サプリメントは目を健康にして、視力を改善できるのでしょうか。
概要
誰もが1度はこういわれたことがあるでしょう。「にんじんを食べなさい。にんじんは目に良いのよ。」 また、目に効く栄養補助食品の広告を見たことがあるかもしれません。ビタミンやミネラルは目の健康や視力に効果があるのでしょうか。サプリメントと目の健康について詳細を確認するために、次の記事を読み進めましょう。
科学が述べていること
力や目の健康に関するサプリメントがプラスの効果をもたらすという多くの意見がありますが、それを支持する科学的研究はほとんどありません。1つの例外は加齢性眼疾患研究（AREDSとAREDS2）です。 これは、国立眼科研究所が実施した大規模研究です。AREDS 2の結果は、AREDSから学んだことを取り入れ、サプリメントの推奨事項を改変しました。
この研究は、数百万人のアメリカ人が罹患している2つの病気、つまり加齢性黄斑変性症（AMD）と白内障に焦点を当てて行われました。
加齢性黄斑変性症（AMD）
AMDは米国の失明の主な原因です。 1,000万人以上が罹患しています。AMDは主に老化に関連していますが、一部の黄斑変性症は若者にもかかります。
AMDは、網膜の黄斑部にある光受容細胞が劣化することで起こります。網膜は以下のような役割を果たしています。
- 見た物を記録し、その情報を脳へ送る
- 細部を見る
- 焦点を合わせる
白内障
白内障は目の水晶体が白く濁ります。 白内障は、日常作業に支障がでるほど視力が落ち、さらに時間と共に悪化する可能性があります。
白内障は、特に高齢者に非常によくある病気です。2010年には、2440万人のアメリカ人が白内障と診断されました。
推奨サプリメント
AREDSとAREDS2では、何種類かの抗酸化剤を高容量で併用したときの効果を数年にわたって調べました。AREDS2が報告した最終的な推奨事項は次のとおりです。
（表） ビタミンC 500 mg
ビタミンE 400 IU
ルテイン 10mg
ゼアキサンチン 2mg
亜鉛 80 mg
銅 2 mg（亜鉛によって引き起こされる銅欠乏を防ぐために服用）
このサプリメントはカプセルで、通常1日2回服用します。
結果
AREDS2研究の参加者は、AREDS研究で効果があるかもしれないものとして特定された4つのサプリメント製剤のうちの1つを服用しました。 各参加者は、サプリメントを5年間毎日服用しました。
その結果、AMDおよび深刻な失明のリスクが6年間で25％以上減少しました。 AMDに罹患している人のうち、中程度のAMDの人のみ、病態の進行が遅くなりました。 サプリメントは、軽度または非常に進行したステージの人には効果がありませんでした。
さらに、この研究で使われたサプリメントでは、AMDを予防したり、失明を回復したりすることはできませんでした。
AREDS2製剤の１つとして服用されたルテインとゼアキサンチンのサプリメントは、研究開始時に食事に含まれるカロテノイドの量が少なかった人たちの白内障の手術の必要性を32％削減することがわかりました。
研究には将来性があり、特定のサプリメントには効果もあることがわかりました。けれども、サプリメントは、誰にでも効果があるわけではありません。サプリメントと眼の健康との関係をより理解するには、さらに研究が必要です。
目の健康に役立つサプリメントは何ですか？
AREDS2製剤のうち、抗酸化物質を含む以下のサプリメントには効果がある人もいることが証明されています。
1.ルテインとゼアキサンチン
ルテインとゼアキサンチンはカロテノイドです。カロテノイドは植物や網膜に含まれている色素です。 この色素を補うと、網膜内の密度が高まります。また、カロテノイドは目にダメージを与える可能性のある高エネルギーの青色光や紫外線も吸収します。
2.亜鉛
目の中にもともと存在する亜鉛もまた、細胞へのダメージを防ぐ強力な抗酸化物質です。亜鉛は、AREDS2製剤の主要ミネラルです。亜鉛を摂取すると、銅の吸収が少なくなります。 亜鉛と銅サプリメントを併用することが推奨されています。
3.ビタミンB1（チアミン）
ビタミンB1は目の健康に不可欠なものです。ビタミンB1を他のビタミンと併用すると、白内障になるリスクを低下させるかもしれないという研究があります。しかし、さらなる研究が必要です。
