ニガヨモギとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

ニガヨモギ(学名:Artemisia absinthium)は、独特の香りと風味を持ち、いくつかの健康効果が期待されている植物です(参考)。

ヨーロッパ原産の植物ですが、アジア・アフリカ・南米・米国の一部を含むさまざまな気候の地域で容易に成長します。

ニガヨモギはビロードのような白いまたは緑がかった銀の茎、黄緑色の葉及び明るい又は淡い黄色の球根状の花を持っています。何百年もの間、伝統的な医療行為で使用されてきました(参考)。

一方、オランダの画家Vincent Van Gogh(ゴッホ)を含む多くの19世紀の芸術家が好んでいた、フランスのリキュールであるアブサンに用いられていたことから悪評を得て、多数の悪影響を引き起こすとされていました(参考)。

長い間幻覚剤及び潜在的な毒と考えられていたニガヨモギは、1912年から2007年まで、ほぼ1世紀にわたって米国で禁止されていました。現在では合法的に米国で入手可能です(参考参考2)。

この記事では、ニガヨモギの詳細を紹介し、利点と使用方法、投与量、潜在的な欠点について説明します。

ニガヨモギの成分

ニガヨモギは、通常、抽出物又はお茶として摂取されます。その精油は植物の茎と葉から作られますが、抽出物又はチンキは植物全体を使用します(参考)。

これらの成分としては、僅かなカロリー・ビタミン・ミネラル、そして多数の植物性化合物が含まれていますが、最も知られているのがツジョンです(参考1参考2参考3参考4)。

ツジョン(Thujone)は分子レベルで異なるアルファ及びベータの2つの異性体があります。これらの違いはわずかですが、アルファツジョンはより有毒であると考えられていますが、ニガヨモギの主要な有効成分でもあります(参考)。

ツジョンは、中枢神経系に鎮静効果を及ぼす神経伝達物質であるガンマアミノ酪酸(GABA)を遮断することにより、脳を興奮させると考えられています。


この化合物にはいくつかの利点がありますが、過剰に摂取すると毒性があり、発作や死にさえつながります(参考)。

💡 POINT

ニガヨモギの最も注目すべき植物化合物はツジョンです。これはいくつかの利点がありますが、過剰に摂取すると有毒である可能性があります。

ニガヨモギのメリット

アブサンやその他のスピリッツでの使用に加えて、ニガヨモギは伝統的な中国医学を含む非西洋の医療行為で多くの用途があります。

幻覚、不眠、けいれんを引き起こすという悪評を背負ったアブサンに影響されて、ニガヨモギには幻覚作用があるのではないかと噂されていますが、ニガヨモギは幻覚剤とは見なされていません(参考)。

高濃度のアルコールとツジョンの含有量がこれらの影響に小さな役割を果たす可能性がありますが、これは正式な調査では確認されていません。したがって、これらの精神的および身体的状態との関連はよくわかっていません(参考)。

痛みを緩和する可能性


ニガヨモギは鎮痛と抗炎症作用を目的として昔から使用されてきました(参考1参考2参考3)。

例えば、関節の炎症に起因する痛みを伴う状態である変形性関節症の緩和に役立ちます。

変形性膝関節症の成人90人を対象とした4週間の研究では、3%ニガヨモギの皮膚軟膏を1日3回塗布すると、痛みのレベルと身体機能の両方が改善されましたが、こわばりは低下しませんでした(参考)。

ただし、植物自体を直接皮膚に塗布するべきではないことに注意してください。(参考)。

現在、お茶やニガヨモギの抽出物を経口摂取する場合においても痛みを軽減するかどうかについては、判断するのに十分な科学的根拠はありません。

寄生虫感染に効果がある可能性

ニガヨモギは、古代エジプトの頃から腸の寄生虫の治療に使用されてきました。この寄生虫を駆除する特性は、ツジョンによるものと考えられています(参考1参考2)。

しかし、この効果の根拠はほぼないと言えるでしょう。

in vitroの研究から、ニガヨモギがサナダムシや他の寄生虫と戦う可能性があることが示されています。ただし、この結果は人間には適用されない可能性があります(参考1参考2)。

寄生虫に対する効果を信頼するためには、より包括的な研究が必要です。

抗酸化作用


ツジョンに加えて、もう1つの注目すべきニガヨモギ化合物は、カマズレン(Chamazulene)です。それは抗酸化物質として機能し、植物の開花前段階のエッセンシャルオイルに最も多く含まれています(参考)。

カマズレンのような抗酸化物質は、体内の酸化ストレスと闘う作用があり、これは癌、心臓病、アルツハイマー病及びその他の病気でも効果がある可能性があります(参考1参考2参考3参考4)。

この化合物の特性に関するさらなる研究が必要です。

炎症を緩和する可能性

ニガヨモギに含まれる別の植物性化合物であるアルテミシニン(Artemisinin)は、炎症を緩和するのを助けるかもしれません。長期にわたる炎症はいくつかの慢性疾患に関連しています(参考)。

