スピケナード(カンショウ)エッセンシャルオイルとは何か?
数世紀にわたって、スピケナードは宗教儀式、美容、健康などの目的に使用されてきました。ラベンダーや乳香などのような他のオイルに比べると知名度は低いですが、スピケナードエッセンシャルオイルは、歴史的に抗炎症作用や抗菌作用があるとして、薬として使われてきました。(参考, 参考2)
スピケナードエッセンシャルオイルは、その素朴なジャコウの香りで高く評価されている香料です。スピケナードは、その香りや宗教儀式などでの使用が有名ですが、代替医療で提唱されているような薬効を持っているかどうかについては、今後の追加の研究が必要でしょう。 この記事では、スピケナードについて現時点でわかっていることをまとめます。
スピケナードエッセンシャルオイルの効能
スピケナードエッセンシャルオイルについてインターネットで調べると、その期待される健康への効能のリストが手に入るでしょう。
セイヨウカノコソウ(バレリアンプラント)の仲間であるスピケナードは、気持ちを高めて心の健康状態を改善するかもしれません。(参考) ある研究では、スピケナードが神経の炎症を抑える効果があると報告しており、以下のような効能が期待できるとのことです。(参考)
また、スピケナードエッセンシャルオイルは、抗炎症作用や抗菌作用があるとも言われており、以下のような効能があるかもしれません。
ただし、これらのセイヨウカノコソウ(バレリアンプラント)に期待されている効能は、必ずしもスピケナードに関連しているわけではないことには注意が必要でしょう。
また、これらの研究のいくつかは動物に対する実験を元にしていたり、他の研究も対象の植物が、ラベンダーやバレリアンなどの異なる植物である場合があるので注意が必要です。 スピケナードに関する研究が少ない理由の1つには、スピケナードが過剰な収穫により絶命の危険性が種であると考えられていることも挙げられるでしょう。
ある研究では、スピケナードの抗菌薬作用に関して、期待が持てる結果が報告されています。(参考) また、別な研究では、スピケナードエッセンシャルオイルが、レジオネラと呼ばれる細菌に対して特に有効であったとしています。(参考) ただし、これらの実験結果は、今後も人を対象とした研究で調査される必要があります。
スピケナードは、その種類によって違いがあるのか?
スピケナードには複数の種類があることがわかっていますが、スピケナードの種類によって薬効などに違いがあるのかはわかっていません。
以下が、最も一般的なスピケナードの種類です。
- アメリカンスピケナード(アメリカ東部やカナダに自生する)
- インディアンスピケナード
- ジャパニーズスピケナード
- ヒマラヤンスピケナード
また、スピケナードの学術名である、ナードスタチス・ジャタマンシ(Nardostachys jatamansi/スパイクナード)や、バレリアンセラエ(Valerianaceae/オミナエシ)などが、エッセンシャルオイルなどのラベルには表記されているかもしれません。
スピケナードはアジアに自生していましたが、現在は過剰な収穫で絶滅の危機にあると考えられています。
スピケナードエッセンシャルオイルの宗教儀式などでの使われ方
スピケナードは、認知度の高いエッセンシャルオイルではありませんが、スピケナードの木はその香りから、古代ギリシア、エジプト、ローマ帝国などで高く評価されてきました。 また、これらの文化ではしばしば薬としても使用されました。
スピケナードは、イスラム圏やキリスト教圏においては宗教的な意義を持ち、スピケナードの花は現在でも儀式などで使用されます。
スピケナードオイルの副作用
スピケナードオイルは、あまり人を対象とした実験では調べられておらず、その副作用などについての情報は限られています。エッセンシャルオイルは、植物由来ではありますが、比較的強力な化学物質が含まれていると考えられ、伝統医療では治療薬として利用されていました。このため、これらのオイルは皮膚に直接塗布された場合、以下のような副作用が起きることがあります。
- 皮膚の痒みや刺激感
- 蕁麻疹や皮疹(参考)
- 皮膚のほっ赤
- せつ(オデキ)
- 皮膚の剥離
- 皮膚の炎症
アロマセラピーの多くの効能は、エッセンシャルオイルの分子を吸い込むこどで発揮されます。 アロマオイルを使用するときには、妊婦の方、小児、ペット、その他のオイルの香りに敏感な方などに配慮しましょう。 また、いくつかのエッセンシャルオイルは、時に毒性があることがあるので気をつけましょう。
