ザクロの12の健康への効能
ザクロは、健康的なフルーツの1つと言って良いでしょう。ザクロは、他の食材とは比較にならないほど、有益で多様な植物性化合物を含んでいます。
様々な研究で、ザクロの摂取が体の健康に有益で、いくつかの疾患のリスク低減にも効果的であると示されています。(参考)
この記事では、ザクロの12個の健康への効能について、データを交えて取り上げて行きます。
1. ザクロに含まれる豊富な栄養素
ザクロは又の名をセキリュウヒとも呼ばれ、赤い果実を実らせる低木の1つです。(参考)
ザクロはベリー(液果)に分類され、直径5-12cmほどの果実を実らせます。
赤く、丸い実は、花の形をした茎がついた赤いリンゴのような見た目をしています。
ザクロの皮は厚く食べることはできませんが、ザクロの実の中には数百もの食用となる種子が含まれています。
1つ1つの種は、赤くて甘い、果汁の多い仮種皮と呼ばれる組織で包まれています。
この種と仮種皮の部分が食用として使用できる部分で、生のままで摂取されたり、ジュースに加工されたりして摂取されます。(皮の部分は捨てられます)
ザクロ1カップ(174グラム)あたりに含まれる栄養素は以下のようになります。(参考)
- 食物繊維:7グラム
- タンパク質: 3グラム
- ビタミンC: 推奨1日摂取量の30%
- ビタミンK: 推奨1日摂取量の36%
- 葉酸:推奨1日摂取量の16%
- カリウム:推奨1日摂取量の12%
ザクロの仮種皮はとても甘く、1カップあたりに、24グラムの砂糖にあたる144カロリーが含まれています。
しかし、ザクロの本当の魅力は、その強力な植物性化合物にあり、これらの化合物の一部には薬効も期待されています。
💡 POINT
ザクロは、果実の中に数百もの仮種皮と呼ばれる食用にできる部分を含むフルーツです。食物繊維、ビタミン、ミネラル、生物活性植物化合物、少量の糖分などを含みます。
2. ザクロに含まれる、強力な薬効を持つ2つの植物性化合物
ザクロには、健康への効能の原因になっていると考えられている、2つの特徴的な成分が含まれています。
プニカラジン
プニカラジンは、ザクロジュースとザクロの皮に主に含まれている、強力な抗酸化物質です。
この成分はとても強力で、ザクロジュースは同量の赤ワインや緑茶の、おおよそ3倍の抗酸化能力があるとされています。(参考)
ザクロの抽出液や粉末は、ザクロの皮に抗酸化物質やプニカラジンが多く含まれるため、一般的にはザクロの皮部分から作られます。
プニカ酸
ザクロ種子オイルに含まれるプニカ酸は、ザクロの仮種皮に含まれる主要な脂肪酸です。
プニカ酸は、強力な生物活性を持つ飽和リノレン酸の1種です。
💡 POINT
ザクロには、その健康への効能の原因となる特徴的な成分である、プニカラジンやプニック酸が含まれています。
3. ザクロの抗炎症作用
慢性炎症は、数々の重篤な疾患に関与していると考えられています。
このような疾患には、心疾患、癌、2型糖尿病、アルツハイマー型認知症、肥満などの疾患が含まれます。
ザクロには、その成分であるプニカラジンによると思われる、強力な抗炎症作用があることが知られています。
試験管内での実験では、ザクロの成分が、消化管や乳がん細胞・大腸癌細胞の、炎症反応の抑制効果を発揮したと報告されています。(参考1, 参考2, 参考3)
ある研究では、2型糖尿病のある患者さんにおいて、250mlのザクロジュースを毎日投与したところ、12週間で炎症の指標であるCRPが32%、インターロイキン6が30%低下したとされています。(参考)
ザクロの摂取は、体の炎症を沈めるためには有効な食材と言えるでしょう。
💡 POINT
ザクロジュースに含まれるプニカラジンには、癌や糖尿病などの重篤な疾患の誘因となる、炎症反応を軽減させる効果が報告されています。
4. ザクロの前立腺癌に対する効能
前立腺癌は、男性において最も頻度の高い癌の1つです。
研究室で行われる基礎研究のレベルでは、ザクロの抽出液が癌細胞の増殖を抑えたり、癌細胞の細胞死(アポトーシス)を誘導したりするなどの効果があると報告されています。(参考1, 参考2)
PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺癌の指標となる血中のマーカーです。
短期間のうちに、このPSA(前立腺特異抗原)が倍以上に増加した男性では、前立腺癌による死亡のリスクが高まると言われています。
面白いことに、人を対象とした研究で、237ml(8オンス)のクランベリージュースを毎日摂取し続けた人において、PSA(前立腺特異抗原)の値が倍になるまでの時間が15ヶ月から54ヶ月へと顕著に延長したと報告されています。(参考)
追加の研究でも、POMxと呼ばれるクランベリー抽出液の1種の摂取が、同様の効果を示したと報告されています。(参考)
💡 POINT
現時点までのデータでは、クランベリージュースが男性における前立腺癌に有効であり、前立腺癌の成長抑制や、癌による死亡リスク軽減などの効果があると期待されています。
5. ザクロの乳がんへの効能
乳がんは、女性において最も頻度の高い癌の1つです。
ザクロの抽出液は、乳がん細胞の増殖の抑制や、乳がん細胞を殺す作用があると期待されています。(参考1、参考2、参考3)
しかし、現時点のデータは実験に基づくもののみであり、今後、人を対象とした追加の研究結果が待たれます。
💡 POINT
研究室で行われる基礎研究レベルでは、ザクロの抽出液が乳がん細胞に対して阻害的に働くことが示唆されていますが、今後の人を対象とした研究結果が待たれます。
6. ザクロの血圧低下効果
高血圧は、心臓発作や脳卒中の主要な要因の1つです。
ある研究では、高血圧を持つ患者さんが、150ml(5オンス)のザクロジュースを、毎日2週間にわたって摂取したところ、有意な血圧低下が認められたとしています。(参考)
他の研究でも同様の効果が報告されており、特に収縮期血圧と呼ばれる血圧測定値の高い方の数値が、より顕著に低下したと報告されています。(参考1, 参考2)
💡 POINT
ザクロジュースの定期的な摂取は、たった2週間程度の摂取で血圧を低下させる効果を発揮すると考えられています。
7. ザクロの関節炎と関節痛に対する効能
関節炎は欧米諸国で頻度の高い疾患です。
関節炎には多くの種類がありますが、その殆どに関節の炎症反応が関わっています。
ザクロの植物性化合物に抗炎症作用があることを考慮すると、ザクロの摂取に関節炎の治療効果がある可能性も肯けます。
面白いことに、ある実験のデータによると、ザクロ抽出液は変形性関節症の患者さんにおいて、関節の障害に関わっている酵素を阻害する効果があることが示されています。(参考1, 参考2)
このザクロ抽出液は、マウスの実験でも関節炎を改善する効果が認められていますが、人を対象にした研究データは現時点では限られています。(参考1, 参考2)
💡 POINT
動物を対象とした研究や、細胞レベルの研究では、ザクロの抽出液が複数のタイプの関節炎に有効であると報告されていますが、今後の人を対象にした研究結果も確認する必要があるでしょう。
8. ザクロジュースの心疾患リスク軽減効果
世界的に見ても心疾患は、比較的若い人における最も多い死亡原因の1つです。(参考)
心疾患は、多くの要因が関わる複雑な疾患です。
ザクロに含まれる主要な脂肪酸であるプニカ酸は、複数の作用機序を介して心疾患に対し、予防的に働くかもしれません。
ある研究では、51名の高トリグリセライド血症(高中性脂肪)のある被験者に、毎日800mgのザクロ種子オイルを4週間に渡って投与したところ、トリグリセライド(中性脂肪)の低下と、トリグリセライド-HDL(善玉コレステロール)比の改善が認められたと報告されています。(参考)
他の研究でも、2型糖尿病のある患者さんにおいて、ザクロジュースの効果を調査しています。
この研究では、ザクロジュースの摂取が、LDL(悪玉)コレステロールの低下と、その他の健康指標の改善につながったとしています。(参考)
ザクロジュースは、動物と人を対象とした研究の両方で、心疾の重要な発症機序であるLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぐ効果が示されています。(参考1, 参考2, 参考3, 参考4)
