セイヨウヤドリギとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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セイヨウヤドリギとは?

セイヨウヤドリギはいくつかの異なる木の上で成長する植物です。セイヨウヤドリギの実、葉、茎が薬として使われます。

ヤドリギのがんへの効果の関心は、スザンヌ・サマーズがLarry King Live(テレビ番組)で乳がんの治療のために使っていると語って以来、北アメリカで拡大しています。

セイヨウヤドリギは特にヨーロッパで1920年代からがんの治療のために使われています。ヤドリギの抽出物を使ったいくつかの製品名があります: Iscador, Eurixor, Helixor, Isorel, Vysorel, そしてABNOBAviscumです(すべて商品名)。今のところこれらの製品は北アメリカでは簡単には手に入りません。乳がんやほかのがんに効くという証拠がありません。セイヨウヤドリギの使用は安全ではありません。これらの製品を避け、証明済みのがん治療方法を使ってください。

どのように作用するのか?

セイヨウヤドリギにはいくつかの活性化された化学物質が含まれています。それが免疫システムを刺激し、試験管中の特定のがん細胞を殺しますが、人に対して使ったときは働かないようです。

用法と効果

おそらく効果がないもの

  • 頭部がんと頸部がん。セイヨウヤドリギの抽出物を、頭部がんや頸部がんの手術や放射線治療の前や後に肌に注射しても、生存率を改善しません。 

エビデンスが十分でないもの

  • 膀胱がん。いくつかの初期研究が、セイヨウヤドリギの抽出物を膀胱に6週間投与すると、以前膀胱がんの手術を受けた患者の再発を減らす可能性があるとしています。セイヨウヤドリギを肌に数か月注射すると膀胱がんの進行を遅らせる可能性があります。 
  • 乳がん。いくつかの初期研究が特定のセイヨウヤドリギ抽出物の製品を肌に注射すると腫瘍の成長を抑え、乳がん患者の生存率を伸ばすとしています。しかしながら、これらの結果には疑問があります。また、より質の高い研究では効果が認められませんでした。今のところ、セイヨウヤドリギをこのタイプのがんに使うことに関して十分信用できるエビデンスはありません。証明済みの治療法を使ってください。 
  • 結腸がん、直腸がん。初期研究によると特定のセイヨウヤドリギの抽出物を、注射のみした場合と通常の治療を合わせた場合の両方で、結腸がんの人々の生存率を改善する可能性があるとしています。しかしながら、これらの結果には疑問があります。今のところ、セイヨウヤドリギをこのタイプのがんに使うことに関して十分信用できるエビデンスはありません。証明済みの治療法を使ってください。 
  • 一般的な風邪。初期研究によると特定のセイヨウヤドリギの抽出物を注射で12週間与えても、風邪の治療や予防には効果がないかもしれません。 