「ストレスを抑制する」ビタミンB群の1つとして知られているビタミンB1は、炎症を軽減します。
初期の研究でもまた、ビタミン B1はブドウ膜炎（失明を引き起こしうる炎症性眼疾患）の治療に効果がある可能性を示唆しています。
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4.オメガ3脂肪酸
ほとんどのアメリカ人の食事にはオメガ3脂肪酸が十分に含まれていません。オメガ3脂肪酸は魚に多く含まれています。網膜の光受容細胞には、オメガ3脂肪酸が大量に含まれています。 オメガ3脂肪酸の一種であるドコサヘキサエン酸（DHA）は、網膜細胞の発達に役立つと考えられています。また、DHAは炎症も軽減します。さらに、網膜や角膜の細胞が光にさらされたり、老化によってダメージをうけると、DHAはそれを治し、再生するのを助けます。
多くの研究から、オメガ3脂肪酸、DHA、およびエイコサペンタエン酸（EPA）のうち2つ以上を消費する人はAMDになりにくいということがわかっています。オメガ3脂肪酸が低いことと、ドライアイ症候群および網膜症は関連があり、これらの疾患は網膜に進行性の損傷を引き起こします。研究ではまた、DHA含む粉ミルクを飲んだ乳児はDHAを含まないものを与えられた乳児よりも視力が発達していたことが分かりました。
5.ビタミンC
いくつかの大規模研究から、ビタミンCが特定の種類の白内障のリスクを減らすことが分かっています。これらの研究のうちの2つは、ビタミンCとEのサプリメントの併用が、白内障のリスクを減らし、白内障の進行を遅らせることも発見しました。
サプリメントは必要ですか？
食事は常にビタミンとミネラルの1番の供給源であるべきです。ただし、国立眼病研究所は、AREDS2に示される高用量のビタミンは食事だけで補うことはできないと助言しています。
食事やサプリメントに加えて、その他にも目の健康を促すために自宅でできることがあります。
- 家が乾燥している場合は、加湿器を使用しましょう。住んでいる所の気候に応じて、季節的に使用すればいいだけかもしれませんし、1年中使う必要があるかもしれません。
- たくさん水を飲みましょう。推奨量は体重によって異なりますが、成人はおよそ1日1.5L（6¼カップ）から2L（8 1/3カップ）の水分をとらなければなりません。
- 人工涙液で目を潤してください。
- 定期的に炉またはエアコンのフィルターを交換してください。
- ほこりの多い、または汚れた空気のある環境は避けてください。
- 冷湿布、きゅうり、または湿らせて冷やした緑茶またはブラックティーのティーバックを目に使用しましょう。 カレンデュラティー（キンセンカティー）を好む人もいます。
いつ医者に診てもらうべきでしょうか？
AREDS2製剤を服用する前に、眼科医に相談してください。眼科医は、目の健康を専門とする医師です。 医師は、目の健康状態を考慮して、サプリメントが有効かどうかを判断することができます。
AREDS2製剤は高用量なので、他の薬と相互作用する可能性があり、特定の疾患を持つ人は服用をしてはいけません。ですので、かかりつけ医に相談することも重要です。
目の健康を改善するためにサプリメントを服用できるのでしょうか。
目や視力は、遺伝学や年齢など多くの要因によって影響を受けます。 健康的なライフスタイルを維持し、抗酸化物質を豊富に含むバランスの取れた食事をとることは、目の健康に大きく役立つでしょう。
目の健康のための秘訣
目の健康のためにできることはたくさんあります。
- 禁煙してください。 喫煙は目の血管にダメージを与え、白内障や黄斑変性症、およびその他の眼疾患を引き起こす可能性があります。
- 紫外線から目を保護してください。 屋外にいるときはサングラスをかけ、明るい光を直接見ないようにしてください。
- 健康的な体重を維持して、活動的にライフスタイルをすごしましょう。
- 60歳を過ぎたら毎年、目の散瞳検査を受けましょう。
- 必ず食事に緑の葉野菜やほうれん草、トウモロコシ、オレンジ、卵、黄色のニンジンをたくさん盛り込むようにしてください。これらの食品には、AREDS2製剤に認められているものも含め、多くの栄養素が含まれています。
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