スカルキャップとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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はじめに

スカルキャップはシソ科タツナミソウ属(Scutellaria)の花の咲く植物です。

学名はラテン語のscutellaに由来し、これは「小さな器」を意味します。器やヘルメットのような形をした花が咲くためです。毒性の強いタマゴテングタケ(death cap)と間違えないようにしましょう。(参考)

漢方医学やアメリカ先住民の伝統医学では、下痢や慢性的な痛みを緩和する効果があるとして、根や葉などの様々な部分が薬草として使われてきました。 

今日では、心臓の健康や不安を和らげるリラックス効果など、様々な健康効果があるとされ、サプリメントとしても広く入手可能な植物です。

この記事では、スカルキャップについて、その使い方や、健康効果、副作用について詳しく説明していきます。

スカルキャップとは?

タツナミソウ属(Scutellaria)に属するどの種類の植物もスカルキャップと呼びますが、アメリカと中国に生息する種類が主に医療用に使われています。

アメリカンスカルキャップ(Scutellaria lateriflora、ブルースカルキャップ)は北アメリカに自生する多年草のハーブです。チューブ上の小さな花が咲きますが、花の色は青だけでなく様々です。(参考)

アメリカンスカルキャップの葉は、鎮痛剤として、また、不安を取り除いたり痙攣などの治療に伝統的に使われてきた薬草です。アメリカ先住民の間では、その薬効成分が非常に重宝されていました。(参考)

チャイニーズスカルキャプ(Scutellaria baicalensis、コガネバナ)はアジアの各国とロシアに自生しています。

乾燥させた根は、 オウゴン(黄芩)と呼ばれ、何世紀にもわたり漢方薬として、下痢、不眠、赤痢、高血圧、出血、呼吸器系の感染症、炎症などの治療に使われてきました。(参考)

アジアでは、 小柴胡湯(しょうさいことう)とよばれる漢方薬の構成薬として使われ、発熱、胃腸疾患、肝臓疾患などの症状に用いられています。(参考)

アメリカンスカルキャップ、チャイニーズスカルキャップは、どちらもサプリメントとしてオンラインストアや健康食品店で購入することができます。他にも セイタカナミキソウ(Scutellaria barbata)という種類のスカルキャップも代替薬品として使用されており、その効能が研究されてきました。

スカルキャップは、カプセル、粉末、液体などの状態で売られています。葉などは乾燥させお茶を淹れることもできます。


Point: アメリカンスカルキャプとチャイニーズスカルキャップは、どちらも不眠症や炎症、下痢などの症状を和らげるための自然薬品として、幅広く使われている 顕花植物です。


スカルキャップのメリット

十分な研究結果があるとは言えませんが、スカルキャップには様々な栄養補完の効果が期待できそうです。

気分を高め、不安を和らげる

アメリカンスカルキャップは、気分を高めたり、不安症状を和らげる効果があります。

43名の被験者に1日につき1050ミリグラムのアメリカンスカルキャップを2週間にわたり摂取させたところ、プラシーボ群のグループに比べ心的状態に著しい向上が見られました。(参考)

アメリカンスカルキャップは、 ガンマ-アミノ酪酸(GABA)という神経を落ち着かせる働きのある神経伝達物質を刺激し、それにより気分をよくしたり不安を和らげたりすると考えられています。(参考)

とりわけ、アメリカンスカルキャオップは、伝統医学において鎮静薬として用いられたり、不眠や不安精神症の治療などに使われてきました。

実際に、多くの抗不安薬は、ガンマ-アミノ酪酸の活動を活性化させるので、アメリカンスカルキャオップと同様の働きをします。(参考)


抗菌・抗ウィルス効果

セイタカナミキソウにも薬効のある成分が含まれます。抗ウィルスや抗菌効果があることが研究から分かっています。

ある試験管内研究で30種類以上の漢方薬を調べた結果、セイタカナミキソウの抽出物にだけアシネトバクター・バウマンニー(XDRAB)という菌に対し100%の抗菌効果を発揮することが分かりました。アシネトバクター・バウマンニーは、入院患者が肺炎にかかる主な原因となる菌です。(参考)

さらに、この抽出物は、一般的な抗生物質であるコリスチンよりも高い抗菌効果があることが分かりました。

また、同じ研究においてマウスの肺を調べたところ、対照群と比べてアシネトバクター・バウマンニーの細菌負荷が減少することが分かりました。(参考)

さらに、チャイニーズスカルキャオップには抗菌効果があり、キャンディバクチン(Candbactin)というハーブミックスにも使われています。 キャンディバクチンは腸内の細菌の異常増殖を防ぐ自然薬です。(参考)

抗炎症物質や抗がん物質を含む

アメリカンスカルキャップとチャイニーズスカルキャップは、抗炎症効果のある抗酸化物質など、有益な物質をいくつも含んでいます。抗酸化物質は、フリーラジカルと呼ばれる分子によるダメージから細胞を守る働きがあります。

酸化ストレスは、フリーラジカルと抗酸化物質のバランスが崩れたときに起こり、がんや心疾患などの慢性病との関係性が指摘されています。(参考)

とりわけ、フラボノイド抗酸化剤の一つであるバイカリンは、アメリカンスカルキャップとチャイニーズスカルキャップの両方に含まれ、抗がん作用があることが分かっており、酸化ストレスを軽減する働きもあります。