そして、他のある研究でも、ザクロジュースの摂取が、心疾患の重要なリスク因子である高血圧を改善したと結論づけています。(参考)
💡 POINT
複数の、人を対象とした研究において、ザクロの摂取が心疾患に対して予防的に働くと報告されています。ザクロの摂取は、コレステロール血症を改善し、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぐと考えられています。
9. ザクロジュースの勃起障害に対する効能
酸化ダメージは、勃起に関わる組織を含めた全身の組織への血流を阻害します。
ザクロジュースはウサギを使った研究において、これらの組織への血流を改善し、勃起反応などを改善させたと報告されています。(参考)
勃起障害のある53名の男性を対象にした研究では、ザクロの摂取にある程度効果が認められたものの、統計学的に有意な効果は認められませんでした。(参考)
💡 POINT
今後の追加での研究が必要ですが、ザクロジュースには勃起障害の症状を改善する効果が期待されています。
10. ザクロの細菌/真菌感染に対する効能
ザクロに含まれている植物性化合物は、有害な微生物による感染に効果があります。(参考)
例えば、これらの植物性化合物が、特定の種類の細菌や、カンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)などの真菌に対して、抗菌/抗真菌作用を発揮することが知られています。(参考1, 参考2)
この抗菌/抗真菌作用は、口腔内の感染や炎症などにも有効かもしれません。
歯肉炎、歯周炎、義歯口内炎などの病気に効果が期待されています。(参考1, 参考2)
💡 POINT
ザクロには、一般的な歯肉の病気や真菌感染に対して有効な、抗菌/抗真菌作用があるかもしれません。
11. ザクロの認知機能改善効果
いくつかの研究で、ザクロの認知機能改善効果が報告されています。
術後の患者さんを対象にしたある研究では、2グラムのザクロ抽出液を術後の患者さんに投与したところ、記憶力低下を防ぐ効果が認められたとされています。(参考)
また別の研究では、28名の認知機能低下を訴える高齢者を対象に、237ml(8オンス)のザクロジュースを毎日投与したところ、有意に言語記憶・視覚記憶の改善が見られました。(参考)
マウスを対象にした研究でも、ザクロのアルツハイマー型認知症に対する効果が示唆されています。(参考)
💡 POINT
いくつかの研究で、ザクロの高齢者や術後患者さんにおける認知機能改善効果が認められています。加えて、マウスを使った研究でも、アルツハイマー型認知症に対する抑制効果が示唆されています。
12. ザクロの運動パフォーマンス向上効果
ザクロには、運動パフォーマンス向上に関連することが知られている硝酸塩が多く含まれています。
19名の陸上競技者を対象とした研究では、トレッドミルでのランニング30分前に、1グラムのザクロを摂取することで、有意な血流の増加、疲労を感じるまでの時間の延長、運動効率の改善などの効果が認められたとされています。(参考)
追加での研究が必要ではありますが、ザクロにもビーツなどに見られるような、運動パフォーマンスの改善効果がある可能性が期待されています。
💡 POINT
硝酸塩を豊富に含むザクロは、摂取後に体の血流を増やすことで、運動パフォーマンスを向上させるかもしれません。
まとめ
ザクロは、地球上で最も健康的な食材のうちの1つで、豊富な栄養素と強力な植物性化合物が詰まっています。ザクロには、心疾患、癌、関節炎、その他の炎症性疾患などを含む、幅広い重篤な疾患に対するリスクを軽減する効能があるかもしれません。
さらに、認知機能や運動機能の亢進につながる可能性も期待されています。これらのザクロの健康への効能を享受するためには、ザクロの仮種皮を直接摂取するか、ザクロのジュースなどを摂取すると良いでしょう。
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