バジルとは？エビデンスをもとに効果や副作用を解説

はじめに

バジルは、アジア・アフリカで生まれた風味豊かなハーブです。シソ科の植物であり、多くの品種が存在します。調味料として人気のあるこのハーブは、お茶やサプリメントにも使用され、さまざまな健康効果が期待されています。

この記事では、バジルの利点と使用法について解説していきます。

バジルの品種

調理用に一般的に購入されるバジルの学名は、Ocimum basilicum（略称O. basilicum）です。このO. basilicumには多くの品種があります（参考)

スイートバジル

最も広く栽培され、人気のある品種です。イタリア料理での使用が有名です。スーパー等で乾燥されたものが販売されています。甘草の香りがします。

ブッシュ/ギリシャバジル

香りは強いがマイルドな味わいなので、スイートバジルの代わりに使用できます。小さな葉でコンパクトな茂みを形成し、植木鉢でよく育ちます。

タイバジル

アニスと甘草の風味があり、タイ料理と東南アジア料理で一般的に使用されています。

シナモンバジル

メキシコ原産です。シナモンのような風味と香りがあります。豆類又はスパイシーな炒め野菜と一緒に調理されます。

レタスバジル

甘草のような風味の大きくしわのある柔らかい葉が特徴です。サラダやトマトとオリーブオイルでのあえ物に合います。 サプリメントやハーブティーで使用されるバジルは、ホーリーバジルです。トゥルシーとも呼ばれます。これは、O.tenuiflorum種です。O. sanctumとも呼ばれます。独特の風味があり、いくつかのタイ料理でも使用されます（参考)。

バジルの栄養価と植物性化合物

料理で使用する際には、基本的にバジルは少量しか使用されないため、ビタミンやミネラルはあまり摂取することはできません。

スイートバジル大さじ１杯（約2グラム）の栄養素は以下のとおりです。（参考1、参考2)

生のバジルと比較して乾燥バジルは栄養素が濃縮されていることが分かりますが、料理で使用する量は少なくなります。したがって、ビタミンKを除いて、どちらもほとんどの栄養素の供給源にはなりません。

また、バジルは抗酸化作用、抗炎症作用、およびその他の健康特性を備えた有益な植物性化合物を含有しています（参考1、参考2)。

これらの化合物はバジルに「エッセンス」、つまり独特の香りと風味を与えます。そのため、バジルや他の植物に由来するオイルはエッセンシャルオイルと呼ばれています（参考)。

バジルの効果

バジルは、吐き気や虫刺されのような病気に対する人気のある民間療法用いられるだけでなく、伝統的な中国医学、アーユルヴェーダ医学等でも用いられています（参考1、参考2、参考3)。

多くの研究で、バジルの潜在的な効果が対象とされています。研究には濃縮された量の植物化合物が含有されているバジルの抽出物又はエッセンシャルオイルが使用されます（参考)。

通常、in vitro（試験管内での実験） または in vivo（生体内での実験）は、開発した薬物が人々に用いる価値があるかどうかを判断するために行われます。

スイートバジルの潜在的な利点

以下は、主にマウスとin vitro（試験管内での実験） の研究結果に基づく、可能性としてスイートバジルに示唆されている効果です。ただし同様の結果が人々に起こるかどうかは不明です。

マウスを用いた研究では、通常、体重1 kgあたり100〜400 mgのバジル抽出物を投与しています。ヒトでの適切な服用量は不明です（参考1、参考2、参考3)。

ホーリーバジルの潜在的な利点

ホーリーバジルは、上記に挙げた点の多くを含む、多くの病気に長い間使用されてきました。ヒトを用いた研究はほとんどありませんが、その結果は期待できるものも示唆されています（参考)。

Ⅱ型糖尿病の患者60人を用いた臨床研究では、3か月間、朝食と夕食の前に毎日250 mgのホーリーバジル抽出物を糖尿病薬と一緒に服用すると、薬物のみを服用している人に比べて血糖値が平均で18％低下しました（参考）。

さらに、少なくとも3つのストレス症状のある158人を対象とした臨床研究では、1,200 mgのホーリーバジルエキスを6週間毎日服用することで、プラセボよりもストレス症状の改善に39％効果がありました（参考)。