例えば、試験管での実験において、バイカリンは、前立腺がん細胞と子宮頸がん細胞の細胞死を誘発し、卵巣がん細胞と膵臓がん細胞の増加を妨ぐことが実証されました。(参考)

アメリカンスカルキャップに含まれる成分の一つであるスクテラレインも、試験管での実験において抗がん作用が確認されています。(参考)

また、アメリカンスカルキャップとチャイニーズスカルキャップのどちらにも含まれる オウゴニンというフラボノイド化合物は、アレルギー性鼻炎などの炎症反応を起こすアレルギーに特に効くことが動物実験により確認されています。(参考1, 参考2)

アメリカンスカルキャップとチャイニーズスカルキャップは、他にも抗炎症物質を含んでいます。実際に、50種類以上のフラボノイドがチャイニーズスカルキャップから抽出されました。(参考1, 参考2, 参考3)

その他の効果

スカルキャップには他にも以下のような効果があります。

  • 痙攣防止 マウスの実験で、アメリカンスカルキャップを経口で投与した際に痙攣を防ぐ働きが確認されています。(参考1, 参考2
  • 不眠症 アメリカンスカルキャップとチャイニーズスカルキャップのどちらにも含まれるバイカリンは、伝統医学では不眠症の治療に使われていますが、科学的証拠には欠けています。(参考
  • 神経変性疾患 試験管での実験において、アメリカンスカルキャップには神経防護作用があることが確認されており、アルツハイマー病やパーキンソン病の予防効果が期待されています。(参考1, 参考2
  • 心臓の健康 ある動物実験では、バイカリンの注入により、心臓発作によって引き起こされるダメージをかなり緩和できることが分かっています。(参考


これらの効果は期待できるものですが、これらの症状に対しスカルキャップが効果的な治療薬かどうかについては、さらに研究が必要です。


Point: アメリカンスカルキャップ、チャイニーズスカルキャップを含むスカルキャップ類には、気分の高める働きや炎症を抑える働きなど、様々な健康効果があります。しかし、人への効果についてさらに研究が必要です。


スカルキャップの副作用と安全性

健康効果は認められているものの、誰にとっても適切かどうかは分かりません。また深刻な副作用が起こる可能性もあります。

例えば、アメリカンスカルキャップとチャイニーズスカルキャップはどちらも肝臓障害、人によっては肝不全と関連付けられています。とはいえ、これらのケースは、スカルキャップだけでなく他の種類のハーブも含んだサプリメントを摂取した際に起こっています。(参考)

しかし、肝機能に問題のある人は、スカルキャップの摂取を控えたほうがよいでしょう。

チャイニーズスカルキャップは、肺の合併症と関係があります。また、アメリカンスカルキャップを含む他の種類のスカルキャップの摂取により、人によっては不整脈、痙攣、不安症、眠気、精神撹乱などの副作用が出る場合があります。(参考1, 参考2)

抗凝血剤、 コレステロール低下薬、 チトクロームP450基質薬物、鎮痛剤などの一般的な薬物と相互作用を起こす場合があることにも注意が必要です。(参考)

また、どの種類であってもスカルキャップの安全性に関する情報が不足しているため、子どもや妊娠中あるいは授乳中の女性は摂取を避けるべきです。(参考1, 参考2)

さらに、サプリメントによっては混和物が含まれていたり、ラベルには記載されていない原材料が含まれていることもあります。(参考)

他のサプリメントと同様に、スカルキャップを購入する際にはよく注意をし、第三者または独立した研究機関から認証を得た信頼のおけるメーカーから購入しましょう。

体の様々な不調への治療薬として古代から様々なかたちで使われてきましたが、その安全性や効果についての臨床実験は不十分です。スカルキャップやその他のサプリメントを使用するときは、かかりつけ医などに相談しましょう。


Point: スカルキャップは、肝臓障害などの重大な副作用を引き起こす可能性があり、子どもや特定の薬を使用している人、妊娠中や授乳中の女性は使用を控えるべきです。


スカルキャップの使用量

通常は1日につき1~2グラムを数回に分けて摂取します。(参考)

しかし、使用量はサプリメントのタイプや形状によって異なりますので、それぞれのサプリメントの情報を確認するのがよいでしょう。

スカルキャップのハーブティは、レモンバームなどのハーブとよくブレンドされている場合もあり、健康食品店やオンラインストアで購入可能です。ハーブティは濃縮度が低いため、サプリメントと同じ程度の効果が期待できない場合もあります。

スカルキャップやカノコソウなどの鎮静作用のあるハーブの成分を含むチンキ剤もあります。使用量は濃度や原材料により異なります。


Point: 通常は、1日につき1~2グラムのスカルキャップを数回に分けて服用しますが、サプリメントの種類によって使用量は異なります。スカルキャップは、ハーブティーやチンキ剤として摂取することもできます。


最後に

スカルキャップは伝統医薬にも使われてきた 顕花植物です。

スカルキャップには、気分を高めたり、炎症を抑えたりする効果がある他、抗がん作用などの健康効果が期待できる植物です。

しかし、臨床試験は十分だとは言えず、ネガティブな副作用を引き起こすこともあります。

そのため、どのような方法でスカルキャップを摂取する場合でも、かかりつけ医などに相談するとよいでしょう。

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