はじめに
ケルセチンについてご存じでしょうか?ケルセチンとは、身近な野菜に含まれるフラボノイドの1種です。
本記事では、ケルセチンの概要から効果、副作用まで解説していきます。
ケルセチンとは?
ケルセチンとは、野菜や果物に含まれているフラボノイドの1種です。たまねぎの黄色色素としてよく知られています。欧米の調査研究によると、食事からケルセチンやケルセチンに似た化合物(フラボノール類)を多く摂取している人は、心筋梗塞で亡くなる割合が少なかったとされています。 ケルセチンには、生活習慣病や認知機能の改善、筋肉の減少を抑える効果があると言われています。
フラボノイドとは?
フラボノイドとは、ポリフェノールの1種で天然に存在する有機化合物群の植物色素の総称です。体の特定の生理調節機能に働きかけるため、「機能性成分」としても注目が集まっています。 フラボノイドは、植物自身が紫外線によって発生する活性酸素から身を守る「抗酸化作用」や種子を害虫から守るために「抗菌作用」や「殺菌作用」など、自己防衛のためにつくり出している物質です。フラボノイドには抗酸化作用やデトックス作用、アンチエイジング、ストレス緩和、がん抑制、免疫を整える、血流をよくするなどの効果あると言われています。(参考)
ケルセチンが含まれている食材
日本におけるケルセチンの供給源もたまねぎ(特に外皮に多い)ですが、そのほかにもリンゴ、サニーレタス、ブロッコリー、モロヘイヤからも多く摂取されています。 加えて、ケルセチンは油と一緒に摂取すると吸収効率が上がると報告されています。
そのため、ケルセチンを含む食材は植物油、乳製品、肉類、マヨネーズなどの油脂食品を使って調理したり、油脂食品と一緒に食べたりするとより効果的です。
ケルセチンの効果
ケルセチンには下記の効果があるとされています。
糖尿病の改善効果
ケルセチンには「糖尿病の改善効果」があると言われています。なぜなら、マウスを使った実験により、ケルセチンの糖尿病の改善効果が報告されているためです。 ストレプトゾトシンとは、マウスを糖尿病に誘発する有機化合物です。そこで、ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルマウスに「ケルセチン含有飼料」を摂取させるという実験を行い、0.5%ケルセチン含有飼料を 2 週間摂取させました。その結果、糖尿病により上昇した血糖値は低下し、低下したインスリン濃度は上昇して糖尿病の症状は改善されました。(参考)
肥満・メタボリックシンドロームの改善効果
ケルセチンには「肥満・メタボリックシンドロームの改善効果」があると言われています。 なぜなら、ケルセチンを添加してマウスに摂取させたところ、体重や脂肪重量の増加が抑制され、高血糖や血中のインスリン濃度、コレステロール濃度の上昇が改善されたという報告がされているためです。(参考)
酸化ストレスの抑制
ケルセチンには、ストレスの抑制効果があると言われています。なぜなら、先ほどご紹介した「肥満・メタボリックシンドロームの改善効果」の実験において、血中や肝臓の酸化ストレスマーカーの上昇は抑制され、肝臓への脂肪蓄積が改善されたという報告もされているためです。(参考)
また、ケルセチンには赤血球の働きを活発にする効果があるとも言われています。 血流がスムーズになるためには、赤血球がカギとなります。赤血球は私たちのカラダに酸素を運ぶ重要な成分です。本来は柔軟に変形することで、自分の直径よりも細い毛細血管でも自由に流れることができます。しかし、酸化ストレスなどが原因で変幻自在に変形することができなくなると、細い血管を通りにくくなってしまいます。ケルセチンには、ストレスによって低下した赤血球の柔軟性を改善する効果があるとされています。(参考)
認知機能の改善効果
ケルセチンには認知機能の改善効果があると言われています。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構を含む研究グループでは最近、高齢者ボランティアによる介入試験などにより、ケルセチンの摂取は、認知機能を改善する可能性があることを明らかにしました。 北海道情報大学の、認知症ではない、やや認知機能が認められる程度の人を対象とした調査でも、認知機能を改善する可能性が示されています。(参考)
筋肉の減少を抑える効果
ケルセチンには、「筋肉の減少を抑える効果」があると言われています。なぜなら、サントリーが行った実験によると、ケルセチンによって筋肉の減少が抑えられることが実証されているためです。ケルセチンが活性酸素を除去することにより、筋肉の減少効果を発揮したと考えられています。(参考)
ケルセチンの安全性と副作用
ケルセチンの適正な摂取量
長期的なケルセチンの過剰摂取は健康に何らか悪影響を及ぼす可能性も示唆されています。そのため、一度に沢山の量を摂取するのではなく、日常生活の中に適度に取り入れていくべきです。
ケルセチンの副作用
これまでにケルセチン摂取によるヒトでの深刻な副作用は報告されていません。
しかし、実際の食事では、多数の食品成分が存在する複合系であるため、ケルセチンと他の食品成分との相互作用が機能の発現に影響するとも考えられています。 特に、子どもや妊婦、授乳中の方は投与の前例が少ない場合があるため、摂取に気をつけましょう。 他の医薬品、サプリメントを服用している場合はかかりつけの医者・薬剤師の相談するようにしてください。
まとめ
本記事ではケルセチンについて解説してきました。 ケルセチンには、下記のような効果があります
・糖尿病の改善
・肥満
・メタボリックシンドロームの改善効果
・酸化ストレスの抑制
・認知機能の改善効果
・筋肉の減少を抑える効果
そのため、下記のような人におすすめです。
・食生活が不規則で生活習慣病を気にしている方
・運動不足で筋肉の減少が心配な方
このケルセチンを大量に摂取することで症状が緩和したり、治癒したりするわけはありません。日頃の食事や運動、睡眠を改善することも大切です。日頃の食生活においてケルセチンが不足している場合は、サプリメントで補うようにしましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。
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