トランスファーファクターとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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トランスファーファクターとは

トランスファーファクターは特定の病気に対して、既に免疫のある人や動物から取り出された化学薬品です。これまでのところ、さまざま病気に対するトランスファーファクターは研究室のみでの実験用として生成されており、必要な人に免疫を伝達する働きがあると考えています。

トランスファーファクターは皮下注射で投与されるか、経口投与されます。

感染症に最もよく使われますが、免疫系が弱い人にもトランスファーファクターはよく使用されています。また、いろいろながん、クローン病、慢性疲労症候群(CFS)、そして他の症状にも使用されています。しかし、これらの効果をサポートする十分な化学的証拠はまだありません。

どの症状に効果的なのか?

トランスファーファクターは、特定の病気に対して免疫を高める効果があると期待されています。

帯状疱疹

トランスファーファクターを皮下注射で投与すると、白血病を患う子供の帯状疱疹を防ぐ働きがあると考えられています。しかし、トランスファーファクターには2回目の帯状疱疹の発作を防ぐ効果や、骨髄移植を受けた白血病患者の帯状疱疹を再び防ぐ働きはないと推定されています。

その他、帯状疱疹を患う人に皮下注射でトランスファーファクターを投与すると、アシクロビル薬よりも痛みの持続期間が軽減されるとも考えられています。

肺がん

手術や化学療法などの通常の肺がん治療にトランスファーファクターを加えたいくつかの調査がありますが、ほとんどの肺がん患者の生存率には影響はなかったことが分かっています。しかし、初期研究ではトランスファーファクターは肺がんがかなり進行した患者(ステージ3)の生存期間を延ばす可能性があると報告されています。

最も深刻なタイプの皮膚がん(黒色腫)

ステージ1とステージ2の黒色腫の手術後、通常の治療と共にトランスファーファクターを皮下注射で最大で2年間投与したところ、病気の進行を遅らせる、寿命を延ばすことはなかったと報告されています。

多発性硬化症(MS)

多くの研究では、トランスファーファクターには多発性硬化症の進行を遅らせる働きはないと発表されています。しかし、いくつかの研究ではトランスファーファクターが軽度から中等度の症状がある患者の病状の進行を遅らせると報告されていますが、効果が表れるまでには18カ月~2年かかるとされています。

症状に対して十分な証拠が無いもの

ニキビ

初期研究では、トランスファーファクターを皮下注射で投与しても、ニキビの改善は見られていません。

ルー・ゲーリック病 (筋萎縮性側索硬化症、あるいはALS)

初期研究では、人間から取り出したトランスファーファクターには、ALSの経過には影響はみられていません。

子宮頸がん

初期研究では、子宮頸がんの手術や放射線治療を受けた後に、トランスファーファクターを皮下注射で投与すると再発リスクを下げたことが分かっています。

慢性疲労症候群(CFS)

トランスファーファクターを皮下注射で投与しても、慢性疲労症候群の患者には、症状の改善はみられていません。しかし、初期研究では、経口薬での投与には症状の改善が見られる可能性があると報告されています。

炎症性大腸炎の一種(クローン病)

初期研究では、トランスファーファクターを皮下注射で投与してもクローン病の症状改善はみられていません。

陰部ヘルペス

初期研究では、トランスファーファクターには陰部ヘルペスの再発防止に役立つことが分かっています。また、再発時に症状の程度を低下させる働きもあると考えられています。

B型肝炎ウイルスによって生じる腫れ(炎症)

初期研究では、B型肝炎の治療におけるトランスファーファクターの効果には否定的です。幾つかの調査では、急性B型肝炎の患者から採取したトランスファーファクターは、進行中のB型肝炎感染症に有効だとしていますが、他の調査では効果はみられていません。

ヘルペス・ウイルスによる眼感染症(ヘルペス性角膜炎)

初期研究では、トランスファーファクターは単純疱疹ウイルス(HSV)による2回目の眼感染症の発作予防に役立つと考えられています。

ヘルペス(口唇ヘルペス)

初期研究では、トランスファーファクターはヘルペスの再発を防ぐ働きが分かっています。また、再発時の症状の程度を低下させるとも考えられています。

陰部疣贅やがんを引き起こす性感染症(ヒト・パピローマウイルス:HPV)

初期研究では、経口薬での投与で、HPV女性患者の頸部の皮膚の変化や腫れの治療に役立つことが分かっています。しかし、皮下注射でのトランスファーファクターの投与でHPV女性患者のいぼを取り除くことはできていません。

腸の寄生虫病

進行中の調査では、AIDSと関連のあるクリプトスポリジウム症患者に経口薬でトランスファーファクター投与したところ、効果が見られたと報告されています。クリプトスポリジウム症は、単細胞生物(原虫)によって下痢、発熱、胃けいれんを引き起こす感染症です。牛から取り出したトランスファーファクターが症状の緩和に役立つと考えられています。

リーシュマニア寄生虫による皮膚感染(リーシュマニア病巣)

リーシュマニア症を発症させる有機体リーシュマニアに対する抗体を持つ患者から取り出したトランスファーファクターは、リーシュマニア症と関連のある難治性の傷に効果的であるという調査結果がいくつかあります。

上咽頭にできるがん(鼻咽腔がん)

初期研究では、このようなタイプのがんには、トランスファーファクターが生存率を高める効果は認められていません。幾つかの調査では、 エプスタイン・バー・ウイルスに対して特定の作用を生じるトランスファーファクターを筋肉に注射したところ、生存率が改善したことが分かっていますが、他の調査では効果は全く見られていません。

前立腺がん

初期研究では、トランスファーファクターを筋肉に注射すると、特定のタイプの前立腺がんの進行が抑制されることが分かっています。

これらの症状に対するトランスファーファクターの効果性を示す更なる証拠が必要です。

副作用と安全性

経口服用の場合

人間や牛から取り出したトランスファーファクターは、成人の場合では安全だと考えられていますが、発熱を引き起こす場合があります。また、狂牛病(牛海綿状脳症:BSE)や動物を原料とした製品から他の病気に感染する可能性を懸念する声もあります。狂牛病はトランスファーファクターにより感染することはありませんが、狂牛病が発見された国の動物製品は避けた方が良いでしょう。

筋肉注射か皮下注射の場合

人間や牛から取り出したトランスファーファクターを成人に注射しても安全だと考えられていますが、発熱を引き起こす場合があります。また、注射をした箇所の腫れや痛みを感じることがあるかもしれません。

その他、狂牛病(牛海綿状脳症:BSE)や動物を原料とした製品から他の病気に感染する可能性を懸念する声もあります。狂牛病はトランスファーファクターにより感染することはありませんが、狂牛病が発見された国の動物製品は避けた方が良いでしょう。

特別な事前注意と警告

妊婦と授乳中の女性

妊婦と授乳中の女性に対するトランスファーファクターの信用できる十分な情報はありません。安全のために使用は避けた方が良いでしょう。

子供

人や牛から採取したトランスファーファクターの子供への投与は安全性が示唆されています。

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