オウシュウヨモギとは?
オウシュウヨモギは黄色染料や防虫剤、食材としての活用やお腹の張りから不妊症などのさまざまな症状の治療にも使用されています。
オウシュウヨモギ(学名:アルテミシア・トリデンタータ)はキク科で、ブタクサの一種です。ブタクサと同じようなアレルギー症状を引き起こすために、アメリカでは見つければ直ちに雑草として駆除されてしまいます。しかし、世界の他の地域では貴重なものとして何世紀にも渡り使用されています。
これらはアジアとヨーロッパに自生しています。高さは6フィート(約183㎝)まで伸び、黄色か赤茶色の花を夏に咲かせ、葉の裏面には銀色のけばが付いています。セージ(アキギリ属全般の植物)の様な匂いがし、ほろ苦い味なのが特徴。
何千年も前には、オウシュウヨモギは貴重なハーブとして利用され、ローマ兵は疲労対策のためにサンダルに敷いていたとも言われています。また、野生動物や悪霊から身を守るために使用されたり、良い夢を見るために枕の下に置いたりと、神聖なハーブとしても使用されていたと考えられています。その他、虫よけとしてもオウシュウヨモギは家の周りや庭に植えられていました。
灸療法としての活用法
アジアの伝統医学では、オウシュウヨモギやニガヨモギは灸療法(きゅうりょうほう)に使用されています。灸療法では、これらの葉をタバコのような大きさで棒状かコーン状にし、つぼの上に添えて火を付けます。つぼに温熱刺激を与えることで、体のエネルギーが放出されると考えられています。
中国では灸療法は3000年以上にも渡って活用されており、血液と気を温めることで、炎症やガンの治療に効果的だとされています。また、お灸で使用されるもぐさ(よもぎの葉の裏にある繊毛を精製したもの)の煙には自律神経系を整え、全身をリラックスさせる効果があることも分かっています。(参考)
灸療法は月経痛の治療に使われたり、ある研究では、灸療法で胎動が活発になり、逆子の胎位を頭位に変わるのを助ける働きも確認されています。しかし、灸療法が本当に有効なのかを明確にするためには、更なる研究が必要だとも述べています。(参考)
その他の活用方法
ヨーロッパやアメリカでは、オウシュウヨモギは以下のような胃腸系の疾患治療に使用されています
- コリック(黄昏泣き)
- ガスが原因の諸症状
- 下痢
- 便秘
また、以下のような症状緩和にも使用されています。
- 頭痛
- 鼻血
- 悪寒
- 発熱
- 神経障害
- 不眠症
オウシュウヨモギには、抗細菌性や抗真菌特性があると主張する人もいますが、この主張に対する研究はまだ行われていません。
副作用について
オウシュウヨモギはくしゃみなどの鼻症状のアレルギー反応、中には接触性皮膚炎や発疹を引き起こす人もいます。
アメリカでは、オウシュウヨモギは栄養健康補助食品やホメオパシー製剤(その病気を引き起こし得るものを使って、その病気を治療する薬剤)として販売されており、ほとんどの人にとって安全だとされています。しかし、以下のアレルギーがある人は避けた方が良いでしょう。
- 桃
- リンゴ
- セロリ
- 人参
- ひまわり
- 他のいくつかの植物
また、オウシュウヨモギは月経周期を刺激することにも使用され、遅発月経を引き起こしたり、過去には人工妊娠中絶薬として利用されていました。そのため、妊娠中や授乳中の女性はオウシュウヨモギの摂取を避けた方が良いでしょう。
使用方法について
オウシュウヨモギは、下記のように販売されています。
- 乾燥葉
- エキス
- チンキ剤
- お茶
- 錠剤
また、湿布やペーストとしても使用されています。香料としても販売されている地域もありますが、多くのアメリカの都市や州では販売禁止となっています。
オウシュウヨモギの安全かつ効果的な摂取量については未だ分かっていません。そして子供への使用も控えた方が良いでしょう。
食材としての活用
ヨーロッパでは、オウシュウヨモギはホップが栽培される前には、ビールの香料として使用されていました。現在では、ドイツのクリスマス伝統料理のガチョウの丸焼きを含め、魚や肉の香味料として利用されています。
また、中国、韓国、そして日本でも香味料として使用されています。日本ではデザートやお餅、韓国ではパンケーキ、スープ、そしてサラダの材料として親しまれています。
この記事のまとめ
オウシュウヨモギは、何千年も前から薬や食材として使用されています。一部、不明瞭な効能や安全性を知るためには、より多くの研究が必要です。しかし、オウシュウヨモギを使用した灸療法には神経系や逆子の治療に効果があることが分かっています。また、月経けいれんの緩和、月経周期への刺激、胃腸系の症状の治療にも利用されています。
オウシュウヨモギを健康補助として試す場合には、医師や植物療法の専門家に相談しましょう。その際には、オウシュウヨモギにアレルギー反応を示す人もいるので、現在抱えているアレルギー症状を伝えましょう。
オウシュウヨモギの取扱業者の証明書やライセンスは、国立補完統合衛生センターのサイトで確認できます。(参考)
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