スピケナードエッセンシャルオイルの使い方
スピケナードエッセンシャルオイルは、その香りが有名で、アロマセラピーやオイルの吸入に使用されます。 以下では、その医療などを含めた、様々な使われ方について説明します。
アロマセラピー
アロマセラピーとは、エッセンシャルオイルの香りを、精神と体の健康改善のために使用することです。(参考)
ディフューザーを使用するのが、アロマセラピーの有効性を実感する上で、一番簡単な方法でしょう。 この装置は、スピケナードなどのエッセンシャルオイルを、冷たい霧に混ぜて空気中に拡散します。 エッセンシャルオイルは以下のようにも使用できます。
- ボトルから直接吸入する
- 水などに混ぜて、布などに噴霧する
- 湿布などと一緒に使用する
- マッサージなどに利用する
スピケナードオイルマッサージ
スピケナードオイルは、深部組織マッサージの効能を高めるために使用されたりします。(参考) マッサージのセラピストに、体の特定の部分に希釈したオイルを塗ってもらったり、マッサージ中にアロマセラピーとして使用してもらったりすることを相談しても良いでしょう。
バスオイル
スピケナードオイルは、高級な香りのする入浴剤としても使用できます。使用する場合には、スプーン1杯の潤滑油(キャリアオイル)に数滴のスピケナードオイルを加えて、お風呂のお湯に加えます。 好みに合わせて量は調整しても良いでしょう。オイルで滑りやすくなるので、風呂の底に滑り止めのマットを敷いても良いかもしれません。体に未希釈のスピケナードオイルがつかないように気をつけましょう。
スピケナードオイルの皮膚への塗布
さらなる研究が必要ですが、スピケナードオイルはしばしば、炎症や感染などに対しての局所治療薬として使用されることがあります。スピケナードオイルを、未希釈の状態で皮膚に塗ることは避けましょう。皮膚に塗る場合には、スプーン1杯の潤滑油(キャリアオイル)にスピケナードオイルを数滴混ぜて、希釈した状態で使いましょう。(参考)
また、スピケナードオイルを体全体に塗る前に、1-2日程度のパッチテストを行って、皮膚に問題がないかを確認することも大切です。(参考) このテストは、希釈したスピケナードオイルを、体の見えにくい部分の皮膚に少し塗布して1日ほど経過を見て、皮膚の刺激感などが出てこないかを確認することで簡単にできます。
使用前の注意事項
スピケナードエッセンシャルオイルは広く流通しており、使用には処方箋などは必要ありません。 しかし、使用前に気をつけるべき点がいくつかあります。スピケナードは、局所への塗布、芳香剤、またはアロマセラピーのために使用しましょう。 スピケナードオイルを経口で摂取したり、目などの近くに塗布していはいけません。また、アレルギー反応も起きる可能性があります。 スピケナードエッセンシャルオイルを使用してアレルギー症状が出る場合には、使用を中止しましょう。 そして、症状が悪化する場合には、医療機関で相談をすることが大切です。
オイルを皮膚に塗る場合は、オイルを適切に希釈することで、皮膚への刺激症状を起こすリスクを軽減することができるでしょう。
妊娠中や授乳中の場合には、スピケナードオイルの使用を医師に相談しましょう。 また、小児へのスピケナードを含めたエッセンシャルオイルの使用は控えましょう。
スピケナードエッセンシャルオイルはどこで手に入るのか?
スピケナードオイルを買う時には、適正な生産方法で作られた、純度が100%のオイルのブランドを選ぶことが大切です。
代替医療を行っている医療機関でオイルを購入するか、天然の健康製品などを扱う専門店などで相談しても良いでしょう。 また、オンラインでも幅広い種類からスピケナードオイルの製品を選ぶことができます。(参考)
まとめ
歴史的にも、宗教的な場面においても、スピケナードは高く評価されてきた花で、特にアロマセラピーに適していると言えるでしょう。 使用時には、気分の高揚感を実感できるかもしれません。
スピケナードオイルには、炎症や感染症などの治療効果があると期待されていますが、皮膚に塗布して使用する場合などには、あらかじめ医師に相談をしましょう。
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