コリンとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

  • 脂っこい食事が好きだけど生活習慣病を防ぎたい
  • 最近、食生活が乱れていて健康が心配


実はこのような悩みや要望は、コリンを摂取することで解決できる可能性があります。どうしてかというとコリンには高血圧の予防や脂肪肝の予防、悪玉コレステロール値を下げるなどの効果があるとされているからです。

本記事ではコリンの効果・効能や含まれている食材、副作用を解説します。

コリンとは?

コリンはここ最近発見された栄養素です。1998年、米医学研究所により必要な栄養素として認識されました。コリンは必須栄養素なので(参考)、人の健康維持に欠かせません。(参考) 肝臓で生成することもできますが少量なので、大部分は食事やサプリメントから摂取しましょう。

コリンは水溶性の有機物化合物であり、ビタミンでもミネラルでもありません。 しかしその類似性からビタミンB複合体に類別されることがあります。実際にこの栄養素は数々の重要な身体機能に影響を及ぼします。肝臓機能、健全な脳の発達、筋肉の動き、神経系や代謝に影響があります。


身体のさまざまな機能にはたらく

コリンは、体内のさまざまなプロセスで次のような重要なはたらきをしています。

・細胞の構築 細胞膜の構造的な統合をサポートする脂肪分を作るために必要です。(参考) ・細胞の伝達 細胞の伝達者である化合物生成に関わっています ・脂肪分の運搬と代謝 肝臓からコレステロールを取り除くために必要な物質を作る上で重要です。コリンが不十分だと肝臓に脂肪分とコレステロールが蓄積されてしまいます。(参考1)(参考2) ・DNA合成 コリンとB12や葉酸などのビタミンは、DNA合成に大切なプロセスを支えます。 ・健全な神経系 この栄養素は、大切なはたらきをする神経伝達物質、アセチルコリンの生成に必要です。

コリンの1日の摂取量はどれくらい必要か?

利用できるエビデンスがないので、コリンの一日の推奨摂取量(RDI)の規定はありません。 しかし米医学研究所は、目安となる摂取量(AI)の値は定めています。(参考) この値は、肝臓障害などコリン不足による悪い影響を避けるために、健康な人に十分な量として定められたものです。 それでも、性別や遺伝により必要量は異なります。(参考1)(参考2)(参考3) さらに、食品内のコリンの存在についてあまり判明していないので、コリン摂取量を規定するのは困難です。 年齢別のコリンの推奨AI値は以下の通りです。(参考)

  • 0〜6 か月: 125 mg/日
  • 7〜12 か月: 150 mg/日
  • 1〜3 才: 200 mg/日
  • 4〜8 才: 250 mg/日
  • 9〜13 才: 375 mg/日
  • 14〜19 才: 女性は400 mg/日、男性は550 mg /日
  • 成人女性: 425 mg/日
  • 成人男性: 550 mg/日
  • 授乳中の女性: 550 mg/日
  • 妊娠中の女性: 450 mg/日


コリンの必要量は個人によって異なるということに注意しなければなりません。ほとんどの人はコリンは少なくても構いませんが、もっと必要な人もいます。(参考) 26名の男性を対象にした研究では、AI値のコリンを摂取しても、コリン不足の症状が出た男性が6名いました。(参考)

コリン不足はよくないが、めったにない

コリン不足は、特に肝臓に悪影響を及ぼすことがあります。 成人57名を対象とした小規模な研究では、コリンが不足した食生活をする男性の77%、閉経後の女性80%、月経のある女性の44%が、肝臓や筋肉に障害が出たことが分かりました。(参考) 他の研究では、コリン不足の食生活をした閉経後の女性の73%が、肝臓や筋肉へ障害を発症したことが判明しました。(参考) しかし、これらの症状は、コリンを十分摂取すると消滅しました。 コリンは特に妊娠中の女性には大切な栄養素です。

摂取量が少ないと胎児の神経管に障害がおきるリスクがあります。 ある研究では、妊娠初期に多く摂取した場合、神経管障害のリスクが低かったことが判明しました。(参考) さらに、コリンの摂取量が少ないとその他の妊娠合併症のリスクが高まります。例えば妊娠高血圧腎症、早産、低体重児などです。(参考) ほとんどの米国人は食生活で十分な量を摂取できていませんが、実際にコリン不足はほとんどありません。

まとめ: コリン不足は、肝臓や筋肉へのダメージを伴います。妊娠中の摂取量が低いと合併症につながります。

コリン不足のリスクがある人

コリン不足はまれですが、特定の人には高リスクです。(参考)

