ホタテとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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世界中で食べられているホタテは甲殻類の一種で、海に生息し多くの国の海岸沖で漁獲されます。色鮮やかな貝殻の中にある貝柱は食べることができ、正しく調理すれば、ほのかな甘さと柔らかい食感を味わうことができます。

ホタテは栄養価が高く、優れた健康効果があると考えられています。しかし、アレルギー反応や重金属の蓄積に対する不安から、ホタテを避ける人が意外と多くいるのも事実です。この記事では、ホタテの詳しい健康効果とホタテを食べると起こりうる危険性を紹介しましょう。


非常に栄養価が高い

魚やエビ・カニなどの甲殻類と同様に、ホタテも栄養価が高い食材のひとつです。84gの蒸したホタテには以下の栄養素が含まれています。 (参考)

  • カロリー:94kcal
  • 炭水化物:0g
  • 脂質:1.2g
  • タンパク質:19.5g
  • オメガ3脂肪酸:333mg
  • ビタミン12:1日の推奨摂取量(DV)の18%
  • カルシウム:DVの9%
  • 鉄分:DVの15%
  • マグネシウム:DVの12%
  • リン:DVの27%
  • カリウム:DVの12%
  • 亜鉛:DVの18%
  • 銅:DVの12%
  • セレン:DVの33%

ホタテはセレン、亜鉛、銅など、いくつかの微量元素の優れた供給源となっています。これらのミネラルは健康を保つためにとても大切なものですが、十分に摂れていない人もいます。

十分なセレンの摂取は、健康な免疫システムと適切な甲状腺機能を促し、亜鉛は脳機能と健全な成長に必要で、銅は糖尿病や心臓病の予防効果があります。(参考1) (参考2) (参考3) (参考4) (参考5)(参考6)

これらの大切な微量元素、上質なタンパク質、そして抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸は、食生活にホタテを取り入れることで摂取できます。

要約

ホタテは人間の健康に有益である微量元素や他の栄養素が含まれています。84gのホタテは、栄養価が高い上に、100カロリー以下と低カロリーでもあります。


減量に役立つ

低カロリーで、高タンパク質のホタテは、体重を減らそうとしている人にはお勧めの食材かもしれません。ある研究では、総カロリー摂取量を減らすと同時に、タンパク質の摂取量を適度に増やすことで、体重が減りやすくなることが分かっています。(参考1)(参考2)

84gのホタテは、100カロリー以下で約20gのタンパク質を摂ることができます。(参考) タンパク質には満腹感を与える働きがあり、この作用が総カロリー摂取量を減らすことにつながっている可能性があります。更に、新陳代謝を高め、体がよりエネルギーを消耗する働きも助けてくれます。(参考1) (参考2)

773人を対象とした26週間にわたる研究では、1日のカロリーの25%に当たる量の高タンパク質の食事を摂った参加者は、1日当たりのカロリーの13%の量の低タンパク質を摂った参加者よりも、平均で5%より多く減量できたと報告されています。更に、低タンパク質を摂ったグループは、平均1.01㎏の体重がリバウンドしたことも分かっています。(参考)

ホタテや魚類には、他のタンパク源よりも体重減少を更に促進する特異な性質があるとも考えられています。(参考)

要約

ホタテなどの食物を通してタンパク質を増やすことは、体重の減少に役立つかもしれません。魚介類やホタテは、他のタイプのタンパク質よりも体重を減らす効果があると考えられています。


脳と神経系に効果的

ホタテは脳と神経系システムにとって大切な特定栄養素を含んでいます。84gのホタテで、1日の推奨摂取量の18%に当たるビタミンB12および亜鉛、そして300mg以上のオメガ3脂肪酸を摂ることができます。(参考)

十分な量のこれらの栄養素は、神経系の発達を確かなものにし、アルツハイマー病や気分障害などの精神障害の予防に役立つと考えられています。(参考) ある研究では、ビタミンB12含有量の低い妊婦から生まれた赤ん坊は、9年後の検査で脳機能が低いことが発見されており、ビタミンB12を十分に摂った母親から生まれた子供に比べ、認識力テストを終えるのに20秒以上長くかかったことが分かっています。(参考)

他の研究では、ビタミンB12を補うことでホモシステイン濃度を30%下げ、脳機能を改善する働きが確認されています。大量のホモシステインは、軽度の精神障害にかかるリスクを高める原因となります。(参考)

亜鉛も脳の健康に大切だと考えられています。ラットを使った6ヶ月に渡る研究では、亜鉛の血中濃度が20%減少すると、アルツハイマー病の症状に見られるような精神と記憶障害を引き起こすことが確認されています。(参考)

ビタミンB12と亜鉛の他にも、オメガ3脂肪酸にも脳の健康と発達に役立つ多くの効果があります。母親からオメガ3脂肪酸を十分に摂ることができない胎児は、注意力欠如障害や精神障害を患う危険性が高まる可能性があります。(参考)

要約

ホタテはビタミンB12・亜鉛・オメガ3脂肪酸が大量に含まれています。これらの栄養素を十分に摂ることは、脳の発達に欠かせないことで、精神的退化や気分障害を患うリスクの低下にもつながります。


心臓の健康を増進する

ホタテは、心臓に良い2つの栄養素、マグネシウムとカリウムを含んでいます。どちらの栄養素も血管を弛緩(しかん)させる役割を担っており、十分な量を摂ることで血圧を下げ、心臓病の予防にもなります。(参考)

