなく、無脂肪ヨーグルトのような健康的な栄養素からカルシウムを摂取するのが最適です。


5. コエンザイムQ10

対象:女性・男性

効果:体外受精 (IVF) における卵巣反応の改善・精子の運動能力の向上

体内ではコエンザイムQ10 (CoQ10) が単独で生成でき、血液中のそれの量が増えることで、特に体外受精で子供をつくる時に役立つ可能性があります。2018年のある研究は、CoQ10を事前に補うと、体外受精を受けた女性の卵巣反応が改善することを発表しました。

さらなる研究が必要ではありますが、最近のある研究はCoQ10を補うことは、不妊症男性における精子濃度および運動能力を改善する可能性を示唆しています。しかしながら、2013年の研究では出生率や妊娠率を上昇させるということは報告されていません。


6. ビタミンD

対象:女性・男性

効果:妊孕性卵巣刺激、精液の質の改善

一部の研究では、「日光ビタミン」とも呼ばれるビタミンDの欠乏と女性の不妊症との関連が示されています。2019年の分析で、多嚢胞性卵巣症候群による不妊治療をした女性のビタミンD濃度は低かったのです。(診断のつかない不妊の女性では認められませんでした。)

ビタミンDは女性と男性の生殖機能に必須の役割を果たしています。研究によると、ビタミンD欠乏症は男性側と女性側の両方の不妊症と関連している可能性があるため、ビタミンD欠乏症の検査が重要です。レベルに応じた適切な用量について、医療従事者からアドバイスを受けるのがよいでしょう。


7. ビタミンE

対象:男性・女性

効果:精子の運動性の増大・女性の健康の促進

ビタミンEは男性の精子機能を促進し、また女性の一般的な生殖をサポートし得る抗酸化の特性を持っています。しかしその有効性を明確に裏付けるためにはさらなる研究が必要です。成人のビタミンEのRDAは15 mgです。


8. 葉酸

対象:女性

効果:妊娠・不妊治療の結果の改善

妊娠中だけ葉酸(葉酸の合成形態)をたくさん摂取することは、最適な方法ではありません。妊娠前後でバランスよく摂取するのがよいでしょう。

不妊治療に関する研究者であるLow Dog博士は「受胎前の葉酸補給は、妊娠の可能性が高く、不妊治療の成功率が高く、胎児の神経管欠損のリスクが低いことと関連している。」「しかし、さらなる研究が必要だ。」と述べています。

妊婦に対する葉酸のRDAは600μg (μg) です。また、妊娠を計画している方や妊娠の可能性がある方には、1日400−800μgの葉酸を妊娠1ヶ月前から摂取することをおすすめします。


9. 鉄分

対象:女性

効果:鉄欠乏性貧血の予防

排卵性不妊症は鉄欠乏によって引き起こされることがあります。18,000人以上の女性を対象とした長期研究では、鉄の補給は排卵性不妊症のリスクを低下させるとの報告があります。

排卵障害があることがわかっている場合は、食事やサプリメントに鉄を摂取すべきか医師に相談してください。


10. オメガ3s

対象:男性・女性

効果:精子の運動性の向上・35歳以上の妊娠を助ける

脂肪の多い魚や他の食物からオメガ3sを摂取するのはどうでしょうか。オメガ3sはオメガ3脂肪酸を含むサプリメントで、体内の様々な機能にとって重要な多価不飽和脂肪酸が含まれています。

Low Dog博士は「食事パターンを見ると、健康的な食事としてオメガ3脂肪酸が豊富な魚介類を摂取すると、男女ともに妊孕性が高くなります。」「さらなる研究を進めた結果、妊娠をするにあたって、定期的に魚介類を食べない場合は、サプリメントでも補えるかもしれないです。」と述べています。


11. セレン

対象:男性・女性

効果:精液の質の改善・流産のリスク低下

セレンはあまり注目されていないかもしれませんが、生殖に対して有効成分が認められています。

2015年に行われた調査によると、セレン欠乏症は流産・精液の低下・精子の運動能力の低下の要因になり得ると発表されました。2019年の調査によると、セレンは女性の卵子を取り巻く卵胞液の健康維持にも役立つ可能性があるといいます。

セレンは男性の体が精子を生産するために必要であるため、いくつかの研究ではセレンとビタミンEの組み合わせが精液の質と精子の運動能力を改善できることを示しました。セレンのRDAは成人で1日55μgに設定されています。


12. 亜鉛

対象:男性・女性

効果:受精と卵の発生を助ける・精子の質の改善

亜鉛は精子形成に必須であり、少ない研究の中には亜鉛欠乏が低品質精子につながる可能性を示唆しています。

しかし、この栄養素と男性の生殖能力との関係は証明されていません。実際、2020年の研究では、亜鉛と葉酸を含む栄養補助食品は、精子数・精子機能・生存率を改善しないとが分かっています。

亜鉛と女性の生殖能力については、2019年の研究では、血液中のミネラルの低下は妊娠する前から関係があると発表しました。現在の亜鉛のRDAは女性で8mg、男性で11mgです。


マルチビタミンの摂取について

非常に多くの微量栄養素が妊孕性に影響を及ぼす可能性があるため、個々のサプリメントを大量に購入するよりも、高品質の総合ビタミン剤を1種類服用する方がいいかもしれません。

Low Dog博士は「良質な妊婦用ビタミン剤を強くお勧めします」「女性は、最低400mcgの葉酸・300mgのコリン・150mcgのヨウ素・18mgの鉄・600IUのビタミンDを含む製品をお勧めします。男性は、ビタミンC・E・亜鉛の1日の量の約200%に相当するのに十分な抗酸化物質を含む総合ビタミン剤を探してください。」と述べています。


サプリメントを摂るリスク

ほとんどのビタミンは市販されていますが、必ずしもリスクがないわけではありません。多くのサプリメントは、すでに服用している薬に悪影響を及ぼし、副作用を引き起こしたり、既存の病状を悪化させたりすることがあります。

ビタミンの過剰摂取は害になることがあります。一部の微量栄養素には、摂取量の上限が設定されています。

これらの容量や用法に従うこと、また新しいビタミン剤やサプリメントを始める前には必ず医師に相談してください。


おわりに

不妊症は遺伝・年齢・予測不可能なサイクルなど、制御できない要因がたくさんあります。

ビタミンやミネラルなど、体にできる限りの栄養を与えることは、妊娠への第一歩です。医師と協力して、健康的な妊娠の可能性を高めるために、適切なバランスのとれたビタミンを選択してください。

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