ペクチンとは?
ペクチンは、果物や野菜に含まれるユニークな食物繊維です。
ペクチンは多糖類として知られている水溶性食物繊維で、難消化性糖類の長い鎖です。ペクチンは液体の中で加熱すると膨張してゲル状になるので、ジャムやゼリーの増粘剤として最適です(参考)。
また、ペクチンは摂取すると消化管内でゲル化するため多くの健康上のメリットをもたらすと考えられています。
ペクチン製品の多くはリンゴや柑橘類の皮から作られていて、どちらも食物繊維が豊富です(参考)。
この記事では、ペクチンとは何か、その栄養成分と健康上のメリット、そして使用方法をご紹介します。
ペクチンの栄養と用途
ペクチンは食物繊維の一種であり、カロリーや栄養素はほとんど含まれていません。ジャムやゼリーの主成分で、水溶性食物繊維のサプリメントとしても利用されています。
栄養素
ペクチンには栄養がほとんどありません。液体ペクチン29gには以下のものが含まれています(参考)。
カロリー | 3 kcal |
---|---|
タンパク質 | 0 g |
脂肪 | 0 g |
炭水化物 | 1 g |
食物繊維 | 1 g |
粉末ペクチンも同様の栄養成分です(参考)。
液体・粉末どちらも、ビタミンやミネラルはほとんど含まれておらず、炭水化物とカロリーもすべて食物繊維に由来しているものです。
とはいえ、ペクチンドライミックスと呼ばれる製品の中には、砂糖が添加されカロリーがあるものもあります。これらは、ジャムやゼリーを作るのにも使用されます。
用途
ペクチンは主に食品製造や家庭料理で増粘剤として使用されます。
市販や自家製のジャム、ゼリー、保存料などに添加されます。また、安定剤としてフレーバードミルクや飲むヨーグルトにも添加されています。
家庭用には、白または無色の液体や薄茶色の粉末として販売されています。
ペクチンは水溶性食物繊維のサプリメントとしても使用されており、多くはカプセル剤型で販売されています。水溶性食物繊維は便秘の解消、コレステロールや中性脂肪値の低下、血糖値の改善、適正体重の促進に役立つ可能性があります(参考)。
そして重要なのは、この食物繊維が一部の医薬品に使用されている徐放性(ゆっくり溶ける)コーティング剤の成分であるということです(参考)。
💡 POINT
ペクチンは果物や野菜、特にリンゴや柑橘類の皮に含まれる水溶性食物繊維です。強力のあるゲル化剤で、ジャムやゼリーにとろみをつけるのに使われます。
ペクチンのメリット
ペクチンを補給することで、数々の健康効果が得られる可能性があります。
血糖値や血中脂肪値の改善
マウスを用いたいくつかの研究では、ペクチンが血糖値を下げ、血糖に関連したホルモン機能を改善し、2型糖尿病のコントロールに役立つ可能性があると指摘されています(参考1、参考2、参考3、参考4)。
しかし、臨床研究では血糖コントロールに対してマウスと同様の強力な効果は見られていません(参考1、参考2)。
ペクチンはまた、消化管内のコレステロールと結合し吸収を阻害することで血中脂肪値を改善し、心臓病のリスクを低下させる可能性があります(参考)。
57人の成人を対象としたある研究では、1日15gのペクチンを摂取した人は、対照群と比較してLDL(悪玉)コレステロールが最大7%減少しました(参考)。
動物実験でも、ペクチンを摂取することによるコレステロールや血中脂肪を低下が実証されています(参考1、参考2、参考3、参考4)。
しかし、ペクチンが血糖値や脂肪値にどのように影響するかを深く理解するためには、さらなる臨床研究が必要です。
大腸がんのリスクを低下させる
試験管研究では、ペクチンは大腸がん細胞を死滅させました(参考1、参考2)。
さらに、この食物繊維は、大腸がん細胞を形成する引き金となる炎症や細胞の損傷を減少させるのに役立ちます(参考)。
研究者は、ペクチンはガレクチン-3と呼ばれる抗体と結合し、ガレクチン-3の吸収を阻害することによって、結腸がんのリスクを減少させることができると理論づけています(参考1、参考2)。
試験管内研究ではペクチンが乳がん、肝臓がん、胃がん、肺がんなどのさまざまなタイプのがん細胞を死滅させることが示されています(参考1、参考2、参考3)。
しかしペクチンが人間のがんに影響を与えるかどうか、またどのように影響するのかを理解するためには、より多くの研究が必要です。