血中マグネシウム濃度とマグネシウム摂取量が低いと、心房性細動(不整脈の一種)、高血圧、そして他の心臓病にかかる可能性が高くなります。(参考1) (参考2) 9000人以上を対象とした研究では、マグネシウム濃度が0.80mmol/L以下の参加者は、心臓病で死亡するリスクが35%、そして心臓発作で亡くなるリスクは54%より高くなることが分かっています。(参考)

要約

ホタテはカリウムとマグネシウムを大量に含んでいます。これらの栄養素を十分に摂ることで、血圧を下げ、心臓病の予防になります。


アレルギー反応を引き起こす可能性

魚類やホタテを含めた甲殻類を摂取することで、高度のアレルギー反応を起こす人たちがいます。

アメリカの18歳以下の子供の約0.6%に魚類に対するアレルギーがあり、いくつかの研究では、甲殻類アレルギーの有病率は全ての年齢層を含めると、10.3%に達すると報告されています。(参考1) (参考2) 実際、甲殻類は食物アレルギーを引き起こす主な原因のひとつ。この種のアレルギーは、一般的に成人期に発症し、完治すること無く一生続きます。(参考1) (参考2)

ホタテ、カキ、イガイ、ハマグリは、カニ、ロブスター、小エビに比べてアレルギー反応を起こしにくい甲殻類です。甲殻類アレルギーの人でも、甲殻類の種類によっては耐性があり、特定の食物のみにアレルギー反応を起こしている可能性があります。(参考)

甲殻類アレルギーはタンパク質のひとつであるトロポミオシンに反応する免疫システムが原因です。(参考)

甲殻類アレルギーの症状には以下のものが含まれています。

  • 消化不良、下痢、嘔吐
  • 咽喉絞扼感、嚥下困難
  • 全身に出るじんましん
  • 息切れや咳
  • 舌と唇の腫れ
  • 青ざめた皮膚
  • 目まいや精神錯乱


症例によっては、迅速な治療を要するアナフィラキシー性ショックと呼ばれる生命に関わるアレルギー反応を起こす可能性もあります。(参考)

要約

甲殻類アレルギーは、最もよく見られる食物アレルギーのひとつです。甲殻類アレルギーの人がホタテを食べると、吐き気、じんましん、息切れ、そして中には生命を脅かす合併症を引き起こすかもしれません。


ホタテに含まれる重金属

生息している環境によって異なりますが、ホタテには水銀、カドミウム、鉛、ヒ素などの重金属が蓄積されている可能性があります。人体に重金属が蓄積されると、何らかの悪影響を及ぼす危険性があります。

長期間にわたってヒ素にさらされると、がん発生のリスクが高まるうえ、鉛の蓄積は主要組織に重大な損害を与えることになります。また、水銀中毒は脳機能の低下、記憶障害、そしてうつ病につながり、過剰なカドミウム摂取は重度の腎障害を引き起こしてしまいます。

過剰な量の重金属は、それぞれの重金属の種類によって異なった危険性があります。体は取り入れた重金属を排出することができないので、体にかかわる食物、水、そして環境を制限することが大切です。

残念ながら、シーフードはさまざまな量の重金属を含んでいる可能性があります。スペイン産の缶詰のホタテを調べた研究では、鉛、水銀、そしてカドミウムが発見されています。また缶詰で見つかった鉛と水銀レベルは最大容認量より大幅に低かったものの、カドミウムの量は最大容認量に近い量だったことが分かっています。(参考) 既存のいくつかの研究では、ホタテの重金属濃度は生息地によって異なるものの、ほとんどのホタテには高濃度のカドミウムが含まれていると示唆しています。また追加調査では、蓄積された金属の量はホタテの各部分によって異なることも分かっています。しかし、食べられない部分に金属が溜まっていることもあり、健康への被害をそれ程心配する必要はありません。(参考)

要約

人間の健康に危険を及ぼす重金属が甲殻類に蓄積されている可能性があります。ホタテには、鉛と水銀の量は少ないものの、より多くのカドミウムが含まれていると考えられています。


ホタテを食べるべきか

ホタテに含まれる多くの健康効果を考えると、ホタテは食生活に是非とも取り入れたい食品の1つと言えます。ホタテはとても栄養価が高く、高タンパク質な上に低カロリーです。しかし、甲殻類アレルギーの人はアレルギー反応を引き起こすかもしれません。

また、ホタテの生息地によって異なりますが、ホタテの体内にはさまざまなレベルの重金属が含まれており、他の汚染物質も含んでいる可能性があります。高齢者、子供、妊婦、授乳中の女性、そして普段からよく魚類を摂っている人は、ホタテを避けた方が良いでしょう。(参考)

しかし、健康でアレルギーが無く、また重金属の過剰摂取を心配する必要のない成人であれば、ホタテは食べても安全な食材です。バターと塩コショウで焼くのが簡単な調理の1つでしょう。

要約

栄養価が高く、タンパク質を多く含んでいるホタテは、一般的に食べても安全だと考えられています。しかし、甲殻類や魚類に対するアレルギー反応や重金属蓄積が理由で、ホタテの摂取量を制限すべき人もいるため注意が必要です。


この記事のまとめ

ホタテには、心臓と脳の健康を促進するタンパク質と栄養素が豊富に含まれています。水銀、鉛、カドミウムが蓄積されている可能性がありますが、一般的に食べても安全だと考えられています。

甲殻類アレルギーの人や、妊婦などシーフードの摂取量に気を付けないといけない人以外は、ホタテを避ける理由はあまりありません。ホタテは健康的で美味しい食材のひとつとして認識されています。

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