ボラージ(ルリジサ、ボリジ)
別名:養蜂植物、蜂パン、ボリジフラワー、ボリジリーフ、ボラージオイル、ボラージシードオイル、ボラージ、ボラジョ、ボラゴオフィシナリス、ボラージュコモン、アルカネット、クールタンカール、スターフラワーなど
概要
ボラージ(ルリジサ、ボリジ)は植物です。その花や葉、または種から採れるオイル(ボラージオイル)は、薬として用いられています。
ボラージシーズオイル(ルリジサ種子油)は、湿疹(アトピー性皮膚炎)、頭皮にできる赤くかゆみのある湿疹(脂漏性湿疹)や、神経性皮膚炎などの皮膚疾患の治療に用いられます。
また、関節リウマチや歯肉の腫れ、ストレス、月経前症候群、糖尿病、注意欠陥多動性障害、急性呼吸不全、アルコール中毒症、腫れ(炎症)・痛み、ぜんそく等の治療に使用されており、心臓病や脳卒中の予防にも用いられます。
ボラージオイルは、早産児の成長を促すのに必要な脂肪酸を加えるため、粉ミルクに少量添加こともあります。
ボラージの花や葉は、熱や咳の緩和やうつ病の治療にも用いられます。
ボラージは、副腎不全と呼ばれるホルモンの疾患にも使用されます。“血液の浄化” を行い、尿の流れを良くし、肺の炎症も防ぎます。また、鎮静剤としても使用され、発汗も促します。
さらに、母乳の生成に役立ち、気管支炎や風邪の治療にも使われています。
幼児の頭皮にできる赤くかゆみのある湿疹(脂漏性皮膚炎)や、皮膚を柔らかくする包帯にも使用されています。
また、サラダやスープにして食べることもできます。
製造業では、スキンケア製品に使用されています。
その作用は?
ボラージシーズオイルは、ガンマリノレン酸(GLA)と呼ばれる脂肪酸を含んでいます。 GLAには、抗炎症作用がみられます。 また、ボラージの花には、抗酸化効果が期待できます。
用途
用途及び有効性
効果が期待できるのは、以下の症状です。
- 重症患者の肺機能の改善 急性呼吸不全の患者が、ボラージシーズオイルをエイコサペンタエン酸(EPA)と共に経口摂取した場合、患者が集中治療室で治療する日数が減ったり、人工呼吸器をつける期間が短くなったという報告があります。
- 早産児の成長促進 ボラージオイルに含まれる脂肪酸と魚オイルを添加した粉ミルクは、早産児、特に男児の身体や神経系の成長に役立つとされています。
- 関節リウマチ 従来の痛み止めや抗炎症剤とボラージオイルを一緒に摂取すると、6週間後には関節リウマチの症状が軽減したという実績もあります。 さらに、改善した状態が最高で24週間継続するともいわれています。症状改善の判断基準は、関節の圧痛や腫れが現れる箇所数とその度合いです。
効果が期待できないのは、以下の症状です。
- 赤くかゆみのある皮膚炎 ボラージオイルを経口摂取しても、老若男女を問わず、皮膚炎の改善は期待できないようです。
効果は期待されるものの、まだ証拠が不十分な症状は以下の通りです。
- 喘息 ボラージオイルを1年間毎日摂取しても、喘息の症状の改善は認められなかった、と初期段階の研究では報告されています。
- 歯周炎 初期段階の研究では、歯周病患者が12週間毎日ボラージオイルを摂取したところ、歯肉の炎症は改善されたが、プラークの減少は見られなかったという結果が報告されています。
- 小児の脂漏性皮膚炎 頭皮に赤くかゆみのある湿疹ができる、脂漏性皮膚炎を患った幼児にボラージオイルを局所的に使用することで、症状が改善したという報告があります。1週間から3週間ほどで治癒すると言われています。
- 月経前症候群(PMS)
- 糖尿病
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- アルコール中毒
- 心臓病
- 脳卒中
- 熱
- 咳
- 鬱
- 乾燥肌
- 関節炎
- 鎮痛
- 静脈瘤(静脈炎)
- 更年期障害
- 体液鬱滞
- その他の症状
これらの症状について、ボラージの効果を判断するには、さらなる証拠が必要となります。
副作用
副作用と安全性
ボラージシードオイルは、経口摂取でも皮膚に塗布した場合でも適切に使用すれば、安全であろうとされています。
しかし、危険な化学物質であるピロリジジンアルカロイド (PAs) を含む製品を口から摂取している場合は、安全ではないと考えられています。
ボラージの葉や花、種はPAsを含んでいます。
そしてそのPAsは、たくさん摂取したり、長期摂取した場合、肝臓に害を及ぼし、癌の原因になる可能性もあります。
ですから、必ずPAが入っていないことがきちんと認証され、ラベルに記載されている製品を使用してください。
特別な使用上の注意と警告:
