セイヨウシロヤナギとは?
セイヨウシロヤナギ(ウィローバーク)は、西洋ヤナギ(ウィロー)の樹皮(バーク)のことで、何世紀にもわたり、鎮痛剤をして使われてきました。セイヨウシロヤナギに含まれるサリシンという成分が有効成分として働いていると考えられています。
慢性的な頭痛や背痛に悩まされている人の中には、アスピリン(鎮痛剤)の代わりとして、セイヨウシロヤナギを使う人もいます。また、セイヨウシロヤナギは、減量に効果がある成分として使用されることもあります。
セイヨウシロヤナギは、樹齢2~3年の西洋ヤナギの枝から採取します。西洋ヤナギは、オーストラリアと南極大陸を除く世界中の地域に分布しています。医薬品として使われる最も一般的なヤナギの種類は、シロヤナギとクロヤナギです。
セイヨウシロヤナギの副作用
適度に使用していれば、セイヨウシロヤナギには悪影響を与えるような副作用は見られることは少ないとされています。
セイヨウシロヤナギに含まれるサリシンは、サリチル酸に変換されます。サリチル酸に変換されることで、人工的に合成されるアスピリンよりも体に穏やかに作用するのではないかと主張する人もいます。また、過剰摂取は、腹部のけいれんや出血の原因になるとされています。
セイヨウシロヤナギの摂取方法
カプセルでの摂取
粉末カプセルタイプのセイヨウシロヤナギは薬局や健康食品店などで購入できます。
樹皮の状態での摂取
セイヨウシロヤナギに含まれるサリシンが主な有効成分だと言われていますが、フラボノイドやその他の粒子にも効果があるとして、加工されていないヤナギの樹脂をそのまま噛む人もいます。実際にどのくらいのサリシンを摂取しているのかが分かりにくいため、樹皮をそのまま噛むには注意が必要です。
液体での摂取
セイヨウシロヤナギは蒸留して得られたチンキ剤として摂取することもできます。1日に1~2滴(最大で2ミリリットルまで)程度使うことで、抗炎症剤として、またアスピリンの代用となる鎮痛剤として利用できるとされています。
お茶として摂取
鎮痛効果や抗炎症効果があるとしてセイヨウシロヤナギ茶を扱っている健康食品店もあります。お茶として飲む場合は、お湯にセイヨウシロヤナギを2~3分浸します。ただし、この場合もサリシンがどのくらい体内に取り込まれたかが分かりにくいといえます。
塗り薬として摂取
セイヨウシロヤナギは患部に局所的に使うこともできます。消化器官から吸収されないため、胃潰瘍などの症状がある人にとっては良いといえるでしょう。しかし、皮膚のトラブルを引き起こす可能性もあります。
セイヨウシロヤナギの効果
最近の植物療法に関する報告によると、腰痛持ちの人にとって、セイヨウシロヤナギはプラシーボ(偽薬)よりも効果的であることが分かりました。因習的に使われてきたアスピリンとセイヨウシロヤナギの効果を比較するには決定的なデータが必要です。しかし、アスピリンに代わる薬を探しているのであれば、セイヨウシロヤナギは選択肢の一つとなるでしょう。
セイヨウシロヤナギは、生理痛の緩和や解熱剤としても使われることがあります。セイヨウシロヤナギに含まれるサリシンは、アスピリンの働きと同様に血流に入り込み、炎症や痛みを抑えます。抗炎症作用があるため、関節痛の軽減にも効果があります。
セイヨウシロヤナギのリスク
セイヨウシロヤナギの使用を控えるべき人もいます。アスピリンにアレルギーがある人はセイヨウシロヤナギにも反応する可能性があります。 抗凝血剤やベータ遮断薬などの薬を使用している際にセイヨウシロヤナギを摂取すると相互作用がある場合もあります。
16歳以下の子どもはセイヨウシロヤナギの使用を控えるべきでしょう。脳と肝臓に悪影響を与えるライ症候群のリスクが高まるからです。妊娠中の女性や授乳中の女性もサリチル酸を含む薬品は避けるべきです。胃潰瘍の人も、過剰摂取すると胃の出血を起こすため、アスピリンと同様にセイヨウシロヤナギの摂取にも注意が必要です。
セイヨウシロヤナギに関する現在の研究
セイヨウシロヤナギは一般的に広く使用されているものの、その効果を確かめるための臨床実験はあまり行われていません。予備調査では、一定の種類のヤナギに、サリシンやフラボノイドなどの成分がより多く含まれ、健康効果があることが分かっています。
これまでの研究においては、セイヨウシロヤナギを摂取することのリスクや副作用は比較的少ないことが分かっています。アスピリンは、これまで何世紀にもわたり研究され、実際に使われてきていますが、その有効成分はセイヨウシロヤナギから抽出しているのです。
まとめ
セイヨウシロヤナギには、比較的症状の軽い体の不調を和らげる働きがあることが分かっていますが、アスピリンとの違いについてなど、さらに深く理解するためには、より多くの研究が必要です。
また、セイヨウシロヤナギには、アスピリンの代用として効果が認められていますが、使用する前にはかかりつけ医に相談するべきです。
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