キャッツクローは、熱帯地方に自生するつる植物です。また、伝統医療として何世紀にも渡って、これを原料とする人気のハーブ系サプリメントとしても使用されています。感染症、がん、関節炎、そしてアルツハイマー病など、様々な病気に効果的だと言われています。(参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19451609/) しかし、キャッツクローの一般に信じられている効果は、全て科学的根拠があるわけではありません。この記事では、キャッツクローの効果、副作用、そして摂取量など、キャックローに関する情報を紹介します。
キャッツクローとは?
キャッツクロー(学名:ウンカリア・トメントーサ)は、熱帯地方に自生するつる植物です。高さ30mまで育ち、葉の付け根に猫の爪に似たトゲがあることからキャッツクローと呼ばれています。キャッツクローは特にアマゾンの熱帯雨林、そして中南米の熱帯地域に自生しています。最もよく見られるのが「ウンカリア・トメントーサ」と「ウンカリア・ギアネンシス」の2種類。アメリカでサプリメントとして最も使用されているのは、ウンカリア・トメントーサの方です。(参考)
樹皮と根は、炎症、ガン、そして感染症などの多くの疾患に対する伝統薬として、南アメリカでは何世紀にも渡って使用されています。キャッツクローのサプリメントはカプセル、粉末、そしてお茶として摂られることが一般的です。
キャッツクローに関しては、様々な効能がうたわれていますが、実際に行われた研究を元にした効能を紹介します。
要約
キャッツクローは伝統医療として何世紀にも渡って使用されている熱帯地方に自生するつる植物です。今日では、様々な健康効果があるとしてサプリメントとしても使用されています。
1.免疫機能の強化
キャッツクローには免疫システムをサポートする役目があり、感染症に対して効果的であると言われています。
27人を対象とした小規模な研究では、700㎎のキャッツクロー抽出物を2ヶ月間飲んだところ、感染症と戦うのに必要な白血球の数が増加したことが分かっています。(参考) 他にも4人にキャッツクロー抽出物を6週間与えた実験でも、同じような結果が出ています。(参考)
キャッツクローは免疫反応を高めると同時に、過剰な免疫システムを抑える働きがあることも分かっています。(参考1) (参考2) これはキャッツクローが持つ抗炎症作用が免疫システムに作用しているためだと考えられています。(参考)
2.変形性関節症に伴う症状の緩和
変形性関節症は、関節の痛みとこわばりを引き起こすアメリカでは最も一般的な関節の病気です。(参考)変形性膝関節症を患う45人に100㎎のキャッツクロー抽出物を4週間飲んでもらった研究があります。この研究では、身体活動の際の痛みが緩和された上に、副作用も発見されませんでした。しかし、休息中の痛みや膝の腫れには変化が無かったと報告されています。(参考)
8週間行われた研究では、キャッツクローと南米ペルーの薬用植物マカの根のサプリメントには、変形性関節症の痛みとこわばりを緩和する働きがあることが分かっています。また、参加者の鎮痛剤の使用が以前より減ったとも発表されています。(参考)
変形性関節炎の患者に100㎎のキャッツクロー抽出物とミネラルサプリメントを毎日摂取してもらったところ、摂取しなかった人と比べると、1~2週間後には関節痛と関節機能が改善されたとという報告もあります。(参考) しかし、8週間後には上記の効果は見られなくなったそうです。
これらの研究結果より、科学者はキャッツクローには抗炎症作用があり、変形性関節症を和らげる効果があると考えています。(参考1) (参考2)
しかし、ここで注意しておきたいのは、キャッツクローの研究では、他のサプリメントも混ぜて行われており、研究結果がキャッツクローの作用によるものかを判断するのは困難です。
キャッツクローの変形性関節症に対する有効性については更なる研究が必要と言えるでしょう。
3.関節リウマチの症状緩和
関節リウマチは、長期にわたる発熱、関節の腫れや痛みを引き起こす自己免疫疾患です。アメリカでは関節リウマチ患者が増加しており、現在では128万人以上の成人が発症しています。(参考)
いくつかの研究では、キャッツクローが関節リウマチの症状緩和に効果的であると発表されています。例えば、関節リウマチを患う40人の患者に常用薬剤と一緒に60mgのキャッツクロー抽出物を毎日投与すると、偽薬を飲んだ患者に比べ 29%に関節痛の減少がみられたと発表しています。(参考) これは、変形性関節症と同様に、キャッツクローのもつ抗炎症作用が関節リウマチの炎症を抑える効果があるためだと考えられています。(参考)
