はじめに
ラズベリーはベリーの一種で、主にその果実が人気の果物です。ビタミンやミネラル、抗酸化物質などを豊富に含むことでも知られています。また、ラズベリーには様々な色の種類がありますが、それぞれが独特のビタミン、ミネラル、抗酸化物質などの成分を持っているとされています。
この記事では、主に最も有名な赤色のラズベリーについての効果やメリット、リスクについて解説をしていきます。
ラズベリーのメリット
ラズベリーなどの食用植物に含まれる抗酸化物質には、多くの疾病を防ぐ効能があると考えられています。ビタミンC、ビタミンE、セレニウム、βカロテン、ルテイン、リコピン、ゼククサンチンなどは全て、ラズベリーに含まれている抗酸化物質の例です。また、ラズベリーは、フラボノイドと呼ばれる抗酸化物質作用を持つ化学物質も含んでいます。
抗酸化物質は、体から遊離ラジカルと呼ばれる毒性物質を除去するために作用するとされています。この遊離ラジカルは体内で、代謝の中でその一部が生成されますが、残りの遊離ラジカルは体の外から、不健康な食事(加工食品や、脂質や糖分の多い食事など)や汚染物質などを取り込んでしまうことで増えていくとされています。
過剰な遊離ラジカルを体内に摂取してしまうと、それが細胞の傷害を起こし、数多くの健康問題につながると考えられています。
また、ラズベリーは食物繊維も豊富に含んでいます。カップ1杯のラズベリーにはおおよそ8グラムの食物繊維が含まれます。
脳への効能
抗酸化物質に富んだ食事を摂取することで、脳の健康維持や神経システムの改善につながると考えられています。(参考)
ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質は、加齢に伴う思考力や記憶力などの衰えに対して抑制的に働くとする研究データがあります。ラズベリーはこれらの抗酸化作用のあるビタミンを含みます。
心臓の健康増進
研究によると、特にアンソシアニンを含む一部のフラボノイドが、心疾患につながる炎症を抑制すると考えられています。このアンソシアニンはラズベリーにも含まれています。(参考)
複数の種類の抗酸化物質が、血小板の蓄積を防いだり、抗炎症メカニズムを介して血圧を下げたりすることで心疾患リスクを軽減する可能性を期待されています。また、血圧やコレステロール、肥満等の疾患に対しても効果がある可能性が示唆されています。
癌の予防
米国国立癌研究所は、食事から摂取される抗酸化物質は、肺・食道・胃、その他の臓器の癌から人の体を守ってくれる可能性があると報告しています。(参考)
2010年の研究では、胃がん、大腸癌、乳癌の細胞に対して、ラズベリーの抽出液を用いて実験を行いました。この抽出液で、癌細胞の90%以上が死亡したとされています。 研究者の間では、乳癌細胞において半分以上の細胞死が、抗酸化物質によって促されたのではないかと期待されています。(参考)
糖尿病の治療
ラズベリーに含まれる抗酸化物質は、2型糖尿病のリスク因子である炎症を防ぐ効果が示唆されています。
2018年に行われた過去の研究をまとめたレビュー調査では、食事に含まれる食物繊維が、2型糖尿病の発症リスクを軽減し、糖尿病をすでに持っている患者さんでも症状を軽減する可能性があると報告しています。(参考)
ラズベリーは天然の甘味料であり、通常は砂糖などの添加は不要です。 そのためラズベリーは、特に糖尿病や過剰な体重を持つ人にとっては、重要な代替甘味料であると言えるでしょう。 しかし、ラズベリーにも少量ながら通常の天然の糖分が含まれていることには注意が必要です。 糖尿病の既往がある方では、ラズベリーに含まれる糖分も考慮した方が良いでしょう。
消化に関する効果
ラズベリーに含まれる食物繊維と水分は、便秘を防ぎ、消化管の健康を保つ役割を果たします。 十分な繊維の摂取が、老廃物の排泄に欠かせない、規則正しい便通を促します。
食物繊維を多く摂取することには、高血圧の改善や血中コレステロールの減少などにも効果的であると考えられています。
目の健康
ラズベリーは、有害なブルーライトから目を保護するとされる、ゼアキサンチンと呼ばれる抗酸化物質を含みます。この抗酸化物質は、高齢者で視力障害の原因になりやすい、加齢黄斑変性症などから目を守ってくれる効果があると考えられています。
その他の効能
ラズベリーには以下のような成分も含まれており、それぞれが健康に対して有益な効果をもたらす可能性が示唆されています。
ビタミンC
このビタミンは、体の皮膚、関節などを健康に保つために不可欠であるとされています。
葉酸
葉酸は適切な細胞分裂に重要であると考えられています。 妊娠中には、胎児の健康な発達を促すために利用されることもあります。
ビタミンK
止血に対して重要な役割を果たしているとされています。
ラズベリーの栄養素
1カップ(123グラム)のラズベリーには以下のような栄養素が含まれます。
- 水分:105グラム
- エネルギー:64カロリー
- タンパク質:1.5グラム
- 炭水化物:14.7グラム(うち5.4グラムが砂糖) 食物繊維:8.0グラム
- カルシウム:30.8グラム
- マグネシウム:27.1グラム
- 鉄:0.8グラム
- リン:35.7グラム
- カリウム:186.0グラム
- 亜鉛:0.5ミリグラム
- 銅:0.1ミリグラム
- マンガン:0.8ミリグラム
- セレニウム:0.2マイクログラム
- ビタミンC:32.2ミリグラム
- 葉酸:25.8マイクログラム
- コリン:15.1ミリグラム
- ビタミンE:1.1ミリグラム
- ビタミンK:9.6マイクログラム
- ルテイン+ゼキサンチン:167.0マイクログラム
- αカロテン:19.7マイクログラム
- βカロテン14.8マイクログラム
このうち、ビタミンCとビタミンE、αカロテンとβカロテン、ルテイン、ゼキサンチン、コリン、セレニウムなどは、ラズベリーに含まれる代表的な抗酸化物質です。
ラズベリーの摂取方法
ラズベリーは、生のまま、冷凍、冷凍乾燥(フリーズドライ)、ゼリーの具、シロップ、ジャムなどの形で利用されます。
生または冷凍のラズベリーが最も栄養価が高く、その他の製品は砂糖などが添加されていることが多いです。 可能ならば、ラズベリー製品を購入する時に成分表示を確認して、砂糖の添加などがない製品を選ぶと良いでしょう。
ラズベリーの安全性
フルーツはしばしば残留農薬などを含んでおり、可能な限り有機栽培されたラズベリーを買う方が望ましいともされています。
ラズベリーケトン
一部の人たちは、ラズベリーケトンと呼ばれる、ラズベリーと他の植物の抽出液から生成されるサプリメントを摂取しています。 一部の製造会社は、これらのサプリメントに体重減量や脱毛予防効果があると謳っています。
しかし、ラズベリーケトンの安全性や、これらの効能に対する有効性については、十分な科学データがまだありません。
いかなるサプリメントも、配合されている成分などを確認して、しっかりと利用の判断をすることが重要です。 リスクや副作用を除いても、一部のサプリメントは内服中の薬剤と相互作用を生じることがあります。
まとめ
今回は、日常でもよく口にされるラズベリーについて解説をしました。ラズベリーに関する健康のメリットや、副作用を確認したい場合には参考にしていただけますと幸いです。
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