有効性と投与量を検証するには、より多くのヒトを用いた研究が必要です。

バジルの購入・栽培

購入

基本的に新鮮なバジルはより強い風味を与えますが、乾燥バジルは安価で便利です。また、店舗の冷凍食品売り場で、冷凍のバジルなどを購入することもできます。

一般にはスイートバジルが最も普及していますが、アジアの食料品店など、ファーマーズマーケットやエスニックマーケットで他の品種を見つけることができます。

栽培

また、バジルに関しては自分で栽培するという選択肢もあります。

バジルは少なくとも2か月間、夜間気温が15.5℃を超える場所であれば栽培が可能です。バジルは寒さに敏感で、日当たりの良い場所を好みます。土に植えた種や、根を伸ばし始めるまで水に浸した茎からバジルを栽培できます。バジルは、水はけの良い庭やベランダの植木鉢で増やすことが出来ます。

バジルの葉は必要に応じて収穫しますが、植物から直接摘み取ってはいけません。適切な成長を促すには、茎の下の方を切り、葉が2〜4枚だけ残るようにします。

新鮮なバジルの茎を水道水を入れた瓶に入れておけば数日間新鮮な状態を保つことができます。低温で保存すると葉が変色する可能性があるため、新鮮なバジルを冷蔵する必要があるかどうかは議論の余地があります。

新鮮なバジルがたくさんある場合は、葉を乾燥させて、密閉容器に保管しましょう。

バジルの料理での用途

バジルをトマト料理、サラダ、ズッキーニ、ナス、肉料理、詰め物、スープ、ソース等に風味を与えるハーブです。

ペースト（クリーミーなグリーンソース）は、バジルの最も人気のある用途の1つです。通常は、バジル、ニンニク、パルメザンチーズ、オリーブオイル、松の実を粉砕して作られますが、乳製品を使用しないレシピもあります。ディップまたはサンドイッチスプレッドとしてお試しください。

バジルは、ニンニク、マジョラム、マスタード、オレガノ、パプリカ、パセリ、コショウ、ローズマリー、セージなどの他のハーブやスパイスを補う役割をします。

生のバジルをお持ちの場合は、茎ではなく、葉のみ使用してください。熱は風味と鮮やかな緑色を損なう可能性があるため、一般的に調理の最後のステップでバジルを加えるのが最善です（参考)。

レシピが生のバジルを必要としているけれども、乾燥バジルしかない場合は、乾燥バジルはがより風味が濃縮されているため、レシピに記載している量のの1/3だけを使用します。

バジルの安全性と副作用

バジルは一般的に少量で摂取する分には安全であるとされていますが、いくつかの注意が必要です。

バジルの葉は、血を止める効果があるビタミンKが豊富です。大量摂取は、ワルファリンなどの抗凝血薬を妨害する可能性があります（参考)。

抗凝血剤を服用している場合は、医師が薬を調整できるように、毎日一定量のビタミンKを摂取することを目指してください。ペースト等のようなバジルを多く用いた食品を食べることは薬の効果を妨げる可能性があります（参考1、参考2、参考3)。

対照的に、サプリメントに含まれているバジル抽出物は、血液を薄める可能性があり、出血障害や次の手術がある場合に問題を引き起こす可能性があります（参考1、参考2)。

さらに、血圧降下薬や糖尿病薬を服用している人は、血圧と血糖値を下げる可能性があるため、バジルサプリメントには注意が必要です。あなたの医者はあなたの薬物用量を減らす必要があるかもしれません（参考1、参考2)。

妊娠中または妊娠しようとしている場合は、ホーリーバジルの摂食を避けてください。動物を用いた研究では、ホーリーバジルのサプリメントが精子に悪影響を及ぼし、妊娠中は支給の収縮を引き起こす可能性があることを示唆しています。授乳中のリスクは不明です（参考1、参考2)。

バジルアレルギーはまれですが、ペーストに反応した人でいくつかのケースが観察されています（参考)。

最後に

今回は、食事などでもよく利用されるバジルについて解説をしました。

ホーリーバジルは通常、ハーブティーやサプリメントに使用されていますが、研究では、スイートバジルにもストレスの軽減や血糖コントロールなどの同様の健康上の利点がある可能性が示唆されています。

ただし、ヒトに対する効果についてでさらなる研究が必要であることを覚えておいてください。

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