  • 持久力を必要とするアスリート:マラソンのような長時間持久力が必要な運動中は、量が減ります。サプリメント摂取でパフォーマンスが向上するかどうかは不明です。(参考1)(参考2)
  • アルコール摂取量が多い:特にコリン摂取量が少ない場合、アルコールを飲むと、コリンがたくさん必要になるので、コリン不足のリスクが高まります。(参考1)(参考2)
  • 閉経後の女性:エストロゲンは体内でのコリン生成を助けます。閉経後の女性はエストロゲン量が下がるので、不足するリスクがぐっと高まります。(参考1)(参考2)
  • 妊娠中の女性:妊娠中の女性は積極的にコリンを摂らなければいけません。胎児の発達にコリンが必要だと考えられるからです。(参考)


コリンを多く含む食品

食品源は一般的に、脂肪分の一種であるレシチンのホスファチジルコリンの形態です。

コリンを多く含む食品は以下の通りです。

  • 牛レバー:ひと切れ(68g)に290㎎含まれる
  • 鶏レバー:ひと切れ(68g)に222㎎含まれる
  • 卵:Lサイズのかたゆで卵に113㎎含まれる
  • 生タラ:85gに248㎎含まれる
  • サーモン:110gに62.7㎎含まれる
  • カリフラワー:1/2カップ(118ml)に24.2㎎含まれる
  • ブロッコリー:1/2カップ(118ml)に31.3㎎含まれる
  • 大豆油:大さじ1杯(15ml)に47.3㎎含まれる


卵一つで一日の必要摂取量のおよそ20~25%になり、二つではおよそ50%になります。(参考) さらに、牛レバーや牛の腎臓85gを摂ると、女性の一日の必要摂取量を満たし、男性の必要摂取量のほとんどを摂ることができます。(参考)

添加物とサプリメント

大豆レシチンは、コリンを含む食品添加物として広く使われています。そのため、食品添加物でもコリンを摂取できるようです。レシチンは、サプリメントでも購入することができますが、レシチンはホスファチジルコリンを10~20%しか含まないようです。また、ホスファチジルコリンは錠剤や粉末のサプリメントでも摂取することができますが、コリンは重量にしてわずか13%のホスファチジルコリンしか含みません。(参考)

他のサプリは塩化コリン、CDP-コリン、GPC、ベタインです。サプリを摂取したい場合は、CDP-コリンやGPCの方が、重量当たりのコリン含有量が高いようです。さらに他のものに比べて吸収しやすいです。 栄養サプリメントのコリンは、体脂肪を減らすという文献もありますが、その主張を裏付けるエビデンスはほとんどありません。

まとめ: コリンを豊富に含む食材は、牛レバー、卵、魚、ナッツ、カリフラワー、ブロッコリーです。さらにコリンはサプリメントでも摂取できます。中でもCDP-コリンやαGPCがベストのようです。

心臓への影響

コリンを多く摂取すると心疾患リスク減少に関係があるようです。(参考) 葉酸とコリンはアミノ酸ホモシステインからメチオニンへの変換を助けます。 そのためどちらかの栄養素が不足すると、血中のホモシステインが蓄積する結果となります。 血中のホモシステイン量が高くなると、心疾患や心臓発作のリスクが高まることにつながります。(参考) しかしエビデンスは、さまざまです。 コリンはホモシステイン量を減少させますが、コリン摂取と心疾患リスクとの関係ははっきりとしていません。(参考1)(参考2)(参考3)(参考4)(参考5)(参考6)

まとめ: コリンは、ホモシステインの量を下げることで、心疾患リスクを減らすようですが、エビデンスはさまざまです。

脳への影響

コリンは、記憶、気分、知識をコントロールするという重要な役割を果たす神経伝達物質、アセチルコリン生成に必要です。(参考) 脳の機能や発達に重要なDNA合成プロセスにも必要です。(参考) そのため、当然コリン摂取は脳の機能向上にも関連性があります。

記憶と脳の機能

大規模な観察研究では、コリン摂取およびその血中濃度と脳の記憶力や記憶処理能力といった脳機能の向上を関連付けています。(参考1)(参考2) 一日に1000㎎を補完摂取すると、記憶力の低い成人50~85才の言葉の記憶力が短期・長期的にも改善しました。(参考) 6か月にわたる研究では、初期のアルツハイマー型認知症患者にホスファチジルコリンを摂取してもらうと、ある少人数のサブグループにおいて記憶力が若干改善しました。(参考) しかし、健康な人と認知症患者を対象にした他の研究では、記憶力に効果はありませんでした。(参考1)(参考2)(参考3)

脳の発達

複数の動物実験では、妊娠中にコリンのサプリメントを摂取すると、胎児の脳の発達が向上することを提示しています。(参考1)(参考2)(参考3) しかしこれについてヒトを対象にした研究はわずかしかありません。 1210名の妊娠中の女性を対象にしたある観察研究では、コリン摂取が子どもの3歳時の知的能力に何の関連性もないことが明らかになりました。(参考)