  • 胃がん。初期研究によると、特定のセイヨウヤドリギの抽出物を肌に注射した場合、胃がんの患者の生存率を改善する可能性があります。また、免疫機能を向上する可能性があります。しかしながら、セイヨウヤドリギの効果には疑問があります。今のところ、セイヨウヤドリギをこのタイプのがんに使うことに関して十分信用できるエビデンスはありません。証明済みの治療法を使ってください。 
  • C型肝炎ウイルスによる肝臓の腫れ(炎症)(C型肝炎)。C型肝炎患者に対するセイヨウヤドリギの効果の研究は相反しています。いくつかの研究では特定のセイヨウヤドリギの抽出物を注射することでC型肝炎を起こす感染と戦い、人によって生活の質を向上する可能性があるとしています。他の研究では異なるセイヨウヤドリギの製品を注射してもC型肝炎への感染と戦うことはありませんが、C型肝炎の症状を改善するとしています。 
  • 白血球のがん(白血病)。初期研究によると特定のセイヨウヤドリギの抽出部を注射すると慢性骨髄性白血病の患者の生存を2年以上伸ばす可能性があるとしています。 
  • 肺がん。肺がん患者の生存率に関するセイヨウヤドリギの効果のエビデンスについては限られた矛盾したものしかありません。今のところ、セイヨウヤドリギをこのタイプのがんに使うことに関して十分信用できるエビデンスはありません。証明済みの治療法を使ってください。 
  • 胸壁と肺の間に体液とがん細胞がたまる症状(悪性胸水)。初期研究によると特定のセイヨウヤドリギ抽出物を胸膜組織に与えると、その領域のがんが減少するととしています。 
  • 最も深刻なタイプの皮膚がん(黒色腫)。初期研究によると、特定のセイヨウヤドリギ抽出物を肌に注射しても、黒色腫患者の生存率やこの病気無しにいられる時間を伸ばすことはありません。 
  • 卵巣がん。初期研究によると、特定のセイヨウヤドリギ抽出物を肌に注射すると卵巣がん患者や他の治療を受けている患者の寿命を延ばすとしています。 
  • 膵臓がん。セイヨウヤドリギ抽出物を肌に注射しても進行した膵臓癌患者の寛解率を向上しないようです。しかしながら、膵臓がんの化学療法を受けられなくなった患者の生存を約2か月改善する可能性があります。セイヨウヤドリギ抽出物は、また、腫瘍に注射することで化学療法を受けている患者の生存期間を改善する可能性があります。 
  • 生活の質。初期研究によると、いくつものセイヨウヤドリギ抽出物を肌に注射すると、単体で使った場合でも化学療法と一緒に使った場合でも、がん患者の生活の質や幸せを改善する可能性があります。 
  • 放射線暴露。初期研究によると、特定のセイヨウヤドリギ抽出物を肌に5週間注射すると、チェルノブイリ原発事故における放射線暴露による、繰り返す肺感染を起こした子供の肺の感染を減らし、疲れ、発汗、頭痛、関節痛、感情の不安定、筋肉痛といった症状を改善する可能性があります。 
  • 子宮がん。初期研究によると、特定のセイヨウヤドリギ抽出物を肌に注射すると、子宮がん患者の生存率を向上する可能性があります。 
  • 不安 
  • うつ病 
  • 痛風 
  • 頭痛 
  • 痔 
  • 高コレステロール 
  • 内出血 
  • 月経障害 
  • 発作 
  • 化学療法と放射線治療の副作用 
  • 睡眠障害 
  • その他の症状 