子供:適切に経口摂取した場合は、おそらく安全でしょう。しかし、ピロリジジンアルカロイド(PAs)を含むボラージオイル製品を経口摂取するのは、安全ではないでしょう。
妊娠中及び授乳中の方:妊娠中や授乳中の女性がボラージオイルを使用することは、安全であると考えられています。しかし、ピロリジジンアルカロイド (PAs) を含む製品は、使用しないでください。PAsは、母体に重篤な肝臓病を発生させたり、癌の原因となる可能性があるからです。PAsはまた、出生異常をきたしたり、母乳から子供にも悪影響を及ぼす可能性があります。研究者達は、PAが含まれていないことが証明されているボラージ製品ですら、妊娠中及び授乳中の女性にとって安全であると確証できません。ですから、妊娠中及び授乳中の女性は、ボラージの使用は避けたほうが良いでしょう。
出血性疾患:ボラージシーズオイルは、出血時間を長くし、打撲や出血のリスクを高めるという懸念があります。出血性疾患がある方がボラージオイルを使用される場合は、注意が必要です。
肝臓病:肝毒性ピロリジジンアルカロイド(PA)が含まれているボラージ製品は、肝臓病を悪化させる可能性があります。
外科手術:ボラージは、手術中や術後の出血を加速させるリスクがあります。少なくとも外科手術を受ける2週間前には、ボラージの使用を中止してください。
相互作用
中程度の相互作用
以下のものと一緒に使用する場合は、ご注意ください。
- 肝臓で他の薬が分解されるのを促進する薬が、ボラージと相互作用する場合
- ボラージは、肝臓で分解されます。肝臓でボラージシーズオイルが分解される時に形成される化学物質の中には、有害なものもあります。ボラージシーズオイルを肝臓で分解させる原因となる薬は、オイルに含まれる化学物質の有毒性を増大させる可能性があります。カルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール、フェニトイン(ディランティン)、リファンピン、リファブチン(ミコブティン)などといった薬がそれに該当します。
- 血液凝固を遅らせる薬(抗凝血剤/抗血小板薬)がボラージと相互作用する場合
- ボラージシーズオイルは、血液の凝固を遅らせる可能性があります。ボラージシーズオイルを血液凝固を遅らせる薬と一緒に摂ると、打撲や出血の可能性が高まります。また、ボラージシーズオイルにはガンマリノレン酸(GLA)が含まれています。そのGLAは、血液凝固を遅らせる可能性があります。血液凝固を遅らせる薬には、アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)、ジクロフェナク(ボルタレン、カタフラムなど)、イブプロフェン(アドヴィル、モートリンなど)、ナプロキセン(アナプロックス、ナプロシンなど)、ダルテパリン(フラグミン)、エノキサパリン(ロベノックス)、ヘパリン、ワルファリン(クマディン)などがあります。
軽度の相互作用
以下のものと一緒に使用する場合も注意が必要です。
- 非ステロイド性解熱鎮痛剤(NSAID)とボラージが相互作用する場合
- 非ステロイド性解熱鎮痛剤(NSAID)は、抗炎症剤であり、腫れや痛みを軽減します。ボラージシーズオイルも抗炎症剤として使用されています。リューマチ性関節炎の治療のため、NSAIDとボラージシーズオイルを一緒に用いることもあります。しかし、ボラージシーズオイルとNSAIDは作用方法が異なります。NSAIDとボラージシーズオイルを一緒に用いると、ボラージシーズオイルの効果が弱くなると考える化学者もいます。しかし、これが真実かどうかを知るには時期早々と言えるでしょう。NSAIDには、イブプロフェン(アドヴィル、モートリン、ニュプリンなど)、インドメタシン(インドシン)、ナプロキセン(アリーブ、アナプロックス、ナプレラン、ナプロシン)、ピロキシカム(フェルデン)、アスピリンなどがあります。
使用量
研究では、以下の使用量について検討されました。
成人
経口摂取:
- 関節リウマチ患者に対して:毎日、ボラージシーズオイル、4.5~7.2 グラムを24週間。
子供
経口摂取:
- 早産の幼児の成長と発育のため:ボラージシーズオイル及び魚オイル含有の粉ミルクが使用されました。ボラージオイルと魚オイルを粉ミルクに添加し、脂肪100グラムにつき、ガンマリノレン酸(GLA)0.9グラム、エイコサペンタエン酸0.1グラム、ドコサヘキサエン酸0.5グラム入りの粉ミルクを生成しました。
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