有効性に対する良い結果が出ていますが、まだ科学的に証明されたとは言えず、より大規模で質の高い研究が必要と言えるでしょう。
効能のまとめ
ある複数の研究では、キャッツクローの抽出物には免疫システムをサポートすることがわかっています。また、キャッツクローのもつ抗炎症作用が変形性関節症と関節リウマチの症状緩和に効果的だと考えられています。しかしより詳しい研究が必要です。
証明されていない健康効果
キャッツクローには、フェノール酸、アルカロイド、フラボノイドなど、健康に良いとされる強力な化合物が含まれています。(参考1)(参考2)キャッツクローには上記で述べた健康効果以外にも以下の症状緩和に有効とされていますが、現在のところは科学的には証明されていません。
- ガン
- ウイルス感染
- 不安神経症
- アレルギー
- 高血圧
- 痛風
- 胃病と腸疾患
- ぜんそく
- 卵巣嚢胞
- エイズ
十分な研究はまだ行われていないため、これらの症状へのキャッツクローによる治療の安全性と有効性はまだ分かっていません。
要約
キャッツクローに関する様々な宣伝がありますが、がん、アレルギー、エイズなどへの有効性を証明する研究結果はまだありません。
安全性と副作用
キャッツクローの副作用は殆ど報告されていませんが、現在のところ安全性に関する十分な証拠はありません。
キャッツクローにはタンニンが豊富に含まれており、大量に摂取した場合、吐き気、胃のもたれ、そして下痢を引き起こす可能性があります。(参考) また、症例報告と試験管内研究では、低血圧、出血の危険性の増加、神経損傷、抗エストロゲン作用、そして腎機能への悪影響などの副作用が起こり得ると報告されています。(参考1) (参考2) (参考3) しかし、上記の様な副作用は稀な症状です。
また、特定の条件を満たす以下の人は、キャッツクローの摂取を避けるか、摂取量を減らすことが一般的に推奨されています。
妊娠中か授乳中の女性
妊娠中と授乳中におけるキャッツクローの十分な安全性は分かっておらず、避けた方が良いと考えられています。
ある種の疾患を持つ人
出血性疾患、自己免疫疾患、腎臓病、白血病、血圧に関する疾患を患っている人、そして近い内に手術を受ける予定の人はキャッツクローの摂取は控えましょう。(参考1)(参考2)(参考3)
ある種の薬剤を服用している人
キャッツクローは、血圧、コレストロール、ガン、そして血液凝固などの薬の効能を妨げる可能性があります。キャッツクローを飲む前に、事前に医者に相談しましょう。(参考)
キャッツクローに関する安全性への科学的証明は不足しているため、十分に注意して摂取しましょう。
要約
キャッツクローの危険性に関する十分な研究はありませんが、副作用は稀です。しかし、妊婦や特定の疾患を患っている人は摂取を控えた方が良いでしょう。
投与量
キャッツクローの投与量に関するガイドラインはありません。しかし、WHOの発表では、乾燥された樹皮からの抽出物なら平均摂取量は20~350mg、カプセルでなら300~500mgを1日つき2~3回に分けて飲むことを勧めています。また、関節リウマチと膝関節の変形性関節症の治療のためのある研究では、キャッツクロー抽出物をそれぞれ60mg、そして100mg使用しています。(参考1) (参考2)
キャッツクローも含め、ハーブ系サプリメントの危険性は、アメリカ食品医薬品局(FDA)により厳重に規制されていないということです。汚染の危険性を減らすためにも有名な卸売業者からの購入を強くお勧めします。ConsumerLab.com、アメリカ薬局方(USP)、そして全米科学財団(NSF)などで検査を受けたブランドを探しましょう。
要約
キャッツクローの投与量に関する十分なガイドラインはありません。しかし、WHOは乾燥された樹皮からの抽出物は平均20~350mg、カプセルでは300~500mgを1日に2~3回に分けて飲むことを勧めています。
この記事のまとめ
キャッツクローは、熱帯地方に自生するつる植物を原料とする人気のハーブ系サプリメントです。
キャッツクローの健康効果をサポートする研究は限られていますが、いくつかの研究ではキャッツクローには、免疫機能を高め変形性関節症と関節リウマチの症状緩和に効果的であると報告されています。
安全性と摂取量のガイドラインがまだないため、キャッツクローを摂る前に医師に相談することをお勧めします。
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