これらの用途に対するセイヨウヤドリギの効果の評価についてはより多くのエビデンスが必要です。

副作用と安全性

口から摂取した場合:セイヨウヤドリギは口から適切な量を摂取した場合はおそらく安全です。口から実を3つあるいは葉を2枚以下食べても深刻な副作用を起こさないようです。しかしながら、大量に摂取した場合はおそらく安全ではなく、深刻な副作用を起こす可能性があります。セイヨウヤドリギは嘔吐、下痢、けいれん、その他の副作用を起こす可能性があります。短期間かつ頻繁にセイヨウヤドリギを使うと肝臓にダメージを与える可能性があります。

注射された場合:セイヨウヤドリギは適切な量を肌の下に注射した場合はおそらく安全です。しかしながら、大量に注射した場合はおそらく安全ではなく、深刻な副作用を起こす可能性があります。セイヨウヤドリギを肌の下あるいは血管に注射すると、熱、寒気、皮膚発疹、痛み、吐き気、嘔吐、アレルギー反応、その他の副作用が起こる可能性があります。

正しい量は時に決めるのが難しいため、医療のプロのアドバイス無しに使用しないようにしてください。

特別な予防措置と警告

妊娠中及び授乳中:セイヨウヤドリギは口からの摂取でも肌への注射でも妊娠中に使用することはおそらく安全ではありません。子宮を刺激し流産する可能性があります。

授乳中にセイヨウヤドリギを使用することに関する十分な信頼できる安全の情報はありません。安全を重視し使用を避けてください。

多発性硬化症(MS)、紅斑性狼瘡(全身性エリテマトーデス、SLE)、関節リウマチ(RA)や他の症状の「自己免疫疾患」:セイヨウヤドリギは免疫システムをより活動的にする可能性があり、これにより自己免疫疾患の症状を増す可能性があります。もしこの中の1つでも持っているのであれば、セイヨウヤドリギの使用を避けた方が良いです。

心臓病:セイヨウヤドリギが心臓病を悪化させる可能性があるというエビデンスがいくつかあります。もし心臓に問題を抱えているなら使用しないでください。

白血病:いくつかの試験管での研究によると、セイヨウヤドリギは子供の白血病に効果がある可能性があります。しかしながら、人に対する効果は示されていません。実際、セイヨウヤドリギは白血病を悪化させる可能性があります。もし白血病であるなら、セイヨウヤドリギを使用しないでください。

肝臓の病気:セイヨウヤドリギを摂取すると肝臓を傷める可能性があるという懸念がいくつかあります。セイヨウヤドリギは、肝炎といった、肝臓の病気を悪化させる可能性があります。肝臓に病気を持っていたり肝臓病の来歴がある場合はセイヨウヤドリギの使用を避けるべきです。

臓器移植:セイヨウヤドリギは免疫システムをより活発にする可能性があります。これは臓器移植を受けた人々に問題となるかもしれません。より活発な免疫システムは臓器の拒否反応のリスクを増す可能性があります。もし臓器移植を受けたのなら、セイヨウヤドリギを避けてください。

手術:セイヨウヤドリギは血圧に影響を与える可能性があります。これは手術中と手術後の血圧のコントロールと干渉する可能性があるという懸念があります。予定されている手術の少なくとも2週間前にはセイヨウヤドリギの使用をやめてください。

相互作用

中程度の相互作用

この組み合わせに注意

  • セイヨウヤドリギと高血圧の薬(抗高血圧薬)の相互作用 

セイヨウヤドリギは血圧を下げるようです。セイヨウヤドリギと高血圧向けの薬を両方摂取すると、血圧が下がりすぎる可能性がります。高血圧用の薬にはカプトプリル(商品名:Capoten)、エナラプリル(商品名:Vasotec)、ロサルタン(商品名:Cozaar)、バルサルタン(商品名:Diovan)、ジルチアゼム(商品名:Cardizem)、アムロジピン(商品名:Norvasc)、ヒドロクロロチアジド(商品名:HydroDiuril)、フロセミド(商品名:Lasix)などがあります 。

  • セイヨウヤドリギと免疫システムの機能を下げる薬(免疫抑制剤)相互作用 

セイヨウヤドリギは免疫システムの機能を向上するようです。セイヨウヤドリギで免疫機能を向上すると、免疫システムの機能を下げる薬の効果が下がる可能性があります。免疫システムの機能を下げる薬にはアザチオプリン(商品名:Imuran)、バシリキシマブ(商品名:Simulect)、シクロスポリン(商品名:Neoral、Sandimmune)、ダクリズマブ(商品名:Zenapax)、ムロモナブ-CD3(商品名:OKT3、Orthoclone OKT3)、ミコフェノール(商品名:CellCept)、タクロリムス(商品名:FK506、Prograf)、シロリムス(商品名:Rapamune)、プレドニゾン(商品名:Deltasone、Orasone)、コルチコステロイド(商品名:glucocoticoids)などが含まれます。

用量

セイヨウヤドリギの適切な用量は年齢、健康、その他の条件に依存します。現在のところ、セイヨウヤドリギの適切な用量の範囲を決めるために十分な科学的な情報はありません。自然から作られる製品が常に安全ではなく、用量が重要である可能性があることを忘れないでください。製品ラベルにある関連する指示に従い、薬剤師、医師、その他の医療のプロに使用前に相談するようにしてください

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