肥満リスクの減少
ペクチンは適正体重を助長する可能性もあります。
臨床研究では、食物繊維の摂取量を増やすことが太りすぎや肥満のリスク減少と関連していると判明しています。食物繊維が多く含まれるほとんどの食品は満腹感がありながらも、精製された穀物のような低食物繊維食品と比べて低カロリーであるためだと考えられています(参考1、参考2)。
さらに、動物実験では、ペクチンのサプリメントが肥満ラットにおいて体重減少と脂肪燃焼を促進することが実証されています(参考1、参考2、参考3、参考4)。
具体的には、ラットを対象としたある研究で、ペクチンは高タンパク食よりも満腹感を促し、カロリー摂取量をより多く減少させたことが明らかになっています。同様の研究では、ペクチンはマウスの満腹感、つまり満腹ホルモンのレベルを上げたことが報告されています(参考1、参考2、参考3)。
胃腸の問題を解消する
ペクチンは、ユニークなゲル化特性を持つ水溶性食物繊維として、さまざまな方法で消化を助けます。
水溶性食物繊維は、水分を含むと消化管内でゲル化します。そのため便を柔らかくし、消化管を通過す食物の通過時間を速め、便秘を軽減します(参考)。
また、水溶性食物繊維はプレバイオティクス、つまり腸内に住む善良なバクテリアのエサとなる(参考)。
排泄階数が少ない便秘に悩む80人を対象とした4週間の研究では、毎日24gのペクチンを摂取した人が対照群に比べて健康な腸内細菌の個体数が多く、便秘の症状が少なかったという結果になりました(参考)。
さらに、いくつかの動物研究では、ペクチンのサプリメントが腸内細菌の状態を改善し炎症を減少させ、胃腸の症状を改善することが明らかになっています(参考1、参考2、参考3)。
そしてこのユニークな食物繊維は、腸内膜の周りに保護バリアを作り、有害な細菌が体内に侵入するのを防ぐ可能性もあります(参考)。
💡 POINT
ペクチンは血糖値や血中の脂肪値を改善し、がん細胞を死滅させ、健康的な体重を助長し、消化を良くするという可能性があります。しかし、さらなる臨床研究が必要とされています。
ペクチンの安全性と副作用
ペクチンには副作用はほとんどありません。
とはいえ、消化に影響を与える点を考えると、人によってはガスや腹部膨満感を引き起こす可能性があります。
また、ペクチンの原料となる食品にアレルギーがある場合は避けた方が良いでしょう。市販の商品やサプリメントは、ほとんどリンゴや柑橘類の皮を原料としています。
製品に不安がある場合は、医師に相談してください。
💡 POINT
ペクチンのサプリメントは、人によってはガスや腹部膨満感を引き起こすことがあります。リンゴや柑橘類にアレルギーがある場合は、これらのサプリメントは避けてください。
ペクチンの摂取方法
ペクチンを食事に加える方法として、リンゴなどの食物繊維を多く含む食品を食べると良いとされています。
ほぼすべての果物や野菜にペクチンが含まれているので、さまざまな植物性食品を食べることは、ペクチンの摂取量を増やす最適な方法です。
ほとんどのジャムやゼリーにはペクチンが含まれていますが、多く食べることがペクチンを取り入れるためのベストな方法ではありません。ジャムやゼリーには食物繊維が少量しか含まれておらず、代わりに糖が多く含まれやカロリーも高くなっています。したがって、適度に食べる必要があります。
ペクチンはサプリメントとしても購入することができます。多くの場合は、リンゴや柑橘類の皮から作られています。
💡 POINT
ペクチンの摂取量を増やすには、果物や野菜を多めに食べたり、サプリメントを利用したりするのが良いでしょう。ジャムやゼリーは糖分が多くカロリーが高いので、適度に食べてください。
最後に
ペクチンは、強力にゲル化特性の能力を持つ水溶性食物繊維です。
一般的にジャムやゼリーにとろみをつけたり、安定させたりするのに使われています。
ペクチンには多くの健康に良い効果が見込まれますが、健康にどのように影響するかを深く理解するためには、さらなる臨床研究が必要です。
ペクチンの摂取量を増やすためには、さまざまな野菜や果物を食べることが効果的です。
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