アルテミシニンはサイトカインを阻害すると考えられています。サイトカインは炎症を促進する免疫系によって分泌されるタンパク質です(参考)。

研究結果から、ニガヨモギが消化管の粘膜の炎症を特徴とするクローン病の緩和に役立つ可能性があることを示唆しています。その症状には、下痢、疲労、腹部けいれん、その他の消化器系の問題が含まれます。

この状態の成人40人を対象とした研究では、1日3回500 mgニガヨモギサプリメントを服用している患者は、プラセボ群の患者と比較して、症状が少なく、8週間後にステロイドの必要性が減少しました(参考1参考2)。

さらなる研究が必要であることを覚えておいてください。

💡 POINT

ニガヨモギは、痛みや炎症を緩和し、酸化ストレスや寄生虫感染と戦うなど、多くの利点と関連付けられています。ただし、より科学的な研究が必要です。

ニガヨモギの摂取量と安全性

研究が不足しているため、ニガヨモギの特定の投与量ガイドラインはありません。同時に、含まれている化合物は毒性作用を引き起こす可能性があるため、ニガヨモギ製品にさまざまな政府機関が制限を課しています。

例えば、欧州連合(EU)はニガヨモギを使用して調理した食品を1ポンドあたり0.53 mgのツジョン(0.5 mg / kg)に制限していますが、アブサンなどのアルコール飲料の制限量は1ポンドあたり16 mg(35 mg / kg)です(参考1参考2)。

米国では、米国食品医薬品局(FDA)がツジョンを含むすべての市販製品を10百万分の一(ppm)以下に制限しています。この量は、ほとんどの人にとって影響がないため、安全とみなされている量です。(参考1参考2参考3)。

ニガヨモギ茶と抽出物はFDAの規制を受けていないことに注意してください。したがって、これらはFDAの規制に該当せず、またツジョンを多く含んでいる可能性があります。

どれだけ服用するかわからない場合は、医者に相談するのが最善です。

注意すべき副作用

特定の疾患及び条件を持つ人々はニガヨモギを避けた方が良いとされています。その条件を以下に示します。

妊娠

妊娠中はニガヨモギを服用しないでください。流産を引き起こす可能性があります(参考)。 

母乳育児と幼児期

安全性に関する情報が不足しているため、授乳中の女性や子供は服用を避けてください。 

てんかん

ツジョンは脳を刺激し、発作を引き起こすことが知られています。ニガヨモギはまた、ガバペンチンやプリミドンといったてんかんで一般に使用される薬の効果を減少させることが報告されています(参考1参考2)。 

心臓病

心臓病薬のワルファリンと一緒に服用すると、腸出血を引き起こす可能性があります(参考)。 

腎臓の問題

ニガヨモギは腎臓に毒性があり、腎不全のリスクを高める可能性があります(参考1参考2)。 

特定のアレルギー

ブタクサやマリーゴールドなどのキク科のメンバーにアレルギーがある場合は、同じ植物ファミリーにあるニガヨモギにも反応する可能性があります(参考)。 


ニガヨモギを大量に摂取すると、消化不良、腎不全、吐き気、嘔吐、発作を起こすことがあります。ただし、お茶に含まれるような少量を服用している場合は、これらの副作用を経験することはほとんどありません(参考1参考2)。

ニガヨモギや他のツジョン含有製品を非常に大量に服用すると致命的となる可能性がありますが、ヒトにおける致死量は確立されていません(参考)。

さらに、皮膚に直接塗布すると火傷をする可能性があります。局所的に使用する場合は、軟膏またはローションとしてのみ使用してください(参考)。

最後に、4週間以上定期的にニガヨモギを服用しないでください。この期間は長期と見なされ、ニガヨモギの長期的な安全性と副作用は不明です。

💡 POINT

妊娠中、授乳中、または特定の薬を服用している場合は、ニガヨモギの摂取を避けてください。さらに、てんかんや腎臓の問題がある人は服用しないでください。ニガヨモギの長期的な安全性は不明です。

ニガヨモギの使用方法

ニガヨモギは、お茶として茎、葉、花が乾燥された状態又はサプリメントや他のハーブのブレンドとして手に入れることが可能です。

皮膚への塗布のために、エッセンシャルオイルとして抽出され、希釈してローションや軟膏に配合されます。乾燥したニガヨモギ、ならびにそれから作られたカプセル、エキス、チンキなどが販売されています。

植物やその種子を購入して、庭で育てることもできます。

💡 POINT

ニガヨモギは、お茶、チンキ、エキス、軟膏、ローション、サプリメント等さまざまな形で入手可能です。

最後に

ニガヨモギはアブサンの成分であることで知られている苦いハーブです。それ自体に幻覚性はありませんが、含まれている植物化合物ツジョンには毒性があり、大量に摂取すると致命的な場合があります。

適度に摂取する分には多くのヘルスベネフィットがある可能性があります。これらには、炎症や寄生虫感染との闘い、痛みの緩和が含まれます。てんかん、妊娠中、授乳中又は特定の疾患薬を服用している人は、ニガヨモギの服用を避ける必要があります。

長期的な影響と具体的な投与量のガイドラインが不明であるため、長期・多量での摂取に関しては、使用する前に医療従事者に相談することをおすすめします。

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