エンテロコッカス・フェシウムとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

alloeh編集部

最終更新日:2020/03/29

エンテロコッカス・フェシウム成分解説

概要

エンテロコッカスは、人の消化管の中に住む腸内細菌の1種です。 このエンテロコッカスには、18種類以上の異なる種類があることがわかっています。 エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)は、この中でも最も頻度の高い種類の細菌です。(参考) これらの細菌は、口腔内や膣内にも存在します。 そして、この細菌は抵抗力が強く、熱い環境、高塩分の環境、酸性の環境下などでも生存が可能です。

エンテロコッカス・フェカーリスは、消化管内に存在する場合には、特に人体に害を及ぼしません。 しかし、人体の他の臓器などに広がってしまうと、重篤な感染症の原因となります。 細菌は、血液中、尿中、手術中の創部などに侵入してしまうことがあります。 そこから、人体の他の場所へと感染が広がり、敗血症、心内膜炎、髄膜炎などと呼ばれる重篤な感染症を引き起こす原因となります。

一般的には、エンテロコッカス・フェカーリスは、健常な人に対して健康問題を起こしません。 しかし、基礎疾患のある方や免疫システムの弱っている方の場合には、健康に影響を与える問題となることがあります。 これらの感染は、しばしば病院内などでも、院内感染として拡大することがあります。

近年では、薬剤耐性のエンテロコッカス・フェカーリスが検出されるようになってきています。 今日では、エンテロコッカス・フェカーリスによって起きる感染において、多くの抗菌薬が無効となってきています。

何が原因でこれらの感染症が起きるのか?

エンテロコッカス・フェカーリス感染症は、不衛生な環境が原因で、人から人へと伝播します。 この細菌は主に人の便中に存在することから、トイレ使用後に手などをしっかり洗浄しないことで、この感染症は伝染してしまいます。 この細菌は、食事に混入してしまったり、ドアノブ・電話・コンピューターキーボードなどの表面に付着していることもあります。 これらの経路を介して、人から人へと細菌が感染していきます。

エンテロコッカス・フェカーリスは、しばしば院内で細菌が広がる院内感染の原因にもなります。 特に、病院で働く医療関係者の手洗いが不十分な場合に起きることがあります。 また、カテーテル、血液透析ポート、その他の医療機器の不適切な洗浄などが原因で、エンテロコッカス・フェカーリスが広がることもあります。 そして、臓器移植を受けた患者さん、血液透析中の患者さん、がん治療中の患者さんなどでは、免疫機能の低下や、使用しているカテーテルからの細菌の混入などが原因で、さらに感染症を発症するリスクが高くなります。

エンテロコッカス・フェカーリス感染症による症状

症状は、どのような感染症を来たしているかによって変わります。 代表的な症状などは以下に挙げるような症状です。

  • 発熱
  • 悪寒
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 排尿時痛
  • 嘔気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 頻呼吸や呼吸困難感
  • 呼吸時の胸痛
  • 項部硬直
  • 歯肉の腫脹、発赤、疼痛、出血

関連する感染症

エンテロコッカス・フェカーリスは、いくつかの異なるタイプの感染症の原因となります。

菌血症

細菌が血中に入り全身をめぐる。(参考

心内膜炎

心臓の内部を覆う心内膜と呼ばれる内壁に感染が起きます。エンテロコッカス・フェカーリスは、心内膜炎の原因菌の10%程度を占めると考えられています。(参考1, 参考2

髄膜炎

脳と脊髄を囲む髄膜の感染による炎症です。(参考

歯周炎

歯肉への重篤な感染で、歯を支える骨への障害がおきます。しばしば、歯根管を受けた後の患者さんで起きることがあります。(参考

尿路感染症

膀胱、腎臓、尿道などへ感染が波及します。(参考

創部感染

手術などの、創部が開かれた際に、細菌が入り込んで感染します。

そして、多くの場合、これらの感染症は病院などの医療機関で起きることがあります。(参考

エンテロコッカス・フェカーリス感染症の治療

エンテロコッカス・フェカーリス感染症は抗菌薬で治療されます。 現在の問題は、エンテロコッカス・フェカーリスが多くの抗菌薬に対して耐性を獲得してきていることです。 つまり、いくつかの特定の抗菌薬が、エンテロコッカス・フェカーリスに対しては無効となっています。

有効な抗菌薬を決定するために、しばしば細菌のサンプルを病院などでは採取されることがあります。 このサンプルは、病院の検査室で調べられて、細菌に対してどの抗菌薬が有効かを調べます。

一般的には、アンピシリンがエンテロコッカス・フェカーリス感染症に対してよく使用される抗菌薬です。

その他の抗菌薬には以下のようなものがあります。

ダプトマイシン ゲンタマイシン リネゾリド ニトロフラントイン ストレプトマイシン チゲサイクリン バンコマイシン

エンテロコッカス・フェカーリスは、しばしばバンコマイシンに対しても耐性があることがあります。 バンコマイシンに耐性のあるエンテロコッカスは、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)と呼ばれます。 この場合には、リネゾリドやダプトマイシンなどの抗菌薬が治療の選択肢となります。

心内膜炎や髄膜炎などの、より重篤な感染症においては、複数の抗菌薬が同時に使用されることがあります。 通常は、2つの異なるクラスの抗菌薬を組み合わせることが多く、アンピシリンもしくはバンコマイシンから1つ、それに加えて、ゲンタマイシンとストレプトマイシンから1つ、などの組み合わせで治療が行われます。 現在でも、エンテロコッカス・フェカーリスに対して、より有効な抗菌薬を見つけるための研究が続けられています。

感染症を防ぐ

エンテロコッカス・フェカーリスによる感染症を防ぐためには、以下のような方法が挙げられます。

お湯と石鹸を使用して、1日を通じてこまめに手洗いを繰り返す。 トイレの使用後の手洗いと、調理や食事摂取前の手洗いの徹底する。 石鹸や水などが手にはいらない場合には、アルコール分の入った手指洗浄液を使う。 特に、体調が悪い人などと、スプーン、歯ブラシ、タオルなどの個人的な物品を共有しない。

テレビのリモコン、ドアノブ、電話の受話器などの共有して使用される物品は、殺菌作用のある消毒薬でこまめに消毒しましょう。 病院などにいく場合には、自分に関わる医療関係者が診療にあたる際に、手洗いもしくは手袋の着用をしていることを確認しましょう。 自分に使用される体温計、血圧測定カフ、カテーテル、点滴用品、その他の医療器具が、殺菌消毒されていることを確認しましょう。 また、先天性心疾患の患者さんや、心臓弁膜症手術後の方では、歯科治療や外科手術などを行う前に予防的な抗菌薬投与が必要となることがあるので、注意が必要です。

展望

エンテロコッカス・フェカーリスは、多くの抗菌薬に対して耐性があるようになってきています。 抗菌薬に耐性のある細菌の感染症は、治療が困難となることが多いです。 基礎疾患などがあって、すでに全身状態がよくない方での感染症の場合は、その後の経過が芳しくない場合があります。 エンテロコッカス・フェカーリス感染症の予防のためには、手洗いを含めて、身の回りを清潔を保つことが重要です。

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