それでも、同じ研究で、妊娠中期に多く摂取すると、同じ子どもで年齢が7歳の時の視覚的記憶のスコアが高くなることが判明しました。(参考) 他の研究では、99名の妊婦が一日に750㎎のコリンを妊娠18週間目から3か月目まで摂取しましたが、脳の機能や記憶力に何の有益性もありませんでした。(参考)

メンタルヘルス

複数のエビデンスでは、コリンが特定のメンタルヘルス障害の発症や治療において影響があることを提示しています。ある大規模な観察研究では、コリンの血中濃度が低いことと不安感のリスク(うつ病ではなく)が高いことを関連づけました。(参考) この血中濃度量は、特定の気分障害の指標としても使われ、コリンのサプリは双極性障害の治療にも使われることがあります。(参考) ある研究では、コリンを使った治療が、双極性障害の躁症状を改善させることを明らかにしました。(参考) しかし現在これについての研究は多くありません。

まとめ: コリンは記憶力を高め、脳の発達を向上させ、不安感や他のメンタル障害を治療できるようですが、エビデンスはさまざまです。

その他の健康上のメリット

コリンはある特定の疾患の発症や治療に関連があります。 しかしほとんどの疾患において、関係性は明らかではなく研究は現在進行形です。(参考)

肝疾患

コリン不足は肝疾患につながりますが、推奨量に満たない摂取が、肝疾患リスクを高めるのかどうかははっきりしていません。 56000名超を対象とした研究では、摂取量が高い標準体重の女性は、摂取量が低い人に比べて、肝疾患のリスクが28%低かったことが分かりました。(参考) 研究では、男性あるいは過体重の女性では肝疾患との関連性は明らかになりませんでした。(参考) 非アルコール性肝疾患の664名を対象にした他の研究では、摂取量が低いと疾患の深刻度が高いという関係性が分かりました。(参考)

がん

いくつかの研究では、コリンを多く摂取する女性は、乳がんのリスクが低いことを指摘しています。(参考1)(参考2)(参考3) 1508名の女性を対象にしたある研究では、フリーコリンを多く含む食事をする女性は、乳がんに罹る可能性が24%低いことが判明しました。(参考) しかしエビデンスはさまざまです。 他の観察研究では、がんとの関連性はないとしていますが、試験管内研究では、コリン不足は肝臓がんのリスクを高めることを示唆しています。(参考1)(参考2)(参考3) 一方で、高い摂取量は、男性の前立腺がんや女性の結腸がんのリスクを高めることにも関係があります。(参考1)(参考2)

神経管欠損症

妊娠中のコリンを多く摂ると、胎児の神経管欠損症のリスクを減らします。 ある研究では、妊娠初期の女性が多く摂取すると、摂取量の低い女性よりも胎児の神経管欠損症のリスクが51%低いことを明らかにしています。(参考) 他の観察研究では、摂取量の少ない妊婦は、胎児が神経管欠損症になる可能性が2倍超となる結果を明らかにしました。(参考) しかし他の研究では、母親の摂取と神経管欠損症リスクの関連性はないとするものもあります。(参考1)(参考2)

まとめ: コリンが肝疾患や胎児の神経管欠損症のリスクを減らすというエビデンスは限られています。そのためコリンのがんに対する効果もはっきりしていません。さらなる研究が必要です。

過剰は悪影響

これまで、コリンの過剰摂取は、好ましくない悪い副作用をもたらす可能性があるとされてきました。 血圧の低下、発汗、体臭、下痢、めまい、嘔吐などです。(参考) 成人の一日の摂取上限は3500㎎です。これは悪影響をもたらさないとされる最大量です。 この量を食品だけで摂取することは不可能です。サプリメントで多量に摂取しないとこの量までにはなりません。

まとめ: コリンをたくさん摂りすぎると好ましくない悪い副作用をもたらす可能性があります。しかし食品だけではそのような量を摂ることはできません。

Point:コリンは、最良な健康に必要な必須栄養素です。健全な脳のはたらき、心臓、肝臓機能、そして妊娠のために大切な役割を果たします。コリン不足になることはまれですが、欧米諸国の人々は推奨される量を摂取していません。摂取量を上げるため、サーモン、卵、ブロッコリー、カリフラワーなどコリンを多く含む食材を食べましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?こちらではコリンの効果・効能や含まれている食材、副作用を解説しました。コリンには下記の効果・効能がある可能性があります。

  • 高血圧の予防
  • 脂肪肝の予防
  • 悪玉コレステロール値を下げる


こちらの記事を通して、下記の悩みや要望を解決して頂けたら嬉しいです。

  • 脂っこい食事が好きだけど生活習慣病を防ぎたい
  • 最近、食生活が乱れていて健康が心配


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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